弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成16年(ネ)第3893号違約金等本訴請求,不当利得返還反訴請求控訴事件
(原審・大阪地方裁判所平成15年(ワ)第10346号,平成16年(ワ)第501
6号)
判     決  
控訴人(原審本訴被告・反訴原告)  フルタ製菓株式会社(以下「被告」とい
う。)
同訴訟代理人弁護士         中嶋俊作 
被控訴人(原審本訴原告・反訴被告) 株式会社海洋堂(以下「原告」という。)
同訴訟代理人弁護士         水戸重之 
同                 荻野敦史 
主     文  
1 本件控訴を棄却する。       
2 控訴費用は,被告の負担とする。  
事実及び理由  
第1 控訴の趣旨
 1 原判決中,被告敗訴部分を取り消す。
 2 原告の本訴請求を棄却する。
 3 原告は,被告に対し,572万5048円及びこれに対する平成14年6月
1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 4 訴訟費用は,第1,2審を通じ,本訴反訴とも原告の負担とする。
第2 事案の概要
 1(1) 本訴
    原告が,被告に対し,被告が製造販売する菓子類のおまけとなる各種のフ
ィギュア(もともとは輪郭や人の姿の意味であるが,転じて人形や模型を指す。)
の模型原型を原告が製造し,これを被告に提供するに当たり,両者の間で複数の著
作権使用許諾契約を順次締結し,許諾料(ロイヤルティ)や違約金について定めて
いたところ,被告が原告に対し商品の製造数量について過少報告をし,また,未払
いのロイヤルティがあると主張して,上記各契約に基づくロイヤルティ及び約定違
約金(合計1億8011万7389円)の支払を請求した事案である。
  (2) 反訴
    被告が,原告に対し,前記各著作権使用許諾契約の一部について,上記各
契約は,フィギュア模型原型が著作物であり,原告が著作権を有していることを前
提として締結されたものであるが,実際にはフィギュア模型原型は著作物ではない
から,錯誤により無効であり,また,ロイヤルティ支払規定は,ロイヤルティ率が
高額に過ぎるから,公序良俗違反により無効であるなどと主張して,被告が原告に
対して支払ったロイヤルティの一部(572万5048円)につき,不当利得返還
を請求した事案である。
  (3) 原審は,フィギュア模型原型は著作物ではないと認定したが,前記各著作
権使用許諾契約が錯誤又は公序良俗違反により無効であるとはいえないとして,原
告の請求を,ロイヤルティ及び約定違約金合計1億6017万8278円並びにこ
れに対する商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で認容
したため,被告が本件控訴を提起した。
 2 前提事実
   当事者間に争いがない事実並びに各項に掲げた証拠及び弁論の全趣旨により
容易に認定できる事実は,次のとおり付加,訂正するほかは,原判決2頁24行目
から10頁24行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。
  (1) 3頁5行目の「製造」を「制作」と改め,4頁16行目末尾の次に改行し
て,次のとおり加える。
   「 (なお,本件契約①ないし③については,契約書は作成されず,口頭で
の契約であった。)」
  (2) 6頁2行目の「④のe」を「④のf」と,7頁1行目の「製造」を「制
作」と各改める。
  (3) 9頁16行目の「到達した」の次に「(同号証の2)」を加え,同18行
目の「制作した物語」を「創作した小説」と,同22行目の「製造」を「制作」
と,同24行目から25行目にかけての「フィギュアコレクション」を「アリス・
コレクション」と各改める。
  (4) 10頁6行目の「別紙」を「原判決別紙」と改め,同15行目の「到達し
た」の次に「(同号証の2)」を加え,同16行目の「チョコエッグ・クラッシッ
ク」を「チョコエッグ・クラシック」と改める。
 3 争点
(1) 本件各契約における対象物である各種フィギュアの模型原型は著作物か。
(2) 本件各契約の違約金支払規定は,被告がフィギュア模型原型が著作物であ
り原告がその著作権を有しあるいは管理していると誤信していた錯誤により,無効
であるか。
(3) 本件各契約の違約金支払規定は,公序良俗に違反して無効であるか。
(4) 本件契約⑪は有効に成立し,また,違約金に関する合意がされたといえる
か。
(5) 本件契約⑭は有効に成立したか。
(6) 未払いのロイヤルティ及び違約金の額
(7) 原告の不当利得の成否及び被告の損失
第3 争点に関する当事者の主張
  次のとおり付加,訂正等するほかは,原判決11頁11行目から25頁19行
目までに記載のとおりであるから,これを引用する。
 1 12頁8行目の「製造過程」を「制作過程」と,同23行目の「上記」から
同25行目末尾までを次のとおり,各改める。
  「 応用美術の著作物性の判断基準は,「①実用性から分離して(独立し
て),②純粋美術と同視し得る美術性を有するもの(美的鑑賞の対象となり得るも
の)」というのが,現在の判例・学説の一般的な判断基準である。
    本件模型原型は,芸術家集団である原告が,造形アーティストである原型
師(造形師)を中心に,動物,妖怪及び童話の登場人物といった実在又は架空の生
物を,独自の視点,感性,構図に基づき,高度の造形技術及び彩色技術を駆使して
立体物として制作し彩色して,ある思想,感情を表現したものであり,いずれの模
型原型も,観る者をして,美しさ,かわいさ,不気味さ,実物感,躍動感を感得さ
せるに十分な美術作品である。
    したがって,本件模型原型は,鑑賞用の思想・感情の創作的表現物であ
り,かつ,純粋美術と同視し得るだけの美術性,芸術性を有しているので,実用性
とは独立して,純粋美術と同視し得る応用美術として,著作権法により保護される
「美術の著作物」に該当する。」
 2 13頁8行目の「本件契約⑭」を「本件契約⑨ないし⑫,⑭」と改め,同行
目末尾の次に改行して,次のとおり加える。
  「 妖怪シリーズにおけるフィギュアの模型原型は,過去の絵,文献等を忠実
に立体化したものにすぎないから,著作物性を認めることができない。」
