弁護士法人ITJ法律事務所

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              主       文
       被告人A1を懲役5年に,被告人A2,被告人A3,被告人A4を
それぞれ懲役4年に,被告人A5,被告人A6をそれぞれ懲役3年6月に,被告人
A7を懲役2年に各処する。
       未決勾留日数中,被告人A1,被告人A2,被告人A3,被告人A
4,被告人A5に対しては各150日を,被告人A6,被告人A7に対しては各9
0日を,それぞれその刑に算入する。
被告人A7に対し,この裁判が確定した日から,3年間その刑の執
行を猶予する。
理       由
(犯罪事実)
第1 被告人A1,被告人A2,被告人A3,被告人A4,被告人A5,被告人A
6は,無差別に電話を掛けた相手から金員を喝取しようと企て,Bと共謀の上,
 1 平成15年11月17日午後零時48分ころから同日午後1時14分ころま
での間,東京都杉並区a1b1丁目c1番d1号C・e号室から山口県大津郡f1
町g1h1番地D1方に電話を掛け,同人(当時80歳)に対し,「息子が借金し
て払わないから取り立てる。」,「暴力団じゃ。」,「息子は,今,声も出ない状
態じゃから話せん。」,「今日中の午後3時までに返さんと息子の命はない。」,
「鼻も曲がっている。」,「頭も割れるかもしれん。」,「150万円を今日の午
後3時まで払い込んだら,息子を解放する。」などと語気鋭く申し向けて金員の交
付を要求し,その要求に応じなければ同人の親族の生命,身体等にいかなる危害を
加えるかもしれない気勢を示して同人を畏怖させ,よって,同日午後2時36分こ
ろ,同人をして,同
郡f1町i1j1番地のk1E1出張所において,同出張所から東京都渋谷区l1
m1丁目n1番o1号株式会社F1銀行F2支店に開設された同被告人らが管理す
るG1名義の普通預金口座に現金150万円を振り込み送金させてその交付を受
け,もってこれを喝取した
 2 同日午後1時36分ころから同日午後1時49分ころまでの間,上記C・e
号室から山梨県大月市a2町b2c2番地d2D2方に電話を掛け,同人(当時6
0歳)に対し,「お宅の子供が,ササキトシユキの連帯保証人になっているんだ
よ。」,「息子はここにいるぞ。3時までに120万振り込め。払わねえと息子が
どうなるかわからねえぞ。」などと語気鋭く申し向けて金員の交付を要求し,その
要求に応じなければ同人の親族の生命,身体等にいかなる危害を加えるかもしれな
い気勢を示して同人を畏怖させ,よって,同日午後2時16分ころ,同人をして,
同市a2e2丁目f2番g2号株式会社E2銀行a2支店において,同支店から同
被告人らが管理する上記G1名義の普通預金口座に現金120万円を振り込み送金
させてその交付を受け
,もってこれを喝取した
 3 同月18日午前10時50分ころから同日午後零時15分ころまでの間,上
記C・e号室から山梨県東山梨郡a3村b3c3番地D3方に電話を掛け,同人
(当時58歳)に対し,「息子がアユカワカズトの元金100万円の連帯保証人に
なっている。」,「お金を払ってもらわんと困る。」,「222万円になる。」,
「もう足の骨は折れている。」,「弁護士,警察に言うんじゃねえ。」,「今日の
12時までだ。」などと語気鋭く申し向けて金員の交付を要求し,その要求に応じ
なければ同人の親族の生命,身体等にいかなる危害を加えるかもしれない気勢を示
して同人を畏怖させ,よって,同日午後零時45分ころ,同人をして,同郡d3町
d3e3番地f3株式会社E2銀行d3支店において,同支店から同被告人らが管
理する上記G1名義の
普通預金口座に現金222万円を振り込み送金手続を取らせたが,同口座について
取引停止措置が採られていたために同口座への入金を受けることができず,その目
的を遂げなかった
 4 同月19日午前9時25分ころから同日午前9時58分ころまでの間,上記
C・e号室から山口県柳井市a4b4番地D4方に電話を掛け,同人(当時75
歳)に対し,「黒木という人のサラ金の連帯保証人になっている。」,「黒木が金
を払わんので,今ここに連れてきている。」,「連帯保証人に代わりに払ってもら
うために連れて来たんだ。」,「さっき1発くらわした。鼻がめげて電話に出れ
ん。」,「あんたが払わんとここから帰さんど。」,「150万円はろうたら帰
す。」,「今日の午後2時までが弁済期限だから,それを過ぎたらこの子がどうな
