弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 一 上告代理人鍜冶良道の上告理由第一、一、(1)について
 本件訴えは、上告人が、宗教法人である被上告人の宗議会においてされた第一審
判決別紙決議目録記載の各議案に関する決議(以下、決議全体を「本件決議」とい
う。)が宗議会の招集権者である管長の地位にない者によつて招集され、かつ、宗
議会開催禁止の仮処分に違反して開催された宗議会においてされたものであること
等を理由に、その不存在確認を求めるものであるところ、法人の意思決定機関であ
る会議体の決議は、法人の対内的及び対外的関係における諸般の法律関係の基礎を
なすものであるから、その決議の存否及び効力に関する疑義が前提となつて、右決
議から派生した各種の法律関係につき現在紛争が存在する場合に、決議自体の存否
及び効力を既判力をもつて確認することが紛争の直接かつ抜本的な解決のために適
切かつ必要と認められるときは、実定法上、法人の意思決定機関の決議につき商法
二五二条を準用する旨の明文の規定が設けられていない法人についても、決議の不
存在ないし無効の確認を求める訴えを提起することは、必ずしも許されないことで
はない(最高裁昭和四四年(オ)第七一九号同四七年一一月九日第一小法廷判決・
民集二六巻九号一五一三頁参照)。本件についてこれをみるに、記録によれば、(
1) 被上告人は、D寺を中心として、寺院(約九五〇〇)、教会その他の所属団
体、僧侶及び檀徒、信徒を統合する宗門であつて、寺院には住職、教会には教会主
管者を置いており、僧侶は寺院又は教会に所属し、僧侶であつて教師資格を有する
ものが教師に補任される、(2) 被上告人には総会に類するものはなく、宗教法人
B派規則(以下「規則」という。)の改正(昭和五六年八月認証)により組織が変
更される前の本件決議当時、議決機関として宗議会及び門徒評議員会が置かれてい
たところ、宗議会は、教師の選挙によつて選出された六五名以内の宗議会議員で組
織され、B派E(以下「E」という。)、条例及び規則の制定及び改廃、予算その
他の事項を議決し、決算を審査し、かつ、宗務総長を推挙する権限等を有するもの
とされ、門徒評議員会は、管長が任命した三〇〇名以内の門徒評議員で組織され、
宗議会に先立つて、E及び規則中の財務及び門徒に関する規定の変更並びに条例及
び予算を議決し、決算を審査する権限を有するものとされていた、(3) 上告人は、
教師たる地位を有する僧侶で、被上告人に包括される寺院である宗教法人F寺の住
職、代表役員であつて、被上告人の経費を負担する義務を負い、宗議会議員の選挙
及び被選挙資格を有する者であるところ、昭和五二年一二月宗議会議員に選挙され
てその地位にあつたが、昭和五六年五月二七日から開催された宗議会において宗議
会議員を除名された、(4) その後同年一二月には宗議会議員全員について四年の
任期が満了したため宗議会議員選挙が行われ、新たに宗議会議員が選出されたが、
上告人は選出されなかつた、との事実が認められる。右の事実関係によれば、被上
告人の最高の意思決定は代議制の機関によつて行われるものとされているところ、
上告人は、被上告人の人的構成要素ではあるがその意思決定に直接参加しうる立場
にはなく、また、宗議会決議の内容いかんにかかわらず常に当該決議について法律
上の利害関係を有する立場にあるともいえず、更に、上告人が本件決議当時宗議会
議員であつたために右決議によつて具体的にいかなる影響を被るかという点につい
ての主張立証もないので、このような場合には、単に上告人が前記の資格を有する
被上告人の人的構成要素であるということだけで、本件の個々の決議が上告人の具
体的な権利又は法律関係に及ぼす影響及び当該決議の不存在を確認することが法律
上の紛争の解決のために果たす役割について具体的に判断することなしに、本件決
議の不存在確認の利益があるものとすることはできないものというべきである。し
たがつて、上告人が被上告人の人的構成要素であるからといつて直ちに右確認の利
益を認めなかつた原審の判断は、正当というべきであり、原判決に所論の違法はな
い。論旨は、採用することができない。
 二 同第一、五について
 記録によれば、宗費賦課金(以下「賦課金」という。)は、本山を除く寺院、教
会及び僧侶に対し、その等級及び僧侶の資格によつて各別に課され、賦課金の滞納
があるときは諸願事の取扱を停止され、故なく賦課金の納付を怠つた者は軽懲戒又
は謹慎に処されることがあること、賦課金の金額及びその変更は、宗議会及び門徒
評議員会の議決を経て宗務総長が定めるものであること、第一審判決別紙決議目録
記載の(26)の議案に関する決議(以下「本件賦課金決議」という。)は、賦課金
の増額を図るものであることが認められる。右の事実関係によれば、本件賦課金決
議が直接上告人の利害にかかわることは否定できないが、賦課金の納付を怠つた場
合に科される前記の不利益は、主として宗教上のものであると解されるだけでなく、
増額された賦課金の納付義務の存否について争いがある場合にこれを抜本的に解決
するためには、端的に右義務の不存在確認を求めれば足りるのであつて、本件賦課
金決議の不存在確認を求める必要はないというべきである。そして、他に確認の利
益を裏づけるに足りる事情が存することについての主張立証はない。
 そうすると、本件賦課金決議の不存在確認を求める訴えは確認の利益を欠き不適
法なものというべく、これと同旨に帰する原審の判断は、正当として是認すること
ができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、独自の見解に基づき、
又は判決に影響を及ぼさない事項について原判決を論難するものにすぎず、採用す
ることができない。
 三 その余の上告理由について
 記録に照らして首肯するに足りる原審認定の事実関係のもとにおいては、所論指
摘の決議の不存在確認の訴えは確認の利益を欠き不適法であるとした原審の判断は、
正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。所論引用の判例は、
事案を異にし、本件に適切でない。論旨は、独自の見解に基づき、又は判決に影響
を及ぼさない事項について原判決を論難するものにすぎず、採用することができな
い。
 四 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    高   島   益   郎
            裁判官    角   田   禮 次 郎
            裁判官    大   内   恒   夫
            裁判官    佐   藤   哲   郎

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