 3 14頁3行目の「模型原型」の前に「フィギュア」を加え,同4行目から5
行目にかけての「管理しているとの錯誤に陥っていたことを理由として,無効とな
るか」を「管理していると誤信していた錯誤により,無効であるか」と,同7行目
から同20行目までを次のとおり,各改める。
 「(1) 従来,菓子製造業者とおまけ製造業者が,おまけとなる模型原型の制作契
約を締結する場合は,模型原型の制作請負契約を締結し,請負代金は1体当たり数
万円から十数万円であった。
    おまけ製造業者である原告のC専務取締役(以下「C」という。)は,優
れた模型原型を制作しても,わずかな対価しか得ることができず,こうした状況に
不満と矛盾を感じており,原告の制作した模型はアニメやディズニーのキャラクタ
ーと同等か,それ以上の価値があり,著作物であると主張できると考えていた。
    そのため,Cは,被告からチョコエッグの中に入れるおまけの模型原型の
制作を依頼された際に,おまけの模型原型は著作物であるから,模型原型の制作契
約を,制作請負契約ではなく著作権使用許諾契約とし,対価は請負代金ではなくロ
イヤルティとしたい旨の申し出をした。
    被告の担当者であったD常務取締役(以下「D」という。)は,その方が
原告も模型原型の制作に熱心になるだろうと思い,上記申し出を受け入れ,本件各
契約はロイヤルティ方式で締結されることになった(なお,CとDは,本件契約①
締結の時点で,本件模型原型が著作物であると認識していた。)。
    CとDは,本件模型原型が著作物であることを前提に,本件模型原型に係
る著作権使用許諾契約のロイヤルティ率を,被告が東映,小学館及びサンリオ等と
締結していたキャラクターの著作権使用許諾契約と同水準の2.5%と決定した。
  (2) チョコエッグは,予想以上に売れたため,Cは,被告と書面で契約を交わ
し,ロイヤルティの算定方法も販売数量ではなく製造数量に基づくものとしたいと
考えた。また,CとDは,個人的にも仲が良く,Dが本件模型原型は著作物ではな
いと主張することはないとしても,被告の他の取締役や従業員の中には,ロイヤル
ティ方式に反対している者がおり,本件模型原型が著作物ではないと主張するおそ
れがあったことから,契約書に,本件模型原型が著作物であること,さらにチョコ
エッグの外箱に「<C>KAIYODO」の表示をする義務があることを明記しよう
と考えた。
    そこで,Cは,Dから,被告と東映,小学館及びサンリオ等とが締結して
いた著作権使用許諾契約の契約書写しの提供を受け,これを参考にして本件契約④
ないし⑩,⑫ないし⑭の契約書を作成した。その際,上記著作権使用許諾契約の契
約書写しには違約金支払規定が入れられていたため,本件契約④ないし⑩,⑫ない
し⑭の契約書にも,同様に違約金支払規定が入れられた。
  (3) 本件各契約の対価の水準(希望小売価格の2.5~3%)は,他の著作権
使用許諾契約と同水準という理由で定められたものであり,本件模型原型が著作物
であることを前提に定められたものである。すなわち,本件模型原型が著作物でな
ければ,制作請負契約ではなく対価の支払方式であるとしても,対価の水準は1%
以下になっていたはずである。
  (4) 本件模型原型が著作物でなければ,第三者が本件模型原型のコピーを販売
することを阻止できないので,被告としては,原告から本件模型原型の利用許諾を
受ける価値が大幅に低下する。」
 4 14頁23行目の「違約金支払規定」の次に「(少なくともロイヤルティ率
1%を超える部分)」を加え,同24行目冒頭の「(2)」を「(5)」と,15頁5行
目の「本件模型原型は」を「本件模型原型が」と各改め,同8行目の「法人著作と
して」の前に「原告は,」を加える。
 5 16頁16行目の「公序良俗違反か」を「,公序良俗に違反して無効である
か」と改め,17頁5行目から6行目にかけての「違約金支払規定」の次に「(少
なくともロイヤルティ率1%を超える部分)」を加え,同15行目の「鉄道運輸規
定」を「鉄道運輸規程」と,18頁1行目の「54000個」を「54,000
個」と,同2行目の「9種類」を「9種」と,同22行目の「D(以下「D」とい
う。)」を「D」と各改める。
 6 19頁2行目末尾の次に改行して,次のとおり加える。
  「 Dは,被告を退社する際,本件覚書を社外に持ち出し,このため被告は本
件覚書を確認することができなかったから,被告が本件契約⑪を追認したとはいえ
ない。」
 7 19頁17行目の「根拠に,」の次に「本件契約⑭は,」を加え,同行目の
「契約されている」を「締結された」と,同19行目の「追認されている」を「追
認された」と各改める。
 8 20頁4行目末尾の次に改行して,次のとおり加える。
  「 Dは,被告を退社する際,本件契約⑭の契約書を社外に持ち出し,このた
め被告は本件契約⑭の契約書を確認することができなかったから,被告が本件契約
⑭を追認したとはいえない。」
 9 20頁5行目の「未払のロイヤルティ・違約金等の額」を「未払いのロイヤ
ルティ及び違約金の額」と,22頁11行目の「1551万9168円」を「14
78万0160円」と各改め,同17行目から18行目にかけての「(ただし,」
から同19行目の「いない。)」までを削り,同行目末尾の次に改行して,次のと
おり加える。
  「 その合計額は,1億8011万7389円である。」
 10 25頁8行目の「被告が,」の次に「別の模型原型の制作につき,」を加え
る。
第4 当裁判所の判断
 1 当裁判所も,原告の請求は原判決主文第1項記載の限度で理由があるものと
判断する。その理由は,次のとおり付加,訂正等するほか,原判決25頁21行目
から60頁3行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。
  (1) 25頁23行目から35頁16行目までを,次のとおり改める。
 「(1) 証拠により認定できる事実
    前記前提事実に加え,各項に掲げた証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の
事実が認められる。
   ア 本件模型原型の制作過程
 原告は,被告との間で商品企画を検討した後,当該企画に適する模型原
