弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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       主   文
1 本件訴えのうち、原告の被告に対する平成12年6月19日付けワークアウト
債権回収株式会社取締役就任を目的とする営業許可申請に対して被告が平成12年
10月10日にした不許可決定の取消しを求める訴えを却下する。
2 被告は、原告に対し、原告の被告に対する平成12年6月19日付けワークア
ウト債権回収株式会社取締役就任を目的とする営業許可申請に対して、これを許可
する意思表示をせよ。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
       事実及び理由
第1 請求
1 原告の被告に対する平成12年6月19日付けワークアウト債権回収株式会社
取締役就任を目的とする営業許可申請に対して、被告が平成12年10月10日に
した不許可決定を取り消す(以下「請求1」という。)。
2 主文2項同旨(以下「請求2」という。)
第2 事案の概要
 本件は、被告所属の弁護士である原告が、債権管理回収業に関する特別措置法
(以下「サービサー法」という。)に基づく債権回収会社となるべく設立準備中の
株式会社の取締役に就任しようとして、被告に対し、弁護士法30条3項に基づく
営業許可申請を行ったのに対し、被告が、同申請にかかる営業を原告が行うことは
弁護士の信用・品位を害するおそれがあるとして、同申請につき、これを不許可と
する旨の決定をしたので、原告が、被告に対し、同不許可決定の取消しを求めると
ともに、同申請に対する許可の意思表示を求めた事案である。
1 法令の定め
(1) サービサー法は、特定金銭債権の処理が喫緊の課題となっている状況にか
んがみ、許可制度を実施することにより弁護士法の特例として債権回収会社が業と
して特定金銭債権の管理及び回収を行うことができるようにするとともに、債権回
収会社について必要な規制を行うことによりその業務の適正な運営の確保を図り、
もって国民経済の健全な発展に資することを目的としている(サービサー法1
条)。
(2) サービサー法は、その2条1項において、一定の金融機関等が有する貸付
債権等を「特定金銭債権」として定め、同条2項において、同法における「債権管
理回収業」とは、「弁護士以外の者が委託を受けて法律事件に関する法律事務であ
る特定金銭債権の管理及び回収を行う営業又は他人から譲り受けて訴訟、調停、和
解その他の手段によって特定金銭債権の管理及び回収を行う営業」をいうものと規
定し、債権管理回収業
は、法務大臣の許可を受けた株式会社でなければ、営むことができず(同法3
条)、同法において同条の許可を受けた株式会社を「債権回収会社」というものと
されている(同法2条3項)。
(3) サービサー法3条の許可を受けようとする者は、同法4条1項の定める事
項を記載した許可申請書を法務大臣に提出しなければならないところ、同項4号
は、「役員のうち弁護士であるものについては、その旨及び所属弁護士会の名称」
を許可申請書に記載すべきことを定めている。
(4) サービサー法5条は、同法3条の許可の基準を定めており、同条1号ない
し8号において許可の除外事由を規定しているところ、許可申請者が「常務に従事
する取締役のうちにその職務を公正かつ的確に遂行することができる知識及び経験
を有する弁護士のない株式会社」に該当する場合には、法務大臣は同法3条の許可
をすることができない(同法5条4号)。
(5) 法務大臣は、サービサー法3条の許可をしようとするときは、弁護士であ
る取締役について、当該取締役がその職務を公正かつ的確に遂行することができる
知識及び経験を有する者であるか否かに関し、日本弁護士連合会(以下「日弁連」
という。)の意見を聴くこととなっているところ(同法6条2項本文)、当該取締
役がその所属する弁護士会の推薦を受けた者であるときは、上記意見聴取の必要は
ないものとされている(同項ただし書)。
(6) 弁護士は、所属弁護士会の許可を受けなければ、営利を目的とする業務を
営み、若しくはこれを営む者の使用人となり、又は営利を目的とする法人の業務執
行社員、取締役若しくは使用人となることができない(弁護士法30条3項)。
2 争いのない事実
 原告は、被告に所属する弁護士であり、サービサー法に基づき法務大臣の許可を
得て債権回収会社となるべくその準備を進めていた下記法人(以下「ワークアウ
ト」という。)の取締役に就任しようとしていた者である。
             記
会社名 ワークアウト債権回収株式会社
所在地 東京都新宿区
資本金 5億0800万円
親会社 株式会社ビィー・ジャパン(以下「親会社」という。)
(貸金業、出資比率98・4パーセント)
(2) 原告は、ワークアウトの要請を受け、被告に対し、平成12年6月19
日、弁護士法30条3項に基づきワークアウトの取締役就任につき営業許可申請
(以下「本件申請」という。)をした。そ
の際、原告は、サービサー法6条2項ただし書に基づく推薦申請も併せて行った。
(3) 被告は、本件申請に対し、審議の結果、平成12年10月10日、これを
不許可とする決定(以下「本件決定」という。)をした。
3 争点
