弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する
         理    由
 本件について、當裁判所の裁判長は昭和二十三年三月十三日最初の公判期日を同
年六月四日午前九時と定め、當裁判所は同年三月十七日右公判期日を札幌高等檢察
廳檢察官に通知したのであるが、右公判期日の十五日前である同年五月二十日まで
に検察官から上告趣意書が當裁判所に差出されず、同年六月十四日に至つて漸く札
幌地方檢察廳檢事正から上告趣意書を當裁判所に差出したのである。同検事正が同
年六月四日附で當裁判所に提出した「公判期日指定に關する件」と題する書面によ
ると、當裁判所が同検事正に右最初に定めた公判期日の通知をしなかつたのは、刑
事訴訟法第四百二十二條に違反している旨主張しているので、當裁判所のした公判
期日通知の適法なことについて、左に説明を加えなければならない。
 刑事訴訟法第四百二十二條第一項によると、上告裁判所は遅くとも最初に定めた
公判期日の五十日前にその期日を上告申立人及對手人に通知すべき旨を規定してい
る。原判決は昭和二十二年八月二十一日札幌地方裁判所で宣告され、これに對して
札幌地方檢察廳檢事正は同月二十五日上告申立書を原裁判所に差出したのであるか
ら、素朴な文理解釋からすると、同條項にいわゆる上告申立人は、本件において札
幌地方檢察廳檢事正であり、従つて公初期日の通知は必ず同検事正に對してされな
ければならなかつたように見えるのである。しかしながら、この解釋は全く検察官
同一體の原則と検察官の職務管轄を度外視したものであつて、正當の見解というこ
とはできない。
 <要旨>檢察官廳法第七條から第十一條までの規定によると、検察官は同一體とし
て檢察權を行使するものであって、檢察各自の公訴追行は上官の指揮監督に
よつて統一された檢察權の代表的發動に外ならない。これは、本件において、原審
公判に關與した検察官が札幌地方檢察廳檢事であつたにもかかわらず、上告申立を
したのは同廳檢事正である事實にもその一端があらわれているのである。ところ
で、この檢察權の同一體的行使について、原則的に、審級上の制約が存する。すな
わち同法第五條によると、検察官はいずれかの檢察廳に属し、その属する檢察廳の
對應する裁判所の管轄區城内においてその裁判所の管轄に属する事項について同法
第四條の職務すなわち公訴を行い裁判所に法の正當な適用を請求するとの職務を行
うものである。右の規定によると、本件に關する檢察權行使は昭和二十二年十一月
十三日本件訴訟記録が原裁判所から札幌地方檢察廳を経由して札幌高等檢察廳に送
付された時から同高等檢察廰の職務管轄に入り来つたのであつて、その後の檢察權
行使者としての地位すなわち上告申立人たるの地位は同廰檢察官の保有するところ
となつたのである。また上告裁判所である當裁制所の檢察廰に對する立場から考え
ても、同法第二條にょり當裁制所に對應して置かれている札幌高等檢察廰を上告に
關する檢察廰として取り扱うのは、もとより當然でなければならない。右の次第
で、當裁判所が本件について最初に定めた公判期日を同廰檢察官に通知した以上、
刑事訴訟法第四百二十二條第一項の規定による適法な通知をしたのに外ならないの
であつて、決して右條項に違反したものということはできない。この立論の正當な
ことは、被告人が上告申立人である場合において、上告裁判所が同條項により、對
手人である検察官に公判期日を通知するとき、常に上告裁判所に對應する檢察廰の
檢察官に對してこれをするものであり、そして、かようの措置が未だかつて違法視
された事例のないことに徴しても明らかである。かくいうからといつて、當裁判所
は、あながちに、本件について札幌地方檢察廰檢事正が上告趣意書を提出する權限
を有することを否定するものではなく、たゞ右の權限は檢察廰法第十二條による代
位的職能たるに過ぎず、これがために、當裁判所の札幌高等検察廰に對する公判期
日通知を違法とする根據とはなりえないことを指摘するものである。
 次上説明するところにより、本件上告申立人である検察官は期間内に上告趣意書
を差出さなかつたものであるから、刑事訴訟法第四百二十七條を適用して、主文の
通り決定する。
 (裁判長裁判官 原和雄 裁判官 藤田和夫 裁判官 佐藤昌彦)

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