弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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       主   文
 本件控訴を棄却する。
 控訴人の当審で拡張した請求を棄却する。
 当審における訴訟費用は控訴人の負担とする。
       事   実
第一 求める判決
一 控訴人
1 原判決を取消す。
2 控訴人が被控訴人に対して雇傭契約上の権利を有することを確認する。
3 被控訴人は控訴人に対し金二、四九一万四、七九八円及び昭和五六年一月一日
から毎月二五日限り一か月金二二万三、八七五円の割合による金員を支払え(但
し、金九七二万九、二一五円及び昭和五一年三月一六日から毎月二五日限り一カ月
金一六万一、四八二円の割合による金員を超える金員の支払を求める部分は当審に
おいて請求を拡張したものである)。
4 訴訟費用は第一、第二審とも被控訴人の負担とする。
5 仮執行の宣言。
二 被控訴人
 主文第一、第二項と同旨。
第二 主張
 当事者双方の主張は、次に付加するほか、原判決事実摘示第二主張欄の記載と同
一であるから、これを引用する。
一 控訴人
 別紙(二)記載の計算方式により控訴人の賃金、夏期及び年末一時金の額を計算
すれば、別紙(一)記載のとおり昭和五五年一二月一二日における賃金は一カ月金
二二万三、八七五円であり、同四五年七月九日から同五一年三月分までの合計額は
原判決添付別表記載のとおり金九七二万九、二一五円、同年四月分(同年三月分の
差額を含む)から昭和五五年一二月一二日までの合計額は賃金一、一五八万八、七
八三円、一時金三五九万六、八〇〇円(総計金二、四九一万四、七九八円)であ
る。
 よつて、被控訴人に対し支払を求める金員は第一主張一、3記載の金員である
(請求の拡張)。
二 被控訴人
 前記一の事実中、計算関係及び方式が控訴人主張のとおりであることは認める
が、その数額は争う。
第三 証拠(省略)
       理   由
 当裁判所も控訴人の本訴請求(当堺で拡張した請求を含む)は理由がなくこれを
棄却すべきであると判断するが、その理由は次に付加、補正するほか原判決がその
理由として説示するところ(原判決二一枚目-記録四四丁-表二行目冒頭から同三
五枚目-記録五八丁-裏九行目の「棄却し」までと同一であるから、これを引用す
る。
一 原判決二三枚目-記録四六丁-表四行目の「A」の後に「、当審証人B」を加
え、同裏三行目の「特別視していなかつたこと」を「特別視することなく事故欠勤
として処理していたこと」と改める。
二 原判決二四枚目-記録四七丁-表一一行目の「あること」の後に「を」を加え
る。
三 原判決二五枚目-記録四八丁-表七行目の「第一七号証、」の後に「成立に争
いのない乙第二二号証、」を、同表一〇行目の「一二号証」の後に「、当審証人B
の証によつて成立を認める乙第二一、第二六号証」をそれぞれ加え、同行の「同証
人の証言」を「右両証人の各証言」と、同裏三行目の「四一条」を「四〇条」とそ
れぞれ改め、同行の「四二条、」の後に「労働協約二七条、」を、同裏四行目「合
併により」の後に「必要となつた」をそれぞれ加え、同四、五行目の「必要を生じ
たが」を「際」と、同八行目の「これを参考として」を「被控訴会社がこれを参考
として、同制度を採用する方向で作成した新就業規則案について労使間で検討がな
され」とそれぞれ改め、原判決二六枚目-記録四九丁-表三行目の「三月六日」を
「三月一六日」と改め、同裏一一行目の「認められ、」の後に「当審証人C、同D
の各証言中右認定に反する部分は前記各証拠に照らし採用し難く、」を加える。
四 原判決二八枚目-記録五一丁-表五行目の「できない。」の後に「なお、労基
法二〇条の解雇の予告の規定は、労働契約が終了すべき時を明確に指示すべきこと
を要求した趣旨であるから、一カ月の休職期間を設定して一定期間経過の時点で雇
用契約終了の効果を生ずる旨を定めた本件「事故欠勤休職」制度は、右規定に違反
するものではない。」を加え、同表七行目の「前記」から同裏二行目の「のみなら
ず、」までを「そもそも」と改める。
五 原判決三〇枚目-記録五三丁-裏八行目の次に行を替えて次のとおり加える。
「さらに、控訴人は、被控訴会社における事故欠勤休職制度は、その制度の趣旨に
おいて刑事事件によつて逮捕勾留されたことによる欠勤の場合を予定していないと
主張するが、前掲E証人、B証人の各証言によれば、被控訴会社において初めて事
故欠勤休職制度をとり入れた新就業規則制定の前後を通じ、同制度については旧播
磨時代の機械的適用の取扱いを踏襲するということで労使間に異論がなく、逮捕勾
留による欠勤の場合には特別扱いにするとか、右制度を適用しないとかの論議はな
されなかつたことが認められ、前掲C証人、D証人の各証言中これに反する部分は