型の造形師を選定し,原告の専務取締役であるCと当該造形師が中心となって,模
型原型のサイズ,セールスポイントとなる特徴,数等を打ち合わせる。造形師は,
打合せの内容に従って,基となる画を作成し,Cが検討修正した後に,造形に取り
かかる。造形師が造形した原型(造形原型)は,原告のチェックを受けた後,原告
従業員の塗装担当者によって彩色される。彩色された原型が本件模型原型である。
 本件模型原型をもとに,被告は外国の工場において金型を製作し,上記
金型を用いてフィギュアが製造され,非熟練工を含む多数の工員により彩色され
る。
(甲第29号証,乙第67号証,弁論の全趣旨)
イ チョコエッグ及びチョコエッグ・クラシック
(ア) チョコエッグ及びチョコエッグ・クラシックは,様々な種目・科に
属する実在の動物(本件契約③の対象となった「ツチノコ」を除く。また,本件契
約②の対象となった「ニホンオオカミ」など絶滅した動物も含む。)を精巧に模し
た動物のフィギュアを,おまけとして卵形のチョコレートの中のカプセルに入れる
商品シリーズである。
 (以下,チョコエッグ(本件契約①ないし⑧)及びチョコエッグ・クラ
シック(本件契約⑬)に係るフィギュアを,併せて「本件動物フィギュア」とい
う。)
 (乙第22ないし第29号証)
(イ) チョコエッグ及びチョコエッグ・クラシックの発売に際しては,
「タマゴの形をしたミルクチョコの中に青いカプセルを封入しました。カプセルの
中にはリアルな動物コレクションが入っています。日本の固有種から今はもういな
くなってしまった絶滅種にいたるまで様々な種類の動物たちを次々ご紹介いたしま
す。」(本件契約①の対象であった「日本の動物コレクション①」,乙第22号
証),「フィギュアマニア垂涎の動物コレクション!動物・昆虫博物館などでも利
用され,研究員もうならせるリアルな造形の本格フィギュア」(本件契約④の対象
であった「日本の動物コレクション④」,乙第25号証),「チョコエッグに新し
いシリーズが誕生。好評の日本の動物シリーズに加え,リアルなペット動物コレク
ションが誕生しました。身近なペットから憧れのペットまで様々な種類のペット動
物たちを次々ご紹介いたします。」(本件契約⑥の対象であった「ペット動物コレ
クション①」,乙第27号証),「99年より発売が開始され,現在第5弾まで製
品化されている『チョコエッグ日本の動物』シリーズ。今回は第1弾から第3弾に
登場したラインナップの中から24種類をピックアップ,またそれだけではなく塗
装色や塗装方法の変更,型自体の変更などを施したバーションアップ版として製品
化しました。」(本件契約⑬の対象であった「日本の動物コレクション・バージョ
ンアップ版」,乙第29号証)などの宣伝文句を記載したパンフレットも商品と合
わせて配布された。
(乙第22ないし第29号証)
(ウ) 本件動物フィギュアの模型原型は,原告の従業員(造形師)である
Eが,市販の動物図鑑,鳥類図鑑等に収録された絵や写真を参照しながら,本件契
約①ないし⑧及び⑬における原告の模型原型制作債務の履行として制作し,原告従
業員がこれに彩色し,原告の製品として公表されたものである。
  本件動物フィギュアの模型原型は,体の各部の形状,大きさの比率,
その姿勢はもとより,動物の毛並み,虫の足の突起,魚のうろこ等に至るまで,可
能な限り,実際の動物と同様に立体的に表現され,色彩も,複数の色彩を細かく用
い,実際の動物と同様の色,模様が付されている。
 (甲第29号証,第51号証,乙第36ないし第41号証,検甲第2な
いし第9号証)
ウ 妖怪シリーズ
(ア) 妖怪シリーズは,いわゆる百鬼夜行に示唆を得て制作されたフィギ
ュアをおまけとして,キャンデーと共に箱詰めされる商品シリーズである。
 (以下,妖怪コレクション(本件契約⑨,⑩),総集編(本件契約⑪)
及び妖怪根付(本件契約⑫)に係るフィギュアを,併せて「本件妖怪フィギュア」
という。)
(イ) 妖怪シリーズのうち,「妖怪コレクション」は,「昨今の京極夏彦
氏の妖怪小説などに代表される妖怪ブームの中,昔の文献『百鬼夜行』の妖怪をモ
チーフに立体化しました。大人のコレクターを対象としたリアルで本格的なフィギ
ュアに仕上げ,コレクション性を高めています。」(本件契約⑨の対象であった
「百鬼夜行Ⅰ」,乙第30号証),「話題作『妖怪コレクション』の第2弾。今回
もF氏総指揮のもとリアルなフィギュア9体をリリース。河童や天狗,輪入道など
の妖怪に加え,そのうち1体をシークレットにすることでミステリー性を向上。今
回は通常彩色版の他に象牙風彩色版,金色彩色版を加え,コレクション性の高い商
品に仕上げました。」(本件契約⑩の対象であった「百鬼夜行Ⅱ」,乙第31号
証)などの宣伝文句を記載したパンフレットと共に,「妖怪根付」(本件契約⑫の
対象であった。)は,「『妖怪』をテーマにしたフィギュアコレクション。今回は
江戸時代から存在する『根付け』とよばれる,いわゆるキーホルダーをモチーフに
フィギュア化」(乙第32号証)などとの宣伝文句を記載したパンフレットと共に
販売された。
 (乙第30ないし第32号証)
(ウ) 本件妖怪フィギュアの造形原型は,いずれもFが制作した。Fは,
造形原型を著作物と認識しており,原告に造形原型を納入し,代金を受領するに当
たり,その著作権をすべて原告に譲渡した。原告では,原告従業員がFから納入さ
れた造形原型に彩色して,模型原型として完成させた。
  本件妖怪フィギュアは,主に,日本古来の伝説の妖怪をモデルとした
ものである。
  このうち相当部分は,江戸時代に鳥山石燕(以下「石燕」という。)
が著した「画図百鬼夜行」の妖怪の絵(甲第89号証の1ないし9)を立体化し,
独自に彩色したものである。
  ただし,本件妖怪フィギュアは,石燕の原画を忠実に立体化したもの
ではなく,例えば「狂骨(きょうこつ)」については,石燕の原画(甲第89号証
の4)では,胴部は凹凸がなく平坦状に描かれているのに対し,本件妖怪フィギュ
ア(甲第93号証)では,胴部全体に白い骨状の構造が浮き出ていたり,「天狗
(てんぐ。百鬼夜行Ⅱに収録のもの)」については,石燕の原画(甲第89号証の
5)では,頭部と羽しか描かれていないのに対し,本件妖怪フィギュア(甲第94
号証)では,全身が表現されているなど,随所に制作者独自の解釈,アレンジが加
えられている。
