弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

主文
被告人を懲役2年及び罰金200万円に処する。
その罰金を完納することができないときは,金1万円を1日に換算した期
間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から4年間その懲役刑の執行を猶予する。
被告人から金4924万4803円を追徴する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,東京都中央区a町b番c号所在の株式会社東京証券取引所が開設する
有価証券市場に上場されている有価証券である株式会社Aの株券について,株価の
高値形成を図ろうと企て,平成14年4月16日から同年5月10日までの間,1
6取引日にわたり,同市場において,同株券の売買を誘引する目的をもって,別表
1記載のとおり,被告人名義ほか5名義で,B証券株式会社ほか5社の証券会社を
介し,連続した成行注文又は高指値注文を行って高値で買い上がるなどの方法によ
り,同表「変動操作・買付状況」欄記載の同株券合計247万9000株を買い付
ける一方,同表「変動操作・売付状況」欄記載の同株券合計266万9000株を
売り付け,さらに,別表2記載のとおり,被告人名義ほか4名義で,B証券株式会
社ほか3社の証券会社を介し,大量の下値買注文を入れて下値を支えるなどの方法
により,同表「変動操作・買付委託状況」欄記載の同株券合計114万1000株
の買付けの委託を行う一方,同表「変動操作・売付委託状況」欄記載の同株券10
00株の売付けの委託を行い,同株券の株価を405円から530円まで高騰させ
るなどし,もって,同株券の売買が繁盛であると誤解させ,かつ,同株券の相場を
変動させるべき一連の売買及びその委託をするとともに,同期間中,9取引日にわ
たり,同市場において,他人をして同株券の売買が繁盛に行われていると誤解させ
る等同株券の売買の状況に関し他人を誤解させる目的をもって,別表1の番号2な
いし5,7,8,10,12及び13記載のとおり,被告人名義ほか3名義で,B
証券株式会社ほか4社の証券会社を介し,同表「変動操作・仮装売買」欄記載の同
株券合計71万2000株を売り付けると同時に別途買い付け,もって,権利の移
転を目的としない仮装の株券の売買をしたものである。
(事実認定の補足説明)
第1弁護人及び被告人は,平成14年4月16日から同年5月10日までの間に
公訴事実記載の取引を行ったこと自体については争わないものの,被告人の行為
はいずれも証券取引法違反罪に該当せず,被告人は無罪である,と主張するので,
以下,検討する。
第2関係証拠によれば,以下のような事実が認められる。
1株式会社Aの概要等
株式会社Aは,測量機器の製造・販売等を目的として設立された会社で,昭和
38年5月20日に,株式会社東京証券取引所市場第二部に株式上場し,平成元
年10月2日に,同市場第一部に指定された。発行済の株式総数は,平成13年
ないし平成14年の時点では2759万289株であった。
株式会社Aの経営状況についてみると,平成8年3月期までは,黒字決算が続
いていたが,平成9年3月期に単独決算ベースで赤字決算に転落して以降は,平
成15年3月期まで,連結決算ベースでも赤字決算が続いている状態であった。
株式会社Aの株価は,平成10年6月ころには,1株当たり100円から200
円程度で推移していたが,平成12年6月ころ,仕手筋であると噂のあった者に
よる株式の買い集めにより,450円程度に上昇したものの,その者が他の事件
で逮捕されたことにより,同年8月下旬に急落し,その後,平成13年10月こ
ろまで,100円台から200円台で推移していた。
2被告人が株式会社A株に関与した経過
(1)被告人の経歴
被告人は,証券会社に長年勤務していたものであるが,平成7年ころには,投
資顧問株式会社を設立して代表取締役に就任し,企業の再生に向けたファイナン
スを引受ける外国投資信託の組成・販売等を主に行っていた。B証券株式会社
(以下「B証券」という。)の代表取締役C知り合い,平成12年ころ,同社の
子会社であるDの取締役となるとともに,その関係会社の役員にも名を連ねるよ
うになった。
(2)株式会社A株に関った端緒等
平成13年3月ころ,被告人はE株式会社が資金調達のために会社が保有して
いる株式会社A株の売却を検討しているとの情報を得て,株式会社A株の株価が
上がったところで市場で売れば利益が出るなどと考え,これを購入することを決
意した。購入の際には,FからE株式会社の株券を借り受け,これを代用有価証
