弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告人の上告理由について。
 原判決は、本訴が出訴期間を徒過してなされたものであることを理由としてこれ
を却下した第一審判決を維持したのである。これに対して上告人は、自作農法に「
病者が不在地主にならないことを保障されている限り如何なる法律を以てするも拘
束し得ないにも不拘判決に言渡した適用法条文は悉く自然人に対してのもので違法
たるを免れない」として原判決を非難する(論旨四)。しかし本件農地買収処分に
関する上告人の主張が仮りに正当であつたとしても、これを訴訟の上で争うために
は出訴期間の定めに従わなければならない。それ故に原判決が、自作農創設特別措
置法四七条の二第一項、同法附則七条第一項の規定に照らして、本訴を出訴期間徒
過の違法あるものとし、他の争点に対する判断を俟つまでもなく却下すべきものと
したのは正当である。上告人はまた本件の訴が行政庁から要請された行政訴訟であ
るから、これに対し出訴期間徒過を理由として却下したのは違法であると主張する
(論旨五)のであるが、出訴期間の規定は訴が行政庁に要請されてなされたもので
あるか否かにかかわらず適期さるべきものであるから、この主張も亦採用できない。
上告人が、原判決は憲法三一条、一一条、二九条、三二条等に違反すると主張する
のは、出訴期間の規定に関する右のような誤解を前提とするものであるから、その
前提が誤つている以上、その主張はいずれも成り立ち得ない。
 上告人は更らに、「昭和二十五年三月十三日附追加訴状と被告答弁書反駁の準備
書面を提出し被告が主張する新事態の裁判を求めた」にもかゝわらず、原審裁判所
が何等これに触れず放棄したのは憲法三二条に違反したことになると主張する(論
旨三)。しかし原審は訴全体について出訴期間経過後の不適法のものとして却下し
て居るのであるからその上所論書面記載の様な事項について特に判断を示さないの
は当然である。所論の違憲論は右却下判決の性質を知らないことに基くもので全く
前提を欠くものである。
 その余の論旨は「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律「
(昭和二五年五月四日法律第一三八号)一号乃至三号のいずれにも該当せず、又同
法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものとも認められない。
 よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、全裁判官一致の意見によつて主文
のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保

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