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平成27年7月10日判決言渡
平成27年(行コ)第51号課徴金納付命令取消請求控訴事件
主文
1本件控訴を棄却する。
2控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1原判決を取り消す。
2金融庁長官が控訴人に対して平成25年4月16日付けでした金融商品取引
法に基づき課徴金153万円を国庫に納付することを命じた決定を取り消す。
3訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
第2事案の概要
1本件は,控訴人が,原判決の別表記載のとおり,平成22年9月29日から
同年12月16日までの間(以下「本件取引期間」という。),36回にわ
たり,株式会社A銀行の株式(以下「本件株式」という。)合計123万8
000株につき,自己の売り注文と自己の買い注文を同時刻に約定させる取
引(以下「本件取引」という。)を行ったところ,金融庁長官が,本件取引
は,金融商品取引法(以下「金商法」という。)159条1項1号で禁止さ
れる,有価証券の売買等につき「取引が繁盛に行われていると他人に誤解さ
せる等その取引の状況に関し他人に誤解を生じさせる目的」(以下「繁盛等
誤解目的」という。)をもって,「権利の移転を目的としない仮装の有価証
券の売買」(以下「仮装売買」という。)をすることに当たるとして,控訴
人に対し,平成25年4月16日付けで,課徴金として153万円を国庫に
納付することを命ずる決定(以下「本件課徴金納付命令」という。)をした
ことにつき,本件課徴金納付命令は違法であると主張して,その取消しを求
めた事案である。
原審は,本件課徴金納付命令につき,金商法159条1項1号の要件を満た
し,適法であるとして,控訴人の請求を棄却したところ,控訴人が控訴した。
2前提事実並びに争点及び争点についての当事者の主張は,原判決「事実及び
理由」欄の「第2事案の概要」3及び4に記載のとおりであるから,これを
引用する。
第3当裁判所の判断
1当裁判所も,本件課徴金納付命令は金商法159条1項1号の要件を満たす
適法なものであって,控訴人の請求は理由がないから棄却されるべきものと判
断する。その理由は,原判決「事実及び理由」欄の「第3当裁判所の判断」
1ないし4記載のとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決16頁
15行目の「①」を削り,同17頁14行目の「上記ア」を「上記(1)」に改
め,同18頁末行の「61.49%を超える日」を「61.49%を占める日」
に改める。
2控訴人は,本件株式の売買の回数,出来高は,他の投資家の投資判断に影響
を与えるものではないし,本件取引は,他の投資家の本件株式の売りを誘引す
ることはなく,本件株式の価格が上昇することは控訴人に不利益であったと主
張する。
しかし,控訴人が20年以上の取引経験を有し,かねて3回にわたり仮装取
引の疑いがあることで注意を喚起されたことがあり,本件取引における仮装売
買が多数回に及び,市場占有率も相対的に高かったなど原判決説示の事情の下
では,本件取引を行うことにより,現実の受給に基づいて取引が頻繁に行われ
ていると他の投資者に誤信させる外観をもたらすことを控訴人が認識していた
といわざるを得ないのであり,控訴人の主張は採用することができない。また,
控訴人は,本件株式に関心が集まることは裁定取引を行う控訴人には不利益で
あったと主張するが,控訴人が上記の認識を有していた以上,本件取引を行っ
ても本件株式に関心が集まることはないとの認識で控訴人が本件取引を行って
いたとは考え難く,同主張はその前提において採用することができない。
第4結論
よって,原判決は相当であって,本件控訴は理由がないから,これを棄却す
ることとして,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第24民事部
裁判長裁判官髙野伸
裁判官渡邉和義
裁判官國分隆文

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