券として信用取引の担保に入れるなどして,G名義の口座を使い,株式会社A株
合計110万株を買い付けた。
平成13年6月から7月にかけ,被告人は,株式会社A株を高値で売り抜けよ
うと考え,知人の証券アナリストに依頼して,株式会社A株の推奨記事を証券雑
誌に掲載してもらい,株価を上昇させた上,株式会社A株を32万9000株売
ったものの,株価が下落に転じたため,それ以上の売却を断念した。
(3)株式会社A株を買い集めるに至った経緯等
そして,被告人は,そのころから,株式会社A株を発行済株式の過半数を買い
集めて経営権を獲得するか,3分の1を買い集めて特別決議のキャスティングボ
ートを握るなどして,海外ファンドなどに高値で売却することを考え始め,同年
9月,知人のHに計画への協力を求め,同人から承諾を得た。被告人は,資金不
足であったため,株式会社A株を適度に値上げして,保証枠を拡大したり,益出
しクロス取引による売買益を手に入れるなどして,徐々に株式会社A株を買い集
めた。このころ,知人であるIに対しても,計画への協力を求め,HやIととも
に,高値で買い上がったり,引け間際に多くの株を買うなどして,株価を適度に
上昇させるなどしながら,株式会社A株の買い増しを行った。
(4)株式会社A株の買い集めが困難になった状況等
平成13年12月ころには,G名義口座の信用枠の拡大のため,FらのE株式
会社の株を借り受け,代用有価証券として担保差入れをするなどして株式会社A
株をさらに買い集めたが,同月末には,保証枠を設定していたB証券の代表取締
役であるC及びDの代表取締役であるJから,株式会社A株の信用建玉の減少を
強く求められるようになった。
また,被告人は,平成14年1月下旬から2月上旬にかけて,K株式会社の担
当者であるLから,同社が注文を出している先の証券会社がトストネット取引
(東京証券取引所が開設する有価証券市場内の取引で,立会外で行う取引のこ
と)による株式会社A株のクロス取引をこれ以上はしないという連絡を受けた。
被告人は,株式会社A株のクロス取引を止めると,株式会社A株の買付けができ
なくなり,株価を買い支え,引き上げることができなくなることから,売買取引
等を立会内でせざるを得なくなった。
同年2月13日,Iを介し,買い戻しを条件として135万株の株式会社A株
をMに買い受けてもらったが,その際,被告人のいうところの「M&Aの話」が
まとまったときにその株を買い戻したい旨を伝えていた。同じころ,一緒に買い
集めをしていたHが,買い集めは失敗に終わると見切りをつけて,株式会社A株
を売り始めたことで,被告人はIと共に,Hが売った株を買い集めた。
同月末には,被告人,I,M及びHの株式会社A株の保有数は,発行済株式総
数の2割強となったが,被告人関連口座の信用建玉が約11億円,Iのそれが約
5億7000万円となり,信用取引口座の担保預託率が一時3割を割り込むなど
したため,株価の暴落等で被告人の取引が破綻し,B証券自体が倒産に追い込ま
れる危険性を感じたCらから信用建玉の減少を一層迫られるようになった。
3平成14年3月・4月の状況
(1)同年3月上旬ころ,被告人は,発行済株式総数の3分の1以上の株式会社A株
を買い集めるには至っていなかったが,まとめて買ってくれる先があれば,買い
集めた株式会社A株を処分しようと思うに至り,JやCに対して,株式会社A株
を手放すのでまとめて買ってくれる人を紹介してほしいなどと依頼した。Cから
紹介を受けた外国のファンドと,株式会社A株の売却に関して交渉をしたが不調
に終わった。また,このころ,FらからE株の返却を求められるようになったが,
すぐに返せる状況にはなく,株式会社A株買付けの一任を受けていたNからも株
式会社A株の処分を求められるようになるなど,被告人が株式会社A株を売却す
る必要性はより高まった。そのような状況の中,被告人は,Oに対しても,「株
式会社A株の一部を手放すので,買ってくれる人を紹介してほしい」などとして,
大口投資家への一部売却を依頼したが,その際には買い戻すという話をしなかっ
た。
このような状況の中,株式会社Aの株価は下落傾向にあり,同年4月15日に
は,2月以来の最安値である431円となった。
(2)被告人は,このまま株価の下落が続くと,大口の投資家に一括売却したとして
も,その売却先が即座に売るなどして,株価が暴落する危険があり,また,株価
が暴落した場合には,代用有価証券としての担保価値が下がって追証が発生する
が,これをできずに取引が破綻することを危惧した。被告人は,Oから複数の売
却先を紹介され,また,自分でも売却先を見つけ,売却先に対して,当日の株価
で譲渡する約束を取り付けた。そのため,被告人は,株価をできるだけ上昇させ
