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平成13年(行ケ)第294号 特許取消決定取消請求事件
平成14年11月28日口頭弁論終結
判決
   原      告   セイコーエプソン株式会社
訴訟代理人弁理士   西 川 慶 治
同          木 村 勝 彦
同          上 柳 雅 誉
被      告   特許庁長官 太 田 信一郎
指定代理人      小 林 紀 史
同          石 川 昇 治
同          水 垣 親 房
同          山 口 由 木
同          大 橋 良 三
同          高 木   進
同          涌 井 幸 一
主文
 原告の請求を棄却する。
 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
1 原告
  特許庁が異議2000-73809号事件につき平成13年5月16日にし
た決定を取り消す。
  訴訟費用は被告の負担とする。
2 被告
  主文と同旨
第2 当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯
(1)原告は,平成3年5月14日に,「現像装置」に係る発明について特許出
願をした(特願平3-109116号。以下「本件出願」という。甲第2号証は,
同出願に当たり,願書に添付した明細書及び図面(以下,両者を併せて「当初明細
書」という。)の内容を示すものである。)。
  原告は,特許庁から,平成10年4月9日付けで,当初明細書の記載が不
備であるとする拒絶理由通知を受け(甲第3号証),これに対し,平成10年5月
27日付けの意見書(甲第4号証)とともに提出した手続補正書(以下「本件手続
補正書」という。甲第5号証参照)により,当初明細書の補正を行い(以下「本件
補正」という。),平成12年2月10日に特許第3030912号(以下「本件
特許」という)として設定登録を受けた。
(2)平成12年10月10日,本件特許に対し,請求項1,2につき,キヤノ
ン株式会社から特許異議の申立て(甲第6号証)がなされた。特許庁は,この特許
異議申立てに基づいて,平成12年12月15日に,取消理由通知書を原告に送付
した。
(3)原告は,平成13年2月13日,この取消理由通知に対し,特許異議意見
書と訂正請求書を提出した。特許庁は,平成13年5月16日付けで,前記訂正請
求に係る訂正を認めた上で,「請求項1,2に係る特許を取り消す」との異議決定
(以下「本件決定」という。)をし,その決定の謄本(甲第1号証)を平成13年
6月4日に原告に送達した。
2 特許請求の範囲
(1)当初明細書に記載された特許請求の範囲(以下,これによって特定される
発明を「当初発明」という。)
 【請求項1】少なくともシャフトの外周に弾性部材を形成してなる弾性変
形可能な現像ローラーで現像剤を搬送し,前記現像ローラーを潜像担持体に前記現
像剤を介して接触させつつ,前記潜像担持体上の静電潜像を現像する現像装置にお
いて,前記弾性部材の縦弾性係数をEf(kg/mm2),前記弾性部材の長手方
向の長さをL(mm),前記弾性部材の半径をR(mm),前記現像ローラーを当
接させる線荷重をp(kg/mm)として,前記シャフトの半径r(mm)が次式
を満たすことを特徴とする現像装置。
【数1】(判決注・以下「当初の不等式」という。)
     
(2)平成10年5月27日付けの本件手続補正書により補正された特許請求の
範囲に記載された請求項
① 請求項1(以下,これによって特定される発明を「補正発明1」とい
う。)
  「シャフトの外周に弾性部材よりなる弾性変形可能な現像ローラーを固
定し,該現像ローラーを潜像担持体に接触させながらその表面に担持した現像剤に
より前記潜像担持体上に形成された静電潜像を現像する現像装置において,
  前記シャフトの縦弾性係数をEs(kg/mm2
),前記弾性部材の縦弾
性係数をEf(kg/mm2
),該弾性部材の(kg/mm)長手方向の長さをL
(mm),該弾性部材の半径をR(mm),前記現像ローラーを前記潜像担持体に
圧接させる線荷重をp(kg/mm)としたとき,前記シャフトの半径r(mm)
を,
【数1】(判決注・以下「補正後の不等式」という。)
    
 
  となしたことを特徴とする現像装置。
② 請求項2(以下,これによって特定される発明を「補正発明2」とい
う。)
  「前記シャフトをステンレス鋼により形成したときの半径を
