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平成13年(ワ)第6712号 損害賠償請求事件
口頭弁論終結日 平成13年5月16日
             判      決
原      告  X
   被      告        株式会社リコー
訴訟代理人弁護士 野  上  邦五郎
同杉  本  進  介
同                冨  永  博  之
        主      文
1本件訴えを却下する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
       事実及び理由
第1 請求
被告は,原告に対し3668万円及びこれに対する昭和56年6月14日か
ら支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
 本件は,以下の実用新案権(以下「本件実用新案権」といい,その考案を
「本件考案」という。)を有していた原告が,被告は,いずれも本件考案の技術的
範囲に属する別紙イ号物件目録,ロ号物件目録及びハ号物件目録記載の各物件(以
下それぞれ「イ号物件」,「ロ号物件」及び「ハ号物件」といい,総称して「被告
物件」という。)を業として製造販売したとして,被告に対し,本件実用新案権侵
害に基づく損害賠償請求又は不当利得返還請求として,実施料相当額及び遅延損害
金の支払を求めている事案である。
(1) 実用新案登録番号  第978602号
(2) 考案の名称  カッター装置付きテープホルダー
(3) 出願年月日  昭和41年6月13日
(4) 出願公告年月日  昭和47年1月22日
(5) 登録年月日  昭和47年9月29日
(6) 存続期間満了日      昭和56年6月13日
 1 原告の主張
  (1) 被告は,昭和50年1月から昭和56年6月13日までの間(以下「権利
侵害期間」という。),いずれも本件考案の技術的範囲に属する被告物件を,以下
のとおり業として製造販売した。原告は,被告に対し,本件実用新案権の侵害を理
由に,主位的に不法行為による損害賠償請求権に基づき,予備的に不当利得返還請
求権に基づき,実施料相当額の合計3668万円及びこれに対する遅延損害金の支
払を求める。
   ア 被告は,権利侵害期間中にイ号物件を12万台製造販売した。原告は,
そのうち当初製造販売された100台分の実施料相当額である534万円を請求す
る。
   イ 被告は,権利侵害期間中にロ号物件を5万台製造販売した。原告は,そ
のうち当初製造販売された100台分の実施料相当額である534万円を請求す
る。
   ウ 被告は,権利侵害期間中にハ号物件を7万7000台製造販売した。原
告は,当初製造販売された100台分の実施料相当額である2600万円を請求す
る。
  (2) 本訴において原告が対象としている被告物件は,原被告間の従前の訴訟に
おいて対象とした被告製品とは異なるから,本件訴えの提起は訴権の濫用には当た
らない。
 2 被告の主張
  (1) 原告のいう「被告物件」が何を示すかは明らかではないが,原告が被告を
相手方として提起した多数の訴訟と同種の製品を対象とする趣旨であるならば,本
件訴えは訴権の濫用に当たり,訴えの利益を欠く不適法なものとして却下されるべ
きである。
  (2) 原告のいう「被告物件」が,原被告間の従前の訴訟において対象とされた
製品以外のものであるとするならば,被告は原告のいう「被告物件」を製造販売し
ていないから,請求は棄却されるべきである。
  (3) 原告が侵害行為の終期とするのは昭和56年6月13日であり,不法行為
に基づく損害賠償請求権については遅くとも昭和59年6月14日の経過により,
不当利得返還請求権については遅くとも平成3年6月14日の経過によりそれぞれ
時効消滅したから,請求は棄却されるべきである。
  (4) 「被告物件」は,本件考案の技術的範囲に属しないから,請求は棄却され
るべきである。
第3 当裁判所の判断
 1 証拠(乙2,3)によれば,以下のとおりの事実が認められ,これを覆すに
足りる証拠はない。
(1) 原告は,被告が本件実用新案権を侵害したことを理由に,損害賠償又は不
当利得金の返還として,被告に対し188万7400円の支払を求める訴えを,当
庁平成12年(ワ)第16890号損害賠償請求事件(以下「前件訴訟」という。)