(1) (請求1につき) 本件決定は「行政庁の処分その他公権力の行使に当た
る行為」(行政事件訴訟法3条2項)といえるか否か(争点1)
(2) (請求1につき、争点1が肯定される場合)本件決定の適法性(争点2)
(3) (請求2につき)被告は本件申請に対しこれを許可する義務があるか否か
(争点3)
4 争点に対する各当事者の主張
 争点1(行政庁の処分といえるか否か)について
(原告の主張)
 弁護士会は、弁護士法30条3項の許可・不許可を行うにつき行政庁といい得る
もので、したがって、本件決定は、行政庁たる被告の処分に当たる。
(被告の主張)
ア 弁護士会は、弁護士法30条3項の営業許可申請に対し、弁護士の品位と信用
の保持に十全を期し難くなるおそれがあるかどうかを判断し、その許可・不許可の
決定をする裁量権を与えられている。そもそも個人には取締役への就任能力がある
ので、弁護士法30条3項において弁護士会による営業許可が所属弁護士の取締役
就任の要件とされているのは、弁護士会が所属弁護士の権利義務の範囲を画するこ
とを法により認めたものということができる。したがって、弁護士法による弁護士
会による営業不許可処分は、弁護士の権利義務に直接かかわる処分であり、当該弁
護士の権利義務の範囲を画するために直接的に介入する行為であるから、弁護士会
は、少なくとも弁護士法30条3項によって処分の権限を付与されている限度では
行政庁とみなすことができ、かつ、その行為には行政処分性が認められる。
イ 弁護士法49条の3は、日弁連が弁護士法上行った処分について、行政不服審
査法により不服申立てをすることができないと規定しているので、その反対解釈に
より、日弁連ではなく弁護士会が弁護士法上行った処分については行政不服審査法
による不服申立てをすることができ、弁護士法12条、12条の2及び59条によ
れば、弁護士法上定める弁護士会の処分につき、行政不服審査法の適用を前提とし
て、この弁護士会の処分につき上級機関たる日弁連に対する審査請求を明文で認め
ている。
 また、行政手続法の制定に当たっては、「行政手続法の施行に伴う関係法律の整

に関する法律」(平成5年法律第89号)33条に基づき、日弁連の処分につき弁
護士法49条の2に行政手続法の適用除外が明文化されたと同時に、弁護士法43
条の2に弁護士会の弁護士法上の処分につき行政手続法の適用を除外する旨の明文
規定が置かれたが、このことにより、立法者が弁護士会の弁護士法上の処分には行
政処分性があることを認めていたことは明らかである。
 こうした弁護士法上弁護士会が行う処分についての条文の体裁や行政手続法の制
定経緯からみても、弁護士法上弁護士会が行う処分については、弁護士会は行政庁
とみなすべきであり、したがって、被告による本件決定は行政事件訴訟法の抗告訴
訟の対象となるものである。
(2) 争点2(本件不許可決定の適法性)及び争点3(本件許可申請に対する被
告の許可義務の有無)について
(被告の主張)
ア 弁護士法30条3項による所属弁護士会の許可は、所属弁護士会の裁量行為で
あるから、その処分が明らかに裁量の範囲を逸脱していない限り処分の取消しは認
められない。
イ 被告は、弁護士法30条3項の規定を受けて、営業許可取扱手続規則(本件決
定当時の同規則は、平成12年11月21日の改正前のもの。以下「規則」とい
う。)において、営業の基準を定めており、規則7条本文は次のように規定してい
た。
 「本会は、営業許可申請に対し、申請者が第2条各号に定める営業等(以下「営
業等」という。)を行うことが弁護士(外国法事務弁護士を含む。以下同じ。)の
信用、品位を害しないと認める場合にはこれを許可する。」
ウ 本件において、被告は、規則7条本文に基づき、原告の本件申請について、そ
の申請に係る営業を原告が行うことは弁護士の信用、品位を害するおそれがあるも
のとして、これを不許可とした。不許可の理由の要旨は次のとおりである。
(ア) 審査の基準について
 親会社は貸金業者であるところ、貸金業者である親会社が大部分を出資する子会
社である債権回収会社の取締役の営業許可を検討するに際して、弁護士の取締役就
任後の執務状況が会社の業務の適性を十分監督できるものかどうか、具体的には、
第一に親会社の営業に違法性や反社会性がないか否か、第二に申請会社に親会社か
らの独立性があるか否かを調査した上、その結果に照らし、当該営業許可をするこ
とが弁護士の信用・品位を害するおそれがないかどうかを考慮して、弁護士法30
条3項に基づく弁護
士会の営業許可の可否を検討する必要がある。
(イ) 審査の手続について
 被告の常議員会は、原告に対して質疑応答を行ったほか、常議員会内小委員会に
おいて2度にわたる事情聴取や質疑応答を行い、さらに資料の提出を求め、被告が
危惧する親会社の営業形態を指摘した上、親会社の営業体質がワークアウトに影響
を与え、原告の努力にもかかわらず、弁護士としての信用と品位を害するのではな
いかとの指摘をして、原告に一定の合理的期間内にその危惧を払拭する立証をする
ことを促した。
(ウ) 親会社の営業実態について
 被告は、事実認定に基づき、親会社の営業実態は、貸付時から5ないし6か月の
短期間での返済を要求し、担保余力がある者に対してはさらに貸付けをし、種々の
名目で高額な手数料をとっており、これを加えた実質金利は出資の受入れ、預り金