【数2】
    
 
 となしたことを特徴とする請求項1記載の現像装置」
(3)平成13年2月13日付けで提出された訂正請求書により訂正した後の特
許請求の範囲に記載された請求項1
 「シャフトの外周に少なくとも弾性部材よりなる弾性層を同心円状に配設し
た弾性変形可能な現像ローラーを潜像担持体に接触させながらその表面に担持した
現像剤により前記潜像担持体上に形成された静電潜像を現像する現像装置におい
て,
  前記シャフトの縦弾性係数をEs(kg/mm2
),前記弾性部材の縦弾性
係数をEf(kg/mm2
),該弾性部材の長手方向の長さをL(mm),該弾性部
材の半径をR(mm),前記現像ローラーを前記潜像担持体に圧接させる線荷重を
p(kg/mm)としたとき,前記シャフトの半径r(mm)を,
【数1】
    
となしたことを特徴とする現像装置」
3 本件決定の骨子
  本件手続補正書によってされた補正は,当初明細書の要旨を変更するもので
ある。したがって,本件出願は,特許法等の一部を改正する法律(平成5年法律第
26号)附則2条2項,同法による改正前の特許法(以下「旧特許法」という。)
40条の規定により,当該手続補正書を提出したとき,すなわち平成10年5月2
7日にしたものとみなされる。
  補正発明1及び同2は,いずれも,特開平4-336564号公報(本件特
許出願の公開公報)に記載された発明であるから,本件出願の前に国内で頒布され
た刊行物に記載された発明ということになり,特許法29条1項3号に該当する。
本件特許は,同法29条1項の規定に違反して登録されたものとして,同法113
条2号により,取り消されるべきである。
第3 原告の主張の要点
  本件決定は,当初発明の認定を誤り,その結果,要旨変更についての判断を
誤ったものであるから,取り消されるべきである。
1 当初発明の内容について
  本件決定は,シャフトの材料としてステンレス鋼を用いることが,当初発明
にとって不可欠の事項であると認定している。しかし,この認定は誤りである。
(1)当初発明は,シャフトの最大撓みW1と,現像ローラーの変位W2とが,
      W1  < 2 × W2
 の関係にあるとき,現像ローラーと潜像担持体の長手方向における当接圧力
の差が僅少に保たれ,良好な圧接状態が保たれることを見いだした(当初明細書
(甲第2号証参照)の段落【0016】)として,弾性部材の縦断性係数をEf,弾
性部材の長手方向の長さL,弾性部材の半径R及び現像ローラーを当接させる線荷
重pと,シャフトの半径rとの関係を定めたものである。
  シャフトの縦弾性係数を,ステンレス鋼の縦弾性係数とすることは,当初
発明にとって,不可欠の事項ではない。
(2)当初明細書が,シャフトの縦弾性係数として,ステンレス鋼の縦弾性係数
を用いたのは,当初明細書の段落【0009】に「シャフトの縦弾性係数Esとし
てシャフトに用いられる材料の一般的であるステンレス鋼の値2.1×104
を用い
ると」と記載されていることからも分かるように,シャフトの縦弾性係数の一つの
例としてのことにすぎない。
(3)当初明細書で,具体的な実施例として記載した二つ(実施例1,実施例
2)のいずれにおいても,ステンレス鋼についての実験データを掲げたのは,上記
例を基に説明を続けている関係上のことにすぎない。
  本件出願前に公知であった,圧接現像装置を製品化しようとした場合,そ
の製品化の過程で,縦弾性係数の知られた各種のシャフト材について実験をするの
が普通であるから,当初明細書の記載を,ステンレス鋼の縦弾性係数に等しいシャ
フト材について実験を行っているだけである,ということを示すと解するのは,合
理的でないというべきである。
(4)現像ローラーと潜像担持体の圧接状態を良好に保つべく,現像ローラーの
長手方向の端部と中央部の当接圧力の差を僅少に保つようにするには,現像ローラ
ーの撓みに関する式,つまり,両端支持梁についての一般式を基に考えていけばよ
い。
  この一般式は,シャフト材の縦弾性係数Es,シャフトの撓みに関係する
弾性部材の縦弾性係数Ef,弾性部材の長さL,弾性部材の半径R,現像ローラーに
作用させる線荷重pをパラメータとした状態で考えるものである。この一般式は,
ステンレス鋼の縦断性係数「2.1×104
」についてのみ当てはまる,というわけ
のものではない。
  敷衍すると,当初の不等式
    
 は,ステンレス鋼の縦断性係数「2.1×104
」を用いて,上記一般式を変
形したものであり,文字どおりには,シャフトの半径rを右辺の式の4乗根よりも