      また,本件妖怪フィギュアは,妖怪本体のほかに,制作者において独
自に設定した背景ないし場面も含めて構成されている。例えば,「鎌鼬(かまいた
ち。百鬼夜行Ⅰに収録のもの)」が,石地蔵の首を鎌でかき切っている場面(甲第
92号証),「河童(かっぱ。百鬼夜行Ⅱに収録のもの)」が,水死体から「尻子
玉」を抜き取っている場面(甲第96号証)などは,石燕の原画における「窮奇
(かまいたち)」(甲第89号証の3)及び「河童」(同号証の7)には存在しな
い。
      また,色彩においても,例えば,上記河童の体色は緑色で,甲羅は茶
色であるなど,通常河童に彩色する場合に選択されるであろう,ありふれた彩色で
あるが,逆に,「人魚」(百鬼夜行Ⅰに収録のもの)は,紫色の体色を選択してい
る(甲第91号証)など,独特な彩色をしたものもある。
 (甲第31号証,第52号証,第89号証の1ないし9,第90ないし
第98号証,検甲第10ないし第12号証)
エ アリス・コレクション
(ア) アリス・コレクションは,ルイス・キャロルが創作した小説「不思
議の国のアリスの冒険」及び「鏡の国のアリスの冒険」に使用されていた,ジョ
ン・テニエル(以下「テニエル」という。)の挿絵を立体化し彩色したフィギュア
をおまけとして,キャンデーと共に箱詰めされる商品シリーズである。
 (以下,アリス・コレクション(本件契約⑭)に係るフィギュアを,
「本件アリスフィギュア」といい,本件動物フィギュア,本件妖怪フィギュアと併
せて「本件フィギュア」という。)
(イ) アリス・コレクションは,「女の子ならだれもが読んだことのある
ルイス・キャロル原作の不朽のファンタジー物語『不思議の国のアリス』『鏡の国
のアリス』に登場するキャラクターをそのままフィギュアにしました。フィギュア
のモデルとして,原作版に使用されていたジョン・テニエルの挿絵を起用,なじみ
のある姿にアリスの世界観をいっそう身近に感じられます。また,特定の2種類を
組み合わせると,挿絵の風景をそのまま再現したジオラマに変身,運動性を持たせ
ることでコレクション性を高めています。」(乙第34号証)との宣伝文句を記載
したパンフレットと共に発売された。
(ウ) 本件アリスフィギュアの造形原型は,いずれもGことG(以下
「G」という。)が制作した。Gは,造形原型を著作物と認識しており,原告に造
形原型を納入し,代金を受領するに当たり,その著作権をすべて原告に譲渡した。
  原告では,原告従業員がGから納入された造形原型に彩色して,模型
原型として完成させた。
  テニエルの挿絵は,線画であって彩色されていないが,ハリー・シー
カーや英国マクミラン出版社がこれに彩色したことがある。本件アリスフィギュア
の模型原型は,テニエルの挿絵に基づき,これを忠実に立体化し彩色したものであ
る。
 (甲第32号証,第53号証,乙第3ないし第5号証,検甲第13号
証)
オ 以上のチョコエッグ,チョコエッグクラシック,妖怪シリーズ及びアリ
ス・コレクションは,いずれも菓子のおまけとして,各種のフィギュアがチョコレ
ートの中のカプセルに入れられたり,キャンデーと共に箱詰めされた商品シリーズ
であるが,例えば,チョコエッグ(バラのもの)では65×43×43(㎜)のサ
イズのカプセルの中にフィギュアが収納されているし,妖怪シリーズでは140×
98×53(㎜)の箱にキャンデー4個(妖怪根付の場合は2個)と共に収納され
ている。このように,本件フィギュアは,被告が販売する菓子のおまけとはいって
も,手のひらに載るようなものではあるがそれなりの大きさがあり,被告も,商品
の販売に際してフィギュアを需要者のコレクションの対象として強力に訴えてお
り,商品としては,菓子よりもむしろ主たる地位を占めていると評価することもで
きる(特に,妖怪シリーズについては,パンフレットには大きくフィギュアに関す
る説明がされ,その下に小さく「キャンデー入り」と記載がされている。乙第30
号証)。
  そして,原告は,フィギュアの製造会社として,この種のフィギュアの
コレクターの間では高く評価され,根強い人気がある。
  のみならず,原告所属の造形師が制作した各種フィギュア(本件フィギ
ュアを含む。)は,ニューヨーク自然史博物館に収蔵されたり,ヴェネチア・ビエ
ンナーレ第9回国際建築展日本館において開催された「OTAKU:人格=空間=
都市」と題する展示会で展示されるなどし,国内においても,東京都写真美術館,
水戸芸術館現代美術ギャラリー等の美術館において展覧会が開催されるなど,現代
美術として高い評価を受けている。(甲第56ないし第78号証,第99号証,乙
第74号証)
  (2) 以上の認定をもとに検討する。
   ア 著作権法の規定
     著作権法2条1項1号は,著作物を,「思想又は感情を創作的に表現し
たものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義し,同法
10条は,「絵画,版画,彫刻その他の美術の著作物」(1項4号)を著作物の例
示として挙げている。一方,同法2条2項は,「この法律にいう「美術の著作物」
には,美術工芸品を含むものとする。」と定めている。
   イ 純粋美術と応用美術の区別
    (ア) 美的創作物は,思想又は感情を創作的に表現したものであって,制
作者が当該作品を専ら鑑賞の対象とする目的で制作し,かつ,一般的平均人が上記
目的で制作されたものと受け取るもの(純粋美術)と,思想又は感情を創作的に表
現したものであるけれども,制作者が当該作品を上記目的以外の目的で制作し,又
は,一般的平均人が上記目的以外の目的で制作されたものと受け取るものに分類す
ることができる。
      いわゆる応用美術とは,後者のうちで,制作者が当該作品を実用に供
される物品に応用されることを目的(以下「実用目的」という。)として制作し,
又は,一般的平均人が当該作品を実用目的で制作されたものと受け取るものをい
う。
    (イ) 前記アのように,著作権法は,著作物の例示中に「絵画,版画,彫
刻その他の美術の著作物」を挙げた上で,「美術の著作物」には「美術工芸品」を
含む旨を規定しているから,「美術の著作物」は,純粋美術に限定されないことは
明らかである。しかし,著作権法2条2項により「美術の著作物」に該当すること
が明らかである一品制作の美術工芸品を除く,その他の応用美術が「美術の著作
