弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を高松高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 論旨第一点について。
 原審は所論のように判示し、別件訴訟の結果につき勝訴の確信を有していたと否
とに拘わらず、敗訴者である控訴人(上告人)はその起訴の時より悪意の占有者と
看做され、従つて別件訴訟につき長崎控訴院が言渡した控訴人(上告人)敗訴の判
決言渡前に、控訴人(上告人)が訴外Dに対してなした本件船舶の売却処分は、被
控訴人(被上告人)の右船舶につき有する所有権を侵害した不法行為を構成するも
のであり、控訴人(上告人)は、被控訴人(被上告人)に対し自己所有にかかる本
件船舶の一部を滅失毀損したことによつて現実に生じた損害を賠償すべき義務ある
ものであると判断した。しかし、論旨引用の大審院判例(大判、昭和一八、六、一
九、民集四九一頁)も示すとおり「不法ニ他人ノ物ヲ占有シタル者カ民法七〇九条
ニ依リ其ノ物ノ賃料ニ相当スル損害賠償ノ責ニ任スルニハ故意又ハ過失アルコトヲ
必要トシ、本権ノ訴ニ敗訴シタルノ故ヲ以テ起訴ノ時ヨリ故意又ハ過失アリシモノ
ト看做サルルモノニ非ス」と解すべきであり、この理は、本件の如く、目的物の滅
失、毀損を理由とする不法行為についても異るところはない。従つて、原審が、本
権の訴訟の敗訴者である上告人は、その起訴の時より悪意の占有者と看做されると
解し、単にこれのみの理由で、上告人に故意又は過失を認めて不法行為の成立あり
としたことは、法律の解釈を誤り、審理不尽の違法あるを免れない。よつて、論旨
は理由があり、原判決は破棄を免れない。そして原審は、本件船舶の滅失、毀損は
何時、いかなる事情によつて生じたものであるか、また、それは上告人の故意又は
過失によるものであるか否かを更に審理することを要するから、本件はこれを原審
に差し戻すべきものである。
 同第二点について。
 原審は、所論のように「被控訴人(被上告人)から控訴人(上告人)に対する右
船舶所有権確認、所有権取得登記の抹消登記手続竝びに船舶引渡請求事件において、
控訴人(上告人)が本件船舶の占有を認めて争わず、その結果前認定のとおり被控
訴人(被上告人)勝訴の判決があつたのであるから、控訴人(上告人)は右確定判
決の主文によつて生じた事実関係に矛盾する主張をなしえない」と判示した。しか
し、確定判決の既判力は、事実審の口頭弁論終結当時を標準とし、現に訴訟物とさ
れた権利又は法律関係の存否(例外として民訴二二五条の書面の真否)のみを確定
するにすぎないと解すべきものである。しかるに、原審が前記の如く判示し、且つ
こわを前提として本件船舶については、当事者はもはや前記確定判決前にその一部
の滅失、毀損のあつた事実関係までも主張し得ないごとく判示したことは、ひつき
よう前訴の訴訟物でない単なる事実関係についてまでも、前訴判決の既判力を認め
たこととなるのであつて、原判決は法律の解釈を誤り、審理不尽の違法あるを免れ
ない。よつて論旨は理由があり原判決はこの点においても破棄を免れず、また本件
不法行為成立の時期については、原審において当事者間に争があつたのであるから、
原審はこの点につき更に審理を尽くすべきであり、本件はこれを原審に差し戻すべ
きである。
 同第三点について。
 およそ不法行為による物の滅失、毀損に対する現実の損害賠償額は、特段の事由
のない限り、滅失毀損当時の交換価格によりこれを定むべきである(大判、民刑連、
大正一五、五、二二、民集三八六頁参照)。しかるに原審はなんら本件船舶の滅失、
毀損の時期、及び右滅失毀損当時におけるその価格を確定せず、恰かも右損害は、
被上告人が本件船舶の一部の滅失毀損の事実を知つた時に生じたものの如く解して、
「その損害額は右引渡執行の時を基準とすべきである」と判示し、これを前提とし
て上告人に損害賠償を命じたのであつて、原判決には法律の解釈を誤つた違法があ
る。よつて論旨は理由があり、原判決はこの点においても破棄を免れない。
 よつて、民訴四〇七条により裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔
 裁判官岩松三郎は退官につき署名押印することができない。
         裁判長裁判官    入   江   俊   郎

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