弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成28年4月26日判決言渡
平成25年(行ウ)第701号不当利得返還等請求事件
主文
1被告は,別紙2主文目録記載のとおり,原告らに対し,同目録記載の各金員
を支払え。
2東京都渋谷都税事務所長が平成25年6月3日付けで原告らに対してした別
紙3物件目録記載の土地に係る固定資産税及び都市計画税の賦課決定に基づく
同年12月27日及び平成26年2月28日を納期限とする合計24万円の連
帯納付債務が存在しないことを確認する。
3原告らのその余の請求を棄却する。
4訴訟費用は,これを7分し,その3を原告らの,その余を被告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
1被告は,原告P1,原告P2,原告P3,原告P4及び原告P5に対し,各
20万9147円並びに内10万1479円に対する平成25年12月27日
から同年12月31日まで年4.3%の割合による金員,平成26年1月1日
から同年12月31日まで年1.9%の割合による金員,平成27年1月1日
から同年12月31日まで年1.8%の割合による金員,平成28年1月1日
から同年12月31日まで年1.8%の割合による金員及び平成29年1月1
日から支払済みまで地方税法附則3条の2第1項の規定する特例基準割合によ
る金員並びに内10万7668円に対する平成25年12月27日から支払済
みまで年5%の割合による金員を支払え。
2被告は,原告P6,原告P7,原告P8,原告P9,原告P10,原告P1
1,原告P12及び原告P13に対し,各23万4157円並びに内12万6
849円に対する平成25年12月27日から同年12月31日まで年4.
3%の割合による金員,平成26年1月1日から同年12月31日まで年1.
9%の割合による金員,平成27年1月1日から同年12月31日まで年1.
8%の割合による金員,平成28年1月1日から同年12月31日まで年1.
8%の割合による金員及び平成29年1月1日から支払済みまで地方税法附則
3条の2第1項の規定する特例基準割合による金員並びに内10万7668円
に対する平成25年12月27日から支払済みまで年5%の割合による金員を
支払え。
3被告は,原告P14,原告P15及び原告P16に対し,各27万6801
円並びに内16万9133円に対する平成25年12月27日から同年12月
31日まで年4.3%の割合による金員,平成26年1月1日から同年12月
31日まで年1.9%の割合による金員,平成27年1月1日から同年12月
31日まで年1.8%の割合による金員,平成28年1月1日から同年12月
31日まで年1.8%の割合による金員及び平成29年1月1日から支払済み
まで地方税法附則3条の2第1項の規定する特例基準割合による金員並びに内
10万7668円に対する平成25年12月27日から支払済みまで年5%の
割合による金員を支払え。
4被告は,原告P17及び原告P18に対し,各41万5200円並びに内2
5万3698円に対する平成25年12月27日から同年12月31日まで年
4.3%の割合による金員,平成26年1月1日から同年12月31日まで年
1.9%の割合による金員,平成27年1月1日から同年12月31日まで年
1.8%の割合による金員,平成28年1月1日から同年12月31日まで年
1.8%の割合による金員及び平成29年1月1日から支払済みまで地方税法
附則3条の2第1項の規定する特例基準割合による金員並びに内16万150
2円に対する平成25年12月27日から支払済みまで年5%の割合による金
員を支払え。
5被告は,原告P19及び原告P20に対し,各19万2234円並びに内8
万4566円に対する平成25年12月27日から同年12月31日まで年
4.3%の割合による金員,平成26年1月1日から同年12月31日まで年
1.9%の割合による金員,平成27年1月1日から同年12月31日まで年
1.8%の割合による金員,平成28年1月1日から同年12月31日まで年
1.8%の割合による金員及び平成29年1月1日から支払済みまで地方税法
附則3条の2第1項の規定する特例基準割合による金員並びに内10万766
8円に対する平成25年12月27日から支払済みまで年5%の割合による金
員を支払え。
6被告は,原告P21に対し,金44万5934円並びに内33万8266円
に対する平成25年12月27日から同年12月31日まで年4.3%の割合
による金員,平成26年1月1日から同年12月31日まで年1.9%の割合
による金員,平成27年1月1日から同年12月31日まで年1.8%の割合
による金員,平成28年1月1日から同年12月31日まで年1.8%の割合
による金員及び平成29年1月1日から支払済みまで地方税法附則3条の2第
1項の規定する特例基準割合による金員並びに内10万7668円に対する平
成25年12月27日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
7主文第2項同旨
第2事案の概要
別紙3物件目録記載の土地(以下「本件土地」という。)を所有していたP2
2の孫,曾孫又は孫の妻である原告らは,本件土地につき相続を原因とする別紙
4登記目録記載の所有権移転登記等(以下「本件各移転登記」という。)がされ
たことを端緒として,東京都渋谷都税事務所長によって本件土地に係る平成23
年度(平成18年度相当分ないし平成22年度相当分を含む。),平成24年度
及び平成25年度の固定資産税及び都市計画税(以下,併せて「固定資産税等」
という。)の各賦課決定(以下「本件各賦課決定」という。)を受けたため,同
年度第2期分までの固定資産税等を納付した。しかし,本件土地の所有者は原告
らではなく被告であるとする判決が確定した。
本件は,原告らが,本件土地については,土地又は家屋の所有者として登記さ
れた者に対して固定資産税等を課する旨の地方税法343条2項及び702条2
項(以下,併せて「本件各条項」という。)が適用されず,本件各賦課決定は無
効であるなどとして,被告に対し,固定資産税等として納付した合計304万4
400円(以下「本件納付済み固定資産税等」という。)につき誤納金としてそ
の返還を求めるとともに(以下,この請求を「本件誤納金返還請求」という。),
本件土地に係る平成25年度第3期分及び第4期分の固定資産税等合計24万円
の連帯納付債務が不存在であることの確認を求め(以下,この請求を「本件債務
不存在確認請求」という。),さらに,本件各移転登記を経由したのは被告下水
道局の職員の言動によって本件土地の所有権がP22にあったものと誤信したか
らであるとして,国家賠償法1条1項に基づき,本件各移転登記のために司法書
士に対して支払った所有権移転登記手続費用等,税理士に対して支払った遺産分
割協議書作成費用等及び支払を余儀なくされた本件納付済み固定資産税等に相当
する損害の賠償を求める(以下,この請求を「本件国家賠償請求」という。)事
案である。
1関係法令の定め
本件の関係法令の定めは,別紙5関係法令の定めに記載のとおりである。
2前提事実(証拠等の掲記のないものは当事者間に争いがない。)
(1)当事者等
アP22(明治5年▲月▲日生)は,明治37年12月19日,本
件土地を含む東京都渋谷区α所在の旧×番1の土地を売買によって取
得した。(甲1,甲10,弁論の全趣旨)
イP22は,昭和25年▲月▲日,死亡し,その後,別紙6相続関
係図記載のとおり,順次相続が発生した。(弁論の全趣旨)
(2)紛争の経過
ア原告ら(原告P12を除く。)並びにP23及びP24は,平成22年
12月2日,本件土地につき,いずれも相続を原因とする本件各移転登記
を経由した。
イ原告ら(原告P12を除く。)並びにP23及びP24は,本件土地の
南西側に隣接する土地を所有するP25が本件土地を権限なく占有してい
るとして,平成23年1月13日,同人を被告として,本件土地の所有権
に基づいて本件土地上に存在する建物を収去して本件土地を明け渡すよう
求める訴えを東京地方裁判所に提起した(東京地方裁判所平成23年(ワ)
第885号。以下,この訴えに係る訴訟を,後記の被告の参加の前後を通
じて「前件訴訟」という。)。(甲10,弁論の全趣旨)
被告は,平成23年8月23日付けの独立当事者参加の申出書により,
原告ら(原告P12を除く。)並びにP23及びP24に対して本件土地
の所有権の確認と真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手
続を求めて前件訴訟に参加した(東京地方裁判所平成23年(ワ)第27
764号)。(甲17の1,甲10)
ウ本件土地は平成23年4月20日時点では非課税とされていたが,本件
各移転登記を端緒として,地方税法3条の2及び東京都都税条例(昭和2
5年東京都条例第56号。乙A1)4条の3の規定に基づいて東京都知事
から都税の賦課徴収に関する事項について委任を受けた東京都渋谷都税事
務所長は,平成23年6月1日,原告ら(原告P12を除く。)並びにP
23及びP24に対し,本件土地に係る平成23年度の固定資産税等(2
37万6800円)の賦課決定をした。
エ東京都渋谷都税事務所長は,平成23年6月10日,原告ら(原告P1
2を除く。)並びにP23及びP24に対し,本件土地に係る平成23年
度の固定資産税等(平成18年度相当分として32万6200円)の賦課
決定をした。
オ原告ら(原告P12を除く。)並びにP23及びP24は,平成23年
6月20日,本件土地に係る平成23年度の固定資産税等(平成18年度
相当分として32万6200円,平成23年度第1期分として59万48