るとともに,株価の下落を防ぐ必要があった。
4本件期間中における被告人の取引等
被告人は,上記のとおり,大口投資家に自己の保有する株式会社A株を購入し
てもらおうと考え,株価が上昇し続けている中で短期間で株式会社A株を売却す
る必要があったため,平成14年4月16日から同年5月10日までの間,直前
の約定値よりも高い指値の買い注文を出したり,ザラ場に出ている売りを一気に
買い上がったり,直前値よりも安い複数の値段にまとまった量の買い注文を発注
したり,終値をできるだけ高くするために,引け間際に高値に誘導するような買
い方をするなどの方法で,売買を頻繁に行った。また,被告人は,現物取引をす
る際には,P証券株式会社,Q株式会社及びR証券株式会社のうち,どの証券会
社に委託するのかということを指示して,各取引を行った。以下は,具体的な取
引の例である。
(1)高値買い上がり
ア板の空いている値段に小刻みに買い注文を出す取引
4月16日の取引では,前場において,直前値が405円のところ,415円
で2万株,425円で1万株の買い注文を出した直後,430円で5000株の
買い注文を出すなど,直前値をはるかに上回る値段による買い注文を出している。
また,5月10日の取引では,後場において,株価が506円まで下落した際
には,508円で2000株の買い注文を出して,株価を508円にさせ,続け
て515円で合計10万株,その直後に520円で3万株の買い注文を出し,株
価を519円とした。
イ板の空いている値段に更新値幅ごとに売り注文を出して買特別気配を表示させ
ない取引
4月25日の取引では,後場の立会時間終了直前には,3000株の成行買い
注文を出した後,更新値幅と同額の5円刻みで(475円で1000株,480
円で1000株)売り注文を出し,その後成行買い注文を取り消し,470円で
5000株の売り注文を出した。
ウ引け間際の取引
4月16日の取引では,引け間際に3万株の成行買い注文を出し,株価を44
6円から450円に引き上げた。
4月18日の取引では,引け間際に444円で4万株の買い注文を出し,株価
を441円から444円まで引き上げ,その直後,445円で2万株の買い注文
を出し,株価を445円とした。
エその他
4月24日の取引では,前場が453円で寄り付き,株価が下落基調で,株価
が直前値446円であったところ,450円で1000株の売り注文が出されて
いたことから,454円で3000株の買い注文を出し,株価を引き上げた。ま
た,下落していた株価が463円まで値を戻すと,470円で5000株,その
直後に同値段で2000株の買い注文を連続して発注し,株価を470円まで引
き上げた。後場においては,直前値が483円まで上昇すると,その直後に,4
90円で1万株の買い注文を出し,株価を490円まで引き上げた。
4月25日の取引では,前場において,直前値が479円のところ,485円
で1000株の買い注文を出し,株価を5円引き上げたほか,後場にも,株価が
480円だったところ,485円で5000株の買い注文を出すなどして,株価
を上昇させた。また,第三者の売買で株価が490円まで上昇すると,3万50
00株の成り行き買い注文を出し,株価を492円まで引き上げた。
(2)下値支え
ア株価が下落している際に直近の値段より高い指値買いの注文を出す取引
5月7日の取引では,505円で寄り付いたところ,500円で1万株の買い
注文を出し,その直後に第三者から500円で1万株の売り注文が出て,900
0株を約定した。そして,その直後,直前値が500円であったところ,510
円で2000株の買い注文を出し,株価を505円に引き戻した。
イその他
4月17日の取引では,前日の終値が449円だったところ,寄付き前に,4
20円で1万株,415円で1万株,410円で1万株の買い注文を出して,株
価が値崩れした場合の下支えを図るとともに,買い圧力が強いという印象を与え
た。
また,5月10日の取引では,前場において,直前値が507円だったところ,
501円で20万株の買い注文を出し,さらに,500円で20万株の買い注文
を出した。
(3)被告人が,本件期間中,株式会社A株の取引を繰り返したことは,明らかであ
る。本件期間中の被告人による市場関与率は5割近いものであった。
(4)なお,被告人は,公判において,「株式会社Aの発行済株式総数の過半数また
は3分の1を取得し(他の大口投資家に購入してもらうことも含む),高値で海
外ファンド等に一括売却をしようという,被告人のいうところのM&A(以下
「M&A」という。)を行うことを考えており,株式会社A株の取得を諦めてい
なかった,売り渡し先に対して,M&Aができるので,それまで持っていてほし