物」に該当するかどうかは,同法の条文上,必ずしも明らかではない。
    (ウ) ところで,応用美術は,①純粋美術作品が実用品に応用された場合
(例えば,絵画を屏風に仕立て,彫刻を実用品の模様に利用するなど),②純粋美
術の技法を実用目的のある物品に適用しながら,実用性よりも美の追求に重点を置
いた一品制作の場合,③純粋美術の感覚又は技法を機械生産又は大量生産に応用し
た場合に分類することができる。このことに,本来,応用美術を含む工業的に大量
生産される実用品の意匠は,産業の発達に寄与することを目的とする意匠法の保護
対象となるべきものであること(意匠法1条),これに対し,著作権法は文化の発
展に寄与することを目的とするものであり(著作権法1条),現行著作権法の制定
過程においても,意匠法によって保護される応用美術について,著作権法による保
護対象にもするとの意見は採用されなかったこと,一品制作の美術工芸品を越え
て,応用美術全般に著作権法による保護が及ぶとすると,両法の保護の程度の差異
(意匠法による保護は,公的公示手段である設定登録が必要である(方式主義)
上,保護期間(存続期間)が設定登録の日から15年であるのに対し,著作権によ
る保護は,設定登録をする必要はなく(無方式主義),保護期間(存続期間)が著
作物の創作の時から著作者の死後50年を経過するまでの間,法人名義の著作物は
公表後50年を経過するまでの間等とされている。)から,意匠法の存在意義が失
われることにもなりかねないことなどを合わせ考慮すると,応用美術一般に著作権
法による保護が及ぶものとまで解することはできないが,応用美術であっても,実
用性や機能性とは別に,独立して美的鑑賞の対象となるだけの美術性を有するに至
っているため,一定の美的感覚を備えた一般人を基準に,純粋美術と同視し得る程
度の美的創作性を具備していると評価される場合は,「美術の著作物」として,著
作権法による保護の対象となる場合があるものと解するのが相当である。
    (エ) 以上の観点から,本件模型原型が「美術の著作物」に該当するか否
かについて検討を加える。
   ウ 本件模型原型は純粋美術か否か。
    (ア) まず,本件模型原型は,前記認定のとおり,いずれも,実在する動
物や,絵画に描かれた妖怪ないし人物等を立体的に表現したものである。
      本件模型原型は,実在する動物や,絵画に描かれた妖怪ないし人物等
を立体的に表現するに当たって,誰が制作しても同じような表現にならざるを得な
いような類型的な表現方法を用いたとはいえず,一定の限度で制作者の個性が表れ
ているといえるから,思想又は感情を創作的に表現したものであるということがで
きる(ただし,その創作性の程度には,後記のとおり高低がある。)。
    (イ) ところで,菓子製造販売業者が,菓子の需要者(主に子供たち)に
人気のある動物,乗り物等を模した小さな玩具や,漫画のキャラクターを描いたシ
ール,カード等をおまけとして付けることで,菓子の需要者のおまけに対する収集
欲を刺激し,菓子の販売促進を図ることは,これまでも広く行われてきた(乙第4
6号証,公知の事実)。このような菓子等のおまけとなる玩具は,一般に「食玩」
と称されている。
      本件フィギュアは,従来の食玩(検甲第14,第15号証,公知の事
実)に比べて,極めて精巧なものであるとはいえ,その使用目的は,やはり菓子の
おまけとして付けられ,菓子の販売促進を図ることにあることに変わりはないと認
められる。そして,本件模型原型は,上記のような本件フィギュアを量産するため
の金型の原型及び彩色用の見本として用いられるものである。
    (ウ) してみると,本件模型原型は,前記(ア)のとおり思想又は感情を創
作的に表現したものではあるけれども,制作者が,当該作品を専ら鑑賞の対象とす
る目的ではなく,実用目的で制作したものであり,かつ,一般的平均人が,実用目
的で制作されたものと受け取るものというべきであるから,純粋美術には該当しな
いものと解するのが相当である。そして,上記制作目的及び一般的平均人の認識か
らすれば,本件模型原型は,応用美術に該当するものというのが相当である。
    (エ) なお,証拠(甲第22,第23号証)及び弁論の全趣旨によれば,
本件フィギュアは,その精巧さから,販売後は子供たちのみならず一部の大人たち
の間でも人気が出たことが認められ,証拠(甲第54ないし第88号証,第99号
証)及び弁論の全趣旨によれば,菓子の購入者の中には,菓子よりもおまけである
本件フィギュアを目当てに購入した者が多かったこと,これらの者の多くは,本件
フィギュアを鑑賞の対象として扱っていたことが認められる。
      しかし,純粋美術であれば,その巧拙を問わず著作物に該当し,著作
権法による保護を受けることになるが,我が国の著作権制度のもとにおいては,著
作権の成立には審査及び登録を要せず,著作権の対外的な表示も要求しない一方
で,著作権侵害については刑事罰の規定も設けられていることを考慮すると,観る
者によって当該作品を専ら鑑賞の対象とする目的で制作されたものと受け取るか否
かの判断が異なるような作品についてまでも,純粋美術として著作権法による保護
を与えることは,予測可能性を害するものであって,相当ではない。
     そして,上記各証拠をもってしても,本件フィギュアないし本件模型
原型について,一般的平均人が専ら鑑賞の対象とする目的で制作されたものと受け
取るとまでは認めがたい。
      また,制作者が,制作当時は,当該作品を専ら鑑賞の対象とする目的
以外の目的で制作した作品が,制作後の事情により美術的な評価が高まり,当該作
品が鑑賞の対象として取り扱われるようになったとしても,そのことにより,応用
美術が純粋美術に転化し,著作物性を獲得するに至ると解することは,法的安定性
を著しく害するものであって相当ではない。
      したがって,上記の事情は,前記(ウ)の判断を左右するものではな
い。
   エ 応用美術たる本件模型原型は著作物か否か。
    (ア) そこで,本件模型原型が応用美術であることを前提にして,一定の
美的感覚を備えた一般人を基準に,純粋美術と同視し得る程度の美的創作性を具備
していると評価されるか否かについて検討する。
    (イ) 本件動物フィギュア