大きくする,という意味である。この意味を考慮すると,実際に,現像装置に使用
する通常のシャフト材の縦断性係数ならば,いかなる値であろうとも(といって
も,実際には,ステンレス鋼とほとんど変わらないものもある。甲第7号証,第9
号証参照),これを用いて,ステンレス鋼の縦断性係数「2.1×104
」を縦弾性
係数を表す変数Esに置き換えた補正後の不等式によって算出したシャフトの半径
rを採用すれば,現像ローラーと潜像担持体の圧接部において,長手方向の端部と
中央部の間に生じる当接圧力の差を僅少に保つ,という本件発明の作用効果を達成
できる。シャフト材の縦弾性係数を,特にステンレス鋼の縦弾性係数「2.1×1
04
」と特定しても,何の意味もない。
(5)当初明細書の発明の詳細な説明の【発明が解決しようとする課題】や,
【発明の効果】の項のいずれにも,濃度ムラを少なくするためにステンレス鋼の縦
断性係数を「2.1×104
」としたことについての記載はない。この点の数値は,
単なる補足的な数値にすぎないから,当初発明に不可欠の要素ではない(1989
年5月30日発行「特許法概説」吉藤幸朔著第8版増補105,106頁・甲第1
0号証参照)。
(6)当初明細書の【発明が解決しようとする課題】(段落【0005】)及び
【発明の効果】(段落【0029】)には,前述したように,シャフトの材料とし
てステンレス鋼を用いた点の目的及び効果の記載はない。
  以上述べたとおり,当初明細書の発明の詳細な説明において,シャフトの材
料としてステンレス鋼を用いることが記載されているのは,当初発明の一つの実施
例としてのことにすぎない。このことは,当初発明にとっての不可欠の事項ではな
い。
2 要旨変更に該当しないことについて
(1)前記のとおり,シャフトの材料としてステンレス鋼を用いることは,当初
発明にとって不可欠の事項ではない。
  当初明細書の特許請求の範囲に記載されたステンレス鋼の縦弾性係数
「2.1×104
」は,補足的な数値にすぎないから,当初明細書の特許請求の範囲
に記載された,シャフト材がステンレス鋼である場合のみについての不等式は,単
なる「筆の滑り」である。
  この当初の不等式を,すべて変数で表わした不等式,つまりシャフト材の
縦弾性係数を,変数「Es」として表わした不等式(すなわち,補正後の不等式)
である
    
 
 に換えることは,具体的な縦弾性係数の値「2.1×104
」を,単に変数
「Es」に替えたものにすぎない。当初の不等式は,梁の一般式の,単なる一形態
と理解されるべきである。
(2)当初明細書に,シャフトの縦弾性係数を,変数「Es」とした補正後の不
等式が記載されていなくても,ステンレス鋼の具体的な縦弾性係数の値「2.1×
104
」を用いた当初の不等式から,補正後の不等式を導き出す過程は,本件出願の
時点において,当業者にとって,当初明細書に記載されている技術内容からみて,
記載してあったと認めることができる程度に自明の事項である,ということができ
る。したがって,当初の不等式を補正後の不等式に替えても,明細書に記載してあ
る事項の範囲内である,というべきである(前掲特許法概説224頁・甲第10号
証参照)。
(3)以上のとおりであるから,当初の不等式を補正後の不等式に替える補正
は,旧特許法36条5項1号の,「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明
に記載したものであること」及び同項2号の「特許を受けようとする発明の構成に
欠くことができない事項のみを記載した項(以下「請求項」という。)に区分して
あること」の規定に適合するばかりでなく,同法41条の「出願公告をすべき旨の
決定の謄本の送達前に,願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範
囲内において特許請求の範囲を増加し減少し又は変更する補正は,明細書の要旨を
変更しないものとみなす。」という規定にも適合する。
  また,同法の下で確定している審査基準「明細書](甲第8号証)に記載
された「特許請求の範囲には「発明の詳細な説明に記載されている技術的手段(発
明の構成)のうち,発明の目的,作用,効果からみて以下に説明するような理由で
必然的に決まる技術的事項」だけを記載する。」(16頁2行目~4行目)という
規定にも適合したものである。
3 結論
  以上のとおりであるから,当初の不等式を補正後の不等式に変更することを
内容とする補正は明細書の要旨を変更するものである,とした本件決定の判断に誤