いと言った」旨供述しているので,この点についてみるに,被告人は,平成14
年2月に売却したMに対しては,M&Aをすることを前提に買い戻しの話をして
いるのに対し,それ以降の売却については買い戻しの話をしていない。これは,
被告人が平成14年3月以降の時点では,買い戻しを前提に売却していたのでは
ないことを示すものである。そして,被告人の捜査段階の供述調書には,被告人
がM&Aが終了するまで株式会社A株を持っていてほしいと述べたことを窺わせ
る記載はなく,むしろ,被告人がその旨述べたとされる相手方らにおいて,「被
告人から株式会社A株を売却してはいけないとは言われていない」と一様に供述
していることからすると,売却の際に,被告人が株券を買い戻す意思を有してい
なかったことは明らかである。また,Iの捜査段階における供述調書によれば,
被告人はIに対して「もう株式会社A株は手放すしかない。」などと告げている
ことが認められるところ,弁護人及び被告人は,この「手放す」という言葉の意
味について,被告人自身が買い戻すことを前提としながらも,売却先に対して保
有を義務づけることができないことから,自身で自由になる株式ではなくなると
いうことであった等と主張する。しかし,この主張自体が,被告人がM&Aを行
いたいというのは淡い希望に過ぎず,その時点で実現可能な目的ではなかったと
いうに等しいものである。したがって,少なくとも本件期間中の取引の際に,被
告人においてM&Aを実現しようとの考えを有していなかったことが,優に認め
られる。
第3証券取引法159条2項1号違反の罪の成否
1(1)法159条2項1号は,上場有価証券の売買の取引を誘引する目的をもって,
上場有価証券売買等が繁盛であると誤解させ,又は取引所有価証券市場における
上場有価証券等の相場を変動させるべき一連の上場有価証券売買等又はその委託
・受託等をすることを禁じている。
これは,有価証券の相場を変動させるべき一連の売買取引等のすべてを違法と
するものではなく,有価証券市場における有価証券の売買取引を誘引する目的を
もってする,有価証券取引が繁盛であると誤解させ,又は有価証券の相場を変動
させるべき一連の売買取引等が禁止されているということである。この点に関し,
最高裁判所は,同条2項1号後段(改正前の法125条2項1号後段)について,
「人為的な操作を加えて相場を変動させるにもかかわらず,投資者にその相場が
自然の需給関係により形成されるものであると誤認させて有価証券市場における
有価証券の売買取引に誘い込む目的をもってする,相場を変動させる可能性のあ
る売買取引等を禁止するものと解される」(最高裁平成6年7月20日第三小法
廷決定・刑集48巻5号201頁)としているところ,当裁判所も同様に解する。
さらにいうならば,上記にいう「自然の需給関係」とは,相場を変動させるよ
うな人為的操作とは無関係な投資者らが,それぞれの経済的合理性に基づく意図
を有しながら取引に参加している状態において行われた買い付けの注文と売り付
けの注文との関係のことであると解される。証券取引法が,その1条において,
「この法律は,国民経済の適切な運営及び投資者の保護に資するため,有価証券
の発行及び売買その他の取引を公正ならしめ,且つ,有価証券の流通を円滑なら
しめることを目的とする。」と定めているように,有価証券市場が不特定多数の
投資者に開かれており,参加した投資者それぞれが公正な取引を行うことによっ
て適切に運営されることが期待されているのであるが,不公正な取引がなされた
場合,他の投資者が不測の損害を被るばかりではなく,有価証券市場としての信
頼がゆらぎ,ひいては国民経済の健全な発展が阻害されることになるため,自由
で公正な有価証券市場を確立し,維持しようとしているのである。
したがって,法は,他の投資者に不測の損害を与える可能性のある取引だけに
限られず,自由公正な有価証券市場としての信頼を損なう危険性のある不公正な
取引を禁止しているものと解される。すなわち,人為的な操作を加えて相場を変
動させようとしている者が,当該取引が投資者に誤解を与え,それに基づいて取
引に参加する可能性があるものであることを認識しながら,その意図に基づいて
取引を行った場合,その取引は法の禁止に触れるものといわなければならない。
その者が,現実に,株券を購入し又は売却しようとする場合であっても,上記の
ような取引に当たる以上,禁止されるものであることに変わりはない。
2検討
(1)被告人は,資金不足のために信用取引を頻繁に行いながら,外国ファンド等へ
の高値での一括売却を行うために株式会社A株を大量に買い集めていたが,信用
建玉が増大したためにこれを減らす必要に迫られ,買い集め半ばではあったもの