るか分からんでよ。」などと語気鋭く申し向けて金員の交付を要求し,その要求に
応じなければ同人の親族の生命,身体等にいかなる危害を加えるかもしれない気勢
を示して同人を畏怖させ,
よって,同日午前10時29分ころ,同人をして,同市a4c4番地E3支所にお
いて,同支所から東京都新宿区d4e4丁目f4番g4号株式会社F3銀行F4支
店に開設された同被告人らが管理するG2名義の普通預金口座に現金150万円を
振り込み送金させてその交付を受け,もってこれを喝取した
 5 同日午後1時11分ころから同日午後2時7分ころまでの間,上記C・e号
室から山梨県東山梨郡a3村b3c5番地D5方に電話を掛け,同人(当時65
歳)に対し,「お前の息子がここにいるんだけど,ナカムラマコトという男の連帯
保証人になっていて,そのナカムラマコトという男がいなくなったので息子が保証
人になっているので借金を払え。」,「こっちが言う口座に金を振り込めばいいん
だよ。」,「早くしないとどうなっても知らねえぞ。」などと語気鋭く申し向けて
金員の交付を要求し,その要求に応じなければ同人の親族の生命,身体等にいかな
る危害を加えるかもしれない気勢を示して同人を畏怖させ,よって,同日午後2時
45分ころ,同人をして,同郡d3町d3d5番地e5株式会社E2銀行d3支店
において,同支店から
大阪市f5区g5町h5丁目i5番j5号株式会社F5銀行F6支店に開設された
同被告人らが管理するG3名義の普通預金口座に現金179万5000円を振り込
み送金させてその交付を受け,もってこれを喝取した
 6 同年12月3日午前10時19分ころから同日午後零時26分ころまでの
間,上記C・e号室から岡山県総社市a6b6丁目c6番地d6D6方に電話を掛
け,同人(当時73歳)及びD7(当時75歳)に対し,「あんたんとこの息子さ
んがね,人の350万円の保証人になっている。」,「その人が逃げて,なかなか
払ってくれないから,今息子を連れてきている。」,「息子も払えないというか
ら,殴ってやった。」,「鼻が折れてしまったようだ。」,「親が払うのが当然だ
ろ。」,「全部で350万だ。」,「いいか,12時までには,振り込まないと息
子がどうなるか分からないぞ。」,「100万じゃ足りない。」,「あと250万
すぐに振り込め。」,「息子がどうなっても知らないぞ。」などと語気鋭く申し向
けて金員の交付を要求し
,その要求に応じなければ上記D6らの親族の生命,身体等にいかなる危害を加え
るかもしれない気勢を示して同人らを畏怖させ,よって,同日午前11時45分こ
ろから同日午後零時29分ころまでの間,前後2回にわたり,同人らをして,同市
a6e6丁目f6番g6号E4信用金庫本店において,同店から東京都港区h6i
6丁目j6番k6号株式会社F5銀行h6支店に開設された同被告人らが管理する
G4名義の普通預金口座に現金合計350万円を振り込み送金させてその交付を受
け,もってこれを喝取した
 7 同日午後1時14分ころから同日午後1時30分ころまでの間,上記C・e
号室から岡山県邑久郡a7町b7c7番地d7e7場に電話を掛け,D8(当時5
5歳)に対し,「ワダカズマサの保証人になっとる,お宅の息子を監禁しと
る。」,「今日中に150万円払い込め。」,「今日中に支払わなかったら息子を
帰さんぞ。」,「金額を下げてやるから110万円は支払ってもらわんと困る。」
などと語気鋭く申し向けて金員の交付を要求し,その要求に応じなければ同人の親
族の生命,身体等にいかなる危害を加えるかもしれない気勢を示して同人を畏怖さ
せ,よって,同日午後1時57分ころ,同人をして,同郡a7町a7f7番地のg
7E5信用金庫a7支店において,同支店から埼玉県さいたま市h7区i7町j7
丁目k7番l7号株式会社
F3銀行h7支店に開設された同被告人らが管理するG5名義の普通預金口座に現
金110万円を振り込み送金させてその交付を受け,もってこれを喝取した
 8 同月4日午後零時20分ころから同日午後零時32分ころまでの間,上記
C・e号室から岡山県都窪郡a8村b8c8番地のd8D9方に電話を掛け,同人
(当時72歳)及びD10(当時69歳)に対し,「お宅の息子が,ハヤシヨシオ
の連帯保証人になっている。」,「お宅の息子に返してもらうよ。」,「今息子を
預かっている。」,「金を返してもらわんと息子は帰さんよ。」,「123万円じ
ゃ。」,「金を振り込まんと帰さんよ。」,「2時までに振り込めよ。」などと語
気鋭く申し向けて金員の交付を要求し,その要求に応じなければ上記D9らの親族