りがあることは明白である。
第4 被告の反論の要点
1 原告の主張1(当初発明の内容について)に対して
(1)当初明細書に,良好な圧接状態を得るための実験に用いたものとして記載
されているのは,ステンレス鋼のみであって,本件出願の前に製品化された圧接現
像装置において,シャフト材として一般に用いられていた各種の材料であっても,
ステンレス鋼以外のものについては,それらを用いたとは,記載されていない。
       W1  < 2 × W2
 という関係式が,各種材料を用いた実験から見いだされたことを示唆する記
載もない。
  当初明細書に記載されている実施例1及び実施例2は,いずれも,ステン
レス鋼で出来たシャフトを用いたものであることが明らかである。
  そうすると,当初明細書に記載されているのは,シャフトの縦弾性係数E
sがステンレス鋼の縦弾性係数「2.1×10

」に等しいときに,「W1およびW
2が,W1<2×W2という関係式を満たせば,現像ローラーと潜像担持体の長手方
向における当接圧力の差が僅少に保たれ,良好な圧接状態が保たれる」という事実
であって,ステンレス鋼以外の材料については何も述べられていない,というべき
である。
(2)シャフト材に用いられる種々の材料が,その縦弾性係数とともに知られて
いるという事実は,当初明細書に,種々の材料を用いた実験の結果が記載,示唆さ
れているための根拠にはならない。
  当初発明は,現像ローラーのシャフトをステンレス鋼とすることを発明の
構成とし,シャフトの半径を特定の範囲に設定すれば,良好な圧接状態を得ること
ができるという効果を有するものである。
  一つのデータをもって全体の傾向を説明することができるのは,一つのデ
ータから全体の傾向を類推できる理論的根拠がある場合に限られる。ステンレス鋼
を用いたシャフトにおいて,当初発明の効果である良好な圧縮状態が得られる条件
が,他の一般的に用いられる材料を用いたシャフトにも当てはまると認めるに足り
る理論的根拠は認められない。すなわち,本件補正により特許請求の範囲に記載さ
れた事項は,一つのデータをもって,全体の傾向を説明することができるものとは
いえないのである。
2 原告の主張2(要旨変更に該当しないことについて)に対して
(1)当初の不等式から補正後の不等式への補正は,形式的には,ステンレス鋼
の縦弾性係数「2.1×104
」という具体的数値を,一般的に縦弾性係数を表す符
号Esに置き換えることを,その内容としている。
  しかし,当初明細書の特許請求の範囲に記載された技術的事項が,シャフ
トの縦弾性係数Esがステンレス鋼の縦弾性係数2.1×104
に等しいとき,シャ
フトの半径が当初の不等式を満たしていれば,良好な圧接状態が保たれる,という
ものであるのに対し,補正後の特許請求の範囲には,シャフトの縦弾性係数Esが
ステンレス鋼の縦弾性係数2.1×104
と異なっていても,シャフトの半径が補正
後の不等式を満たしていれば,良好な圧接状態が保たれる,という新しい技術的事
項が含まれている。
  上記技術的事項は,前記のとおり,当初明細書に記載されている事項でも
なければ,その記載からみて自明な事項でもない。すなわち,本件手続補正書に記
載された技術的事項は,当初明細書に記載された事項の範囲内のものではない。し
たがって,本件補正は,明細書の要旨を変更するものであり,そのように判断した
本件決定に誤りはない。
(2)当初明細書に記載された目的が,シャフト材一般に共通する課題であると
しても,当初明細書において,課題解決の際に具体的に考慮したシャフト材は,シ
ャフト材の中の一つである「ステンレス鋼」のみであることが明らかである。そこ
に,シャフト材一般についての技術的事項が記載されていたとする原告の主張は,
正しくない。
第5 当裁判所の判断
1 当初発明の内容
(1)当初明細書には,次のような記載がある(甲第2号証)。
ア 産業上の利用分野
 「本発明は,潜像担持体上に形成した静電潜像を現像剤で現像する現像装
置に関する。より詳しくは,弾性変形可能な現像ローラーを潜像担持体に当接させ
て現像する現像装置に関する。」(1頁16行目~18行目)
イ 従来の技術
 「従来の電子写真プロセスによる画像形成方法に使用する現像装置は,例
えば米国特許第4121931号に開示されているように,非磁性円筒状のスリー
ブの内部に磁石ローラーを具備する現像ローラーを用いて,1成分磁性トナーによ
る磁気ブラシをスリーブと潜像担持体の隙間に搬送し現像を行う1成分磁気ブラシ
現像における現像装置であった。
