弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人小野清一郎の上告趣旨は末尾添附別紙記載の通りである。
 第一点に対する判断。
 原審挙示の証拠によれば原審認定の事実を認めることができる。所論の因果関係
も認められないことはない(「煙草代位御礼をする心算であつた」との事実は原審
の認めない処である)。論旨は右原審の事実認定を非難し若しくは右事実が認めら
れないことを前提として原審の適条を非難するもので上告の理由とならない。
 第二点に対する判断。
 所論金員が贈賄者Aに返還されたとかBが受取つて費消したとかいう事実は原審
の認定しない処である。原審が右事実を判決に記さず被告人から金員を追徴したの
はこの事実を認めなかつた趣旨と見なければならない。そして所論証拠が果して真
実に合するものか否かもわからず当審で証拠調をして原審の認定していない所論の
ような事実を新に認定し、これを基礎として原判決を破棄することはできない(当
裁判所は大審院の判例に拘束されることもないし又論旨挙示の証拠が真実に合する
ものとしても贈賄者Aが所論金員を受取つた事実は毫も認められないそして原審の
認定した処によるとBは贈賄の取次をしただけで被告人と共同収賄したのではない
から所論大審院判例のいずれにも該らない)論旨は理由がない。
 よつて関与裁判官全員一致の意見により旧刑訴四四六条に従つて主文の如く判決
する。
 検察官 長部謹吾関与
  昭和二六年二月二〇日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介

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