弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件抗告を棄却する。
         理    由
 本件抗告の理由は末尾添附の抗告趣意書と題する書面記載のとおりである。
 よつて按ずるに、申立人Aに対する賍物故買被告事件記録(大阪高等裁判所昭和
二二年(を)第一四六八号)及び本件特別抗告記録によれば、申立人は昭和二二年
八月二八日大阪地方裁判所において賍物故買罪により有罪の判決を受け同月三〇日
これに控訴を申立て、同年九月九日同地方裁判所で住居を大阪市a区b町cノd番
地B方に制限して保釈を許されたものであるが、控訴審である大阪高等裁判所は、
最初の公判期日である昭和二三年三月八日の召喚状を「大阪市a区b町e丁目A」
宛で申立人に郵便による送達を試みたところ送達不能に帰した。そこで同年三月八
日大阪高等検察庁検事において、被告人の所在捜査をしたところ申立人(被告人)
は大阪市a区b町cノf番地に居住していること判明し、次いで翌二四年六月一八
日大阪高等裁判所は警察署に対し被告人の所在調査を嘱託したところ、同月二八日
警察署より、申立人は大阪市a区b町e丁目g番地B方に居住している旨の回答が
あつた。しかるに大阪高等裁判所は右判明した申立人の居所に対しては、何れも召
喚状の送達を試みることなく、直に申立人の住居、又は現在地が知れざるものと即
断して同年七月七日申立人に対する送達は公示送達による旨決定し、同年一〇月一
日の第一回公判期日、同年一〇月二二日の第二回公判期日及び同年一一月二二日の
第三回公判期日の申立人に対する各召喚状はこれを公示送達の手続により送達し、
同年一一月二二日申立人不出頭のまゝ審理しこれを終結して、同年一一月二九日申
立人に対し有罪の第二審判決を言渡したので申立人は、終始保釈決定において指定
された制限住居たる大阪市a区b町e丁目g番地B方(保釈決定にe丁目h番地と
あるのは誤であつた)に居住していたのに一回の公判期日召喚状の送達もなかつた
ので第二審判決の言渡があつたことを知らず従つて、自己又は代人の責に帰すべか
らざる事由により上訴の提起期間内に上訴をすることができなかつたとして昭和二
五年一月一〇日になつて、大阪高等裁判所に対し本件上訴権回復の請求をしたとこ
ろ同裁判所は「申立人にかゝる賍物故買被告事件について、昭和二四年一一月二九
日申立人に対し前記有罪の第二審判決言渡があつたことは、同年一二月二六日申立
人において、大阪高等検察庁検事から申聞けられて、これを知つたものでこのこと
は申立人提出の上訴権回復申立書自体の記載により明らかであるから、申立人又は
その代人の責に帰すべからざる事由は同日を以つて止みたるものと認めなければな
らない。然るに同日から上訴の提起期間に相当する期間を経過した後になされた申
立人の上訴権回復の請求は不適法である」として、これを棄却した事実を認めるこ
とができる。
 申立人は、原決定は申立人が昭和二四年一二月二六日大阪高等検察庁検事から申
聞けられただけでは、前記被告事件について、第二審判決の言渡があつたことは判
らないから、上訴を提起することのできなかつた事由は同日を以つて止んだものと
はいえないにも拘らずこれを右事由が止んだものとして本件上訴権回復の請求を棄
却した原決定は申立人の有する裁判所の正当な裁判を受ける憲法上の権利を侵害し
たものであると主張するのである。しかし原決定が引用する申立人提出の上訴期間
回復申立書には申立人は前記被告事件について、第二審の有罪判決のあつたことは、
昭和二四年一二月二六日大阪高等検察庁検事から申聞けられた旨の記載があるので
原決定が申立人はその時前記第二審判決のあつたことを知つたものと認め同日を以
つて申立人又はその代人が上訴の提起期間内に上訴を為すことのできなかつた事由
は止んだものと判断したのは正当である。してみれば申立人の本件特別抗告の理由
とするところは、憲法違反とはいうけれども、その実質は旧刑訴法上の問題であつ
て憲法問題ではないから、刑訴応急措置法第一八条の特別抗告の適法な理由となら
ない。
 もつとも、前記被告事件の審判にあたり大阪高等裁判所が申立人(被告人)の所
在調査の結果、再度に亘りその居所が判明したのにも拘らず何れもそこへ公判期日
の召喚状を送達する手続をとらず直に申立人の住居、事務所及び現在地は知れない
ものと即断し、申立人に対する送達は公示送達による旨決定し爾後各公判期日の召
喚状送達はこれを公示送達の方法によつた上事件を審理し前記第二審判決を言渡し
たのはその審判法令に違反したものであつて、これに対しては前記第二審判決に対
する非常上告の手続により是正するは格別本件特別抗告は不適法であつて如何とも
なし難いのである。
 仍つて刑訴施行法第二条旧刑訴第四六六条一項に則つて主文のとおり決定する。
 右は当小法廷裁判官全員一致の意見である。
  昭和二五年七月一三日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎

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