の,海外ファンドへの一括売却をしようと考えたところ,取引が不調に終わった
ために,大口の売却先を紹介してくれるよう頼み,これに売却し又は売却しよう
とした。そして,被告人は,大口の売却先に被告人の考える適正価格,すなわち
当時の株価よりも高値の株価で売却する必要があったし,また,株式会社A株の
代用有価証券としての担保価値の減少を防ぐために,第2の4認定のとおりの取
引を行った。これは,同一銘柄の売買を反復するものであるし,市場関与率も非
常に高いものであった。このような状況において,被告人が行った,板の空いて
いる値段に小刻みに買い注文を出す取引や,板の空いている値段に更新値幅ごと
に売り注文を出して買特別気配を表示させない取引,引け間際の取引は,いずれ
も株価を高値に誘導するものであり,また,株価が下落している際に直近の値段
より高い指値買いの注文を出す取引は,株価の下落を防止する取引といえる。こ
れは全体として相場を変動させる可能性のある売買取引であったというべきであ
る。
以上の取引がなされると,一般の投資者が,その相場が自然の需給関係により
形成されているものであると受け止め,その上で売買取引に参加しようと考える
可能性があった。また,売買が繁盛に行われていると誤解させる取引であった。
(2)真実は,株価形成を意図した上で行った取引であるにもかかわらず,投資家が,
自然の需給関係に基づいて取引がなされた結果としてその相場が形成されたもの
であると受け止め,その上で売買取引に参加しようと考える可能性があることに
ついて,被告人はこのことを当然認識していたにもかかわらず,一連の売買取引
等を繰り返したものである。
なお,被告人は,これらの行為について,捜査段階において,「株価が下落し
そうな局面になると,直前値よりも安い複数の値段でまとまった量の買い注文を
出して,株価が下落した場合のストッパーとしての下値支えをした」,「底値が
堅い,市場の買い意欲が強いなどの印象を,一般投資家に与えて,一般投資家か
らの高値の買い注文が出されることを期待した」,「板の空いている値段に,買
い注文を出すことにより,一般投資家からの高値の買い注文や売り注文が出され
ることを狙い,株価を引き上げようとしたこともあった」(乙10)などと供述
し,公判においても,「株価を少しでも上げたいから,自分一人で株を買い上が
るよりも,自分以上の高値で株を買ってくれる一般投資家がいれば,それは,あ
りがたいことだった」旨供述しているのであって,本件取引に際して株価を高値
で形成しようとしていたこと,これを見た投資家が取引に参加することを望んで
いたことは自認しているところである。
これらの事情からすると,被告人が,投資家を上記のとおり誤認させて売買取
引に誘い込む目的をもって,本件売買取引をしたものというべきである。
(3)したがって,被告人は,人為的な操作を加えて相場を変動させるにもかかわら
ず,投資者にその相場が自然の需給関係により形成されるものであると誤認させ
て市場における株式会社A株の売買取引に誘い込む目的をもってする,相場を変
動させる可能性のある取引をしたというべきであり,当然のことながら,売買が
繁盛に行われていると誤解させる取引をしたともいうべきで,被告人の本件取引
については法159条2項1号違反の罪が成立する。
3弁護人の主張について
(1)弁護人は,「自然の需給関係」とは「実需に基づく需給関係」のことであると
理解した上で,被告人のした取引は,人為的操作を加えて相場を変動させるべき
取引ではないと主張する。すなわち,①被告人は各注文において現実に約定する
ことを意図しており,このような取引は自然の需給関係に基づくものというべき
であるから,人為的操作を加えて相場を変動させるべきものとはいえない,②
「実需」に基づく取引が本罪の構成要件に該当することがあるとしても,証券取
引法違反として処罰するのは,買い注文を入れてきた一般投資家に売り付けて,
一般投資家を食い物にするような類型に限定されるべきであるというのである。
しかしながら,①の点については,現実に約定することを意図していたとして
も,人為的な操作を加えて相場を変動させようとする取引は,証券取引法によっ
て禁止の対象とされるのである。被告人の行った本件取引が,株価を高値に誘導
し,又は株価を下げないための取引であって,人為的操作を加えて相場を変動さ
せるべき取引に当たることは上記のとおりである。弁護人の主張は採ることがで
きない。②の点についても,上記に述べた証券取引法の趣旨等に鑑みると弁護人
の主張のように処罰範囲を限定的に解釈するのは相当と思われない。
(2)また,弁護人は,仮に,被告人の取引が,人為的操作を加えて相場を変動させ