の生命,身体等にいかなる危害を加えるかもしれない気勢を示して同人らを畏怖さ
せ,よって,同日午後1時52分ころ,同人らをして,同郡a8村e8f8番地E
6組合a8支店におい
て,同支店から東京都中央区g8h8丁目i8番j8号株式会社F7銀行F8支店
に開設された同被告人らが管理するG1名義の普通預金口座に現金123万円を振
り込み送金させてその交付を受け,もってこれを喝取した
第2 被告人A1,被告人A2,被告人A3,被告人A4,被告人A5,被告人A
6,被告人A7は,無差別に電話を掛けた相手から金員を喝取しようと企て,Bと
共謀の上,同月8日午後1時5分ころから同日午後1時15分ころまでの間,上記
C・e号室から岡山県玉野市a9b9番地のc9D11方に電話を掛け,同人(当
時68歳)に対し,同人の息子を装って,「鼻の骨を折られたんじゃ。」などと申
し向けるとともに,「息子さんが佐々木という人の連帯保証人になっとりまして,
佐々木さんがいなくなっとるので,D11に金をはろうてもらわんと困る。」,
「和田4-8-19にいる。」,「時間がないから,2時までに振り込んでく
れ。」などと申し向けて金員の交付を要求し,その要求に応じなければ上記D11
の親族の生命,身体等にい
かなる危害を加えるかも知れない気勢を示して同人を畏怖させ,よって,同日午後
2時14分ころ,同市d9e9丁目f9番g9号E7支店において,同支店から神
奈川県横須賀市h9町i9丁目j9番k9号F9支店に開設された同被告人らが管
理するG6名義の普通預金口座に現金178万円を振り込み送金させてその交付を
受け,もってこれを喝取した
ものである。
(法令の適用)
1 被告人A1について
同被告人の判示第1の1,2,4ないし8,第2の各所為はいずれも刑法60
条,249条1項に,判示第1の3の所為は同法60条,250条,249条1項
にそれぞれ該当するところ,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47
条本文,10条により犯情の最も重い判示第1の6の罪の刑に法定の加重をした刑
期の範囲内で同被告人を懲役5年に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中1
50日をその刑に算入し,訴訟費用については,刑事訴訟法181条1項ただし書
を適用して同被告人に負担させないこととする。
2 被告人A2について
  同被告人の判示第1の1,2,4ないし8,第2の各所為はいずれも刑法60
条,249条1項に,判示第1の3の所為は同法60条,250条,249条1項
にそれぞれ該当するところ,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47
条本文,10条により犯情の最も重い判示第1の6の罪の刑に法定の加重をした刑
期の範囲内で同被告人を懲役4年に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中1
50日をその刑に算入し,訴訟費用については,刑事訴訟法181条1項ただし書
を適用して同被告人に負担させないこととする。
3 被告人A3について
  同被告人の判示第1の1,2,4ないし8,第2の各所為はいずれも刑法60
条,249条1項に,判示第1の3の所為は同法60条,250条,249条1項
にそれぞれ該当するところ,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47
条本文,10条により犯情の最も重い判示第1の6の罪の刑に法定の加重をした刑
期の範囲内で同被告人を懲役4年に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中1
50日をその刑に算入し,訴訟費用については,刑事訴訟法181条1項ただし書
を適用して同被告人に負担させないこととする。
4 被告人A4について
  同被告人の判示第1の1,2,4ないし8,第2の各所為はいずれも刑法60
条,249条1項に,判示第1の3の所為は同法60条,250条,249条1項
にそれぞれ該当するところ,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47
条本文,10条により犯情の最も重い判示第1の6の罪の刑に法定の加重をした刑