00円)を納付した。(甲2の2,甲7の2)
カ東京都渋谷都税事務所長は,平成23年7月8日,原告ら(原告P12
を除く。)並びにP23及びP24に対し,本件土地に係る平成23年度
の固定資産税等(平成19年度相当分として35万4100円,平成20
年度相当分として35万4100円,平成21年度相当分として38万8
300円,平成22年度相当分として42万7100円)の賦課決定をし
た。
キ被告は,平成23年7月8日,原告ら(原告P12を除く。)並びにP
23及びP24に対し,本件土地に係る平成23年度の固定資産税等を4
6万9800円に減額する賦課決定をし,同年8月19日付けで過納金1
2万5000円を還付した。(甲7の1及び3)
ク原告ら(原告P12を除く。)並びにP23及びP24は,平成23年
7月14日,本件土地に係る平成23年度の固定資産税等(平成19年度
相当分として35万4100円,平成20年度相当分として35万410
0円,平成21年度相当分として38万8300円,平成22年度相当分
として42万7100円)を納付した。(甲3ないし6の各2)
ケ東京都渋谷都税事務所長は,平成24年6月1日,原告ら及びP24に
対し,本件土地に係る平成24年度の固定資産税等(48万2400円)
の賦課決定をした。
コ原告ら及びP24は,平成24年6月から平成25年2月にかけて,本
件土地に係る平成24年度の固定資産税等(48万2400円)を納付し
た。
サ東京地方裁判所は,平成24年12月26日,前件訴訟について,遅く
とも昭和18年の都政施行前には東京府(被告)が本件土地を所有するに
至っていたとして,被告が本件土地につき所有権を有することを確認する
とともに,原告ら(原告P12を除く。)並びにP23及びP24に対し
て被告への真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記を命じる旨
の判決をし,同判決は上訴されることなく平成25年1月1日よりも後の
日に確定した。(甲10,弁論の全趣旨)
シ平成25年4月3日,本件土地につき,真正な登記名義の回復を原因と
する原告ら(原告P12を除く。)並びにP23及びP24から被告への
共有者全員持分全部移転登記(以下「本件回復登記」という。)がされた。
ス東京都渋谷都税事務所長は,平成25年4月12日,本件回復登記がさ
れたことを認識した。
セ東京都渋谷都税事務所長は,平成25年6月3日,原告らに対し,本件
土地に係る平成25年度の固定資産税等(48万2400円)の賦課決定
をした。
ソ原告らは,平成25年7月1日,本件土地に係る平成25年度(第1期
分)の固定資産税等(12万2400円)を納付した。
タ原告らは,平成25年9月28日,本件土地に係る平成25年度(第2
期分)の固定資産税等(12万円)を納付した。(弁論の全趣旨)
(3)本件土地に係る原告らの固定資産税等の納付額
原告らの本件土地に係る本件納付済み固定資産税等(納付後の相続を反映
したもの)は,別紙7納付税額一覧表記載のとおりである。
(4)本件訴えの提起
原告らは,平成25年11月6日,本件訴えを提起した。(顕著な事実)
3争点及び争点に関する当事者の主張
本件における争点は,本件誤納金返還請求及び本件債務不存在確認請求に係
る本件各賦課決定の有効性と,本件国家賠償請求に係る被告下水道局の職員に
よる違法行為等の有無であり,これらに関する当事者の主張の要旨は,次のと
おりである。
(1)本件各賦課決定の有効性
(被告の主張)
ア被告の原告らに対する誤納金返還義務が不存在しないこと
原告らは,本件各賦課決定は無効であるとして,納付した平成23年度
(平成18年度相当分ないし平成22年度相当分を含む。)から平成25
年度第2期分までの固定資産税等の合計304万4400円(本件納付済
み固定資産税等)を誤納金として返還するように被告に対して求めている。
しかし,固定資産税等の賦課決定に不服がある場合には,審査請求を経
た上で当該賦課決定の取消訴訟を提起するという争訟手続が設けられて
おり(地方税法19条,19条の11,19条の12),このような手続
を経ずに課税庁が誤納金として返還義務を負うのは,行政処分の違法性が
重大であるため著しく不公正な結果をきたし,しかも,その違法性が客観
的に明白であって,何人にも容易に認識し得るというような特別の事情が
あることについての主張立証がされた場合に限られる。
本件において,被告は,租税法律主義(憲法84条)の下,本件各条項
に基づいて本件土地の所有者(共有者)として登記されていた原告ら及び
P23に対して本件各賦課決定をしたのであるから,その違法性が重大で
あるため著しく不公正な結果を来たし,しかも,その違法性が客観的に明
白であって,何人にも容易に認識し得るというような特別の事情が存しな
いことは明らかである。
したがって,被告は原告らに対して本件納付済み固定資産税等の誤納金
返還義務を負うものではない。
イ本件各賦課決定が適法であること
以下に述べるとおり,本件各賦課決定は,本件各条項等の地方税法の定
めに従って適法にされたものである。
すなわち,原告ら並びにP23及びP24は本件各賦課決定に係る賦課
期日において本件土地の共有者として登記簿に登記されていたことから,
東京都渋谷都税事務所長は,この事実に基づいて原告らを平成23年度か
ら平成25年度までの本件土地に係る固定資産税等の納税義務者として
賦課決定を行ったのであり,また,本件土地に係る平成18年度相当分な
いし平成22年度相当分の固定資産税等についても,納税義務者の認定に
ついて地方税法が所有者として登記されている者等を原則としているこ
とに照らし,本件土地の所有者として登記されていたP22から本件土地
を相続した者として登記されていた原告ら並びにP23及びP24に対
して本件土地に係る固定資産税等の賦課決定を行ったものである。
ウ原告らの主張に対する反論
(ア)原告らは,本件土地について,①被告が所有するものであること
(地方税法348条1項),②地下部分が暗渠化されて下水道施設と
して利用され,地表部分についても使用収益が全く予定されておらず,
公共の用に供されていること(同法348条2項1号)から,非課税の
物件であると主張する。
しかしながら,①本件土地が客観的には被告の所有するものであっ
て非課税となるべきものであったとしても,原告ら並びにP23及びP
24は本件各賦課決定に係る賦課期日において本件土地の共有者として
登記簿に登記されていたのであるから,同人らに対して本件各条項に基
づいてされた本件各賦課決定は適法である。また,②地方税法348条
2項1号の「公共の用に供する」とは,当該固定資産を公共の用に供す
ることによってその所有者による使用収益の可能性がない状態にあるこ
とをいい,同条3項は,同条2項各号の規定する固定資産であっても各
号に掲げる目的以外の目的に使用する場合においては,固定資産税を課
する旨を定めていることからすると,同項各号により非課税となる固定
資産に該当するか否かは,当該固定資産の使用の実態に着目して判断す
べきものと解される。本件土地は,地下部分には下水道管が敷設されて
いるものの,地上部分では北西及び南東の両端部分の各一部で道路の一
部となっているほか(当該道路部分83.42㎡について,東京都渋谷
都税事務所長は,同項5号の規定に基づいて非課税としている。),当
該道路部分を除く地上部分は宅地として利用可能な状態となっており,
現在も私人である第三者による利用がされていることからすると,本件
土地の地下に敷設された当該下水道管自体は,被告(代表者東京都下水
道局長)が公共目的のために設置した施設であるとしても,本件土地の
使用実態に着目して判断すれば,本件土地がその所有者による使用収益
の可能性がない状態にあるものとは認められないから,本件土地は同条
2項1号により非課税とされるものではない。なお,本件土地のように
下水道管が地下に敷設されている土地については,用途非課税の規定に
該当するものではないが,地下部分の利用において阻害があること,荷
重制限など地上建物の建築制限等の対象となることなど,価格上のマイ
ナス要因があることから,被告では,同法388条の規定する固定資産
評価基準第1章第3節二4において課税団体の長に認められた「市街地
宅地評価法」における所要の補正の権限に基づき,当該土地に一定の減
価を行うことを定めており,本件土地も減価の対象としている。
(イ)原告らは,本件各賦課決定について,東京都渋谷都税事務所長が,
本件土地が実際には被告の所有であるのに原告らの所有するものである
と誤認して行ったものであり,前提とする事実を誤ったという重大かつ
明白な瑕疵があり,無効であると主張する。
しかしながら,原告ら並びにP23及びP24は本件各賦課決定に係
る賦課期日において本件土地の共有者として登記簿に登記されていたの
であるから,同人らに対して本件各条項に基づいてされた本件各賦課決
定は適法である。
(ウ)原告らは,真実の所有者である被告との関係で本件土地が固定資産
税等の課税の対象とならないから,本件各条項は適用されないと主張す
る。
しかしながら,地方税法その他の法令には,真実の所有者との関係で
当該土地又は家屋が固定資産税等の課税の対象とならない場合には本件
各条項は適用されないとする規定は存在せず,真実の所有者が非課税と
なる場合であっても本件各条項に基づいて行われた固定資産税等の賦課
決定が違法になるものではない。
また,原告P1を始めとする原告ら(原告P12を除く。)並びにP
23及びP24は,本件土地が被告の所有する土地であることや,本件
土地について原告らに対する移転登記を行えば固定資産税等が課される