 【0003】
  また,上記のような1成分磁気ブラシ現像法を改良する現像法として,
米国特許第4564285号に開示されているように,弾性体上にフローティング
電極を設けた現像ローラーを潜像担持体に圧接しながら現像し,ライン画像とソリ
ッド画像の画質を向上させたいわゆるFEED現像法における現像装置がある。さ
らに,特願平2-58321に開示されているように,弾性体上に微小の着磁ピッ
チに着磁した磁性層を有する現像ローラーによって磁性トナーを搬送し,潜像担持
体に圧接現像する現像装置が提案されている。」(1頁21行目~2頁5行目)
ウ 発明が解決しようとする課題
 「しかしながら,現像ローラーを潜像担持体に圧接して現像する場合,現
像ローラーの接触面積および当接圧力は現像特性に多大な影響を与える。すなわち
当接圧力が高い部分では接触面積を稼ぐことができるが地カブリが生じるという問
題があり,また当接圧力が低い部分では現像効率が低下し画像濃度が低下するとい
う問題を発生する。したがって,潜像担持体上で均一な現像特性を得るためには,
現像ローラーを長手方向にわたって均一な圧接状態で保たなければならない。ま
た,特にフォーム状の形態である等の低硬度の弾性部材を用いた現像ローラーで,
潜像担持体に速度比を持たせて回転させるとき,長手方向の当接圧力が一定でない
とねじれが生じる。このねじれの発生と回復が繰り返される,いわゆるスティック
スリップによって,トナーの搬送にムラを生じ,画像に縞状の濃度ムラを生じてし
まう。
 【0005】
  本発明はこのような点を鑑みてなされたものであって,電子写真プロセ
スを用いた現像装置のうち,圧接現像という手段を用いる現像装置において,現像
ローラーと潜像担持体の圧接状態をより好適に保つことを目的とする。詳しくは,
現像ローラーの長手方向の端部と中央部の間に生じる当接圧力の差を僅少に保ち,
潜像担持体の端部と中央部の濃度差を低減し,さらに,現像ローラーのねじれに起
因する濃度ムラの少ない現像装置を提供することを目的とする。」(2頁8行目~
25行目)
エ 課題を解決するための手段
 「本発明の現像装置は,少なくともシャフトの外周に弾性部材を形成して
なる弾性変形可能な現像ローラーで現像剤を搬送し,現像ローラーを潜像担持体に
現像剤を介して接触させつつ,潜像担持体上の静電潜像を現像する現像装置におい
て,弾性部材の縦弾性係数をEf(kg/mm2
),弾性部材の長手方向の長さをL
(mm),弾性部材の半径をR(mm),現像ローラーを当接させる線荷重をp
(kg/mm)として,シャフトの半径r(mm)が次式を満たすことを特徴とす
る。
【0007】
【数2】
    
(2頁28行目~3頁8行目)
オ 作用
 「本発明の上記の構成(判決注・上記エ)によれば,現像ローラーと潜像
担持体の圧接部において,長手方向の端部と中央部の間に生じる当接圧力の差を僅
少に保ち,濃度ムラの少ない現像装置を提供することができる。以下にその詳細を
述べる。
【0009】
  断面が円形のシャフトを付勢し現像ローラーを潜像担持体に圧接する場
合,現像ローラーのシャフトの最大撓みW1は当分布荷重をうける両端支持はりの
問題として公知の式を適用することができ,シャフトの縦弾性係数Esとしてシャ
フトに用いられる材料の一般的であるステンレス鋼の値2.1×104
を用いると次
式になる。但し,現像ローラーは弾性部材の端部近傍で支えると仮定する。
【0010】
【数3】
 
【0011】
  一方,弾性を有する現像ローラーの荷重に対する変位がほぼ線形に変化
する領域では,現像ローラーの変位W2に,公知の弾性ローラーを平板に圧接した
場合の荷重変位のモデルが適用できる。
【0012】
【数4】
    
【0013】
であると簡略化して,現像ローラーの変位W2は次式で表される。
【0014】
【数5】
   
【0015】
 本出願人は,W1とW2が,
【0016】
【数6】
  W1  < 2 × W2
 なる関係にあるとき,現像ローラーと潜像担持体の長手方向における当接
圧力の差が僅少に保たれ,良好な圧接状態が保たれることを見いだした。」(3頁
11行目~4頁15行目)
カ 実施例
【0021】
(実施例1)
 「次に,図1に示した画像形成装置において,形状等を変えた複数の現像
ローラーを用いて行った画像形成の結果について説明する。本実施例に用いた現像
ローラーの特性を表1に示す。但し本実施例において,現像ローラーの弾性部材の
長さLは230(mm)てあり,現像ローラーを潜像担持体に押圧する荷重は0.