及び金利等の取締りに関する法律(以下「出資法」という。)の制限を超えること
もあり、さらに、これを元本に組み入れるなど、債務者は最終的に不動産を処分し
て決済せざるを得なくなる仕組みであり、当該不動産を安価で買い取った上、短期
間のうちに高値で再売買をさせ又は他へ売却するなど、全体としてみると反社会的
商行為の疑いを払拭できなかった。
(エ) 結論
 ワークアウトは、親会社の完全子会社に近い存在で、その支配・影響下にあっ
て、社会的には親会社と同一視し得る。親会社と同様に弁護士の品位・信用を害す
る方法でワークアウトの業務が運営される高度の蓋然性が存する。
エ サービサー法は、17条以下において債務者等の生活の平穏を図ることも重視
しており、弁護士法の特例として認められた経緯からすれば、債権回収会社の設立
に際し、弁護士会に事前の関与をさせ、弁護士法の下での営業許可の基準から考え
て弁護士の品位と信用を保持し得るのか否かの審理及び判断を弁護士会が行うこと
排除するものではなく、むしろこれを積極的に容認しているものと解すべきであ
る。
 なお、サービサー法の立法目的である不良債権処理の促進を図るために弁護士会
における営業許可の審査の迅速化を求めるとの主張がされているが、そのような主
張も、弁護士会は当該弁護士の適格性のみを審査すれば足りるとしているわけでは
ない。
オ 以上により、被告のした本件決定が明らかに裁量の範囲を逸脱しているとはい
えず、本件決定は適法かつ正当なものであり、また、被告が本件申請につき許可を
すべき義務はない。
(原告の主張)
ア 弁護士会は強制加入制が採られ(弁護士法8条)、弁護士が営利を目的とする
事業に関与するには弁護士会の許可を要する(同法30条3項)のは、結社の自
由、職業選択の自由に対する重大な制限であることからすれば、同条に基づく弁護
士会の許可ないし不許可は、弁護士会のいわゆる裁量行為であるとしても、その裁
量の範囲は限定的に解すべきであり、不許可が裁量の範囲を明らかに逸脱してされ
たときは、その不許可の決定は違法なものであり、弁護士会はこれを許可すべき義
務を負うと解すべきである。
イ 弁護士法30条3項の趣旨は、弁護士の品位と信用の保持であるところ、債権
回収会社は、営利企業であるとはいえ、厳格な設立要件が法定され、法務大臣の監
督の下厳しい行為規制がかけられた株式会社であって、弁護士が債権回収会社の取
締役に就任することは、サービサー法自体が要求しており、これは、専門の法律知
識を有し厳格な倫理規範を課せられている弁護士が取締役に就任することにより適
正な債権回収業務の遂行を債権回収会社内部において担保しようとするものであっ
て、取締役弁護士の存在がサービサー制度の中核的な要素となっているのであるか
ら、債権回収会社になろうとしている会社が債権回収会社としての許可要件を充た
していないという例外的な場合を除いては、弁護士の品位と信用を損ねることには
ならない。
ウ 本件における親会社は貸金業者であるが、サービサー法は貸金業者が債権回収
会社の出資母体になることは何ら制限していない。債権回収会社は、法務大臣の許
可を受けなければ営業することはできず、その業務は法務大臣の監督の下、厳しい
行為規制がかけられ、その経営内容は弁護士が内部から監督し、さらには株式会社
の監査等に関する商法の特例に関する法律上、会計監査人による外部監査等の対象
にもなるのであるから、仮に出資母体が債権回収会社に対して違法・反社会的な支
配力を行使し、影響力を及ぼそうとしても、容易に排除され、また、債権回収会社
がそれに従うことはいわば自殺行為であって、したがって、出資母体がそのような
ことをすることも、債権回収会社がそれに従うこともあり得ない。すなわち、出資
母体の営業実態や出資母体と債権回収会社の関係により弁護士の品位と信用が損な
われることはないのである。それにもかかわらず、本件において、親会社とワーク
アウトにつ
いてこれらを問題にすることは、既にサービサー法が問題として対策を講じたこと
を再び問うものであって、そうすべき必要も理由もない。
 また、本件において、親会社は、その営業活動に関して、これまで刑事上、行政
上の処分を受けたことはなく、その他ワークアウトには債権回収会社としての営業
を不許可とされるべき事由はない。
エ 本件では、原告がワークアウトの取締役に就任することは弁護士の品位と信用
を損ねるものではなく、また、被告は、本件申請について、親会社の営業実態及び
親会社とワークアウトの関係を審査の対象とすべきでもなかった。債権回収会社の
取締役に就任する弁護士については、サービサー法は、取締役である弁護士が債権
回収会社内部から実効的かつ十分に監督し、債権回収会社の業務が適正に行われる
ようにするために、職務を公正かつ的確に遂行することができる知識及び経験を有
する弁護士が常務に従事することを求めている。したがって、本件申請に対して、
被告は、原告がその際併せて行った推薦申請に対して原告の債権回収会社の取締役
としての適格性を審査し、その結果推薦ができるのであれば本件申請を許可すべき
であったのである。
オ よって、被告は、本件申請について許可をすべきであったにもかかわらず、親
会社の営業活動の実態及び親会社とワークアウトの関係を審査し、しかも事実を誤
認して、親会社の違法性、反社会性を言い立て、ワークアウトは親会社の違法性、