ことを十分に認識した上で,本件土地上の不法占有者を排除するために
あえて本件土地について本件各移転登記を行ったのであるから,本件土
地に係る固定資産税等の納税義務者となることはむしろ当然のことであ
って,特段不公平なものではない。
(エ)原告らは,本件土地の所有権が自らに帰属していることを認識して
いた被告が本件各条項を形式的に適用することが信義則,平等原則に違
反するとも主張する。
しかしながら,地方税法その他の法令には,課税庁が自らに所有権が
帰属していることを認識している場合には本件各条項は適用されないと
する規定は存在せず,原告らの主張は独自の見解を述べるものにすぎな
いのであって,租税法律主義の下,採用し得ないものであることは明ら
かである。
(オ)原告らは,本件各移転登記は,被告下水道局の職員が原告らをして
本件土地の所有権が自らに帰属するものと誤信させたことを原因として
されたものであり,自らの過失によって登記簿上の所有名義を作出した
被告が本件各条項を援用することは信義則に反すると主張する。
しかしながら,租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係にお
いては,信義則の法理の適用については慎重でなければならず,租税法
規の適用における納税者間の平等,公平という要請を犠牲にしてもなお
当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正
義に反するといえるような特別の事情が存する場合に,初めて信義則の
法理の適用の是非を考えるべきものである。そして,このような特別な
事情が存するかどうかの判断に当たっては,少なくとも,税務官庁が納
税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したことにより,納税者が
その表示を信頼しその信頼に基づいて行動したところ,後に当該表示に
反する課税処分が行われ,そのために納税者が経済的不利益を受けるこ
とになったものであるかどうか,また,納税者が税務官庁の当該表示を
信頼しその信頼に基づいて行動したことについて納税者の責めに帰すべ
き事由がないかどうかという点の考慮は不可欠である。
本件では,都知事から都税の賦課徴収に関する事項について委任を受
けた東京都渋谷都税事務所長の指揮監督の下,東京都渋谷都税事務所職
員が事務を行った上で,東京都渋谷都税事務所長が本件各賦課決定を行
ったものであるが,東京都渋谷都税事務所長(その指揮監督を受けて事
務を行う東京都渋谷都税事務所職員を含む。)が原告ら(原告P12を
除く。)又はP23若しくはP24に対して,本件土地の所有権が同人
らに帰属するとの公的見解を表示したことはないから,本件各賦課決定
に信義則の法理の適用はない。また,過去に本件土地に係る地租が課さ
れてこなかったという事実が,「税務官庁が納税者に対し信頼の対象と
なる公的見解を表示したこと」に当たるものではないことも明らかであ
る。
(カ)原告らは,原告らには何ら落ち度がなく,本件各土地の所有名義を
被告に変更する方法もなかったから,被告は本件各賦課決定の有効性を
条理上主張できないと主張する。
しかしながら,仮に公務員の職務上の法的義務の違背によって過大な
課税がされたのであれば,賦課決定に無効事由が認められない場合であ
っても,国家賠償請求によってその損害を回復することが認められてい
るのであるから,租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係にお
いて,法の一般原理である条理を持ち出してまで課税処分の有効性に係
る主張を否定すべき事態は生じ得ず,原告らの上記主張は失当である。
また,原告ら(原告P12を除く。)並びにP23及びP24は,前
記(ウ)のとおり,本件土地の所有権が被告に帰属することを十分に認識
しながら,あえて本件土地の相続登記をしたことからすると,条理上,
本件各賦課決定の効力を否定するような場合には当たらない。
(原告ら)
ア本件各賦課決定は非課税物件である本件土地に対してされたものであ
ること
本件土地は,被告が所有するものであり,地方税法348条1項により,
非課税の物件であった。
また,本件土地は,明治41年頃以降,下水道用地として被告によって
管理されるとともに,所有権も被告に帰属していたのであり,地表部分も
被告がその使用を許諾しない限り私人が使用収益することは全く不可能
であり,地下部分のみならず,地表部分も含めて公共の用に供されていた
といえるし,本件土地は道路部分を除く地積は104.58㎡であり,北
西側は間口が4m程度しかない狭隘な土地であり,宅地等として利用する
ことが予定されておらず,使用収益の可能性はなかったから,同条2項1
号により,非課税の物件であった。なお,P25による本件土地の地表部
の使用は違法なものであり,違法な使用がされていたことをもって,使用
収益が可能であったということはできない。
このように,本件土地は非課税の物件であるから,これを課税対象とし
た本件各賦課決定は無効である。
イ本件各賦課決定には前提とする事実を誤った重大かつ明白な瑕疵があ
ること
東京都渋谷都税事務所長は,本件土地が原告らの所有するものであるこ
とを前提として本件各賦課決定を行っているところ,実際には本件土地は
被告が所有していたのに,上記のとおり,原告らが所有すると誤認してさ
れたものであり,前提とする事実を誤っていたことから,本件各賦課決定
には重大かつ明白な瑕疵があり,無効である。
ウ本件土地については本件各条項が適用されないこと
本件土地は,明治41年8月20日にP22から東京府に所有権が移
転して,官有水路として公共の用に供されたことによって無租地となり,
その所有権は被告に帰属した。本件土地は,地下に下水道管が埋設され,
使用収益は一切不可能な状態にあり,登記簿上,P22が所有者とされ
ていた明治37年12月19日から,平成22年12月2日に本件各移
転登記がされて平成23年に固定資産税等の賦課決定がされるまでの
100年以上もの間,固定資産税等の課税はされていなかった。
また,固定資産税等の納付義務者を登記簿上の所有者とする本件各条
項の趣旨は,個々具体的に真実の所有者を確定することが著しく困難で
ある一方,ほとんどの場合は真実の所有者と名義人とが一致することを
理由として,課税上の便宜を図るという点にあるところ,ある土地又は
家屋が真実の所有者との関係で固定資産税等の課税の対象となる場合,
当該土地又は家屋に係る固定資産税等を納付した真実の所有者でない
登記名義人は真実の所有者に対して当該固定資産税等に相当する金員
を不当利得として返還を求めることができるから,課税上の便宜を優先
させても不当とはいえないが,当該土地又は家屋の真実の所有者が被告
のように非課税とされる場合には,当該土地又は家屋の登記名義人は真
実の所有者に対して不当利得返還請求をすることができないため,著し
く不公平な結果となる。
そして,本件土地については真実の所有者である被告との関係で固定
資産税等の課税の対象とならないから,本件各条項は適用されない。
エ本件土地が本来的に課税の対象とならないことを認識しながらされた
本件各賦課決定は信義則,平等原則に違反すること
本件土地が法律上非課税とされ,100年以上もの長期間一切課税さ
れてこなかったことから,被告は,本件土地は本来的に課税の対象とな
らないことを認識していた。
それにもかかわらず,本件土地について本件各移転登記がされるや否
や,本件各条項を盾に突如として固定資産税等の賦課決定をしてきたも
のであり,本件各賦課決定は著しく不平等であり,信義則にも反するも
のといえる。
特に,平成24年12月26日に言い渡された前件訴訟の判決におい
て本件土地の所有権が被告にあるとされ,遅くとも平成25年1月20
日頃に同判決が確定し,本件土地の所有権が被告にあることが客観的に
明白になったのであるから,本件各条項の趣旨である課税上の便宜を図
る必要性は全くなく,平成25年度の固定資産税等の課税についてまで
本件各条項の適用を認めるのは著しく不公平である。
オ被告下水道局の職員の言動に基づいて本件各移転登記がされたことを契
機としてされた本件各賦課決定について被告が本件各条項を援用すること
は信義則に違反すること
土地家屋調査士及び測量士であるP26は,原告P2の代理人として,
平成2年頃から,被告下水道局の職員との間で,終始一貫して被告に本
件土地の所有権が帰属することを前提として交渉を重ねて来たが,被告
下水道局の職員であるP27らは,あたかもP22の相続人に本件土地
の所有権が帰属するかのような曖昧な態度をとり続けてきた。
また,被告下水道局の職員であるP28は,被告において用地の取得
及び管理を担当しており,用地の権利関係について専門的知見を有する
立場にありながら,平成22年2月5日に原告P1からP25による本
件土地の不法占拠状態の解消についての問合せを受けた際,実際には本
件土地の所有権が被告に帰属するにもかかわらず,土地台帳や過去の記
録を何ら調査することなく,本件土地が被告の所有する土地でないと明
言し,しかも「民民の問題である。」などと,あたかも登記名義人であ
るP22の相続人に所有権が帰属するかのような誤った見解を述べた。
このように,原告P2や原告P1からの問合せを受けた被告下水道局
の職員が,平成2年頃以降,一貫して被告には所有権がなく,あたかも
原告らに所有権があるかのごとく態度をとり続けてきたため,原告P1
は,P22が本件土地を所有していたものと誤解し,原告ら(原告P1
2を除く。)並びにP23及びP24は,別件訴訟の訴えを提起するた