2(kg),1(kg),2(kg)と変化させた。・・・
 【0023】
  表1に示した現像ローラーで記録紙に形成した黒ベタ画像を,以下のよ
うに評価した。図4は本発明の実施例における画像濃度評価位置を示す図であ
る。・・・図5は本発明の実施例における濃度ムラ評価を示す図である。横軸は数
3によって計算した値W1であり,縦軸は数5によって計算した値W2である。
 ・・・良好領域と不良領域の境は略
 【0024】
 【数7】
           
      (判決注・の誤記と認める。)
【0025】
 となっており,濃度ムラを低減するにはW2を大きく,W1を小さくする
方法をとれば良いことになる。
【0026】
(実施例2)
  実施例1と同様に,図1に示した画像形成装置において,形状等を変え
た複数の現像ローラーを用いて画像形成を行った。本実施例の実施例1との違いは
現像ローラーの弾性部材の長さLを280(mm)としたことであリ,したがって
画像の横幅が長くなっている。他の現像ローラーの特性は表1と同様であり,現像
ローラーを潜像担持体に押圧する荷重も実施例1と同様に0.2(kg),1(k
g),2(kg)と変化させた。
 ・・・図6は本発明の他の実施例における濃度ムラ評価を示す図である。
やはり良好領域と不良領域の境は略W2/W1=2であった(判決注・前記のとお
り,「W1/W2=2」の誤記と認める。)。
【0027】
  以上の実施例1および実施例2の結果に基づき,数7からシャフトの半
径rについての条件を求め,数1を得た。即ち,数1を満たすシャフトを用いた現
像ローラーであれば,濃度ムラが僅少な良好な画像を形成することが可能とな
る。」(6頁7行目~8頁23行目)
キ 発明の効果
 「以上説明したように本発明の上記の構成によれば,現像ローラーと潜像
担持体の接触面積および当接圧力が,現像ローラーの長手方向で均一になり,すな
わち現像特性が揃うことによって濃度ムラのない均一な画像を形成することができ
る。また,特にフォーム状等の低硬度の現像ローラーにおけるスティックスリップ
を防止し濃度ムラのない現像装置を提供することができるという効果を有する。」
(9頁3行目~7行目)
(2)当初明細書の上記認定の記載によれば,当初明細書に記載された発明は,
ア 従来の,現像ローラーを潜像担持体に圧接して現像する手段を用いる現
像装置における,均一な現像特性を得るためには,現像ローラーを長手方向にわた
って均一な圧接状態に保たなければならず,また,低硬度の弾性部材を用いた現像
ローラーは,長手方向の当接圧力が一定でないとねじれが生じ,トナーの搬送にむ
らを生じ,画像に縞状の濃度むらを生じてしまう,との問題点を解決するため,
イ 現像ローラーのシャフトの最大撓みW1を,シャフトの縦弾性係数Es
としてステンレス鋼の値「2.1×104
」を用いて求め,現像ローラーの変位W2
を簡略化して求め,「W1とW2とが,W1<2×W2なる関係にあるとき,現像ロ
ーラーと潜像担持体の長手方向における当接圧力の差が僅少に保たれ,良好な圧接
状態が保たれる」ことを見いだしたことによって得られたものであり,
ウ 当初の不等式で表される半径を採用したシャフトを用いれば,現像ロー
ラーと潜像担持体の接触面積及び当接圧力が,現像ローラーの長手方向で均一にな
り,すなわち現像特性がそろうことになり,これによって濃度むらのない均一な画
像を形成することができ,また,低硬度の現像ローラーにおけるスティックスリッ
プを防止し濃度むらのない現像装置を提供することができる,という効果を有する
もの,
 と認められる。
(3)当初発明の内容
  上記の「W1とW2とが,W1<2×W2なる関係にあるとき,現像ローラ
ーと潜像担持体の長手方向における当接圧力の差が僅少に保たれ,良好な圧接状態
が保たれる」との知見は,いずれもシャフト材としてステンレス鋼を用い,実施例
1及び実施例2において,画像形成装置の現像ローラーの縦弾性係数や半径,シャ
フト半径及び現像ローラーを潜像担持体に押圧する荷重を各々変化させて画像形成
し,その画像濃度の良好,不良の評価と,W1とW2の関係を分析した結果,良好領
域と不良領域の境界は略W2/W1=2であった,との実験結果が,その根拠となっ
ている。それ以外に上記知見の根拠となるものは当初明細書に記載されていない
(甲第2号証)。
  当初明細書記載の【数3】によって算出されたW1とは,シャフトの縦弾
性係数Esとしてステンレス鋼の値「2.1×104