反社会性を遮断し得るほどの親会社からの実質的独立性を有しないとしてこれを不
許可としたものであり、本件決定は、サービサー法を十分理解せず、審査・判断の
対象を誤って本来審査すべきでないものを審査の対象としたものであるから、明ら
かに裁量の範囲を逸脱し違法であって、被告は、本件申請につきこれを許可する義
務がある。
第3 争点に対する判断
1 争点1(行政庁の処分といえるか否か)について
(1)ア 本件の請求1は、被告のした本件決定の取消しを求める抗告訴訟である
ところ、抗告訴訟の対象となる処分とは、公権力の主体である国又は公共団体が行
う行為のうちで、その行為により直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を画す
ることが法律上認められているものをいう。
イ 弁護士会は、弁護士の「品位を保持し、弁護士事務の改善進歩を図るため」、
弁護士の指導、連絡及び監督に関する事務を行うものであるところ(弁護士法31

1項)、その業務の目指すところからして、本質的には弁護士という共通の職業に
就いている者らがその共通の利益を維持増進することを目的として結集しているも
ので、いわゆる同業者団体の一種であるということができる。同業者団体は、一般
に、その存立の目的からして、公益の実現といった行政作用を行うものではなく、
この点において、専ら公益の実現を目的として設立される公共組合とはその本質を
異にするものといわざるを得ない。このことは、当該同業者団体について法律によ
って強制加入制度がとられていても、そのことによって団体の存立目的に変化がな
い以上、別異に解すべき理由とはならない。もっとも、同業者団体も、その活動に
当たって構成員に一定の規律の保持を求め、それに違反する構成員に制裁を与える
ことから、権力的な作用を行っているようにみえないでもないが、そのような行動
は、本来的にはあくまで団体の目的達成のために行われる自治的活動であって、そ
のことによって同業者団体を公権力の主体とみることはできない。また、同業者団
体がその機能を果たすことによって、その構成員らの従事する職業の健全性が保た
れ、広く国民一般がその利益を享受することもあるが、それは、当該団体の活動に
よる副次的効果にすぎず、このことによって当該団体の目的が公益の実現にあると
みることもできない。
 他方、特定の職業について、法律により、一定の資格要件を備えた者のみに従事
することを認めるために許可制を採用し、その資格にふさわしい業務を行うよう種
々の義務を課すとともに、これに違反した者には業務を停止させるなどの措置を採
るとの制度が設けられることがある。このような制度は、当該職業の性質を考慮し
て公益を保護するために採用されるものであり、この制度に基づく許可、監督及び
制裁は、いずれも公権力の発動としての性質を有するものであり、本来は国の機関
である行政庁が行うべき事務であるが、法律により、その全部又は一部を当該職業
についての同業者団体に委任することも可能である。このようにして委任を受けた
同業者団体は、その委任の範囲内で公権力の行使を行うことになるが、同業者団体
は、公共団体とは異なり、上記のように本来は公権力の主体ではないのであるか
ら、その行為が当然に行政処分となるわけではなく、これに不服のある者は、委任
庁に対して監督権の発動を求め、これに対する委任庁の裁決等に
なお不服がある場合にのみ当該裁決等の取消しを求めて出訴し得るとの制度がとら
れるのが通常であり(司法書士法6条の5等)、同業者団体の行為自体を行政処分
として取消訴訟の対象とし得るのは、当該事務を委任した法律において、その旨の
明文の定めがある場合に限られると解すべきである。
ウ このような観点から検討するに、弁護士法においては、16条において、日弁
連により、①同法12条による登録若しくは登録換えの請求の進達の拒絶について
の審査請求を却下され若しくは棄却され、②同法14条1項による異議の申出を棄
却され、又は③同法15条により登録若しくは登録換えを拒絶された者が、東京高
等裁判所に日弁連の①の裁決、②の決定又は③の拒絶の取消しの訴えを提起するこ
とを認め、また、同法62条において、日弁連により、④同法56条による懲戒に
ついての審査請求を却下され若しくは棄却され、又は⑤同法60条により懲戒を受
けた者が、日弁連の⑤の裁決又は⑥の懲戒の取消しの訴えを提起することを認めて
いるが、弁護士会が弁護士法に基づいてしたその他の行為について抗告訴訟の提起
を認めた規定はない。このように弁護士法30条3項の弁護士会による許可・不許
可の決定については、同決定に関する不服申立てを定めた規定や日弁連が同決定に
つき一定の行為をすることを前提としてその取消しを求める訴訟の提起を認めた規
定もないから、同決定を行政処分として取り扱う旨の法令上の根拠はないというこ
とができ、したがって、その行為は抗告訴訟の対象となる処分とはいえない。
 その上、同決定については、国の機関に対する監督権の発動を求める途もないこ
とや、同項自体が弁護士の品位保持のための規定と解されることからすると、同決
定自体が、同業者団体一般が行う自治的活動の一環として行われているものと解す
るのが相当であり、国からの委任に基づいて公権力を行使しているものではないと
解すべきである。