るべきものであったとしても,被告人には投資家を誤認させて取引に誘引する目
的はなかったと主張する。すなわち,①誘引目的について,一般投資家が取引に
誘い込まれる認識では足りず,一般投資家を誤解させ,取引に誘い込む積極的な
意図が必要であると解すべきところ,被告人にはそのような積極的意図はなかっ
た,②誘引の相手方は,取引相手となるものに限定すべきであるところ,被告人
は,知人など特定の投資家との間で取引を行おうとしたのであるし,仮に誘引の
相手方が限定されないとしても,被告人は一般投資家を取引に誘引しようとした
のではない,③被告人は手口の分散等をしておらず,株の大量保有報告書も提出
しているなど公正な取引をしており,株価が自然の需給関係により形成されてい
るものであると一般投資家を誤認させて誘引する目的は存しない,④被告人は適
正価格で売り渡し,又は担保としての価値を減少させないために株式会社A株の
買付行為を行ったに過ぎず,また,株価を上昇させたのは大口投資家に保有して
もらうためで,高値で売り抜ける目的など有していないのであって,被告人には
本件証券取引法違反を犯す動機が存しない。
しかしながら,①の点については,本罪の成立には,投資家を積極的に取引に
誘い込む意図までは必要ではないと解されるのであって,弁護人の見解を採用す
ることはできない。
②の点については,上記のとおり,証券取引法は,証券取引市場の自由かつ公
正な取引が阻害されることを防止しようとしているのであって,法159条2項
1号が誘引の相手方を限定していないことは明らかである。また,被告人におい
て,一般投資家を誘引する目的をもって取引を行ったことは上記認定のとおりで
ある。
③の点については,手口の分散をせず,株の大量保有報告書を提出したからと
いって,一般投資家を誤認させて取引に誘引する目的がなかったということはで
きない。本件においては,被告人は,買い上がりや下値支えを繰り返し行い,一
般投資家に株価が上がっている,底値が堅いなどと思わせ,投資家が取引に参加
することを期待して人為的な操作を加えているのであるから,一般投資家を誤認
させて取引に誘い込む目的があったというべきである。
④の点については,被告人の考える適正価格にするために株式会社A株を買い
付けるということは,株価を高騰させるために株式会社A株を買い付けていると
いうことに他ならないのであって,弁護人の主張を採用することはできない。な
お,弁護人は,持ち株が増えていることなどを根拠に,被告人は高値で売り抜け
るために買付けを行ったわけではないと主張するが,この点については,本件取
引時において被告人に売り抜けの意図があったか否かは認定できないものの,上
記のとおり,法は自由公正な市場に対する信頼を損なうような不公正な取引を禁
止するものであって,行為者に高値で売り抜ける意図があったか否かは結論に影
響しない。
第4証券取引法159条1項1号違反の罪の成否
1法159条1項1号は,他人をして上場有価証券等についてその取引が繁盛に
行われていると誤解させる等,これらの取引の状況に関し他人に誤解を生じさせ
る目的をもって,権利の移転を目的としない仮装の上場有価証券の売買をするこ
とを禁じている。この「上場有価証券等の取引の状況に関し他人に誤解を生じさ
せる目的」とは,取引が頻繁かつ広範に行われているとの外観を呈する等当該取
引の出来高,売買の回数,価格等の変動及び参加者等の状況に関し,他の投資者
に,自然の需給関係によりそのような取引の状況になっているものと誤解させる
ことを認識することであると解せられる。
2検討
(1)被告人の行った取引は,権利の移転を伴わない自己売買であるところ,これが
仮装売買にあたることは当然に認められる。
本件においては,上記のとおり,4月16日から5月10日にかけての16取
引日において,被告人が買い上がりや下値支えをして,株価を上げていったので
あって,その行為は変動操作罪にあたることは上記認定のとおりであるが,その
うちの9取引日で仮装売買がなされており,その取引数をみても,16取引日で
の株式会社A株の売買出来高合計918万5000株のうち被告人による出来高
は442万2000株であり,そのうち仮装売買による売買取引は71万200
0株にも及んでいる。仮装売買をしたことによりその日の出来高は当然増加する
のであるが,本件期間の取引についてみても,別表1記載のとおり,出来高が増
加している。そして,投資家が,出来高の増加を見て,取引が繁盛に行われてい
ると誤認し,その上で売買取引に参加しようと考える可能性は十分に認められる
ところである。
(2)本件において,投資家が,取引が繁盛に行われていると誤認し,その上で売買
