弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     被上告人B1、同B2に対する本件上告を棄却する。
     被上告人B3、同B4、同B5、同B6、同B7、同B8、同B9、同
B10、同B11、同B12、同B13に対する本件上告を却下する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人鈴木義男、同高屋市二郎の被上告人B1に対する上告理由第一点につ
いて。
 論旨(1)中、「本件山林の登記名義が第一審原告(上告人)に移転してないこ
とを確め、これを奇貨として同年一二月一日B3と本件山林の売買契約を締結した」
との事実、論旨(2)の事実、論旨(3)中、B3及びDが共同して上告人の所有
権を侵害した事実および論旨(4)の事実は、いずれも原審が認定しなかつたとこ
ろであり、論旨(5)の事実は、原審の裁量に属する証拠の取捨を争うものに帰す
る。そして、Eから直接被上告人B1に対してなされた移転登記が有効であること
は原審の判示するとおりであり、原審認定の事実関係に徴すれば、上告人は、なお、
民法一七七条の第三者に該当するというを妨げない。論旨は採用できない。
 同第二点について。
 所論前段についての原判示は、Eは「B1に対する中間省略登記がなされること
については、知らされていなかつたことが確認できる」というにとゞまり、Eの白
紙委任状等の交付が「B1に対する中間登記省略のためではなかつたことが確認さ
れる」というのではない。論旨は、原判決を正解しないか、独自の見解に出でるも
のであつて、原判決には、所論の如き理由の齟齬は認められない。
 同上告代理人の被上告人B2に対する上告理由第三点について。
 原審昭和三二年三月二〇日(論旨が一〇日というのは誤である)の口頭弁論では、
所論の如き陳述がなされている(但し、論旨中同意とあるのは、合意の誤である)
から、原審が、中間省略登記に関する特約について主張がないとしたことは所論の
ごとく違法である。しかし、原審の確定した事実によれば、被上告人B2の共有持
分権は、B3に譲渡され、同人はさらに上告人と被上告人B1にこれを二重譲渡し、
すでにB1のために適法に移転登記がなされたのであるから、被上告人B2も上告
人もともに共有持分権を有しないことに確定したのである。したがつて、上告人は
もはや登記請求権を有せず、一方被上告人B2の登記に協力すべき義務は、特段の
事情のないかぎり、履行不能となつたものと認むべきである。されば、原判決の前
示違法は、判決の結果に影響を及ぼさないこと明白であり、所論も採用できない。
 よつて、本件上告は民訴四〇一条により、これを棄却すべきである。
 その余の被上告人らに対する上告については、上告人は上告理由書を提出しない
から、民訴三九九条ノ三、三九九条に従い、これを却下すべきである。
 よつて、民訴九五条、八九条を適用し、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決
する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    高   橋       潔
            裁判官    石   坂   修   一

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