      前記認定のとおり,本件動物フィギュアは,市販の動物図鑑,鳥類図
鑑等をもとに,動物の形状等を,可能な限り,実際の動物と同様に立体的に表現
し,色彩も,実際の動物と同様の色,模様が付されたものであり,極めて精巧なも
のであって,一定の美的感覚を備えた一般人を基準に,相当程度の美術性を備えて
いると評価されるものといえる。このことは,前記認定のとおり,原告の制作に係
る各種フィギュアが各地の美術館等で展示され,高い評価を受けていることからも
裏付けられる。
      しかしながら,上記のとおり,本件動物フィギュアは,実際の動物の
形状,色彩等を忠実に再現した模型であり,動物の姿勢,ポーズ等も,市販の図鑑
等に収録された絵や写真に一般的に見られるものにすぎず,制作に当たった造形師
が独自の解釈,アレンジを加えたというような事情は見当たらない(なお,甲第5
1号証によれば,本件動物フィギュアの中には,あえて実際の動物と異なる形状等
を採用しているものも存在するが,これは,美術性を高めるためにデフォルメした
というよりも,主に,型抜きの都合や,カプセルに収まる寸法を確保するなどの製
造工程上の理由によるものと認められる。)。したがって,本件動物フィギュアに
は,制作者の個性が強く表出されているということはできず,その創作性は,さほ
ど高くないといわざるを得ない。
      してみると,本件動物フィギュアに係る模型原型は,一定の美的感覚
を備えた一般人を基準に,純粋美術と同視し得る程度の美的創作性を具備している
と評価されるとまではいえず,著作物には該当しないと解される。
      なお,本件動物フィギュアのうち,ツチノコについては,モデルとな
る動物の生息が確認されていないため,実際の動物の形状,色彩等を忠実に再現し
たものとはいえず,他の本件動物フィギュアに比べれば制作者の個性が強く表出さ
れているということができるけれども,やはり,これまでに描かれた数多くの想像
図をもとに制作されたものであって,それらから想像される一般的なイメージの域
を超えるものではなく(甲第51号証,弁論の全趣旨),いまだ純粋美術と同視し
得る程度の美的創作性があるとまではいえない。
    (ウ) 本件妖怪フィギュア
      本件妖怪フィギュアは,本件動物フィギュアと異なり,空想上の妖怪
を造形したものである。
      確かに,前記認定のとおり,本件妖怪フィギュアのなかには,石燕の
「画図百鬼夜行」を原画とするものもある。
      しかし,平面的な絵画をもとに立体的な模型を制作する場合には,制
作者は,絵画に描かれた妖怪の全体像を想像力を駆使して把握し,絵画に描かれて
いない部分についても,描かれた部分と食い違いや違和感が生じないように構成す
る必要があるから,その制作過程においては,制作者の想像力ないし感性が介在
し,制作者の思想,感情が反映されるということができる。
      そして,前記認定のとおり,本件妖怪フィギュアは,石燕の原画を忠
実に立体化したものではなく,随所に制作者独自の解釈,アレンジが加えられてい
ること,妖怪本体のほかに,制作者において独自に設定した背景ないし場面も含め
て構成されていること(特に,前記認定の「鎌鼬」,「河童」や,「土蜘蛛(つち
ぐも)」が源頼光及び渡辺綱に退治され,斬り裂かれた腹から多数の髑髏(どく
ろ)がはみ出している場面(甲第52号証)などは,ある種の物語性を帯びた造型
であると評することさえも可能であって,著しく独創的であると評価することがで
きる。),色彩についても独特な彩色をしたものがあることを考慮すれば,本件妖
怪フィギュアには,石燕の原画を立体化する制作過程において,制作者の個性が強
く表出されているということができ,高度の創作性が認められる。
      また,本件妖怪フィギュアのうち,石燕の「画図百鬼夜行」を原画と
しないものについては,制作者において,空想上の妖怪を独自に造形したものであ
って,高度の創作性が認められることはいうまでもない。
      そして,前記認定のとおり,本件妖怪フィギュアは,極めて精巧なも
のであり,一部のフィギュア収集家の収集,鑑賞の対象となるにとどまらず,一般
的な美的鑑賞の対象ともなるような,相当程度の美術性を備えているということが
できる。
      以上によれば,本件妖怪フィギュアに係る模型原型は,石燕の「画図
百鬼夜行」を原画とするものと,そうでないもののいずれにおいても,一定の美的
感覚を備えた一般人を基準に,純粋美術と同視し得る程度の美的創作性を具備して
いると評価されるものと認められるから,応用美術の著作物に該当するというのが
相当である。
    (エ) 本件アリスフィギュア
      前記認定のとおり,本件アリスフィギュアは,テニエルの挿絵を立体
化したものである。
      本件アリスフィギュアについても,本件動物フィギュア及び本件妖怪
フィギュアと同様に,極めて精巧なものであって,一定の美的感覚を備えた一般人
を基準に,相当程度の美術性を備えていると評価されるものといえる。
      しかしながら,本件アリスフィギュアは,平面的に描かれたテニエル
の挿絵をもとに立体的な模型を制作する過程において,制作者の思想,感情が反映
されるものであるから,創作性がないわけではないが,前記認定のとおり,本件ア
リスフィギュアは,テニエルの挿絵を忠実に立体化したものであり,立体化に際し
て制作者独自の解釈,アレンジがされたとはいえない(この点において,本件妖怪
フィギュアとは事情が異なる。)ことや,色彩についても,通常テニエルの挿絵に
彩色する場合になされるであろう,ごく一般的な彩色の域を出ていないことを考慮
すれば,本件アリスフィギュアには,テニエルの原画を立体化する制作過程におい
て,制作者の個性が強く表出されているとまではいえず,その創作性は,さほど高
くないといわざるを得ない(ただし,前記認定のとおり,他にもテニエルの挿絵に
彩色したものがあるが,証拠上,これらがどのような色であったかは判然としな
い。また,一部には背景ないし場面を含めて造型されたものもあるが(例えば「チ
ェシャ猫」の木),これらの背景も,もともとテニエルの挿絵に描かれていたもの
である。)。
      してみると,本件アリスフィギュアに係る模型原型は,極めて精巧な
