弁護士法人ITJ法律事務所

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         主    文
     本件上告を棄却する。
     当審における未決勾留日数中二五〇日を本刑に算入する。
     当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
         理    由
 被告人の上告趣意第一点1、22、同第一二点8、9、同第一四点1ないし6、
同第一八点1、同第二〇点1ないし4、同第二五点19について。
 所論のうち違憲の主張については、裁判所は、被告人又は弁護人から申請した証
人は不必要と思われる者まで悉くこれを取り調べなければならないというのではな
いことは、論旨引用の大法廷判決の判示するところであり、論旨は、結局証人申請
の採否に関する裁判所の自由裁量権の行使を非難するにすぎず、且つ、記録に徴す
るも、所論の措置が実験則に反し合理性を欠くものであるとは認められないから、
論旨は理由なく、判例違反の主張については、右措置を肯認した原判決の判断はな
んら引用の各判例の趣旨に反するものではない。その余は事実誤認、単なる法令違
反の主張であつて、適法な上告理由に当らない。
 同第一点2、24、同第八点2、3、7、同第三〇点ないし8について。
 所論は、原審の公判手続は必要的弁護事件につき弁護人の選任がないまま開廷し
た違法があり、ひいては憲法三四条、三七条三項違反があるというが、記録を調べ
ると、原審は弁護人および被告人の在廷する昭和三九年二月二八日の公判期日(第
八回)において弁論を終結したうえ、判決宣告期日を同年三月一三日と指定告知し
たこと、同月一二日被告人から同日付私選弁護人解任報告書と題する書面が提出さ
れたこと、原審は右指定にかかる同月一三日の判決宣告期日(第九回)において、
被告人の同日午前九時配達日時指定の電報による公判期日変更の請求を却下したう
え、判決宣告をなしたものであることが明らかであつて、右第九回公判期日におい
ては何ら事件につき実体的審理が行われたものではないから、弁護人の選任がない
まま開廷したからといつて弁護権の行使を不法に制限したということはできない(
昭和二九年(あ)第三一六五号同三〇年三月一七日第一小法廷決定、集九巻三号五
〇〇頁参照)。したがつて、原審の公判手続に所論の違法は存せず、違憲の主張は
その前提を欠くものであり、次に判例違反の主張については、引用の各判例は、い
ずれも事案を異にする本件に適切でなく、その余の主張は、単なる法令違反の主張
であつて、すべて適法な上告理由に当らない。
 同第一点3、5、同第二点1、同第七点1ないし6、同第一五点1ないし3、7、
同第一七点1ないし3、同第二四点1ないし4、同第二五点11、12について。
 所論のうち、被告人に対する接見禁止の措置およびこれに関連して縷々違憲を主
張する点については、記録により調査するに、先づ、弁護人が具体的な弁護権の発
動として、検察官に対し被告人と接見の日時、場所、時間の指定を求める行為に出
でた形跡が窺われないので、所論弁護権が不当に制限されたというに由なきのみな
らず、刑訴法三九条三項の処分に対する救済は別に同四三〇条、四三一条の規定に
従い準抗告の方法によるべきものであつて、かかる制限措置自体に対する違憲の主
張が同四〇五条の上告理由とならないことは、当裁判所の判例の趣旨に徴して明ら
かである(昭和二三年(れ)第六五号同年七月一四日大法廷判決、集二巻八号八七
二頁、同三一年(あ)第七二七号同年八月三日第二小法廷決定参照)。次に供述の
任意性の有無は、その供述をした当時の諸般の情況に照らしてこれを判断すべきで
あつて、右制限措置がなされたことから直ちに所論被告人の自白の任意性に疑があ
るとは断定しえないものであつて(昭和二五年(あ)第一六五七号同二八年七月一
〇日第二小法廷判決、集七巻七号一四七四頁参照)、記録に徴すれば、右供述の任
意性を認めた原判決の判断は相当である。また本件事案の内容、取調の経過その他
諸般の事情に照し、所論の拘禁は不当に長い拘禁とはいえない。したがつて、違憲
の主張は、すべて前提を欠き不適法である。所論のうち、判例違反の主張について
は、引用の各判例はいずれも事案を異にする本件に適切でなく、その余の主張は事
実誤認、単なる法令違反の主張であつて、すべて適法な上告理由に当らない。
 同第一点4、5、同第一五点4ないし8、同第二〇点6について。
 所論のうち違憲を主張する点は、原判決が、所論自白を証拠として採用した第一
審判決に採証法則上違法が存しないと判断したのは相当であるから、その前提を欠
き、判例違反の主張については、引用の判例は事案を異にする本件に適切でなく、
その余の主張は、単なる法令違反の主張であつて、いずれも適法な上告理由に当ら
ない。