めに本件各移転登記をし,その結果,原告ら並びにP23及びP24は
本件土地に係る固定資産税等を課されることとなってしまった。
そうすると,原告ら(原告P12を除く。)並びにP23及びP24
が本件各移転登記を経由して原告ら並びにP23及びP24が本件土
地に係る固定資産税等を課されることになったのは,被告下水道局の職
員の誤導によるものであり,被告は,自らの過失によって原告ら(原告
P12を除く。)並びにP23及びP24を本件土地の所有者(共有者)
とする登記を作出させたのであるから,被告が本件各条項を援用するこ
とは著しく不公平で信義則に反する。
カ被告が条理上本件各賦課決定の有効性を主張できないこと
原告P2及び同人の委任を受けたP26並びに原告P1は,再三に亘
り,本件土地の所有権の帰属について確認をしていたところ,公的な機
関である被告下水道局の職員から,本件土地は被告が所有するものでは
ないという回答がされてきたのであるから,同人らが本件土地の所有権
の帰属について誤信することもやむを得なかったといえる。また,原告
ら(原告P12を除く。)並びにP23及びP24が本件土地について
本件各移転登記をしたのは,P25による本件土地の不法占有状態の解
消を被告に求めたにもかかわらず,対応をしてもらえなかったため,自
ら訴えを提起しようとしたからにほかならないのであって,その目的も
正当なものであった。さらに,そもそも被告が本件土地の所有を認めな
いという状況下において,本件土地の所有名義を被告に変更することは
不可能な状態にあった。加えて,前件訴訟では,被告に本件土地の所有
権が帰属するということを前提とする和解協議がされたものの,原告ら
並びにP23及びP24が納付した固定資産税等の返還を被告が一切
認めなかったために話合いは決裂し,任意の話合いで本件土地の登記名
義を被告に変更するということはできなかった。
そうすると,原告ら(原告P12を除く。)並びにP23及びP24
が本件各土地の所有者として登記されたことについて同人らには何ら
落ち度がなかったといえ,また,本件土地の所有名義を被告に変更する
方法もなかったのであるから,被告は本件各賦課決定の有効性を条理上
主張できないというべきである。特に前件訴訟において判決が言い渡さ
れた平成24年12月26日から固定資産税等の賦課期日である平成
25年1月1日までの間に本件土地の所有名義を被告に変更すること
は事実上不可能であったのだから,被告は本件土地に係る平成25年度
の固定資産税等の賦課決定の有効性を条理上主張することができない。
(2)被告下水道局の職員による違法行為等の有無
(原告らの主張)
アP28が違法行為を行っていること
被告下水道局の職員であるP28は,被告において用地の取得及び管
理を担当し,用地の権利関係につき専門的知見を有する立場にありなが
ら,平成22年2月5日に原告P1からP25による本件土地の不法占
拠の解消についての問合せを受けた際,実際には本件土地の所有権が被
告下水道局に帰属するにもかかわらず,土地台帳や過去の記録を何ら調
査することなく,本件土地が下水道局の土地でない旨明言し,しかも「民
民の問題である。」と,あたかも本件土地の所有権が登記名義人である
P22の相続人に帰属するかのような誤った見解を述べるという違法
行為をした。
イP28の違法行為が「職務を行うについて」されたものであること
P28は,上記アの違法行為の当時,被告下水道局の経理部資産運用
課運用推進担当係長の役職にあった者であったところ,地下に下水道管
が通っているP22名義の本件土地の不法占拠状態を解消するにはど
うしたら良いかという原告P1の問合せに対する回答は,被告において
用地の取得及び管理を行っていた職員としての見解を示したものであ
り,P28の「職務を行うについて」されたものといえる。
ウP28には過失があること
P28は,原告P1から,先祖であるP22名義の土地が不法占拠さ
れており,その地下には下水道管が通っているが,この不法占拠状態を
解消するにはどうしたら良いかという質問を受けており,この質問内容
からすると,少なくとも原告P1が不法占拠状態を解消したいという意
向を有しており,被告に対して不法占拠状態の解消を期待していること,
また,本件土地が同人の先祖であるP22名義の土地となっていること
から,原告P1も本件土地に利害関係を有する可能性があることを認識
できていたはずである。そして,被告において用地の権利関係について
取り扱う立場にある職員が,被告が本件土地に無関係であり,私人間で
解決すべき問題であると回答をすれば,原告P1が自らの力で不法占拠
状態を解消しようという行動に出るであろうことは容易に予測できる
ところであり,不法占拠状態を解消するのであれば所有権者として振る
舞うことになるであろうことも予測できるところである。
したがって,被告の用地の権利関係について取り扱う立場にある職員
としては,原告P1からの問合せに回答するのであれば,原告P1が本
件土地の権利関係について誤解することがないようにするため,十分な
調査を尽くすべき注意義務を負っていたというべきであり,P28と同
じく下水道局の経理部に所属していたP27も旧土地台帳等過去の資
料の記載から本件土地が被告の所有であることは間違いないと判断し
ていることからすると,P28にとってもこのように判断することは容
易であったはずである。
しかるに,P28は,過去の資料を一切調査することなく,土地台帳
の記載上本件土地につき被告の所有権ないし地上権等の記載がなく,下
水道台帳の図面に記載があったということだけで,被告には所有権がな
い旨の回答をしており,十分な調査をするべき注意義務を尽くさなかっ
たといえるから,P28には過失があったといえる。
エP28の違法行為によって原告らに損害が発生したこと
原告P1がP28から本件土地が被告の所有するものであると言わ
れれば,原告ら(原告P12を除く。)並びにP23及びP24は,本
件各移転登記を経由して前件訴訟の訴えを提起することはなかったの
に,P28の「下水道局の土地ではない。」「民民の問題である。」と
の発言により,本件各移転登記を経由して前件訴訟の訴えを提起したの
であるから,P28の違法行為と本件各移転登記との間には相当因果関
係がある。
そして,不法占拠状態を解消するためには訴えを提起する可能性があ
り,その前提として既に死亡している先祖から相続を原因とする登記を
するということは容易に予測がつくところであるから,本件各移転登記
に要する費用は通常予見できる損害といえる。また,仮に本件各条項が
形式的に適用されれば,本件土地についての持分移転登記がされること
によって固定資産税等の負担が発生することは通常予見できるといえ
るから,本来負担する必要のなかった当該固定資産税等の負担について
も通常損害の範囲に含まれるものといえる。
よって,P28の違法行為によって発生した損害は,本件各移転登記
に係る司法書士及び税理士に対する費用合計236万8696円(原告
P17及び原告P18について各16万1502円,その余の原告らに
ついて各10万7668円)並びに本件土地について原告らが負担する
に至っている平成18年度から平成25年度第2期分までの固定資産税
等304万4400円(本件納付済み固定資産税等。各原告について別紙
7納付税額一覧表記載の金額)相当額であるといえる。
(被告の主張)
アP28の対応に過失はないこと
(ア)P28は,平成22年2月5日に原告P1から問合せを受けた際,
被告下水道局が権利を有する土地が記載された土地台帳を調べた上で本
件土地の所有権が被告にないと回答したが,これは,原告P1から,「先
祖の土地が他人に占有されている。」「地下には下水道管が入っている。
どうしたらよいか。」と尋ねられたために,念のため土地台帳で当該土
地に下水道局の権利関係が設定されていないかを確認したところ,土地
台帳には権利関係の設定が記載されていなかったことから,本件土地の
所有権が被告にないと回答したものであり,下水道管が入った土地に権
利関係が設定されていなくとも,所有者から使用承諾を得ている場合も
多いことからすると,権利関係の設定が確認できなくとも,それ以上の
調査は必ずしも必要でない。
(イ)確かに,P28が,本件土地に係るそれまでの交渉記録などの資料
を確認していれば,本件土地の所有権が被告にないという回答はしなか
ったと思われる。
しかしながら,P28は,本件土地に関する従前の交渉について,懸
案事項としての引継ぎを受けておらず,また,交渉が膠着状態となった
事案については,何らかの機会がなければ解決困難であるから,直接引
継ぎが行われずに資料を保管しておくにとどまることもやむを得ないこ
とである。
(ウ)また,原告P1が,P28に対し,本件土地の所有権を確認しても
らいたい旨尋ねていれば,P28は,本件土地に係るそれまでの交渉記
録などの資料を確認したはずであるが,原告P1が,P26から本件土
地の所有権が被告に帰属するとの見解を得ていたにもかかわらず,「先
祖の土地が他人に占有されている」と述べて,自己に所有権が帰属する
ことを前提として不法占有の排除を求めたことから,P28は土地台帳
を確認するという以上の資料の確認をしなかったのである。
(エ)そうすると,P28が,本件土地に係るそれまでの交渉記録などの
資料を確認することなく,土地台帳を確認して被告の権利が設定されて
いなかったことから本件土地の所有権は被告にはないと考え,本件土地
の所有者と占有者の間で解決してもらうほかない旨回答したことは,適
正な対応であって,P28について,何ら注意義務違反はなく,過失は
ない。
イ被告下水道局の職員の対応と本件土地の所有権移転登記との間に相当因
果関係がないこと