(2) ア この点について、弁護士法43条の2は、弁護士会が弁護士法に基づ
いて行う処分について行政手続法第2章及び第3章の規定を適用しないことを定め
ていること、日弁連が弁護士法に基づいてした処分については行政不服審査法によ
る不服申立てをすることができないことを規定した弁護士法49条の3の反対解釈
として、弁護士会が弁護士法に基づいてした処分については行政不服審査法による
不服申立てをする
ことができると解することができること、さらに、弁護士法16条及び62条が、
前記のとおり、弁護士会の行為に対する審査請求についての日弁連の裁決に対し取
消訴訟を提起できることを規定していることからすれば、同法に基づく弁護士会の
行為一般が、審査請求の前提となる原処分として行政庁の処分であるかのようにみ
えないでもない。
 しかし、弁護士法49条の3について反対解釈を行うこと自体が、前記のような
弁護士会の性質に照らして疑問がある上、立法者が一般的に同法に基づく弁護士会
の行為を行政処分と考えていたとすれば、あえて同法12条4項及び同法12条の
2が同法12条1項又は2項に基づく登録又は登録換えの請求の進達の拒絶につい
て日弁連に対し行政不服審査法に基づく審査請求ができることを定め、同法16条
3項が同審査請求に対する日弁連の裁決に対してのみ取消しの訴えの提起を認め、
同法59条が同法56条により弁護士会がした懲戒について日弁連に対し行政不服
審査法に基づく審査請求をすることができることを前提とし、同法62条が同審査
請求に対する日弁連の裁決に対してのみ取消しの訴えの提起を認めるという個別の
規定を設ける必要はないはずである。むしろ、これら個別の不服申立て及び取消訴
訟の提起に関する規定を置いているのは、前記のような弁護士会の性質に照らし、
弁護士会への公権力行使の委任の範囲を明らかにするとともに、その行為に対する
不服申立ての方法を明示することを意図したものであって、弁護士法は、これらの
規定に係る弁護士会の行為についてのみ行政不服審査法の不服申立て及び取消訴訟
の対象となることを明らかにしたものと解される。
 したがって、弁護士法に基づく弁護士会の行為について行政庁のした処分と同視
する余地があるとしても、それは、上記のとおり個別に行政不服審査法に基づく不
服申立て及び取消訴訟の提起を許した規定のある行為に限られるというべきであ
り、弁護士法43条の2の規定はこのような解釈の妨げとなるものではない。
イ この点に関連して、最高裁昭和42年9月27日大法廷判決(民集21巻7号
1955頁)は、「弁護士法(以下法という。)は、弁護士の使命および職務の特
殊性にかんがみ、弁護士会および日本弁護士連合会(以下日弁連という。)に対
し、公の権能を付与するとともに、その自主・自律性を尊重し、その一環として、
その会員である弁護士に
一定の事由がある場合には、弁護士会または日弁連が、自主的に、これに対する懲
戒を行うことができるものとしている。この意味において、弁護士会または日弁連
が行う懲戒は、弁護士法の定めるところにより、自己に与えられた公の権能の行使
として行うものであって、広い意味での行政処分に属するものと解すべきである。
所属弁護士会がした懲戒について、日弁連に行政不服審査法(括弧内省略)による
審査請求をすることができるものとし(法59条参照)、さらに、日弁連のした裁
決または懲戒に不服があるときは、行政事件訴訟法による『取消しの訴え』を提起
することができることにしている(法62条)のも、右懲戒が一種の行政処分であ
ることを示しているものということができる。」と判示している。
 同判決の事案は弁護士会の所属弁護士に対する懲戒処分について争われたもので
あり、本件で問題となっている弁護士法30条3項の営業許可申請に対する弁護士
会の許可・不許可の決定が問題となった事案ではないから、事案を異にするという
べきであるが、その点をさておくとして、同判示は、問題となる弁護士会の行為に
つき日弁連に対する行政不服審査法による審査請求をし得ることに加えて日弁連の
した裁決又は懲戒に対して取消訴訟を提起できることを「広い意味での行政処分」
性を認める理由としている。ある行為に対して行政不服審査法による不服申立てが
認められるからといって、そのことを理由として当該行為に公定力があることが認
められるわけではなく、公定力はいわゆる取消訴訟の排他的管轄を基礎にして説明
されるものであることからすれば、上記判示は、日弁連に対する行政不服審査法に
よる審査請求をし得ることのみならず、日弁連のした裁決等に対して取消訴訟を提
起できる旨の規定があって初めて、当該行為に公定力を認め、その意味での行政処
分性を認めることができることをいうものと解すべきである。
 そうであるならば、上記最高裁判決が弁護士会及び日弁連に対して公の権能が付
与されていることを認め、「広い意味での行政処分」性を認めたことは、弁護士会
又は日弁連が弁護士法に基づいて行う行為全般に当てはまるものではなく、弁護士
法上行政不服審査法に基づく不服申立てに加えて取消訴訟の提起が明示的に認めら
れている行為についてのみ当てはまるものというべきであり、したがって、上記最
高裁判決の判示も、上記の解釈と矛盾
するものではない。
ウ よって、弁護士法30条の3の営業許可の申請に対する弁護士会の決定につい
ては、その行為の性質からしても、また行政不服審査法に基づく不服申立て及び取