期の範囲内で同被告人を懲役4年に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中1
50日をその刑に算入し,訴訟費用については,刑事訴訟法181条1項ただし書
を適用して同被告人に負担させないこととする。
5 被告人A5について
  同被告人の判示第1の1,2,4ないし8,第2の各所為はいずれも刑法60
条,249条1項に,判示第1の3の所為は同法60条,250条,249条1項
にそれぞれ該当するところ,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47
条本文,10条により犯情の最も重い判示第1の6の罪の刑に法定の加重をした刑
期の範囲内で同被告人を懲役3年6月に処し,同法21条を適用して未決勾留日数
中150日をその刑に算入し,訴訟費用については,刑事訴訟法181条1項ただ
し書を適用して同被告人に負担させないこととする。
6 被告人A6について
  同被告人の判示第1の1,2,4ないし8,第2の各所為はいずれも刑法60
条,249条1項に,判示第1の3の所為は同法60条,250条,249条1項
にそれぞれ該当するところ,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47
条本文,10条により犯情の最も重い判示第1の6の罪の刑に法定の加重をした刑
期の範囲内で同被告人を懲役3年6月に処し,同法21条を適用して未決勾留日数
中90日をその刑に算入し,訴訟費用については,刑事訴訟法181条1項ただし
書を適用して同被告人に負担させないこととする。
7 被告人A7について
  同被告人の判示第2の所為は刑法60条,249条1項に該当するので,その
所定刑期の範囲内で同被告人を懲役2年に処し,同法21条を適用して未決勾留日
数中90日をその刑に算入し,情状により同法25条1項を適用してこの裁判が確
定した日から3年間その刑の執行を猶予することとし,訴訟費用については,刑事
訴訟法181条1項ただし書を適用して同被告人に負担させないこととする。
(量刑の理由)
1 本件は,被告人らがBと共謀の上,高齢者を狙って電話帳に掲載されている一
般加入電話に無差別に電話をかけ,電話に出た相手方に対し,息子が保証人になっ
ているなどと虚偽の事実を申し向け,もし時間内に支払えなければ息子に危害を加
える旨脅迫して支払いを迫り,被告人らが管理していた銀行口座に現金を振り込ま
せて喝取するという恐喝及び同未遂の事案である。
2 被告人A7以外の被告人らにおいては,それまで営んでいたいわゆるヤミ金融
業では利益が乏しくなっていたところ,Bからいわゆるおれおれ詐欺でまだ儲ける
ことができると聞くや,安易な手段で金を稼ごうと考え,また,被告人A7におい
ては,被告人A1らに協力して被告人A3に対する借金を返済しようと考え,
いずれも利欲的動機から本件各犯行に及んだものであって,その短絡的かつ身勝手
な動機に酌量の余地はない。
また,被告人らは,全国各地の電話帳を用意し,犯行発覚を防ぐためいわゆる
飛ばしの携帯電話や他人名義の銀行口座を不正に入手するなど周到な準備をした
上,山梨県をはじめ,山口県,岡山県と広範囲にわたり,手分けをして,連日のよ
うに無差別に電話をかけるなど,組織的かつ計画的に犯行を行ったものである。し
かも,犯行が成功しやすいように,高齢者を狙い,我が子の身を案じる被害者の心
情につけ込み,息子役である泣き役と脅し役とに適宜役割を分担したり,交互に電
話口に出るなどして執拗に脅迫したもので,本件は,おれおれ詐欺を模倣した,よ
り巧妙で卑劣かつ悪質な犯行であり,厳しい非難を免れない。
さらに,被害金額は合計1360万円余りにのぼり,財産的損害が莫大である
ことは言うに及ばず,被害者が電話を受けた際の恐怖感や心痛は計り知れず,親の
子を想う心情を踏みにじられた悔しさをも考慮すると,被害者らが被った精神的苦
痛も甚大である。被害者らの処罰感情が厳しいのも至極当然である。
  昨今おれおれ詐欺が全国で多発し,その被害額も多額に及び社会問題化してい
ることに鑑みると,本件の社会的影響は非常に大きく,市民の誰もが標的とされ得
る模倣性の高い犯行であって,一般予防の見地からも,厳罰をもって臨むべきもの
である。
3・ 被告人A1について
被告人A1は,グループのリーダー的存在として,本件計画を立案し,口座
の購入等の準備のための資金を提供したり,他の被告人らにBから教わった方法を
説明したり,適宜指示を出したりしていたほか,脅し取った金員を保管した上で他
