弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を罰金一万円に処する。
     右罰金を完納することができないときは、金二〇〇〇円を一日に換算し
た期間被告人を労役場に留置する。
     当審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。
         理    由
 本件控訴の趣意は、高松高等検察庁検察官大井恭二提出にかかる徳島池田区検察
庁検察官松田達生作成名義の控訴趣意書に記載のとおりであり、これに対する答弁
は、弁護人植木修一作成名義の答弁書に記載のとおりであるから、ここにこれらを
引用する。
 検察官の所論は要するに、原判決は、被告人の本件所為につき香川県の条例を適
用し処罰することはできないとして、被告人は無罪としたが、原判決には判決に影
響を及ぼすことが明らかな法令の解釈、適用の誤りがあるというものである。
 よつて検討するに、記録によれば、本件は、被告人が数回にわたり徳島県所在の
自宅から香川県にあるA方に電話をして、同人の妻のBに対し「あんたが好きで
す。会つてほしい。」などと反覆して申向け、もつて同女に著しく不安又は迷惑を
覚えさせるようなことをしたという事案であるところ、原審は、公衆に著しく迷惑
をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和三八年一二月二三日香川県条
例五〇号)一〇条、一一条一項は香川県の区域内における行為に対して適用される
のが原則であつて、区域外の行為に本件条例を適用するには特段の根拠の存在する
ことが必要であるが、本件被告人の行為は区域外でなされたもの<要旨>であり、本
件条例を適用する特段の根拠はないとして、被告人は無罪としたのであるが、条例
は当該地方公共団体の区域内の行為に適用されるのが原則であるものの、本
件のように当該地方公共団体の区域外から区域内に向けて内容が犯罪となる電話を
かける行為に及んだ場合には、電話をかけた場所のみならず、電話を受けた場所で
ある結果発生地も犯罪地と認められるのであり、このように犯罪の結果発生地が香
川県にあるとされる以上、行為者は直接的かつ現実的に香川県に関わりを持つたも
のというべく、香川県民及び滞在者と同様に本件条例が適用されるものと解すべき
である。なお、本件条例一二条は本件条例が適用される通常の場合の行為者として
「県民及び滞在者」を挙げて適用上の注意を示しているに過ぎないと解すべく、同
条を根拠として本件条例が適用される行為者の範囲を直ちに限定することは相当で
ない。
 また、原審は、香川県民及び滞在者以外の者に本件条例を適用し処罰すると、本
件条例の存在、内容を了知することが不可能若しくは著しく困難なことから、行為
に際し違法性の認識すら持ち得ない者が処罰される結果を招くというが、故意の内
容に違法性の認識は必要がないのみならず、本件被告人は、一般通常人におけると
同様、本件違法性の認識に欠くる所はなかつたものと認められるから、右の結果が
不合理であるとはいえない。
 そうすると、本件につき本件条例が適用されないとした原判決には法令の適用の
誤りがあり、これが判決に影響を及ぼすことは明らかである。論旨は理由がある。
 よつて刑訴法三九七条一項、三八〇条により原判決を破棄し、同法四〇〇条但書
を適用して当裁判所において更に判決する。
 (罪となるべき事実)
 被告人は、正当な理由がないのに、昭和五九年二月ころから昭和六一年一月一七
日までの間に数回にわたり、徳島県三好郡a町bc番地の自宅から香川県仲多度郡
d町e町f番g号所在のA方に電話をかけ、同人の妻のB(当初四三歳)に対し、
「あんたが好きです。会つてほしい。」などと反覆して申向け、もつて同人に対し
著しく不安又は迷惑を覚えさせるようなことをしたものである。
 (証拠の標目)(省略)
 (法令の適用)
 被告人の判示所為は公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する
条例(昭和三八年一二月二三日香川県条例五〇号)一〇条に違反し、同一一条一項
に該当するので、所定刑中罰金刑を選択し、その所定金額の範囲内で被告人を罰金
一万円に処し、右罰金を完納することができないときは刑法一八条により金二〇〇
〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、当審における訴訟
費用は刑訴法一八一条一項本文を適用してその全部を被告人に負担させることとす
る。
 よつて主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 雑賀飛龍 裁判官 金子與 裁判官 溝淵勝)

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