弁護士法人ITJ法律事務所

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         主    文
     原判決中被上告人Aに対し原判決添付別紙目録記載の土地につき神戸地
方法務局西宮出張所昭和三七年一〇月二九日受付第一八八六六号をもつてなされた
所有権移転登記の抹消を求める上告人の請求を棄却した部分を破棄する。
     右部分について本件を神戸地方裁判所に差戻す。
     原判決中その余の部分に対する上告人の上告を棄却する。
     前項の部分に関する上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告理由第一点について。
 訴訟の当事者の確定は、訴状及び添付書類の内容を客観的に観察してなすべきも
のであり、そこに記載された氏名住所が唯一の資料となるものではなく、訴状及び
添付書類の全趣旨から、その訴訟で何人から何人に対する判決が求められているか
によつて、当事者の確定をなすべきものであるとし、所論西宮簡易裁判所昭和三七
年(ハ)第六号土地所有権移転登記手続請求事件の訴状(成立に争のない乙第九号
証)及び添付書類である本件土地登記簿謄本(成立に争のない甲第一号証)によ
り、上告人を本件土地の前所有者とし、その不動産登記簿上に記載されている住所
をもつて、同事件の被告の住所としていることが明らかであるから、本件土地の前
所有者としての上告人を右事件の被告としているものであるとした原審の判断は正
当であつて、所論当事者の確定を誤つた違法はない。論旨は理由がない。
 同第二点について。
 本件記録によれば、前記西宮簡易裁判所昭和三七年(ハ)第六号土地所有権移転
登記手続請求事件における確定判決は、被上告人Bが昭和三七年五月二日上告人か
ら本件土地所有権を代物弁済により取得したとの事実を認定し、その主文におい
て、上告人は同被上告人に対し右土地につき昭和三七年五月二日代物弁済を原因と
する所有権移転登記手続をなすべきことを命じたものであり、上告人が本訴におい
て、同被上告人に対しその抹消を求める登記は、同被上告人が右確定判決に基づい
てなした所有権移転登記であることが明らかである。
 右確定判決は、本件土地につき上告人が同被上告人に対し右代物弁済による所有
権移転登記をなすべき義務につき既判力を有するものであるから、上告人が右確定
判決の口頭弁論終結後に生じた新たな事情を主張して、右登記の抹消を求めるは格
別、右確定判決の口頭弁論終結時において上告人に右所有権移転登記義務のなかつ
たことを主張して右登記の抹消を求めることはできないものというべきである。し
たがつて、上告人の同被上告人に対する右土地所有権移転登記の抹消を求める本訴
請求を前記確定判決の既判力に牴触するものとして排斥した原審の判断は相当であ
る。
 原判決は、被上告人Aは右確定判決の口頭弁論終結後における被上告人Bの特定
承継人とし<要旨>て、右確定判決の既判力の影響を受けると判断している。しかし
ながら、被上告人Aは、被上告人BBから本件土地を買受けたものであると
されているのであるから、中間省略登記の請求が原則的に禁止されている関係上、
直接上告人に対し本件土地所有権移転登記を請求し得る立場を取得するものではな
く、被上告人Aがたとえ前記確定判決の口頭弁論終結後に本件土地所有権を被上告
人Bから売買により取得したとしても、被上告人Bの上告人に対する前記代物弁済
による本件土地所有権移転登記請求権を承継するものではないから、前記確定判決
の原告である被上告人Bの口頭弁論終結後の特定承継人とはいえないので、右確定
判決の既判力は被上告人Aには及ばないものと解すべきである。したがつて、上告
人の同被上告人に対する被上告人Bから被上告人Aになされた売買による所有権移
転登記の抹消を求める請求を前記確定判決の既判力に牴触するとして、その実質審
理に入ることなく排斥した原判決は、既判力の法理の解釈を誤り、審理不尽の違法
を犯したものであつて、破棄は免れない。
 以上の次第で、原判決中、被上告人Aに対し本件土地につき神戸地方法務局西宮
出張所昭和三七年一〇月二九日受付第一八八六六号をもつてなされた所有権移転登
記の抹消を求める上告人の請求を棄却した部分を破棄して、これを原審に差戻す
が、その余の部分に対する上告を棄却することとし、民訴法四〇七条一項、三九六
条、三八四条一項、九五条、八九条に従い、主文のとおり判決する。
 (裁判長判事 金田宇佐夫 判事 輸湖公寛 判事 中川臣朗)

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