ものであるけれども,一定の美的感覚を備えた一般人を基準に,いまだ純粋美術と
同視し得る程度の美的創作性を具備していると評価されるとまではいえず,応用美
術の著作物には該当しないと解される。」
  (2) 35頁17行目の「模型原型」の前に「フィギュア」を加え,同18行目
の「管理している」から同19行目の「無効となるか」までを「管理していると誤
信していた錯誤により,無効であるか」と改め,同20行目の「第9号証,」の次
に「第10号証の1,2,」を,同23行目の「第29号証,」の次に「第83号
証,」を各加え,同行目の「第6号証」を「第6,第9,第10,第13」と改
め,同24行目の「第46号証」の次に「,第75号証の1,2,第76ないし第
78号証」を加える。
  (3) 36頁1行目の「被告は,」の次に「外国では」を加え,同3行目の「製
造」を「制作」と,同14行目の「数十万円」を「十数万円」と各改め,同16行
目の「熱心になるであろう」の次に「し,被告としてもイニシャル・コストを削減
できる」を加え,同19行目の「制作し」を「製作し」と改める。
  (4) 37頁23行目の「制作し」を「製造し」と,39頁2行目の「弁護士を
雇う」を「弁護士に委任する」と,同6行目の「被告と」を「原告と」と,同12
行目の「あるいは」を「又は」と各改め,同18行目の「意思表示をした。」の次
に,次のとおり加える。
   「さらに,原告は,被告に対し,同年12月3日付け「御通知書」(甲第1
0号証の1,乙第13号証)により,被告が製造数量を一部報告していなかったこ
となどを原因とする違約金請求を行い,かつ,同月6日付け「商品販売中止要求
書」(甲第19号証の1)により,本件契約⑬を解除したため被告はチョコエッ
グ・クラシックを製造,販売する権限がないとして,チョコエッグ・クラシックの
製造,販売を中止するよう求めた。」
  (5) 39頁23行目の「管理所有していない」を「管理し又は有していない」
と改め,同25行目の「原告が」の前に,次のとおり加える。
   「原告は,平成15年1月27日,大阪地方裁判所に,被告を相手取り,チ
ョコエッグ・クラシックの製造,販売の差止めを求める仮処分を申し立て(乙第9
号証。同裁判所平成15年(ヨ)第20002号),被告は,同年2月10日,上記仮
処分事件の答弁書(乙第10号証)において,初めて本件模型原型は著作物に当た
らないという主張をした。さらに,」
  (6) 39頁25行目の「製造数量を」の前に「被告が」を加え,40頁2行目
の「管理所有していない」を「管理し又は有していない」と,同9行目の「動機付
けを与える」を「動機付けを与え,かつ,被告においてイニシャル・コストを削減
する」と各改め,41頁1行目末尾の次に改行して,次のとおり加える。
   「 このような違約金支払規定は,著作権等の知的財産権に係る使用許諾契
約に特有のものではなく,例えばフランチャイズ契約など,製造又は販売数量及び
額に基づいて支払うべき金額が決定する契約類型において,製造又は販売数量及び
額の算定が支払義務者の自主的な報告に委ねられている場合には,自主的な報告の
真実性を担保するために,しばしば定められるものである(公知の事実)。」
  (7) 41頁4行目の「本件模型原型」の次に「(ただし,本件妖怪フィギュア
に係る模型原型を除く。)」を加え,同6行目の「本件各契約」を「本件契約①な
いし⑧,⑬及び⑭」と改め,同7行目末尾の次に改行して,次のとおり加える。
   「 また,前記1のとおり,本件妖怪フィギュアに係る模型原型は,著作物
に該当するといえるから,本件契約⑨ないし⑫の締結について,そもそも被告に錯
誤はない。」
  (8) 41頁8行目から9行目にかけて及び同11行目の「管理所有している」
をいずれも「管理し又は有している」と,同13行目の「管理所有していない」を
「管理し又は有していない」と,同21行目の「管理又は所有している」を「管理
し又は有している」と,同25行目の「ロイヤリティ方式」を「ロイヤルティ方
式」と各改める。
  (9) 42頁1行目末尾の次に改行して,次のとおり加える。
   「 むしろ,前記(1)認定の経過によれば,被告は,製造数量について虚偽の
報告をしていたことが発覚し,原告から多額の違約金を請求され,しかも,チョコ
エッグ・クラシックの製造,販売の差止めを求める仮処分申立てがされたことか
ら,上記違約金の支払や製造,販売の差止めを免れるために,初めて,それまで全
く問題にしていなかった本件模型原型の著作物性を否定するようになったことが強
くうかがわれ,このことからも,本件模型原型の著作物性は,本件各契約の要素と
なっていなかったことが明らかである。
     また,被告は,制作請負契約ではなく対価の支払方式であるとしても,
本件模型原型が著作物でないのであれば,対価の水準は1%以下になっていたはず
であると主張するが,このことを裏付けるに足りる客観的証拠は全くなく,かえっ
て,前記認定のとおり,原告の制作したフィギュアは高い評価を受けていたことか
らすれば,本件模型原型が著作物に当たらないことを前提としても,対価の水準は
相当程度高くなっていた蓋然性が高いと考えられる。被告の上記主張は,採用する
ことができない。」
  (10) 42頁12行目の「しかしながら,」の次に「原告が本件各契約によっ
て多額の金員を得たのは,チョコエッグ等の商品が爆発的に売れたからであり,被
告も,原告を上回る巨額の利益を得たであろうことがうかがわれるし,」を加え,
同22行目の「行っており,」を「行っているし,被告が原告以外の模型製造販売
業者と契約をすることができなかったというような事情はうかがわれず,」と,同
23行目から24行目にかけての「ロイヤルティ支払規定及びその適用」を「ロイ
ヤルティ支払規定,その率及び違約金支払規定」と各改める。
  (11) 43頁4行目から5行目にかけての「合意がなされているといえるの
か」を「合意がされたといえるか」と改め,同8行目の「第46号証」の次に「,
第75号証の1,2,第76ないし第78号証」を,同23行目の「本件覚書」の
次に「(甲第8号証)」を各加え,同25行目の「再販売」を「再発売」と,同末
行から44頁1行目にかけての「5万4000個」を「54,000個」と,同2
行目の「販売期間は,9種類の著作物」を「販売期間は(中略)9種の著作物」