 同第一点6、16、28、同第九点の一ないし7、同第一〇点の1ないし6、同
第二一点1、2、同第二五点1、2、6ないし9、同第二七点1ないし12、同第
三一点3、5、6、同第三二点1ないし4(前者)、6、8、同第三五点2、3、
同第三六点8、9について。
 所論のうち、判例違反の主張については、引用の大審院判決のうち昭和二年六月
二〇日宣告のものは、事案を異にする本件に適切でなく、大正二年一一月一八日宣
告のものは、原審の認定に副わない事実を前提として判例違反を主張するもので、
その前提を欠き、その余の主張は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、い
ずれも適法な上告理由に当らない。
 同第一点8、23、同第二点2、同第八点1、4ないし6、同第二一点3、同第
二三点1ないし8、同第三三点1ないし3、同第三四点1ないし4について。
 所論のうち違憲の主張については、憲法一九条違反の点は、その実質は単なる訴
訟法違反の主張であり、憲法三七条三項、三四条違反の点は、原審が第一審第四回
公判期日には石川弁護人が解任されないまま被告人の弁護権を行使したものである
と判断したことは相当であるから、その前提を欠き、判例違反の主張については、
引用の判例は事案を異にする本件に適切でなく、その余の主張は、単なる法令違反
の主張であつて、いずれも適法な上告理由に当らない。
 同第一点9、10、同第二点5、同第二〇点4、同第二六点1ないし5、同第三
五点冒頭、1ないし5、同第三六点10ないし12について。
 所論は、違憲をいう点もあるが、実質は事実誤認、単なる法令違反の主張であり
(この点に関する原審の判断は相当であり、所論の事実誤認、法令違反は存しない)、
判例違反の主張は、引用の各判例はいずれも事案を異にする本件に適切でなく、そ
の余の主張は、事実誤認、単なる訴訟法違反の主張であつて、すべて適法な上告理
由に当らない。
 同第一点11、同第二点4、同二五点4ないし6について。
 所論は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由に当らない。
 同第一点12について。
 所論は、原判示に副わない事項を前提として事実誤認、単なる法令違反を主張す
るものであつて、適法な上告理由に当らない。
 同第一点12、21、同第二点3、同第四点3ないし9、同第三一点1、2、4、
同第三二点7について。
 所論は、事実誤認、法令違反を前提として違憲をいうものであるが、記録に徴し
ても、原判決に所論の事実誤認、法令違反があるものとは認められないから、所論
違憲の主張は前提を欠き、その余は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、
いずれも適法な上告理由に当らない。
 同第二点3、同第三二点4(後者)、5について。
 所論は、単なる法令違反、事実誤認の主張であるのみならず、自己に不利益の主
張をなすものというべきであつて、適法な上告理由に当らない。
 同第一点13、25、27、同第二点3、同第四点1、2、4ないし9について。
 所論のうち、違憲をいう点もあるが、実質は事実誤認、単なる法令違反の主張で
あり(公訴事実中、盛岡地方裁判所一関支部における偽証、同教唆は、その日時・
場所・証人・証言の内容の記載等から見て、所論青森地方裁判所昭和三六年(ロ)
第二四七号事件の右一関支部における共助事件法廷の証言にかかる偽証、同教唆で
あることが明らかであり、これにつき審判したことに違法はないとした原判決の判
断は相当である)、判例違反の主張は、引用の判例は事案を異にする本件に適切で
なく、その余の主張は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、いずれも適法
な上告理由に当らない。
 同第一点14、同第一二点11、同第二〇点5(後者)について。
 所論のうち、判例違反の主張は、引用の判例は事案を異にする本件に適切でなく、
その余の主張は、単なる訴訟法違反の主張であつて、いずれも適法な上告理由に当
らない。
 同第一点15、同第一二点6、7、同第一三点2ないし6、8、同第二〇点6、
7、第二五点15について。
 所論のうち、判例違反の主張は、記録に徴するに、第一審の手続に所論証拠調の
方式違背が存しないとした原判決の判断は相当であるから、その前提を欠き、その
余の主張は、単なる訴訟法違反の主張であつて、適法な上告理由に当らない。
 同第一点17、同第二二点2、同第三五点3について。
 所論は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由に当らない。
 同第一点18、同第三点1、3ないし6、同第二九点一、二、同第三五点4、5、
同第三六点冒頭、1ないし7について。