の共犯者に対し「給料」と称して分配するなど,本件各犯行において常に
主導的かつ中心的な役割を果たしていたほか,本件各犯行から一番多
額の分け前を取得しており,その刑事責任は共犯者の中で最も重いというべきであ
る。また,被告人A1は,平成15年5月8日,傷害罪により懲役1年6
月に処せられ,4年間その刑の執行を猶予されたが,そのわずか6か月程度しか経
過していない執行猶予期間中に本件各犯行に及んだものである上,本件各犯行に至
るまで,暴力団組員と交遊し,
ヤミ金融業を営んでいたことからしても,その規範意識は著しく鈍麻
しているものというべきである。
よって,被告人A1の刑事責任は,本件共犯者の中では,ぬきんでて重いも
のというべきである。
・ 被告人A2,同A3,同A4について
被告人A4は,被告人A1がヤミの金融業を営んでいた当初から,被
告人A1とともに活動してきたものであって,暴力団関係者との交友関係
があり,被告人A2は,被告人A4とともに,年長者として,グループの中で
被告人A1に次ぐ地位にあったものであり,いずれの被告人も,本件各犯行に
使用したとばしの携帯電話や他人名義の口座等を積極的に入手しており,分け前と
しても被告人A1に次いで高い金額の分け前を受け取っていたものである。また,
被告人A3は,犯行の都度,被害者らが振込送金した銀行口座から現金を引き下ろ
す役割を担当しており,被告人A4,被告人A2に次いで高い金額の分け前を受け
取っていたものである。
同被告人らは,規範意識が著しく鈍麻しており,その地位,役割,分け前等
を考慮すると,その刑事責任は,被告人A1に次いで重いものというべきである。
 ・ 被告人A5,同A6について
   被告人A5及び被告人A6は,途中からグループに加わり,比較的年下とい
うこともあって,グループの中では最も下位に位置し,分け前も一番少な
い金額の分配を受けていたが,被告人A5においては泣き役として,被告人A6に
おいては脅し役として,いずれも恐喝の実行行為を積極的に行っているものであ
る。
同被告人らは,その規範意識が著しく鈍麻しており,その地位,役割,分け
前等を考慮すると,その刑事責任は,被告人A2,同A3,同A4に次いで重いと
いうべきである。
・ 被告人A7について
被告人A7は,一番最後にグループに加わり,犯行に及んだものであるが,
借金の返済のために安易に仲間に入り,1件とはいえ重大かつ悪質な犯行を他の被
告人らと共に敢行したものであって,その規範意識が鈍麻していることは否定でき
ず,その刑事責任は重い。
4 他方,押収金の還付のほか被告人らやその家族の出捐により合計1088万8
505円の被害弁償がなされており,本件の財産的損害の大半は被害回復が済んで
いること,被告人らはいずれも当公判廷において,本件各犯行を素直に認めて反省
の態度と被害者らに対する謝罪の気持ちを示していること,被告人A1,被告人A
2,被告人A3,被告人A4,被告人A5,被告人A6は被害者らに対して謝罪の
手紙を書いていること,被告人らの父親ないし母親が情状証人としてそれぞれ出廷
し,被告人らの今後の監督を約束していること,被告人A1以外の被告人らには前
科がないこと,被告人らは若年であり,被告人A6は犯行当時未成年であったこ
と,被告人A7は,被告人A3に借金があったことから,その返済のために被告人
A1のもとで働くよう
に言われて本件グループに加わったものであり,犯行への積極性の点で,他の共犯
者とは犯情を異にする上,本件各犯行のうち最後の1件について関与したにすぎ
ず,犯行によって得た利益の分配を受けていないことなど,被告人らにとって
酌むべき事情も認められる。
5 そこで,当裁判所は,これらの被告人らにとって有利,不利な一切の事情を考
慮し,被告人らの本件各犯行への関与の程度をふまえた上で,その刑事責任の重
さに応じて,主文のとおりの刑を量定した次第である。
(求刑 懲役6年〔被告人A1〕,懲役5年〔被告人A2〕,懲役5年〔被告人A
3〕,懲役5年〔被告人A4〕,懲役5年〔被告人A5〕,懲役5年〔被告人A
6〕,懲役2年〔被告人A7〕)
  平成16年7月29日
     甲府地方裁判所刑事部
         裁判長裁判官   川  島  利  夫
            裁判官   柴  田     誠
            裁判官   肥  田     薫

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