」を用いて計算したW1のこと
である。そうである以上,当初明細書に記載されている,上記知見の根拠事実は,
シャフトにステンレス鋼を用いた画像形成装置における実験結果だけである,とい
うべきである。
  したがって,当初発明の内容に関して,課題解決の際に具体的に考慮した
シャフト材料が,「ステンレス鋼」のみであるとした,本件決定の認定に誤りはな
い。
(4)原告は,当初明細書において,シャフトの材料としてステンレス鋼を用い
た説明をしていることについて,①シャフトの縦弾性係数としてステンレス鋼のそ
れを用いたのは,一つの実施例としてのことにすぎず,②圧接現像装置を製品化し
ようとした場合,その製品化の過程で縦弾性係数の知られた各種のシャフト材につ
いて実験を加えていくのが通常である,と主張する。
  しかし,前記のとおり,当初明細書において,「シャフトの最大撓みW1
と,現像ローラーの変位W2とが,W1<2×W2なる関係にあるとき,良好な圧接
状態が保たれることを見出した」のは,シャフトの縦弾性係数Esとしてステンレ
ス鋼の値「2.1×104
」を用いて算出したW1についてであり,シャフトの材料
としてステンレス鋼以外のものを用いてW1とW2の関係を検討したことも,実施例
1,実施例2以外に,縦弾性係数の知られた,他のシャフト材について実験を行っ
たことも記載されていない。
  原告の主張するとおり,製品化の過程で,各種のシャフト材について実験
を積み重ねていくことが通常であるとしても,そのことは,何ら,当初明細書の開
示内容が上記のとおりであるという事実を左右するものではない。
(5)原告は,①発明の目的である,現像ローラーと潜像担持体の圧接状態を良
好に保つべく現像ローラーの長手方向の端部と中央部の当接圧力の差を僅少に保つ
ようにするには,現像ローラーの撓みに関する式,つまり,両端支持梁についての
一般式を基に考えていけばよく,これは,単にステンレス鋼の縦弾性係数「2.1
×104
」に限定されるものでない,②現像装置に使用する通常のシャフト材であれ
ば,その縦弾性係数がいかなる値であろうとも,ステンレスの縦弾性係数を縦弾性
係数一般を表す変数Esに置き換えて当初の不等式を変形した補正後の不等式に当
てはめれば,適切なシャフトの半径rが算定しうるものであるから,補正後の不等
式のEsが,ステンレス鋼の縦弾性係数「2.1×104
」に限定されるべき理由は
ない,すなわち,当初発明の内容が,当初の不等式に限定されるべき理由はない,
と主張する。
  原告が主張するように,ステンレス鋼の縦弾性係数「2.1×104
」以外
の数値であっても,両端支持梁についての一般式を用いて,当初発明の目的を達し
うるシャフトの半径rを求めることができるとしても,本件出願の発明では,印刷
の良不良の境界として「W1<2×W2」が成立することが必要となる。当初発明で
は,この不等式を導き出すに当たり,「現像ローラーのシャフトの最大撓みW1」
を,材料を特定しない一般式を基に検討するのではなく,ステンレス鋼の縦弾性係
数を用いて算出しており,ステンレス鋼以外の材料については,W1を算出し,
「W1<2×W2」が成立するかどうかについての検討をしていないことは,前記の
とおりである。したがって,ステンレス鋼以外のシャフト材の縦弾性係数を用いた
式で,シャフトの半径rがどのような不等式で表される値になるのかは記載されて
いないのである。
  現像装置に使用される通常のシャフト材一般について,補正後の不等式に
より,適切なシャフトの半径rが算出しうることが実際に検証されていたとしても
(付言するに,そうであると認めるに足りる証拠はない。),その事実は,現に補
正後の不等式が記載されていないという事実を,解消し得るものではない。
(6)原告は,本件決定が,シャフトの材料としてステンレス鋼を用いることが
当初発明にとって不可欠の事項である,と認定した,と主張している。
  本件決定は,「当初の技術的事項から当業者に自明な事項は,「シャフト
の縦弾性係数Esがステンレス鋼の縦弾性係数2.1×104
に近いとき,関係式W
1/W2<2が成立すれば,良好な圧接状態が保たれる」という程度にすぎない。さ
らに一般化を進めたとしても,せいぜい「W1/W2で表される量が,圧接状態の
良・不良に関係すると予想される」という程度である」(審決書14頁29行目~
15頁1行目),と述べているものであり,シャフトの材料として,ステンレス鋼