原告P1は,P26及び原告P2から本件土地の所有権が被告に帰属す
ると聞いていたものの,自身では,P22の相続人に帰属するのではない
かとも考えていたため,P28に対して,本件土地の所有権が被告に帰属
するとは言わずに,「先祖の土地が他人に占有されている」と述べて,本
件土地の所有権が自己に帰属することを前提として第三者の占有の排除
を求めたのである。
そして,原告P1は,P28から被告は占有の排除に対応できないとい
われたため,P25の占有を排除するために本件土地の相続登記をとりま
とめ,建物収去土地明渡等請求訴訟を提起したのであって,結局,原告ら
(原告P12を除く。)並びにP23及びP24は,本件土地の所有権が
自己に帰属すると考え,そして,そうならば第三者の占有を排除したいと
考え,自らの判断により,本件各移転登記を経由して前件訴訟の訴えを提
起したのである。
したがって,結果として,原告らが提起した訴訟において本件土地の所
有権が被告にあると判断され,原告らに損害が生じたとしても,被告下水
道局の職員の行為との間に相当因果関係はない。
第3当裁判所の判断
1認定事実
前提事実並びに証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の各事実を認めることが
できる(各末尾括弧内記載の証拠等は,認定に主として用いたものである。)。
(1)本件土地の状況等
アP22(明治5年▲月▲日生)は,明治37年12月19日,本
件土地を含む東京都渋谷区α所在×番1の土地を売買によって取得し
た。(前提事実(1)ア)
イ本件土地は,昭和39年9月27日にP22が所有する上記アの×
番1の土地から分筆された土地であり,明治41年3月25日にP2
2から官有水路敷として国に所有権が移転し,その後又は直ちに東京
府に下付されることにより,東京府にその所有権が移転した。(甲1
0,弁論の全趣旨)
そして,本件土地について,旧土地台帳には,沿革欄に「明治三九
年九月二七日×ノ1番ヨリ分裂」「明治四十一年三月二十五日官
有水域敷成」「同年八月二十日除租」と記載され,所有主氏名欄に
は「P22」の次に「東京府」の記載があり,地目欄の記載も「宅地」
から「公渠」に変更されていた。(甲13)
その一方,本件土地については,大正3年1月15日,前記アの×
番1の土地からの分筆により表示登記がされるとともに,P22名義
で保存登記がされていた。(乙B1)
ウ本件土地の周辺の土地で下水道管が埋設されていた土地は,土地登記簿,
旧土地台帳及び固定資産土地課税台帳のいずれにおいても,従前の所有者
から内務省に所有名義が変更されていた。(甲14の1及び2,乙B1,
乙B3)
エ本件土地の地下部分は,暗渠化された公共下水道として整備され,被告
下水道局によって管理されている。(甲10,乙B1,弁論の全趣旨)
オP25の父親であるP29は,本件土地の南西側に隣接する土地を所有
していたところ,本件土地について,渋谷区から溝渠使用許可を受けてい
た。(甲10,甲20の1ないし8,弁論の全趣旨)
(2)平成2年頃から平成7年頃までの原告らと被告の交渉の経緯
ア原告P2は,平成2年頃,P25の父親であるP29との間で,本件土
地とP29が所有する隣地との間の境界を画定するために現地立会いを行
った。(甲18,証人P26)
イ原告P2及び同人の依頼を受けた土地家屋調査士のP26は,平成2年
頃から平成7年頃まで,P27を含む被告下水道局の職員との間で,下水
道管が埋設されたP22名義の本件土地の取扱いについての交渉を行った。
(甲18,乙B1,乙B2,乙B3,乙B4,証人P26,証人P27)
上記の交渉では,P22が所有者として登記されている本件土地につい
て,被告に無償譲渡するとか,被告を権利者とする無償の地上権を設定す
るという話が出たことがあったが,これらはいずれも実現せず,一方で,
原告P2が被告に対して本件土地の買取りを求めたこともあったが,これ
も実現しなかった。(甲18,乙B1,乙B2,乙B3,乙B4,証人P
26,証人P27)
なお,P26は,前記の交渉に当たっては,土地家屋調査士,測量士の
資格を有する者として,本件土地の地下に下水道管が埋設されていること
や旧土地台帳を確認した結果等から,本件土地は被告が所有するものであ
ると考えており,それを原告P2にも伝えており,原告P2もこれを納得
していた。(甲18,証人P26)
(3)平成21年頃から本件各移転登記がされるまでの経過
ア原告P1は,平成21年頃,自身が代表取締役を務めていた会社の元従
業員から,P25が建物を建てて本件土地を不法占拠しているという話を
聞いたことから,本件土地の登記簿を確認して,本件土地が祖父のP22
名義となっていることを認識した。(甲16,原告P1本人)
イ原告P1は,本件土地について,以前に原告P2が被告との間で揉めて
いたという話を聞き及んでいたことから,原告P2が当時依頼していたP
26から事情を聞くことし,平成21年7月22日,P26から,本件土
地は被告の所有するものであり,P22の名義になっているのは嘱託登記
漏れであるという話を聞いた。(甲16,証人P26,原告P1本人,弁
論の全趣旨)
ウ原告P1が平成21年7月末から同年8月にかけて本件土地を確認する
と,本件土地はP25が立てた2階建ての建物で占有されていたことから,
原告P1は,このままこれを放置しておくことはできないと考えた。(甲
16)
エ原告P1は,平成22年2月5日,被告下水道局に電話をし,同局にお
いて用地の取得及び管理を担当する経理部資産運用課運用推進担当係
長の職にあったP28に対し,本件土地について「先祖が持っている土
地があることがわかったが,他人に占有されている。地下には下水道管が
通っている。どうしたらよいか。」という問合せをし,本件土地はP22
が明治37年に売買で取得したが,明治39年に下水道を引くことになり
免租となっており,現在,固定資産税は払っていないことなどを説明した。
P28は,一度電話を切った上,下水道局に備えられた下水道台帳の図面
と土地台帳(住所地番毎に被告が権利を有している場合にはその権利等の
情報を記載したもの)を確認したところ,本件土地に下水道管が埋設され
ていることは確認できたが,本件土地に関する下水道局の権利は土地台帳
に記載されておらず,土地台帳上,被告は所有者ではなく,地上権者でも
なかったことから,本件土地については下水道局の権利はないものと判断
し,P1に電話をして,「調べたら,地下に下水管が通っているが,土地
は被告のものではない。民民間で協議して下さい。」という回答をした。
(甲16,乙B5,乙B6,証人P28,原告P1本人,弁論の全趣旨)
オ原告P1は,平成22年2月9日,原告P2と会って話を聞いたところ,
やはり,本件土地は被告の所有するものであり,嘱託登記が漏れてしまっ
たのだろうとのことであった。(甲16,原告P1本人)
(4)本件各移転登記以後の経緯
ア原告ら(原告P12を除く。)並びにP23及びP24は,平成22年
12月2日,本件各移転登記を経由した上,平成23年1月13日,本件
土地の隣地を所有するP25を被告として,本件土地の所有権に基づいて
建物収去土地明渡等を求める旨の訴え(前件訴訟)を提起した。(前提事
実(2)ア,イ)
なお,被告は,本件土地の所有権の確認と真正な登記名義の回復を原因
とする所有権移転登記手続を求めて前件訴訟に参加した上,P25が本件
土地の地上権の時効取得を主張したのに対し,公共用財産が明示的にも黙
示的にも公用廃止されていない以上,原則として私権を設定することがで
きず,明確な下水道施設が設置されていなかったとしても,そのような土
地利用の形態が暗渠の下水道の土地利用の形態であるのであるから,本件
土地の地上部分についても,公の目的に供されることなく放置されたもの
でも,公共用財産としての形態,機能を全く喪失したものでもないと主張
していた。(前提事実(2)イ,甲17)
イ東京都渋谷都税事務所長は,平成23年6月から同年7月にかけて,本
件土地に係る平成23年度(平成18年度相当分ないし平成22年度相当
分を含む。)の固定資産税等の賦課決定をし,原告ら(原告P12を除く。)
並びにP23及びP24は,その頃,これらを納付した(納付した平成2
3年度の固定資産税等の一部は後に還付されている。)。(前提事実(2)
ウ,エ,オ,カ,キ,ク)
ウ東京都渋谷都税事務所長は,平成24年6月,本件土地に係る平成24
年度分の固定資産税等の賦課決定をし,原告ら及びP24は,同月から平
成25年2月にかけて,これを納付した。(前提事実(2)ケ,コ)
エ前件訴訟の受訴裁判所は,平成24年12月26日,本件土地の所有者
を被告とするとともに,私人である第三者が本件土地の地表部分を建物を
所有し又は駐車場として排他的に利用していたことや,それから現在まで
の間,本件土地上の建物の建替えはされたものの,第三者による排他的占
有は係属していることなどの事実を認定した上,本件土地の地下部分は現
在に至るまで暗渠化された公共下水道として公共用財産としての形態,機
能を維持しているというべきであるが,本件土地の地表部分は,長期にわ
たり,被告の所有地であることを前提に,第三者の平穏かつ公然の占有が
継続しており,一時期は渋谷区が本件土地の一部につき有償での使用を許
可した事実があったことからみても,第三者の使用のために公共下水道と
しての目的が害されることがなかったというべきであるとして,本件土地
の地下部分の公共下水道としての形態,機能,目的を害さない範囲におい
て,本件土地の地表部分につき,黙示的に公用が廃止されたものとして,
地上権の時効取得の成立を認めることを妨げないとする旨の判決をし,同