消訴訟の提起を許した規定がないことからも、これを行政庁のした行政処分として
抗告訴訟の対象となることはないものというほかない。
 このように解した場合、弁護士法30条の3の営業許可の申請に対して不許可の
決定を受けた者は、これを取消訴訟において争うことはできないが、その反面、取
消訴訟で弁護士会のした決定の効力を排除する必要はないのであるから、本件で原
告が請求2において弁護士会の許可の意思表示を求めているように、民事訴訟にお
いて弁護士会の許可の意思表示を求めることができると解されるのであって、不許
可の決定を受けた者の保護に欠けることはない。
(3) よって、本件訴えのうち、請求1に係る訴えについては、本件決定が行政
事件訴訟法3条2項の「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」とは認め
られず、したがって、抗告訴訟の対象となり得ない行為の取消しを求めるものとし
て不適法なものといわざるを得ないから、争点2について判断するまでもなく、却
下を免れない。
2 争点3(本件申請に対する許可義務の有無)について
(1) ア 弁護士法30条3項は、弁護士に対し、営利を目的とする
事業に関与することを制限し、弁護士会の許可を要することとしたものであるが、
その理由は、弁護士が営利の目的のための事業等に携わることを何らの制約なくし
て認める場合には、弁護士の品位と信用の保持に十全を期し難くなるおそれがある
ため、弁護士会の許可を要するものとすることによって、これを保持し、また、弁
護士の品位と信用の保持についての弁護士会の指導・監督に遺漏がないようにする
ことを期したものである。
イ したがって、弁護士会が同項の許可を与えるか否かを決するに当たっては、弁
護士の品位と信用の保持に十全を期し難くなるおそれがあるかどうかが判断の要素
となり、同判断要素が抽象的であることからすれば、弁護士会が同判断に当たって
裁量を有することは明らかである。しかしながら、同項の制限は、弁護士会が強制
加入制の団体であることに照らすと、憲法22条の定める職業選択の自由ないし同
条の保障内容に含まれるものと解される営業の自由に対する制限であると考えられ
るのであるから、弁護士会の有する
裁量の範囲は無制限ではあり得ず、弁護士会のした不許可の決定がその裁量を明ら
かに逸脱又は濫用してされたものであるときは、当該不許可の決定は違法かつ無効
なものであって、弁護士会は当該営業許可の申請に対しこれを許可すべき義務を負
うものと解するのが相当である。
(2) ア ところで、サービサー法は、前記第2、1のとおり、債権
管理回収業は、法務大臣の許可を受けた株式会社でなければ営むことができず(同
法3条)、同株式会社は資本金5億円以上でなければならないこととして(同条1
号)、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の適用により厳格な監査
に服する大会社であることを債権回収会社となるための1つの要件とし、同3条の
許可を受けようとする者は、同法4条1項の定める事項を記載した許可申請書に必
要な書類を添付して法務大臣に提出しなければならないこととし、同法5条におい
て、同法3条の許可の基準を定め、同条1号ないし8号において暴力団員の関与を
排除すること等をも目的とした許可の除外事由を詳細に規定し、許可をしようとす
るときには暴力団員の関与に関する除外事由につき警察庁長官の意見を聴くものと
している(同法6条1項)。これらの規定からすると、債権回収会社となろうとす
る者の適格性については、法務大臣がサービサー法3条の許可をするに当たって厳
格に審査をすることが予定されているものということができる。
イ そして、サービサー法3条の許可は、既に設立された株式会社で、かつ適格を
有する弁護士が常務に従事する取締役となっている会社に対してされるものである
ことから、債権回収会社の取締役になろうとする弁護士に対する弁護士法30条3
項の許可の申請はサービサー法3条の許可に先行してされることが予定されている
と考えられるものの、この点の運用としては、法務大臣によるサービサー法3条の
許可がされることを条件として弁護士法30条3項の許可がされることが予定され
ているものと認められるから(乙第1号証の4によれば、本件申請についても、原
告がワークアウトの取締役に就任するに当たってはワークアウトがサービサー法3
条の許可を取得できないことを解除条件とするものであることが明らかにされてい
ることが認められる。)、同申請に対する審査においては、債権回収会社になろう
とする者の適格性については、基本的には後に行われる法務大臣のサービサー法
3条の許可に当たっての審査に委ねるべきものであると考えられる。
ウ そのように解さず、弁護士会が弁護士法30条3項の許可・不許可の判断に当
たって債権回収会社の適格性を判断するとなれば、前述のように、債権回収会社に
ついては弁護士が取締役となっていることが同条の許可の要件の一つとなってい
て、そのため、常に弁護士会による弁護士法30条3項の許可・不許可の審査が先
行するため、弁護士会が債権回収会社の適格性を法務大臣の審査に先行して判断す
ることになり、その結果、弁護士会の判断によって同適格性が否定されると、当該