として提起した。前件訴訟において,原告は,被告の製品を「イ号製品目録」,
「ロ号製品目録」及び「ハ号物件目録」により特定し(前件訴訟における被告の製
品を「イ号製品」などといい,「被告製品」と総称する。),昭和47年9月29
日から昭和56年6月13日までに製造販売されたイ号製品15万台のうち当初の
5台について,同期間中に製造販売されたロ号製品8万台のうち当初の6台につい
て,同期間中に製造販売されたハ号製品のうち当初の5台についてその実施料相当
額の支払を求めた。
(2) 前件訴訟を審理した裁判所は,概要以下のとおり判決した。すなわち,本
件実用新案権に基づき,被告製品の製造販売について損害賠償請求ないし不当利得
金の返還を求める原被告間の訴訟が多数提起されたが,いずれも請求棄却又は訴え
却下となったことを認定した上で,前件訴訟は,原被告間の従前の訴訟と同様,請
求棄却の判決が確定した事件の蒸し返しであって信義則に反し,さらに,実質的に
同内容の訴訟について訴え却下の判決が確定しているにもかかわらず提起されたこ
とからすれば,原告の訴えは訴権の濫用に当たる不適法なものであるとして,これ
を却下した(同判決が確定したことは当裁判所に顕著である。)。
(3) 前件訴訟におけるイ号製品,ロ号製品及びハ号製品と,本件におけるイ号
物件,ロ号物件及びハ号物件とを各目録に基づいて対比すると,以下のとおりの理
由により,それぞれ同一であるということができる。
 すなわち,イ号製品目録及びイ号物件目録には,いずれも,本件考案の構
成要件と被告の製品の具体的構成を対比するところの「簡便対比」の欄が設けられ
ているが,同欄におけるイ号製品の構成についての記載は,イ号物件の構成につい
ての記載と全く同一である。また,両目録には,いずれも,全体構造を示す配置図
が添付されているが,それらの図面は全く同一である。ロ号製品目録の記載は,ロ
号物件目録の記載と全く同一である。ハ号製品目録及びハ号物件目録にも,「簡便
対比」の欄が設けられているが,同欄におけるハ号製品の構成についての記載は,
ハ号物件の構成についての記載と全く同一である。また,両目録に添付された全体
構造を示す配置図も,全く同一である。
(4) 以上のとおり,前件訴訟における被告製品と本件における被告物件とで
は,文言及び図面による特定の仕方が全く同一であり,両訴訟とも,本件実用新案
権侵害を理由に,主位的に損害賠償を,予備的に不当利得返還を請求するものであ
って,数量的分割の仕方が相違するにすぎないから,両訴訟の訴訟物は同一という
べきである。この点,原告は,本件の被告物件は,前件訴訟における被告製品とは
異なる旨主張するが,前記の共通点に照らして,採用の限りでない。
2 上記の事実に照らすと,①本件訴えは,前件訴訟と同一の紛争を蒸し返すも
のであるというべきであり,また,②前件訴訟については,訴権の濫用に当たり不
適法とする旨の却下判決が確定しているにもかかわらず,本件訴訟が提起されてい
たことからすれば,本件訴えは,信義則に反し,訴権の濫用に当たるというべきで
あり,不適法なものと判断するのが相当である。
  (なお,原被告間における同種の訴訟が昭和53年以降多数提起されているこ
とからすると,遅くとも権利侵害期間の終期には,原告は損害及び加害者を知って
いたものとして,本件実用新案権侵害を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求
権は,3年の時効により既に消滅したこと,また,権利侵害期間の終期から本訴提
起までに10年以上経過しているのであるから,不当利得返還請求権についても,
時効により消滅したことは明らかである。したがって,本件において,原告に法的
保護に値する利益のないことは明らかというべきである。)。
 3 よって,その余の点を判断するまでもなく,本件訴えは不適法として却下す
べきであるから,主文のとおり判決する。
    東京地方裁判所民事第29部
        裁判長裁判官飯  村  敏  明
           裁判官谷     有  恒
           裁判官佐  野     信
別紙 イ号物件目録
    添付図面
別紙 ロ号物件目録
別紙 ハ号物件目録
    添付図面

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