取引に参加しようと考える可能性があることを,被告人は,当然認識していたに
もかかわらず,大量の仮装売買を行ったものである。
被告人は,この仮装売買を行ったことに関し,捜査段階において,「これだけ
の仮装売買を繰り返し行えば,一般投資家に売買が繁盛に行われているとの誤解
を引き起こすということは十分に分かりながら行っていた」(乙10)などと供
述し,公判においても,「仮装売買を繰り返し行うと,売買出来高が増大し,売
買出来高というのは,一般投資家が投資をするか否かについての判断基準になっ
ていることは認識していた」,「みんながいいないいなと思ってくれて,株式会
社A株が人気づくことについては,当然,ある時点(株価)からは期待を大きく
していた」などと述べており,上記の認識があったことを自認している。
以上を総合すると,被告人が,上場有価証券等の取引の状況に関し他人に誤解
を生じさせる目的をもって,仮装売買を行ったというべきである。
(3)本件において,被告人が用いた手法は,株価を上昇させていくことによって,
資金調達を可能とする一方,投資家に対して,株式会社A株が投資対象として有
望であるなどと誤解を生じさせることになるもので,資金を調達しようという目
的と,取引の状況に関し他人に誤解を生じさせる目的は一体のものということが
できる。被告人は,一般投資家に繁盛に行われていると誤解を生じさせるような
形態で仮装売買を行い,そのことを認識していた以上は,資金調達の目的で仮装
売買を行ったとしても,取引の状況に関し他人に誤解を生じさせる目的をもって
仮装売買をしたことを否定するものではない。
3弁護人の主張について
(1)弁護人は,本罪は目的犯であって,犯罪成立のために他人に誤解を生じさせる
目的を要求することが益出クロス取引等の非犯罪行為と峻別する機能を有すると
考える以上,行為者の主観としては,未必的認識では足りず,目的達成のために
実行行為が行われたことが必要であると主張する。しかし,仮装売買をすること
自体が,特段の事情のない限り,取引の状況に関し他人に誤解を生じさせる目的
を強く推認させるものである。この目的があるというためには,被告人が,自身
が行おうとしている取引を行えば第三者がその取引状況に関し実需に基づくもの
であると誤解する可能性があることを認識した上で,当該取引を行ったことが認
められれば足りるというべきであって,弁護人の主張を採用することはできない。
(2)また,被告人は,相場操縦のための資金を捻出するために行った即金付け融資
は,仮装売買に繋がるものであるとしても,一般投資家を誤解させる目的でやっ
たのではないなどと主張するが,上記のとおり,被告人は,一般投資家が誤解す
る状況が作出される可能性を認識していたのであるから,本罪が成立する。被告
人が,一般投資家が誤解する状況が作出されることを願望していなかったとして
も,結論に影響はない。
第5結論
以上の次第で,本件において,法159条2項1号違反の罪及び159条1項
1号違反の罪が成立する。
(法令の適用)
被告人の判示所為のうち,変動操作の点は包括して証券取引法197条1項7号,
159条2項1号に,仮装売買の点は包括して同法197条1項7号,159条1
項1号に該当するところ,これらは1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるか
ら,刑法54条1項前段,10条により1罪として犯情の重い変動操作の罪の刑で
処断することとし,所定刑中懲役刑及び罰金刑を選択し,所定刑期及び金額の範囲
内で被告人を懲役2年及び罰金200万円に処し,その罰金を完納することができ
ないときは,同法18条により金1万円を1日に換算した期間被告人を労役場に留
置することとし,情状により同法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から
4年間その懲役刑の執行を猶予し,被告人が判示の犯罪行為により得た財産及びそ
の対価として得た財産については,証券取引法198条の2第1項1号,2号によ
りいずれも没収すべきであるところ,同項ただし書を適用して,当該財産のうち,
金4924万4803円を没収することとするが,既に費消されるなどして没収す
ることができないので,同条2項により,被告人から同価格を追徴することとする。
(追徴に関する補足説明)
1必要的没収・追徴に関する証券取引法198条の2は,相場操縦等の犯罪行為
により得た財産を被告人からはく奪することにより,不公正な取引を抑止するた
めの規定であり,原則として,相場操縦等の犯罪行為によって得た財産について
は,すべてが同条所定の必要的没収・追徴の対象となるというべきである。もっ