弁護士会所属の弁護士を取締役としようとする限りにおいては、債権回収会社とな
ろうとする会社を設立することはできないこととなり、許可の申請にも至らないこ
ととなるから、結局、サービサー法が法務大臣に与えた同法3条の許可権限を事実
上弁護士会が行使することになり、法務大臣がサービサー法の規定に従って審査を
行うこととした意味が実質的に失われてしまうことになりかねない。
エ したがって、債権回収会社の取締役になろうとする弁護士から弁護士法30条
3項の許可の申請を受けた弁護士会としては、当該会社の適格性についての審査
は、これがサービサー法の定める要件を満たさないことが明らかであるような特段
の事情がある場合を除き、後に行われる法務大臣の審査に譲り、その点以外におい
て、弁護士法30条3項の許可制度の目的たる弁護士の品位と信用を損なうおそれ
の有無及び程度を審査して許否を決すべきである。
(3) ア これを本件についてみるに、被告は、親会社の営業実態は、貸付時か
ら5ないし6か月の短期間での返済を要求し、担保余力がある者に対してはさらに
貸付けをし、種々の名目で高額な手数料をとっており、これを加えた実質金利は出
資法の制限を超えることもあるばかりか、これを元本に組み入れるなどによって、
債務者は最終的に不動産を処分して決済せざるを得なくなる仕組みであり、さら
に、当該不動産を安価で買い取った上、短期間のうち高値で再売買をさせ又は他へ
売却するなど、全体としてみると反社会的商行為の疑いを払拭できないもので、ワ
ークアウトは、親会社の完全子会社に近い存在で、その支配・影響下にあって社会
的には親会社と同一視し得るから、親会社と同様に弁護士の品位・信用を害する方
法でワークアウトの業務が運営される高度の蓋然性があった旨主張
する。
 確かに、証拠(乙5の1、乙7の2)によれば、ワークアウトの出資金の98.
4パーセントを親会社が出資し、その他に出資金の0.6パーセントを親会社の役
員3名が出資していること、ワークアウトの役員構成は監査役を含めた役員7名中
5人が親会社の取締役等であること、従業員の約半数が親会社の従業員であること
は認められるが、反面、役員の他の2名は、弁護士である原告と公認会計士1名で
あり、また、従業員については、約半数が親会社の従業員以外の者を雇用すること
としていて、そのうち1名は警察庁の退職者であることも認められ、人的構成にお
いては、ワークアウトが必ずしも親会社と全く一体であるとまではいえないのみな
らず、サービサー法が弁護士を取締役の一人とすることを求め、専門の法律知識を
有し、かつ、倫理規範の課せられている弁護士が取締役に就任することにより適正
な債権管理回収業務が遂行されるべきことを債権回収会社内部において担保しよう
としているものであることを考えれば、原告が親会社の意向どおりにしか行動しな
い高度の蓋然性が認められるといった特段の事情でもない限り、上記サービサー法
の目的のために弁護士である原告が取締役となる点において、ワークアウトの人的
構成が親会社と実質的に一体であるとは解し難く、さらに公共性の強い職業である
公認会計士がワークアウトの取締役とされていることも認められるのであるから、
これらの点にかんがみれば、ワークアウトを社会的には親会社と同一視し得るとす
る被告の主張は採用できない。
 また、サービサー法がその14条ないし18条において、利息制限法の制限を超
える利息及び損害金の請求を禁止するなど債権回収会社の業務に関し、詳細かつ具
体的な規制を定め、法務大臣の監督につき、立入検査、業務改善命令、同法3条の
許可の取消し、監督処分の公告等の権限を法務大臣に与え、これに対する警察庁長
官の協力についても規定を置いて、債権回収会社に対する業務規制に実効性を持た
せていることに照らせば、仮に親会社に被告の主張するような反社会性があるとし
ても、こうしたワークアウトに対する業務規制の下で、親会社とワークアウトが単
に資本及び人的構成の重なりが相当程度認められるというだけで、ワークアウト自
身がどのような反社会的行為をするおそれがあり、それがどのように弁護士の品位
と信用を損なうおそれがあるとするものかは被
告の主張自体においても何ら明らかではなく、この点からも被告の主張は採用の限
りでない。
イ 親会社の営業実態に関して、証拠(乙8及び9[各校番号を含む])によれ
ば、親会社は、金銭の貸付けの際、債務者が利息のみならず、貸付時及び返済時に
おける手数料を支払わなければならない旨の契約を締結していることが認められ、
さらに、証拠(甲9)によれば、親会社が、金銭消費貸借の媒介手数料及び媒介行
為着手後に債務者の都合で媒介を中止した場合の違約金をそれぞれ借入希望金額の
5パーセントとする約定の付された金銭消費貸借媒介契約を締結していたところ、
同契約の相手方が親会社の媒介行為着手後に媒介の中止を申し入れたとして、約定
の違約金の支払を求めて民事訴訟を提起したのに対し、相手方は、親会社が金銭消
費貸借をするに際しては、実質年率9.8パーセントの約定利息のほか、貸付時及
び返済時にそれぞれ手数料を取得する旨の契約を締結し、これらをすべて利息と考
えると利息制限法の定める制限利率を超える利息を取得することとなる契約を締結
しており、さらに、この借入金を返済するために他から借入れをしようとして締結
した金銭消費貸借媒介契約において、上記のような違約金の支払義務を債務者に負
