弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件抗告を棄却する。
     抗告費用は抗告人の負担とする。
         理    由
 抗告代理人上田英友の抗告理由について
 【要旨】執行裁判所は、競売の対象とされた土地上に競売の対象とはされていな
い建物等土地の定着物が存在する場合であっても、代金を納付した右土地の買受人
の申立てにより、債務者又は占有者に対して右土地を買受人に引き渡すべき旨を命
ずることができると解するのが相当である。けだし、引渡命令は、不動産の引渡執
行の債務名義であるところ、競売の対象とされていない建物等の存在によりその敷
地部分の引渡執行が事実上不能となることが予想されるからといって、競売により
買い受けられた土地について引渡命令を求める申立ての利益が否定されるわけでは
なく、かかる場合に引渡命令を発付することが許されないとすると、買受人のため
に簡易迅速な占有取得の手段を確保するという引渡命令の趣旨に反することになる
からである。これと同旨をいう原審の判断は、正当として是認することができる。
論旨は採用することができない。
 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 金谷利廣 裁判官 千種秀夫 裁判官 元原利文 裁判官 奥田
昌道)

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