判決は,上訴されることなく,平成25年1月1日よりも後の日に自然確
定した。(前提事実(2)サ,甲10)
オ平成25年4月3日,本件土地について,原告ら(原告P12を除く。)
並びにP23及びP24から被告に対して本件回復登記がされ,東京都渋
谷都税事務所長は,同月12日頃,これを認識した。(前提事実(2)シ,ス)
カ東京都渋谷都税事務所長は,平成25年6月3日,本件土地に係る平成
25年度の固定資産税等の賦課決定をし,原告らは,同年7月1日にその
第1期分の,同年9月30日にその第2期分の,合計24万2400円を
納付したが,第3期分と第4期分の合計24万円は納付していない。(前
提事実(2)セ,ソ,タ,弁論の全趣旨)
2本件誤納金返還請求について
(1)誤納金の還付請求の要件について
原告らは,原告ら並びにP23及びP24が納付した本件土地に係る平成
23年度(平成18年度相当分ないし平成22年度相当分を含む。)から平
成25年度第2期分までの固定資産税等(本件納付済み固定資産税等)につ
いて,地方税法17条の規定する誤納金であるとして,その還付を請求して
いるところ,誤納金があるというためには,納付した金員に対応する租税債
務が当初から存在しないことが必要となる。そして,原告ら並びにP23及
びP24が納付した本件納付済み固定資産税等については,これに対応する
租税債務の発生原因となる本件各賦課決定が現にされていることからすると
(前提事実(2)ウ,エ,カ,ケ,セ),原告らが納付した上記固定資産税等に
つき誤納金があるというためには,本件各賦課決定がその効力を有しないこ
とが必要となる。
この点,課税処分については,その課税要件の根幹に関する内容上の過誤
が存在し,徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお,不服
申立期間の徒過による不可争的効果の発生を理由として被課税者に同処分に
よる不利益を甘受させることが著しく不当と認められるような例外的事情の
ある場合には,当該処分は当然に無効となるものと解される(最高裁昭和4
2年(行ツ)第57号同48年4月26日第一小法廷判決・民集27巻3号
629頁参照)。
(2)本件各賦課決定の根拠について
地方税法343条は,その1項において,固定資産税は,固定資産の所有
者に課する旨,その2項において,前項の所有者とは,土地又は家屋につい
ては,登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者とし
て登記又は登録されている者をいう旨規定しており,同法702条2項も,
都市計画税について同様の規定をしている。
そして,被告は,P22を所有者とする登記がされていた本件土地につい
て,平成22年12月2日付けで原告ら(原告P12を除く。)並びに原告
P23及びP24を所有者(共有者)とする本件各移転登記がされたことか
ら(前提事実(2)ア,認定事実(1)イ),本件土地の所有者として登記簿に登
記されている原告ら並びにP23及びP24を納税義務者として本件土地に
係る平成23年度から平成25年度までの固定資産税等の各賦課決定をし,
また,本件土地に係る平成18年度から平成22年度までの固定資産税等に
ついても,上記の原告らを納税義務者と認定して賦課決定を行ったと主張し
ている。
(3)本件各賦課決定の効力について
ア上記(2)によれば,本件各賦課決定は,形式的にみれば,本件各条項の規
定に従って行われたもののように見える。しかしながら,まず,確定した
前件訴訟の判決で示されているように,本件土地は,昭和18年の都政施
行以前から東京府(被告)が所有していたものであり,原告らの所有(共
有)するものではなかった(前提事実(2)サ)。そして,本件土地の所有者
である被告は,地方税法348条1項,702条の2第1項の規定により,
固定資産税等を課されないことからすると,被告は,本来であれば本件土
地に係る固定資産税等を賦課徴収することができないにもかかわらず,自
ら本件各賦課決定を行って,本件納付済み固定資産税等の納付を受けたと
いうことになる。一方,本件土地については,真の所有者である被告が固
定資産税等を課されない都であるため,原告らは,被告に対し,固定資産
税等の納税義務の負担を免れたという利得が被告に存在することを理由と
して不当利得返還請求をすることはできないということになる。
イこの点,そもそも,固定資産税は,土地,家屋及び償却資産の資産価値
に着目し,その所有という事実に担税力を認めて課する一種の財産税であ
り,その納税義務者は,賦課期日における固定資産の所有者であるが(地
方税法343条1項,359条),土地,家屋及び償却資産という極めて
大量に存在する課税物件について,課税主体である市町村等がその真の所
有者を逐一正確に把握することは事実上困難であるため,地方税法は,課
税上の技術的考慮から,土地又は家屋については,登記簿又は補充課税台
帳に賦課期日現在の所有者として登記又は登録されている者を固定資産税
の納税者として,その者に課税する方式を採用しているにすぎない(同法
343条2項前段)。これは,都市計画税についても同様である(同法7
02条2項)。
そして,上記のとおり,固定資産税等は,一種の財産税としての性格を
有しており,本来的には当該不動産の真実の所有者において負担すべきも
のであることや,土地又は家屋について登記簿又は補充課税台帳に賦課期
日現在の所有者として登記又は登録されている者を固定資産税等の納税
者としているのは,課税上の技術的考慮によるものにすぎないことからす
ると,本件各条項には,所有者として登記等されている者を当該不動産に
係る固定資産税等の最終的な負担者とする趣旨までは含んでいないもの
と解される。そうすると,不動産の真の所有者である市町村(固定資産税
等の課税主体である都を含む。以下同じ。)が,同法348条1項,70
2条の2第1項により固定資産税等が課されない団体であるにもかかわ
らず,自ら,本件各条項に基づいて,当該不動産について,登記簿又は補
充課税台帳に賦課期日現在の所有者として登記又は登録されている真の
所有者ではない者(以下「形式上の所有名義人」という。)を納税者とし
て固定資産税等の賦課決定をしたというような場合において,当該固定資
産税等の賦課決定の効力を認めて,当該市町村に対し,自らが所有する不
動産に係る固定資産税等の賦課徴収を認めて本来は得ることのできない
利得を得させる一方,真の所有者ではない形式上の所有名義人に対し,固
定資産税等の納付義務を負担させて本来は被る必要のない損失を最終的
に被らせることは,上記の固定資産税等の一種の財産税としての性格や本
件各条項の趣旨に反し,明らかに正義公平の原則にもとるものといわざる
を得ない。また,上記のような場合に当該市町村に固定資産税等の賦課徴
収を認めなかったとしても,何ら納税者間の平等,公平を害するものでも
ない。このような点を考慮すると,条理上,本件各条項は,市町村が自ら
所有する不動産について本件各条項を適用して形式上の所有名義人に対
して固定資産税等を課することは想定していないものと解するのが相当
である。
したがって,市町村が自ら所有する不動産について本件各条項を適用し
て形式上の所有名義人に対して固定資産税等の賦課決定を行った場合,本
来は適用することができない条項を適用して課税処分が行ったというこ
とになるから,当該固定資産税等の賦課決定については,その課税要件の
根幹に関する内容上の過誤が存在し,徴税行政の安定とその円滑な運営の
要請を斟酌してもなお,不服申立期間の徒過による不可争的効果の発生を
理由として被課税者に同処分による不利益を甘受させることが著しく不
当と認められるような例外的事情のある場合に該当し,当該決定は当然に
無効となるものと解するのが相当である。
ウこれを本件各賦課決定についてみると,被告は,本件土地の真の所有者
でありながら,本来は適用することのできない本件各条項を適用して本件
土地の形式上の所有名義人である原告ら並びにP23及びP24を納税者
として固定資産税等の賦課決定をしたものであるから,本件各賦課決定に
ついては,その課税要件の根幹に関する内容上の過誤が存在し,徴税行政
の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお,不服申立期間の徒過に
よる不可争的効果の発生を理由として被課税者に同処分による不利益を甘
受させることが著しく不当と認められるような例外的事情のある場合に該
当するといえるから,当然に無効なものというべきである。
なお,最高裁昭和54年(行ツ)第17号同54年9月20日第一小法
廷判決裁判集民事127号461頁は,固定資産税等の課税客体となった
不動産の所有者ではない市町村が行った固定資産税等の賦課決定の適否
が問題となった事案に関するものであり,本件とは事案を異にするという
べきである。
(4)小括
以上のとおり,本件各賦課決定は無効であるから,本件納付済み固定資産
税等は,当初から対応する租税債務が存在しなかったということになる。し
たがって,被告は,地方税法17条の規定に基づき,誤納金として,別紙7
納付税額一覧表の「原告」欄記載の各原告に対し,本件納付済み固定資産税
等に係る同「個別の納税額(小数点以下は切り捨て)」欄記載の各金員を返
還すべきことになるから,原告らの被告に対する本件誤納金返還請求は理由
がある。
なお,本件納付済み固定資産税等の返還に伴う延滞金に係る地方税法附則
3条の2第1項の規定する特例基準割合が,平成25年12月27日から同
年12月31日までは年4.3%,平成26年1月1日から同年12月31
日までは年1.9%,平成27年1月1日から同年12月31日までは年1.