 所論は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由に当らない。
 同第一点19、20、同第一二点1ないし5、同第一八点1ないし5、同第二〇
点5(前者)、7、同第二五点3、13、14について。
 所論のうち判例違反の主張は、引用の判例のうち大阪高等裁判所判決については
原判決の判断は何ら右判決の趣旨に反するものでなく、その余の各判例はいずれも
事案を異にする本件に適切でなく、その余の主張は、単なる法令違反の主張であつ
て、すべて適法な上告理由に当らない。
 同第一点23について。
 所論のうち判例違反の主張については、引用の判例は事案を異にする本件に適切
でなく、その余の主張は、事実誤認、単なる訴訟法違反の主張であつて、いずれも
適法な上告理由に当らない。
 同第一点26、同第四点6、同第六点1ないし4、同第二八点1ないし3につい
て。
 所論は、事実誤認、単なる法令違反を主張するほか、判例違反を主張するが、引
用の各判例はいずれも事案を異にする本件に適切でなく、所論は、すべて適法な上
告理由に当らない。
 同第三点2について。
 所論は、事実誤認の主張であつて、適法な上告理由に当らない。
 同第五点1ないし5、同第二一点1、同第三二点5について。
 所論は、単なる法令違反の主張であつて(所論起訴状の公訴事実中、訴因の記載
に明示を欠くところはないとした原判決の判断は相当である)、適法な上告理由に
当らない。
 同第一一点1ないし5、同第二五点10について。
 所論は、違憲をいうけれども、実質は単なる訴訟法違反の主張であり(その理由
がないことは原判決の説示のとおりである)、判例違反の主張については引用の判
例は事案を異にする本件に適切でなく、すべて適法な上告理由に当らない。
 同第一二点10、同第一三点冒頭、1、7、同第二五点16ないし18について。
 所論のうち、違憲をいう点もあるが、実質は単なる法令違反の主張であり、判例
違反の主張は、引用の各判例は、いずれも事案を異にする本件に適切でなく、その
余の主張は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて(なお、法令違反の主張に
ついては、所論検察官論告要旨は証拠として提出されたものではなく、また所論調
書は、弁護人《その弁護権を有したことについては前出上告趣意第一点8、23、
同第二点2、同第八点1、4ないし6、同第二一点3、同第二三点1ないし8、同
第三三点1ないし3、同第三四点1ないし4に対する判断として示したところであ
る》の同意の下に適法な証拠調を経たものであつて、所論はいずれも前提を欠く)、
すべて適法な上告理由に当らない。
 同第一六点1ないし3、同第二五点20、21について。
 所論は、違憲をいうけれども、実質は単なる訴訟法違反の主張であり、その余も
単なる訴訟法違反の主張であつて、適法な上告理由に当らない。
 同第一九点1ないし6について。所論は、量刑不当の主張であつて、適法な上告
理由に当らない。
 同第二二点1について。
 所論は、単なる訴訟法違反の主張であつて、適法な上告理由に当らない。
 なお、被告人の上告趣意中、以上の各論旨に附加して論及してある部分は、違憲
をいう点をも含めてすべて事実誤認、または単なる法令違反の主張であつて、適法
な上告理由に当らない。
 弁護人瀬尾信雄の上告趣意第一点について。
 所論は、違憲をいう点もあるが、実質は事実誤認、単なる法令違反の主張であつ
て(この点について事実誤認、法令違反の存しないことは、被告人の上告趣意第一
点13、25、27、同第二点3、同第四点1、2、4ないし9に対する判断とし
て示したとおりである)、適法な上告理由に当らない。
 同第二点について。
 所論各主張の採るを得ないことは、被告人の上告趣意第一点2、24、同第八点
2、3、7、同第三〇点1ないし8に対する判断として示したところにより明らか
である。
 同第三点について。
 所論は、第一審および原審の証拠の採否に関する措置を非難した法令違反ひいて
は違憲を主張するが、その理由のないことは、被告人の上告趣意第一点1、22、
同第一二点8、9、同第一四点1ないし6、同第一八点1、同第二〇点1ないし4、
同第二五点19に対する判断として示したところにより明らかである。
 また記録を調べても刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて同四〇八条、一八一条一項本文、刑法二一条により裁判官全員一致の意見
で主文のとおり判決する。
  昭和四〇年六月四日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外

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