とも,同条1項ただし書は,犯人に過酷な結果をもたらす場合などには,例外的
に没収・追徴の対象から除外することを許容していると解される。
そこで,本件についてみると,被告人が現実に取得できる利益は相場操縦に係
る株式の売買差益相当額に過ぎず,また買付株式と売却代金双方を没収・追徴の
対象とすると,実質的には同一株式につき二重に評価することとなるので,売却
代金から買付代金相当額を控除した売買差益相当額に限定するのが相当である。
以上を前提として検討すると,調査官報告書(甲24)によれば,犯行期間中
に買い付け,同期間中に売り付けた売買につき,4924万4803円の売買差
益が生じていることが認められるので,この差益について,没収・追徴の対象と
するのが相当である。
2検察官は,犯行期間前に買い付け,同期間中に売り付けた売買につき,株式会
社A株の売買を現物取引分と信用取引分で区別して差益を計算し,信用取引分に
つき売買差益が3191万3000円生じているので,これについても被告人か
ら没収・追徴すべきであると主張するが,上記の株式会社A株の取引によって,
売買差益以上の9088万5000円の差損が生じているのであって,没収・追
徴に関し,現物取引分と信用取引分を区別して考える理由はないことからすると,
信用取引分の差益に限って没収・追徴の対象とするのは相当ではない。
3弁護人は,被告人が,株式会社A株を投資家に売却する際,売却代金の10な
いし20パーセントの現金や株券等を,投資家に支払っており,その金額の合計
は約2億円にのぼるのであるから,被告人には売買差益が生じておらず,被告人
から没収・追徴をすべきではない旨主張している。しかしながら,被告人の支出
は,株式会社A株を保有した投資家が早期に売却することを防ぐために,被告人
の元に帰属する売却代金とは別個に新たに支出したものに過ぎない。そして,上
記の売買差益相当額が,相場操縦等の犯罪行為によって得た財産に当たる以上は,
没収・追徴の対象から除外すべき相当な理由はないというべきである。
(量刑の理由)
本件は,被告人が,東京証券取引所第一部上場の株式会社Aの株券について,誘
引目的で,株券の売買が繁盛であると誤解させ,かつ,同株券の相場を変動させる
べき一連の取引を行うとともに,株式会社A株の売買の状況等に関して他人に誤解
を生じさせる目的で,仮装売買を行った事案である。
被告人は,仮装売買を交えながら,直前の約定値よりも高い指値の買い注文を出
したり,ザラ場に出ている売りを一気に買い上がったり,小刻みに指値を高くした
買い注文を入れたり,直前値よりも安い複数の値段にまとまった量の買い注文を発
注したり,終値をできるだけ高くするために,引け間際に高値ないし成行の買い注
文を連続して買い上がるなどして,株価を高値に誘導させているのであり,その手
口は巧妙なものである。また,平成14年4月16日から同年5月10日までの間
に,判示のとおり,仮装売買を含めた大量の売買を繰り返し,その結果,株式会社
Aの株価を405円から最高530円まで高騰させ,証券市場における自由かつ公
正な取引を大きく阻害し,多くの投資家の判断を誤らせて損害を負わせる危険に晒
した。これにより,株式会社A株の取引に参加して損害を被った投資家も少なから
ずいたことが認められる上,証券市場に対する国民の信頼を大きく損なわせたもの
であって,その結果は重大である。被告人は,資金が不足する中,株式会社A株の
売却処分を迫られ,自身の行為が罪となることを完全には理解していなかったもの
の,証券取引法違反となるかもしれないと不安に思いながら,少しでも自己に有利
な形で売却しようと株価を高値にすることを企て,各行為を行ったのであって,そ
の経緯に酌量の余地はほとんどなく,利欲的かつ自己中心的な犯行動機は厳しく非
難されるべきである。以上によれば,その刑責を軽くみることは許されない。
しかしながら,他方,客観的な取引行為等の事実関係については全面的に認めて
いること,自ら招いたことではあるとはいえ,結果として多額の財産的損失を被っ
たこと,前科前歴がないこと,養育すべき家族がいること等酌むべき事情も認めら
れるので,以上の事情を総合考慮し,被告人に対しては,今回に限りその懲役刑の
執行を猶予し,罰金及び追徴について主文のとおりに処するのが相当と判断した。
よって,主文のとおり判決する。
(求刑懲役2年,罰金200万円,追徴8115万7803円)
平成18年7月19日
大阪地方裁判所第1刑事部
秋山敬裁判長裁判官
山田裕文裁判官
柏原佐紀裁判官

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