8%,平成28年1月1日から同年12月31日までは年1.8%であるこ
とは当事者間に争いがない。
3本件債務不存在確認請求(平成25年第3期及び第4期分の固定資産税等)
について
上記2において判断したとおり,本件各賦課決定はいずれも無効であるから,
本件土地の平成25年度第3期分及び第4期分の固定資産税等に係る原告らの
被告に対する連帯納付債務は存在しないものと認められる。
したがって,東京都渋谷都税事務所長が原告らに対して平成25年6月3日
付けでした本件土地に係る固定資産税及び都市計画税の賦課決定処分に基づく
同年12月27日及び平成26年2月28日を納期限とする合計24万円の連
帯納付債務の不存在確認を求める旨の本件債務不存在確認請求は理由がある。
4本件国家賠償請求について
(1)P28による違法行為等について
ア原告らは,P28の言動により,原告P1において,P22が本件土地
の所有権を有していたものと誤信し,原告P1を始めとする原告ら(原告
P12を除く。)並びにP23及びP24が本件各移転登記をしたため,
司法書士に対する所有権移転登記手続等の費用(甲11の1及び2)及び
税理士に対する遺産分割協議書作成費用等(甲12)の各支払を余儀なく
されたほか,本件各賦課決定に基づいて本件土地に係る平成23年度(平
成18年年度相当分ないし平成22年度相当分を含む。)ないし平成25
年第2期分の固定資産税等の支払を余儀なくされ,これらの支払に相当す
る損害を被ったと主張する。
イこの点,認定事実のとおり,少なくとも,被告下水道局の職員であるP
28は,平成22年2月5日の原告P1からの問合せに対し,本件土地の
所有者がP22の相続人である原告らであると明確に言ったわけではない
ものの,本件土地は被告の所有するものではないとして,(原告P1が対
応を希望する本件土地の不法占拠の問題については)当事者間で協議すべ
きものであるという回答をしているところ(認定事実(3)エ),この回答は,
本件土地は被告が所有するという客観的な事実(前提事実(2)サ,認定事実
(4)エ)に反するものであったということができる。
また,認定事実のとおり,原告P2と共に平成2年頃から平成7年頃
までの間に行われた本件土地に係る被告下水道局の職員との交渉を行
ったP26が,本件土地は被告が所有するものであると認識していたこ
とのほか(認定事実(2)イ),本件土地について,旧土地台帳には被告
が所有者であることをうかがわせる記載があったこと(認定事実(1)イ),
本件土地の周辺の下水道管が埋設された土地については,登記簿上,従
前の所有者からの所有権移転がされていたこと(認定事実(1)ウ),そ
の他,証拠(証人P27)及び弁論の全趣旨によれば,P28と同じく
被告下水道局の職員として以前に同様の職務を行っていたP27が,本
件土地について,間違いなく被告の所有するものであると判断していた
ことなどが認められ,これらの事実によれば,P28が本件土地の正確
な権利関係を知りたいと考えて調査をすれば,本件土地が被告の所有に
属するという認識を得ることは可能であったものと認めることができ
る。
ウしかしながら,認定事実によれば,そもそも原告P1は,P28に対し,
本件土地の所有者が自らの先祖(祖父)であるP22であったことを前提
として,本件土地の地下に下水道管が埋まっていることを理由に,P25
による本件土地の不法占拠に被告が対応することができないかという問合
せをしており(認定事実(3)エ),このような問合せを受けた被告下水道局
に勤務するP28において,本件土地の正しい権利関係について調査し,
これを原告P1に告げるべき注意義務を負っていたとまでは認めることは
できず,P28において,本件土地の正確な権利関係を調査して原告P1
に告げなかったとしても,国家賠償法1条1項の規定する過失があったと
まで認めることはできない。
エ加えて,認定事実によれば,原告P1は,P28によって前記イのよう
な言動がされる以前に,原告P2と共に平成2年頃から平成7年頃まで
の間に行われた本件土地に係る被告下水道局の職員との交渉を行った
土地家屋調査士,測量士であるP26から,本件土地の所有者が被告であ
るということを明確に説明されており(認定事実(3)イ),また,P28に
よる上記の言動の後にも,原告P2から同様の説明を受け(認定事実(3)
オ),さらに,原告らが前件訴訟の訴えを提起した後に,被告が前件訴訟
に独立当事者参加して本件土地を所有している旨主張したにもかかわらず,
原告らが前件訴訟を維持し,判決にまで至っていることからすると(前提
事実(2)イ,サ,認定事実(4)ア,エ),原告P1を始めとする原告ら(原
告P12を除く。)並びにP23及びP24は,P28の言動に基づいて
本件土地を所有(共有)していると考えて本件各移転登記をして前件訴訟
の訴えを提起したのではなく,自身の判断において,本件土地が原告らの
所有するものであると考えて(原告P1本人),本件各移転登記を経由し
て前件訴訟の訴えを提起したものと認めるのが相当である。
したがって,原告ら(原告P12を除く。)並びにP23及びP24が
本件各移転登記を経由することに関連して何らかの損害を被ったとして
も,P28による上記の言動との間に相当因果関係を認めることはできな
いというべきである。
オ以上によれば,P28の原告らに対する過失による違法行為やそれと相
当因果関係のある原告らの損害を認めることはできない。
(2)その他の違法行為
原告らは,その他,平成2年頃から平成7年頃までの間に,被告下水道局
の職員が,本件土地がP22の相続人の所有に属すると誤信させるような言
動を行ったかのような主張をし,これに沿う内容の原告P1の陳述書(甲1
6)やP26の陳述書(甲18)を提出するほか,P26も一部これに沿う
ような証言(証人P26)をしている。しかしながら,被告がこれに反する
証拠(乙B1ないし4,証人P27)を提出しているほか(乙B1ないし4,
証人P27),認定事実のとおり,原告P2と共に被告下水道局と交渉を行
ってきたP26は,現に本件土地は被告が所有するものであると考えており,
その旨の説明を受けた原告P2もこれに納得していたことからすると(認定
事実(2)イ),被告の職員において,平成2年頃から平成7年頃までの間に,
原告らに対して本件土地の所有者が原告らであると誤信させたという違法行
為があったものと認めることはできない。
(3)小括
以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告らの被告に
対する本件国家賠償請求は理由がない。
第4結論
以上によれば,原告らの本件誤納金返還請求及び本件債務不存在確認請求はい
ずれも理由があるから,これらを認容し,本件国家賠償請求は理由がないから,
これを棄却し,仮執行宣言は相当ではないから付さないこととし,主文のとおり
判決する。
東京地方裁判所民事第2部
裁判官齊藤充洋
裁判長裁判官増田稔は転官につき,裁判官佐野義孝は転補につき,
署名押印することができない。
裁判官齊藤充洋
(別紙2)
主文目録
1原告P1,原告P2,原告P3,原告P4及び原告P5に対し
各10万1479円並びにこれに対する平成25年12月27日から同年1
2月31日まで年4.3%の割合による金員,平成26年1月1日から同年1
2月31日まで年1.9%の割合による金員,平成27年1月1日から同年1
2月31日まで年1.8%の割合による金員,平成28年1月1日から同年1
2月31日まで年1.8%の割合による金員及び平成29年1月1日から支払
済みまで地方税法附則3条の2第1項の規定する特例基準割合による金員
2原告P6,原告P7,原告P8,原告P9,原告P10,原告P11,原告
P12及び原告P13に対し
各12万6849円並びにこれに対する平成25年12月27日から同年1
2月31日まで年4.3%の割合による金員,平成26年1月1日から同年1
2月31日まで年1.9%の割合による金員,平成27年1月1日から同年1
2月31日まで年1.8%の割合による金員,平成28年1月1日から同年1
2月31日まで年1.8%の割合による金員及び平成29年1月1日から支払
済みまで地方税法附則3条の2第1項の規定する特例基準割合による金員
3原告P14,原告P15及び原告P16に対し
各16万9133円並びにこれに対する平成25年12月27日から同年1
2月31日まで年4.3%の割合による金員,平成26年1月1日から同年1
2月31日まで年1.9%の割合による金員,平成27年1月1日から同年1
2月31日まで年1.8%の割合による金員,平成28年1月1日から同年1
2月31日まで年1.8%の割合による金員及び平成29年1月1日から支払
済みまで地方税法附則3条の2第1項の規定する特例基準割合による金員
4原告P17及び原告P18に対し
各25万3698円並びにこれに対する平成25年12月27日から同年1
2月31日まで年4.3%の割合による金員,平成26年1月1日から同年1
2月31日まで年1.9%の割合による金員,平成27年1月1日から同年1
2月31日まで年1.8%の割合による金員,平成28年1月1日から同年1
2月31日まで年1.8%の割合による金員及び平成29年1月1日から支払
済みまで地方税法附則3条の2第1項の規定する特例基準割合による金員
5原告P19及び原告P20に対し
各8万4566円並びにこれに対する平成25年12月27日から同年12
月31日まで年4.3%の割合による金員,平成26年1月1日から同年12
月31日まで年1.9%の割合による金員,平成27年1月1日から同年12
月31日まで年1.8%の割合による金員,平成28年1月1日から同年12
月31日まで年1.8%の割合による金員及び平成29年1月1日から支払済
みまで地方税法附則3条の2第1項の規定する特例基準割合による金員
6原告P21に対し
金33万8266円並びにこれに対する平成25年12月27日から同年1
2月31日まで年4.3%の割合による金員,平成26年1月1日から同年1
2月31日まで年1.9%の割合による金員,平成27年1月1日から同年1