にわかに信用することができず、他に控訴人の右主張事実を認めるに足りる証拠は
ない。従つて、控訴人の右主張は採用できない。」
六 原判決三一枚目-記録五四丁-裏一一行目の「いたつて」を「いたつた」と改
め、同三二枚目-記録五五丁-表一行目の「E証人及びA証人」を「前掲E証人、
A証人及びB証人」と改め、同表三行目の「規定については、」の後に「播磨造船
の労働協約二五条の『休職を命ずる』、同二六条の『休職を命ずることがある』と
の二か条の規定を一括して一か条とし『休職させることがある』と規定したが、」
を、同裏一行目の「なかつたこと、」の後に「被控訴会社は従業員に対しこの趣旨
の周知徹底方を図り、新規採用の従業員に対しては入社の際に詳細な説明を行つて
いたこと、」を、同裏一一行目の「認められる。」の後に「C証人、D証人の各証
言中右認定に反する部分は前掲各証拠に照らし採用できない。」をそれぞれ加え
る。
七 原判決三三枚目-記録五六丁-表八行目から九行目にかけて「認められるので
あつて」とあるのを「認められ、成立に争いのない甲第七八号証の記載もこれを左
右するものではなく」と改め、同表九行目の「妨とならないし、」の後に「また原
本の存在及び成立について争いのない甲第七五号証(但し、末尾のC名義の記載部
分を除く)の記載によれば、被控訴会社は昭和五三年三月二五日付の書面により従
業員Fに対し、同人が同年四月二五日をもつて休職期間を満了して従業員の資格を
喪失する旨を通知したことが認められるが、同号証中の休職期間が六年である旨の
記載によればこれが業務外傷病休職の場合であつて本件事故欠勤休職とは異なるこ
とが明らかであり、成立に争いのない甲第七六号証の記載によれば、被控訴会社は
昭和二八年九月二九日付の書面により組合事務に専念中の従業員Gに対し就業命令
を発する旨同人の父H宛に通知したことが認められるが、これは本件事故欠勤休職
制度の制定前の事例であり、さらに、前段囲みの部分について成立に争いのない甲
第一一九号証の上記部分の記載によれば、被控訴会社が昭和五五年一一月三〇日従
業員某に対し、同人が同年一二月三一日付で退職する旨を通知したことが認められ
るが、右文面上から明らかなようにこれは定年退職者に対する事例であり、右三例
はいずれも本件のような事故欠勤休職の場合の参考事例とするには適切ではな
く、」を加え、同裏二行目の「にかかわらず」から同四行目の「とらない限り」ま
でを「場合には、右文言の通常の用例にもかかわらず」と改め、同六、七行目の
「そのとおり」の後に「機械的」を、同裏七行目の「相当である。」の後に「そし
て、被控訴会社が従業員に対し右の趣旨の周知徹底方を図つていたことは前記認定
のとおりであり、従業員も同規定に該当する事故欠勤があつた場合には、このよう
な扱いを受けるべきことを予測できたものというべきであるから、「事故欠勤休
職」処分をするに当り、被控訴会社が当該従業員に対しその旨の通知をする必要は
ないというべきである。」を加える。
八 原判決三四枚目-記録五七丁-裏八行目の「の証言」とあるのを「及びB証人
の各証言」と改め、同三五枚目-記録五八丁-表一行目の末尾の「及」から同五行
目の末尾までを削り、同表九行目の「証拠はない。」の後に「B証人の証言によつ
て成立を認める乙第二七号証の一の記載によれば、『事故欠勤休職』扱いについて
東京地区には該当なしとされていることが認められるけれども、相生地区と東京地
区とではその地域的特性から従業員の流動性に差異があることは経験則上明らかで
あるから、東京地区に該当者がなかつたからといつて直ちに前記認定を左右するこ
とはできない。」を、同裏三行目の「ない。」の後に「また弁論の全趣旨により成
立を認める甲第八七号証の記載及び当審証人Cの証言によれば、前記Iの例と同時
期に被控訴会社従業員Jがメーデー事件に関連して長期間にわたり逮捕勾留されて
欠勤したことが認められるが、同人に対する被控訴会社の措置を検討するまでもな
く、時期的にみて、前記Iの場合と同様、本件の場合の先例となりえないことが明
らかであり、また、弁論の全趣旨により成立を認める甲第九五、第九六号証の記載
も前掲各証拠に照らし採用するに足りない。」をそれぞれ加える。
九 原判決三五枚目-記録五八丁-裏八行目の「本訴請求」の後に「(当審で拡張
した請求を含む)」を加え、同九行目の「棄却し、」を「棄却すべきである。」と
改める。
 よつて、これと同旨に出た原判決は相当であり、本件控訴及び控訴人の当審にお
いて拡張した請求はいずれも理由がないからそれぞれ棄却することとし、当審にお
ける訴訟費用の負担につき民訴法九五条本文、八九条を適用して、主文のとおり判
決する。
(裁判官 岡垣學 手代木進 吉江清景)
別紙(一)、(二)(省略)

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