弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人弁護士手代木佑壽、井本常作の上告理由は末尾添附の別紙記載のとお
りである。
 上告理由第一、二点について。
 原判決は、本件売買契約においては代金支払は登記手続に先行する約束であつた
ものと認定しているのであつて、不動産売買において代金の支払が登記所で登記と
引換えに為される場合が多いことは認めるけれども原審が本件において認定した様
に委任状で取引される場合も少なくはない、要するに原審が挙示の資料によつて右
の如く認定したことを以て実験則違反であると迄断ずることは出来ない又本件売買
契約において所轄登記所を履行の場所とすることについては、上告人が原審におい
て少しも主張していないこと記録上明らかであるのみならず主張もないのに不動産
取引における代金支払場所は常に必ず所轄登記所であると認めなければならない実
験則も存しない。そして原判決の認定するところによれば訴外D振興株式会社は上
告人との間に本件土地の売買契約締結後上告人が約定の日に手附金をも支払わなか
つたこと等から上告人の残代金支払につき不安を抱いたため、昭和一七年一〇月二
〇日上告人より特に念書を徴し、残代金は当初の支払期日である同月二五日には必
ずその支払をなすべき旨を確約せしめ、右残代金不払の場合には、若し会社が契約
の存続を欲しないならば特に履行の催告を要せずして直ちに一方的意思表示により
解除をなし得る約束であつたところ、上告人は右期日に残代金を支払わなかつたの
で約旨により右会社は解除権を収得したというのである。上告人は右支払期日の翌
二六日上告人が所轄登記所において現実になした残代金の履行の提供は債務の本旨
に從つたものであるからこれにより債務不履行の責はないと主張するのであるが、
右の提供が債務の本旨に従つたものであるがためには少くとも履行の提供が履行の
場所においてなされることを要し、このことは提供者においてこれを主張立証しな
ければならないに拘わらず前記のように上告人は原審においても少しもこの点を主
張していないのであるから、右履行の提供は上告人の主張自体からして既に債務の
本旨に従つたものとはいい得ないものであつて、これがため前記会社の解除権に消
長はないものといわなければならない。従つて本件売買代金債務不履行を前提とし
て前記会社が履行の催告をなすことなく上告人に対してなした契約解除の効果を認
容した原判決は結局正当であつて原判決には所論のような違法はない。
 同第三点について。
 原判決は本件売買を債権契約と認定としたものであること判文全体から見て明で
あり物権移転の意思表示とは認めなかつたものであるから右売買と同時に本件土地
の所有権が上告人に移転しないものとしたからといつて原判決には少しも違法の点
は認められない。
 同第四点について。
 上告人は原審において単に残代金債務の支払期日は恰も日曜日に当つたため翌日
代金を用意し所轄登記所に出頭し、訴外会社の出頭を待ち受けたが訴外会社不出頭
のため、代金を授受するに至らなかつた次第で上告人に遅滞の責なしと主張してい
るに止り所論のような主張をしていることは記録上認められないから、原判決には
所論のような違法はない。
 よつて民訴四〇一条、第八九条、第九五条により主文のとおり判決する。
 右は裁判官全員一致の意見である。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介

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