弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人池田・吾の上告理由は本判決末尾添付のとおりである。
 右上告理由第一点について。
 しかし、当裁判所が職権によつて調査したところによれば、原判決原本には、裁
判長裁判官小山慶作、裁判官井上開了、裁判官宮田信夫の各署名捺印があるのみな
らず、右署名捺印が所論の日以後においてなされたと認むべき何等の証跡もない。
上告人に送達された原判決正本中該当部分が空白となつていたとしても、この一事
を以て原判決言渡当時原本に右署名捺印が存しなかつたと推断することを得ないの
は勿論である。されば論旨は理由がない。
 同第二点について。
 上告人の所論各主張事実のうち、本件売買契約においては、主要食糧たる地方の
甘藷を原料として軍用粗製アルコールを製造するため、本件不動産を使用すること
が、契約の要件乃至要素となつていたとの事実は、上告人が事情変更による契約解
除の抗弁をなすに当り、その前提として主張せられたものであるところ、被上告人
は原審において、右抗弁に対する答弁として解除の理由を発見するに苦しむと述べ
ている弁論の趣旨(記録一八六丁裏、一九二丁参照)からすると、右主張事実は被
上告人の争うところと解するのが相当である。
 そして、原判決は、証拠にもとずき、上告人は、終戦直前a村の本件建物におい
て、その地方の甘藷を原料として、軍用のアルコールを製造する目的で、本件不動
産を買受けたものであることを認めたが、これを以て契約の要素とは認定せず、今
日においてもなおアルコールの製造が可能であるのみならず、被上告人が将来なお
本件土地建物を醸造の用途に用いる意図を有する以上、たとえ軍用のアルコール製
造ができなくなつたからといつて、将又憲法その他の諸法令が所論の如く改正され
たからといつて、本件売買契約にもとずき目的物件を給付し、或は右物件につき売
買に因る所有権移転登記をさせることが、衡平上著しく不当となつたとは解し難い
と判断しているのであるから、所論のように自白の法則を無視した違法のないこと
は勿論、所論のような判断遺脱又は釈明権不行使の違法はない。
 なお、論旨は憲法違反を云うが、その実質は単に原審が上告人提出の事情変更に
よる解除の抗弁を排斥したのは事情変更に関する判断を誤つたものであると云うに
帰着するところ、この点に関する原審の判断が正当であることは、後記上告理由第
六点に対する判断において示すとおりである。
 されば、論旨はすべて理由がない。
 同第三点について。
 第一審判決の対象となつている物件と原審判決の対象となつている物件との間に
差異の存することは所論のとおりである。
 併し、右差異が生じたのは、原審が、被上告人において請求を減縮した結果第一
審判決の対象たる物件の内bc番ノd宅地百十九坪(所論の田三畝二十五歩)は原
審における判断の対象となり得ないものと解して、これを除外したに因るものであ
ること、原判決事実摘示並に理由に照らして明白であつて、所論のように売買の目
的物件を変更したものでもなければ、農地に関する権利を設定又は移転し、或は耕
作権に変動を与えたものでもないことは多言を要しない。
 また、被上告人において、右農地が他の物件と不可分なること並に現況が上告人
主張の如くであることを認めた形跡は、記録を調べても発見し得ず、むしろ弁論の
全体の趣旨に徴すれば、被上告人はこれ等の事実を争うものと認めるのが相当であ
る。
 されば、論旨は到底採用し得ない。
 同第四、五点について。
 いわゆる請求の減縮は訴の一部取下にほかならないと解すべきことは、当裁判所
の判例(昭和二四年(オ)第二〇七号、同二七年一二月一五日、第一小法廷判決)
とするところである。従つて、相手方が既に本案につき口頭弁論をした後において
は、相手方の同意がない限り、その効力を生じ得ないものであるところ(民訴二三
六条)、記録によれば、所論の農地に関する被上告人の請求減縮は、上告人が既に
本案につき口頭弁論をした後である昭和二五年四月六日の原審口頭弁論期日におい
てなされたものであり且上告人は該期日に直ちにこれに対し異議を述べていること
が明白であるから、右請求の減縮はその効力がないものといわなければならない。
 されば、原審が、右請求の減縮は効力を生じたものの如く判示し、前記農地に関
する請求部分につき何等判断をしなかつたのは、誤解に出でたものといわざるを得
ないけれども、その結果該請求部分は依然原審に係属するものと解せられるに止ま
り(前記農地が他の本訴物件と不可分であることは原審の認定しないところである)、
右農地に関する請求につき判断を欠く故を以て、その余の物件に関してなされた原
判決を破毀することを得ないのは明かである。
 論旨は、右農地が他の物件と不可分なることを前提とし、独自の見解に立脚して
原判決を論難するにすぎないから、採用することを得ない。
 同第六点について。
 原審は、上告人の提出した事情変更による解除の抗弁を排斥するに当り、その採
用し得ない理由として、解除権の成立を認めるに足るべき事情の変更が存しないこ
と並に解除権行使の前提として必要と解される催告の事実が認められないことを判
示しているのである。
 そして、解除権の成立を認めるに足るべき事情の変更がないとする原審の判断は
正当であるから、仮に適法な催告を認めなかつた点につき所論のような違法があつ
たとしても、原審が前記抗弁を排斥したのは結局正当であつて、右違法は何等原判
決主文に影響を及ぼすものではない。
 されば、論旨は採用し得ない。
 同第七点について。
 論旨は、独自の見解に立脚して、原審の正当な判断を攻撃するにすぎないから理
由がない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

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