又は縦弾性係数がステンレス鋼のそれ(2.1×104
)に近いものを用いること
が,当初発明にとって不可欠の事項である,とは認定しているものの,ステンレス
鋼を用いることが不可欠であるなどと認定しているものではない。そして,本件決
定の上記認定が正当であることは,既に述べたところに照らし,明らかである。
  原告の上記主張は失当である。
2 要旨変更の有無について
(1)原告は,当初の不等式を補正後の不等式とすることが要旨変更に当たらな
いと主張し,その理由として,当初発明において用いられるシャフトの材料がステ
ンレス鋼に限定されていないことを前提としつつ,①当初明細書の発明の詳細な説
明の【発明が解決しようとする課題】あるいは【発明の効果】の項のいずれにも,
濃度ムラを少なくするためにステンレス鋼の縦弾性係数を「2.1×104
」とした
ことについての記載は見当たらず,この点の数値限定「2.1×104
」は単なる補
足的な数値にすぎないから,当初の不等式を,補正後の不等式に換えることは,具
体的な縦弾性係数の値を単に変数「Es」に替えたものであって,梁の一般式の単
なる一形態として認められるべきである,②縦弾性係数を変数「Es」とした不等
式は,ステンレス鋼の具体的な縦弾性係数の値を用いた当初の不等式より「出願時
点で当業者が記載してあったと認めることができる程度に自明の事項」にすぎない
から,この不等式を補正後の不等式に変えても「明細書に記載してある事項の範囲
内」とみなされる,と主張する。
(2)前記のとおり,当初明細書には,シャフト材及びその縦弾性係数として,
ステンレス鋼及びその縦弾性係数「2.1×104
」と特定することを前提とした,
シャフトの半径rを規定する不等式のみが開示されていたものである。【発明が解
決しようとする課題】あるいは【発明の効果】の項のいずれにも,シャフト材をス
テンレス鋼に限定する旨の記載がないことは,シャフト材に,ステンレス鋼以外の
材料を用いた場合のことが開示されていることを意味するものではない。
(3)例えば,ステンレス鋼とアルミニウム系及び銅系の縦弾性係数とは1.8
~2.7倍程度異なる(甲第7号証)から,当然W1の値も変化することとなる。
そうすると,ステンレス鋼以外の材料をシャフトとして用いた場合,画像濃度の良
好領域と不良領域の境界が,「W1/W2<2」の不等式により画されるか否か自体
がそもそも不明であり,少なくとも,本件出願当時,ステンレス鋼以外の材料を用
いた場合についても,印刷が良好となる条件として,「W1/W2<2」の不等式が
妥当すると当業者が理解することが自明であると認めるに足りる証拠はない。
  そして,上記境界が変化して「W1/W2<」の右辺が2以外の数値になれ
ば,現像ローラーと潜像担持体の良好な圧接状態を保つためには,当初の不等式
を,ステンレス鋼の縦弾性係数の数値からそれ以外の材料の縦弾性係数を一般的に
表す変数Esに変更して,補正後の不等式に変形するだけでは足りず,さらに係数
を変化させること等が必要となることが明らかである。
(4)したがって,当初明細書の記載から,シャフト材をステンレス鋼からそれ
以外の一般に用いられる材料に変更した場合に,シャフトの半径rを規定する不等
式において,当初の不等式において前提となっているステンレス鋼の縦弾性係数の
数値を,ステンレス鋼以外の具体的な材料の縦弾性係数の数値あるいは一般的にE
sと変更して変形しただけで,現像ローラーと潜像担持体の良好な圧接状態を保つ
ことができる条件を示すことが,本件出願当時当業者にとって自明であった,とい
うことはできない。すなわち,当初明細書の記載に基づき,補正後の不等式が自明
ということはできない。
(5) 以上のとおりであるから,原告の主張はいずれも失当である。
3 結論
  以上によれば,原告主張の審決取消事由は理由がなく,その他,審決には,
これを取り消すべき瑕疵は見当たらない。そこで,原告の請求を棄却することと
し,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,
主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第6民事部
    裁判長裁判官山  下  和  明
  裁判官設  樂  隆  一
  裁判官高  瀬  順  久

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