弁護士法人ITJ法律事務所

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       主   文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
       事   実
一 控訴人代理人は、「原判決を取消す。東京地方裁判所昭和五一年(ヨ)第二四
一三号地位保全仮処分申請事件について、同裁判所が昭和五二年四月八日にした仮
処分決定を認可する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判
決を求め、被控訴人代理人は、主文同旨の判決を求めた。
二 当事者双方の主張及び証拠関係は、原判決七枚目裏末行「得えない」を「得な
い」と訂正し、当審における証拠の提出、認否につき次のとおり付加するほか、原
判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。
(証拠省略)
       理   由
一 当裁判所も、控訴人の本件仮処分申請は失当であると判断するものであつて、
その理由は、次のとおり訂正、削除、付加するほか、原判決理由のとおりであるか
ら、これを引用する。
1 原判決一五枚目表九行目「第五九号証」を「第五八号証」と、次行「第六〇号
証の一ないし四」を「第八一号証の一ないし四、原本の存在及び成立に争いのない
疎甲第六五号証の一ないし七」とそれぞれ改める。
2 同一九枚目表七行目「逮捕され」の次に「、引き続き同月一六日勾留され」と
加入する。
3 同二二枚目表六行目から同裏末行までの全文を次のとおり改める。
「(一五) ところで、控訴人の逮捕勾留の理由とされた被疑事実は、控訴人が、
Aと共謀のうえ、前記容疑者Bを居住させるために、Aにおいてアパートを賃借
し、控訴人においてその保証人となつて、Bを蔵匿したというものであつたが、結
局、昭和五一年一一月四日、Aが単独犯として起訴され、同人は、Bを「C」、自
己をその妻「D」とそれぞれ偽つてアパートの賃貸借契約を締結してBをかくまつ
たものであると認定され、爆発物取締罰則違反の罪により、懲役二年、執行猶予三
年の有罪判決を受けた。右「C」は控訴人の実兄の氏名、「D」はその妻の氏名で
あり、また、Aは、右賃貸借契約にあたり、仲介の不動産業者に対し、保証人とし
て控訴人の当時の住所、氏名を告げ、かつ、「C」の印を提示して、契約書の保証
人欄にその記載をさせたのであるが、AとC又は控訴人との関係の有無は、Aに対
する被告事件の公判中においても明らかにされた形跡がない。
(一六) 控訴人は、昭和五一年一一月四日、釈放後ただちに被控訴人に会つて、
懲戒解雇の撤回、就労を申し入れ、その際、被控訴人から、エルゲー派とは本当に
関係がないのかと問われたが、それに対しては「逮捕が不当であつて、釈放された
以上、答える必要はない。」と述べた。そして、控訴人は、同年一二月四日、懲戒
解雇の無効を主張して、本件仮処分申請をし、その審理中、昭和五二年三月一日の
審尋期日において、被控訴人から予備的に普通解雇の意思表示がなされたのである
が、その間、控訴人は、被控訴人に対し、前記嫌疑を受けるに至つたことにつき、
たとえばその理由として思い当る事情を釈明する等、努めて被控訴人の理解を求め
ようとする態度には出なかつた。なお、右普通解雇の意思表示の当時、前記(一
四)の不起訴処分のあつたこと及びその理由は、被控訴人に知れていなかつた(控
訴人の当審昭和五六年三月五日付準備書面四枚目裏六行目以下参照)。」
4 同二七枚目表二行目「申請人」から同裏一〇行目までを次のとおり改める。
 「特許申請が一般に秘密を要するものであることに加えて、控訴人は、東芝の時
代の最先端を行く技術開発に関与し、高度の企業秘密に触れる立場にあつたのであ
るから、控訴人と東芝との間には特別の信頼関係が維持されることが必要であつた
と考えられる。しかるに、本件解雇当時、控訴人は、起訴を免れていたとはいえ、
その嫌疑を晴らすに足る釈明はなく、少なくとも、控訴人と共産同エルゲー派との
間に何らかの関係が存するという疑いを払拭しきれない状況にあつたものというこ
とができ(嫌疑不十分による不起訴処分があつたことも、この疑惑を完全に解消さ
せるものとは認められない。)、東芝において、控訴人とエルゲー派との関係を疑
い、控訴人が被控訴人に雇用されている限り、これに従来どおり出願事務等の依頼
をすることに危惧の念を抱くのもやむをえないことであり、したがつて、被控訴人
において、その主宰する特許事務所と最大の顧客の間柄にある東芝との関係を維持
するため、東芝の意向に沿いその危惧を除去する手段として、控訴人を解雇せざる
をえないと判断したことも、首肯しうることである。すなわち、右のような顧客と
の信頼関係の維持に特別の配慮を要する被控訴人の業務の特殊性と、控訴人が従前
東芝の企業秘密の中枢に関与していた事情とに鑑み、かかる解雇は、業務上の必要
に基づくものと認めることができる。」
5 同二九枚目裏八行目「少なくとも」から次行「行動している」までを削除す
る。
二 したがつて、原判決は相当であつて、本件控訴は、理由がないから、これを棄
却し、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法第九五条、第八九条を適用して、主文の
とおり判決する。
(裁判官 井口牧郎 野田宏 藤浦照生)

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