弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
原判決中,被上告人らに関する部分を破棄する。
被上告人らの控訴を棄却する。
控訴費用及び上告費用は被上告人らの負担とする。
理由
上告代理人岩本安昭,同森末尚孝の上告受理申立て理由第二の第2点について
1本件は,大阪市職員を組合員とする四つの互助組合が,平成5年度から同1
1年度まで,大阪市から支出を受けた補給金(以下「本件補給金」という。)を組
合員のための企業年金保険の保険料に充てたことにつき,大阪市の住民らが,地方
自治法242条の2第1項4号に基づき,上告人らに対し,互助組合等に損害賠償
請求ないし不当利得返還請求をするよう求める住民訴訟を提起したところ,大阪市
の住民である被上告人らが,各互助組合から構成されるA団体の理事らは大阪市の
支出権限者と共同で違法な本件補給金の支出をさせたとして,同号に基づき,上告
人らに対し,理事ら及び同人らを理事とするB団体に損害賠償請求をするよう求め
て共同訴訟参加の申出(以下「本件申出」という。)をしている事案である。
2記録によれば,次の事実が認められる。
(1)被上告人らほか4名は,平成17年11月23日,A団体の理事らが大阪
市の支出権限者と共同で違法な本件補給金の支出をさせたとして,上告人らに対
し,理事ら及びB団体に損害賠償請求をするよう求める訴訟(大阪地方裁判所平成
17年(行ウ)第214号。以下「別件訴訟」という。)を提起し,また,被上告
人らは,同日,本件申出(同庁同年(行ウ)第215号)をした。別件訴訟及び本
件申出における請求の趣旨及び原因は同一である。
(2)別件訴訟については,平成19年7月12日,適法な住民監査請求を前置
しておらず不適法であるとして訴えを却下する第1審判決が言い渡され,同判決は
大阪高等裁判所平成20年1月31日判決,最高裁判所同年6月24日第三小法廷
決定を経て確定した。
3上記事実によれば,本件申出に係る当事者,請求の趣旨及び原因は,被上告
人らに関する限り,別件訴訟と同一であるところ,別件訴訟において適法な住民監
査請求を前置していないことを理由に訴えを却下する判決が確定しているから,本
件申出はその既判力により不適法な申出として却下されるべきものである。論旨は
上記の趣旨をいうものとして理由があり,原判決のうち被上告人らに関する部分は
破棄を免れない。そして,第1審判決のうち本件申出を却下した部分は正当である
から,被上告人らの控訴を棄却すべきである。また,本件申出は不適法でその不備
を補正することができないものであるから,当裁判所は,口頭弁論を経ないで上記
の判決をすることとする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官古田佑紀裁判官竹内行夫裁判官須藤正彦裁判官
千葉勝美)

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