わせることは公序良俗違反により無効である等の主張をしたことが認められる。し
かしながら、証拠(甲9)及び弁論の全趣旨によれば、同訴訟については、貸金債
務の弁済資金の調達のために締結された媒介契約で、親会社が5パーセントの割合
による手数料を取得し得ることとなっていても、これを公序良俗違反ということは
できないとして、親会社の違約金請求を認容する判決が言い渡され、同判決は確定
していることが認められる。
 また、親会社の営業については、東京都消費者生活センター又は国民生活センタ
ーに苦情ないし相談が持ち込まれてはいるが、その件数は、東京都消費者生活セン
ターに対して平成9年4月から平成13年4月までの4年間に8件、国民生活セン
ターに平成4年から平成10年までの7年間に26件でしかなく、親会社の営業内
容が貸金業であって、借入れをした債務者から取立て等に関する不満が述べられた
り相談が持ち込まれたりすることはどのような貸金業者に対してであれ一般に少な
くないと考えられることからすれば、親会社の営業に関する上記苦情ないし相談の
件数自体必ずしも多いものとはいえないし、金
銭貸借に関する苦情ないし相談の性質にかんがみ、苦情の件数が多いとしても、そ
れが客観的に親会社の営業の反社会性を示すものとは必ずしもいい難い。
 そのほか、被告は、親会社の反社会性をその営業において締結している契約内容
等から縷々主張するが、そもそも、親会社について、その営業につき、貸金業の規
制等に関する法律に基づく業務の停止、貸金業者としての登録の取消し等の行政処
分や同法違反等による刑事処分を受けたことは、本件全証拠をもってしても認める
ことはできず、親会社の営業に関する違法行為の存在や反社会性が公的機関により
認められたことはないといえる。
 加えて、本件決定後の事情ではあるが、ワークアウトについては、千葉県弁護士
会所属の弁護士がワークアウトの取締役に就任すべく、同弁護士会に弁護士法30
条3項の許可の申請をし、同弁護士会は、平成13年1月17日、同申請につき許
可をし(甲7)、これを受けて、ワークアウトは、債権回収会社となるべく法務大
臣に対してサービサー法3条の許可の申請をし、法務大臣は、同年6月15日、こ
れを許可したこと(甲8)が認められる。
 こうした点にかんがみれば、本件申請につき、法務大臣のサービサー法3条の許
可についての審査を待たずにワークアウトが債権回収会社として不適格であること
が明らかであるような特段の事情のある場合に当たるものと認めることはできない
といわざるを得ない。
 そして、原告は、ワークアウトの取締役に就任した場合の勤務形態について、当
初、非常勤ではあるがワークアウトの業務監督を常務的に行うに必要な勤務態勢で
勤務するものである旨を被告に対して説明し(乙1の3)、被告におけるその後の
審査の経過においては基本的に常勤することを表明していることが認められるとこ
ろ(乙9の1)、そもそもサービサー法が弁護士たる取締役につき必ずしも常勤で
あることまで求めていないと解されていることに照らせば、これに対する被告の疑
問は何ら具体的なものではなく、原告はワークアウトの「常務に従事する取締役」
となるべき者としての要件を充たすものと認められ、原告がワークアウトの常務に
従事する取締役としてその職務を公正かつ適格に遂行することができる知識及び経
験を有する弁護士であることを疑わせるような事情は見当たらず、他に原告が債権
回収会社となろうとするワークアウトの取締役となることが弁護士の品位と信
用を損なうものであることを基礎づける事情は認められない。
 そうすると、被告のした本件決定については、ワークアウトが債権回収会社とし
て不適格であることが明らかであるような特段の事情のある場合に当たるものとは
認められないにもかかわらず、ワークアウトの債権回収会社としての適格性を判断
の要素とした上で、ワークアウト自身についてではなく親会社の反社会性につき必
ずしも十分な根拠がある事実とは言い難い事実を過大評価し、抽象的なワークアウ
トと親会社の関係をもって過大評価した親会社の反社会性をワークアウトの適格性
の判断の基礎として、ワークアウトの適格性を否定し、その他には本件申請を不許
可とすべき事情は何らうかがわれないにもかかわらず、本件申請を不許可としたも
のというべきであって、その判断要素及び判断内容には著しい過誤があったものと
認められ、被告の判断における裁量性を考慮してもなお本件申請に対してはこれを
許可すべき場合であったのに不許可としたものといわざるを得ず、本件決定は違法
かつ無効であって、被告は、本件申請に対して、これを許可すべき義務があるとい
うにほかない。
第4 結論
 よって、本件訴えのうち、本件決定の取消しを求める訴えは不適法であるからこ
れを却下することとし、原告のその余の訴えに係る請求は理由があるからこれを認
容することとし、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法64条
ただし書、61条を適用して、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第3部
裁判長裁判官 藤山雅行
裁判官 村田斉志
裁判官 日暮直子

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