弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を拘留十日に処する。
         理    由
 本件控訴の趣意は、被告人及び弁護人大島正義作成の各控訴趣意書のとおりであ
るから、これを引用し、これに対し当裁判所は、次のように判断する。
 弁護人の論旨第一点について
 論旨は軽犯罪法第一条第三十二号前段には「入ることを禁じた場所」とあり、こ
れに該当する場所は、公園の花壇、芝生等立入りを禁じた場所又は公共の施設等で
無断立入りを禁じた場所等を指称するのであつて、皇居外苑内では、厚生大臣の許
可を受けた物品でなければ販売ができないというだけで、厚生大臣の許可を受けな
い物品販売業者の立入りを禁じたものではない。従つて厚生大臣の許可を受けない
物品販売業者といえども単に皇居外苑に立入ることは自由であつてこれを禁ずる法
令はない。故に厚生大臣の許可を受けない物品販売業者が物品販売の目的で皇居外
苑に立入つたとしてもただそれだけでは軽犯罪法第一条第三十二号に違反するもの
ではないと主張する。しかし原判決挙示の証拠によると皇居外苑内は一般に入るこ
とを禁じた場所ではないが、その管理者である厚生省国立公園部が厚生大臣の許可
を受けていない物品販売業者の立入りを禁じた場所であることが明らかであつて、
従つて厚生大臣の許可を受けていない物品販売業者に対しては皇居外苑は軽犯罪法
第一条第三十二号前段にいわゆる「入ることを禁じた場所」に該当するものといわ
なくてはならない。
 尤も軽犯罪法第一条第三十二号前段の罪は入ることを禁じた場所に入つただけで
成立するのではなく、入ることを禁じた場所に正当な理由がなくて入つた場合に始
めて成立するのであるから、厚生大臣の許可を受けていない物品販売業者といえど
も、物品を販売する目的でなく、単に見物又は散歩等の目的で入つた場合は一般人
が入つた場合と同様前記法条違反の罪は成立しないのであるけれども、国民公園管
理規則第三条によると国民公園内で物品を販売しようとする者は厚生大臣の許可を
受けなければならないと規定されており、皇居外苑が<要旨>国民公園であることは
同規則第一条により明らかである。そして被告人は厚生大臣の許可を受けないでア
イスクリームを販売する目的で皇居外苑に立入つたもので即ち右規則違反の
行為をする目的で立入つたのであるから、軽犯罪法第一条第三十二号にいわゆる正
当な理由がなくて入つたものというべく同条違反の罪を構成すること勿論である。
 次に論旨は原判決は被告人の判示所為に対し軽犯罪法第一条第三十二号を適用し
ているが、同条同号は「入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなく
て入つた者」と規定しており、被告人の判示所為がその双方に該当する場合は、格
別、然らざる本件においてはその前段なるや後段なるやを明示しなければならな
い。然るに原判決が前示のように漫然第一条第三十二号を適用したのは法令の適用
を誤つた違法があると主張する。なるほど軽犯罪法第一条第三十二号は所論のよう
にその前段と後段の二個の犯罪を規定していること及び原判決が適用法令を記載す
るに当りその前段と後段とを区別せず漫然軽犯罪法第一条第三十二号と記載してい
ることは所論のとおりである。しかし原判決の認定した罪となるべき事実による
と、被告人は厚生大臣の許可を受けない物品販売業者の立入を禁止した皇居外苑内
に、その許可を受けないでアイスクリーム販売の目的で立入つたというのであつ
て、右第三十二号前段の罪を認定していることは明らかであるから同号前段を適用
した趣旨と解すべきである。要するに原判決には所論のような法令適用の誤も理由
不備の違法も存しないから論旨は理由がない。
 (その余の判決理由は省略する。)
 (裁判長判事 大塚今比古 判事 渡辺辰吉 判事 江碕太郎)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