2月31日まで年1.8%の割合による金員,平成28年1月1日から同年1
2月31日まで年1.8%の割合による金員及び平成29年1月1日から支払
済みまで地方税法附則3条の2第1項の規定する特例基準割合による金員
以上
(別紙5)
関係法令の定め
1地方税法の定め
(1)地方税法1条2項は,同法中道府県に関する規定は都に,市町村に関する規
定は特別区に準用し,必要に応じて用語の読み替えをする旨規定している。
(2)地方税法3条の2は,地方団体の長は,同法で定めるその権限の一部を,当
該地方団体の条例の定めるところによって,地方自治法156条1項の規定に
よって条例で設ける税務に関する事務所の長に委任することができる旨規定し
ている。
(3)地方税法5条は,その2項2号において,市町村は,普通税として,固定資
産税を課するものとする旨,その6項1号において,市町村は,目的税として,
都市計画税を課することができる旨,それぞれ規定している。
(4)地方税法10条の2第1項は,共有物,共同使用物,共同事業,共同事業に
より生じた物件又は共同行為に対する地方団体の徴収金は,納税者が連帯して
納付する義務を負う旨規定している。
(5)地方税法17条は,地方団体の長は,過誤納に係る地方団体の徴収金がある
ときは,政令で定めるところにより,遅滞なく還付しなければならない旨規定
している。
(6)地方税法341条1号は,固定資産税について,固定資産の意味を土地,家
屋及び償却資産を総称するものとする旨規定している。
(7)地方税法342条1項は,固定資産税は,固定資産に対し,当該固定資産所
在の市町村において課する旨規定している。
(8)地方税法343条は,その1項において,固定資産税は,固定資産の所有者
(質権又は100年より永い存続期間の定めのある地上権の目的である土地に
ついては,その質権者又は地上権者とする。以下固定資産税について同様とす
る。)に課する旨,その2項前段において,前項の所有者とは,土地又は家屋
については,登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者
として登記又は登録されている者をいう旨,その2項後段において,同項前段
の場合において,所有者として登記又は登録されている個人が賦課期日前に死
亡しているときは,同日において当該土地又は家屋を現に所有している者をい
うものとする旨,それぞれ規定している。
(9)地方税法348条1項は,市町村は,国並びに都道府県,市町村,特別区,
これらの組合,財産区,地方開発事業団及び合併特例区に対しては,固定資産
税を課することができない旨規定している。
(10)地方税法348条2項1号は,固定資産税は,同項ただし書の場合を除き,
国並びに都道府県,市町村,特別区,これらの組合及び財産区が公用又は公共
の用に供する固定資産に対しては課することができない旨規定している。
(11)地方税法359条は,固定資産税の賦課期日は,当該年度の初日の属する
年の1月1日とする旨規定している。
(12)地方税法702条は,その1項前段において,市町村は,都市計画法に基
づいて行う都市計画事業又は土地区画整理法に基づいて行う土地区画整理事業
に要する費用に充てるため,当該市町村の区域で都市計画法5条の規定により
都市計画区域として指定されたもの(以下この項において「都市計画区域」と
いう。)のうち同法7条1項に規定する市街化区域(当該都市計画区域につい
て同項に規定する区域区分に関する都市計画が定められていない場合にあって
は,当該都市計画区域の全部又は一部の区域で条例で定める区域)内に所在す
る土地及び家屋に対し,その価格を課税標準として,当該土地又は家屋の所有
者に都市計画税を課することができる旨,その2項において,前項の「価格」
とは,当該土地又は家屋に係る固定資産税の課税標準となるべき価格(地方税
法349条の3第10項から12項まで,23項,24項,26項又は28項
の規定の適用を受ける土地又は家屋にあっては,その価格にそれぞれ当該各項
に定める率を乗じて得た額)をいい,前項の「所有者」とは,当該土地又は家
屋に係る固定資産税について343条(3項,8項及び9項を除く。)におい
て所有者とされ,又は所有者とみなされる者をいう旨,それぞれ規定している。
(13)地方税法702条の2第1項は,市町村は、国、非課税独立行政法人、国
立大学法人等及び日本年金機構並びに都道府県、市町村、特別区、これらの組
合、財産区、合併特例区及び地方独立行政法人に対しては、都市計画税を課す
ることができない旨規定している。
(14)地方税法702条の6は,都市計画税の賦課期日は,当該年度の初日の属
する年の1月1日とする旨規定している。
(15)地方税法702条の8前段は,都市計画税の賦課徴収は,固定資産税の賦
課徴収の例によるものとし,特別の事情がある場合を除くほか,固定資産税の
賦課徴収と併せて行うものとする旨規定している。
(16)地方税法734条1項は,都は,その特別区の存する区域において,普通
税として,同法4条2項に掲げるものを課するほか,同法1条2項の規定にか
かわらず,同法5条2項2号(固定資産税)及び6号に掲げるものを課するも
のとし,この場合においては,都を市とみなして同法第3章第2節及び第8節
の規定を準用する旨規定している。
(17)地方税法735条1項は,都は,その特別区の存する区域において,目的
税として,道府県が課することができる目的税を課することができるほか,同
法1条第2項の規定にかかわらず,同法5条5項及び6項1号(都市計画税)
に掲げる目的税を課することができ,この場合においては,都を市(同条5項
に掲げる目的税については,指定都市等)とみなして同法第4章中市町村の目
的税に関する部分の規定を準用する旨規定している。
2東京都都税条例(昭和25年東京都条例第56号。乙A1)
(1)東京都都税条例3条は,その3項2号において,特別区の存する区域におい
ては,同条1項に規定するもののほか,都税として固定資産税を課するものと
する旨,その4項2号において,特別区の存する区域においては,同条2項に
規定するもののほか,都税として都市計画税を課する旨,それぞれ規定してい
る。
(2)東京都都税条例4条の3第1項は,知事は,一部の事項を除いて,徴収金の
賦課徴収に関する事項及び都税に係る過料の徴収に関する事項を都税の納税地
所管の都税事務所長又は支庁長に委任する旨規定している。
(3)東京都都税条例118条1項は,固定資産税は,固定資産に対し,土地又は
家屋にあっては土地課税台帳等若しくは家屋課税台帳等に登録された基準年度
に係る賦課期日における価格又は地方税法349条2項ただし書,3項ただし
書,4項,5項ただし書若しくは6項に規定する当該価格に比準する価格,償
却資産にあっては賦課期日における価格で償却資産課税台帳に登録された価格
を課税標準として,それぞれ賦課期日現在における所有者に課し,この場合に
おいて,同法349条の3,同法349条の3の2又は同法附則15条から1
5条の3までの規定の適用を受ける固定資産にあっては,当該固定資産の価格
にそれぞれこれらの規定に定める率を乗じて得た額を課税標準とする旨規定し
ている。
(4)東京都都税条例127条は,固定資産税の賦課期日は,当該年度の初日の属
する年の1月1日とする旨規定している。
(5)東京都都税条例188条の26第1項は,都市計画税は,都市計画法に基づ
いて行う都市計画事業又は土地区画整理法に基づいて行う土地区画整理事業に
要する費用に充てるため,特別区の存する区域で都市計画法5条の規定により
都市計画区域として指定されたもののうち市街化区域内に所在する土地及び家
屋に対し,その価格(地方税法702条2項に規定する価格をいう。)を課税標
準として,賦課期日現在における所有者に課し,この場合において,同法70
2条の3又は同法附則15条から15条の3までの規定の適用を受ける土地及
び家屋にあっては,当該土地及び家屋の価格にそれぞれこれらの規定に定める
率を乗じて得た額を課税標準とする旨規定している。
(6)東京都都税条例188条の28は,都市計画税の賦課期日は,当該年度の初
日の属する年の1月1日とする旨規定している。
(7)東京都都税条例188条の30は,都市計画税の賦課徴収は,固定資産税の
賦課徴収の例によるものとし,知事において特別の事情があると認める場合を
除き,固定資産税の賦課徴収と併せて行うものとする旨規定している。
3東京都都税事務所設置条例(昭和25年東京都条例第49号。乙A2)の定め
(1)東京都都税事務所設置条例1条1項は,地方自治法156条1項の規定に基
づき,東京都都税を賦課徴収するため,必要の地に東京都都税事務所(以下「都
税事務所」という。)を置く旨規定している。
(2)東京都都税事務所設置条例2条1項,別表第1は,渋谷区の区域を所管区域
とする東京都渋谷都税事務所という名称の都税事務所を渋谷区に置く旨規定し
ている。
以上
(別紙7)
納付税額一覧表
原告持分割合個別の納付税額(小数点以下は切り捨て)
1P1360分の12\101,479
2P2360分の12\101,479
3P3360分の12\101,479
4P4360分の12\101,479
5P5360分の12\101,479
6P6360分の15\126,849
7P7360分の15\126,849
8P8360分の15\126,849
9P9360分の15\126,849
10P10360分の15\126,849
11P11360分の15\126,849
12P12360分の15\126,849
13P13360分の15\126,849
14P14360分の20\169,133
15P15360分の20\169,133
16P16360分の20\169,133
17P17360分の30\253,698
18P18360分の30\253,698
19P19360分の10\84,566
20P20360分の10\84,566
21P21360分の40\338,266

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