弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人伊能幹一、同小林直人の上告趣意第一点について。
 論旨前段は原判決が被告人に対する本件犯罪事実を認定する証拠として採用した
証人A、同Bの原審受命裁判官に対する各証言及び昭和二二年九月四日附鑑定人医
師Cの鑑定証言の証明力を争ひ右各証拠を採証した原審の措置を採証の法則に違背
し非科学的であると論難するものであるが記録を精査してみても原審が右証人Aの
証言とりわけその犯人の同一性確認に関する供述部分を採用したことが所論のとお
り採証法則に違背するものとは認め難い。尤も原判決は本件犯行の日時を単に昭和
二二年八月三一日晩と判示するのみで、その時刻を明示しなかつた憾みはあるが、
判示犯行当時の月の有無及びその月明の程度については必ずしも所論のように相当
官公署に照会してその報告の結果等によつてこれを認定しなければならないという
ものではなく原審がその証人Aの証言に基いて同女が犯行当時の月明りで予々顔見
識りの被告人を認識し得たものと認定したことが採証の法則に違背するものとはい
えないのである。そして所論のD、Eの司法警察官に対する各聴取書のごときは原
審が採証しなかつたところである。次にBの証言についていえば被告人は同夜一旦
帰宅後更に屋外に出でた事実は明らかであり、原判決が右証言等をその挙示引用の
他の各証拠と綜合して本件犯罪事実を認定したことにつき所論のような違法はない。
更らに又記録を調査すると所論のCが強制処分手続における鑑定人として原判決摘
録趣旨の供述をしていることは明らかである。しからば所論の右鑑定人に対する論
旨は原審の採用しなかつた同人の一審における証言に基いて立論するものであつて
採用に値しない。
 論旨後段については、証拠調の限度は素より原審の専権に属するところであつて
論旨はこの点を攻撃するものである許りでなく原審の採用しなかつた証拠にもとず
いて原審の事実認定を非難するに帰着し採用に値しない。
 同第二点について。
 然しながら、原判決引用の原審における証人Aの訊問調書中、同人の「Fさんは
私の上に馬乗りになつて無理に暴行しました」との供述(強姦のことを暴行とも称
することは顕著な事実である)と、証人Gの同上訊問調書中の同人の「昨年(昭和
二二年)八月三一日夜十二時になるかならない頃外から母ちやん早く起きてくれく
と叫ぶ声に私が目を覚ました時は家内が起きて表の戸を開けた様でした家内が出た
時は娘(A)はズボンを手に持つて居たそうですが私が起きて行つた時はそれをは
いて居りましたそして服は泥だらけで髪はばらばらになりお化け見たいになつて居
るので什うしたのだと聞いたところFさんにデントコン畑に引張り込まれて無理往
生されたと言つて云々」の供述並びにその引用の昭和二二年九月四日附A提出の「
コクソヂヨウ」と題する書面の「昭和二二年八月三一日Fサンニヤラレマシタ」と
の記載を綜合すれば判示の強姦既遂(即ち蔭茎没入の事実)の事実を認定するに十
分であるから論旨は理由がない。
 同第三点について。
 原判決説明のA提出の被告人に対する告訴状とあるのは、原判決が右告訴状の存
在を証拠に採用した趣旨ではなく、同女の強姦の被害事実について右告訴状の記載
内容全部を証拠として採用したものであることは、その判文記載の犯罪事実と相俟
つてこれを窺知することができるから、論旨は理由がない。
 同第四点について。
 然しながら、原判決は所論のE、Dに対する司法警察官及び検事の各聴取書を証
拠として採用していないのであるから原審が同人等に対する取調をしなかつたこと
が、憲法第三七条第二項及び刑訴応急措置法第一二条に違反するものでないことは
夙に当裁判所の判例とするところである(昭和二二年(れ)第二五三号同二三年七
月一四日大法廷判決参照)。所論は独自の見解に立つて原審のこの点に関する措置
を違憲違法なりとするものであつて論旨は理由がない。
 よつて、刑訴施行法第二条旧刑訴法第四四六条に従い主文のとおり判決する。
 この判決は全裁判官の一致した意見である。
 検察官 茂見義勝関与
  昭和二四年一二月二四日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    粟   山       茂
            裁判官    谷   勝   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎

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