と,同17行目の「定めのない」を「定めの無い」と,同行目の「原告と被告は」
を「原告被告」と,同20行目の「9種類の著作物」を「9種の著作物」と各改め
る。
  (12) 46頁21行目末尾の次に,次のとおり加える。
   「 なお,本件契約⑨及び⑩に基づくロイヤルティの支払額は,販売数量で
はなく製造数量に応じて決定されるものであり,製造されたが販売されていない在
庫が存在する場合に,上記在庫はロイヤルティの対象となっているから,指定商品
の製造販売期間を延長することは,原告よりもむしろ被告の利益となるものであ
り,被告には本件覚書に係る契約を追認する動機がある。」
  (13) 48頁3行目末尾の次に改行して,次のとおり加える。
   「 被告は,Dが被告を退社する際に本件覚書を社外に持ち出し,被告は本
件覚書を確認することができなかったと主張し,被告取締役らの陳述書(乙第4
5,第46号証)には同旨の記載があるが,前記のとおり,被告は,Dが退社した
後も,本件覚書に基づき,原告に対してロイヤルティを支払うなどしていることか
らすれば,上記陳述は信用することができず,被告の上記主張は採用することがで
きない。なお,付言するに,被告において本件覚書を所持していなくても,その内
容を把握さえしていれば,本件契約⑪を追認することは不可能ではない。」
  (14) 48頁4行目の「成立しているのか」を「成立したか」と改め,同7行
目の「第46号証」の次に「,第75号証の1,2,第76ないし第78号証」を
加え,49頁7行目から8行目にかけての「署名押印は,同じである。」を「署名
は,同一人の筆跡であり,署名の横に押捺された印影も,同一の印鑑により顕出さ
れたものである。」と改め,同9行目から10行目にかけての「平成14年11月
21日まで」の次の「,」を削り,同17行目の「消費税分」の次に「合計836
万3250円」を加え,同18行目の「836万3250円」を「上記金額」と改
める。
  (15) 50頁18行目末尾の次に改行して,次のとおり加える。
   「 前記認定のとおり,本件アリス契約書が作成された時点では,Dは既に
被告の取締役を辞任していたものであるから,被告は本件アリス契約書を所持して
いないことがうかがわれるが,そうであるとしても,被告において本件アリス契約
書の内容を把握していれば追認することは不可能ではない。そして,前記のとお
り,本件アリス契約書(本件契約⑭)の内容は,それまでに原告と被告との間で締
結された本件契約①ないし⑬と比べて大きく変わったところはないこと,被告は,
原告に対して,アリス・コレクションに係るロイヤルティの一部を支払うなどして
いることからすれば,被告において,本件アリス契約書の内容を把握していたこと
は明らかである。
     したがって,このことは,被告が本件契約⑭を追認したという認定判断
を左右するものではない。」
  (16) 50頁19行目の「未払のロイヤルティ・違約金等の額」を「未払いの
ロイヤルティ及び違約金の額」と改め,51頁7行目の「18.87%」の次に
「(642万1360個÷3403万3440個)」を,同11行目の「小数点以
下四捨五入」の前に「1086万4016個×18.87%。」を各加え,52頁
15行目の「上記」を「前記」と,同行目の「928万650円」を「928万0
650円」と各改め,同末行の「6359万4712円」の次に「(小数点以下切
捨て)」を加える。
  (17) 55頁5行目の「裁判所」,同7行目及び同12行目から13行目にか
けての各「弁論準備手続期日」の前に,いずれも「原審」を加え,同25行目の
「国内における」を「国内において」と,56頁1行目の「貸し付け」を「貸付
け」と,同2行目の「9号」を「8号」と,同4行目から5行目にかけての「「役
務の提供」に対する対価」を「「役務の提供」の対価」と,同6行目から7行目に
かけての「資産の譲渡等に対する対価的性質」を「資産の譲渡等の対価としての性
質」と各改める。
  (18) 57頁4行目の「(甲10の1)」を「(甲第10号証の1)」と改
め,同23行目の「弁論準備手続期日」の前に「原審」を加え,同24行目の「訴
訟上顕著」を「当裁判所に顕著な事実」と,同末行の「製造」を「制作」と,同行
の「作成し」を「製造し」と各改める。
  (19) 58頁23行目の「弁論準備手続期日」の前に「原審」を加え,同25
行目の「陥る」を「陥ったというべきである」と,59頁9行目,同10行目及び
同18行目の各「模型原型」をいずれも「本件模型原型」と,同11行目の「契約
の錯誤」を「要素の錯誤」と,同21行目の「述べたとおりである。」を「認定判
断したとおりである(なお,本件妖怪フィギュアに係る模型原型は,著作物に該当
するといえるから,本件契約⑨ないし⑫の締結について,そもそも被告に錯誤はな
い。)。」と,60頁1行目の「述べたとおりである。」を「認定判断したとおり
である。」と各改める。
 2 その他,原審及び当審における当事者提出の各準備書面記載の主張に照ら
し,原審及び当審で提出,援用された全証拠を改めて精査しても,当審及び当審の
引用する原審の認定,判断を覆すほどのものはない。
 3 以上によれば,原告の請求は,1億6017万8278円及びうち167万
2650円に対する請求の後である平成14年11月28日から,うち1億555
5万1593円に対する請求の後である同年12月12日から,うち295万40
35円に対する請求の後である平成16年7月28日から各支払済みまで商法所定
の年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから,これを認
容し,その余は理由がないから,これを棄却すべきところ,これと同旨の原判決は
相当であって,本件控訴は理由がなく棄却を免れない。
   よって,主文のとおり判決する。
   (当審口頭弁論終結日・平成17年6月14日)
     大阪高等裁判所第8民事部
         裁判長裁判官      竹  原  俊  一
            裁判官      小  野  洋  一
            裁判官      中  村     心

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