弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 一 被告人両名の弁護人葉山岳夫ほか一二名の上告趣意について
 上告趣意第一点は、破壊活動防止法四〇条は政治思想を処罰するものであり、憲
法一九条に違反すると主張する。しかしながら、破壊活動防止法四〇条のせん動罪
は、政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対する目的(以下
「政治目的」という。)をもって、同条所定の犯罪のせん動をすることを処罰する
ものであるが、せん動として外形に現れた客観的な行為を処罰の対象とするもので
あって、行為の基礎となった思想、信条を処罰するものでないことは、同条の規定
自体から明らかであるから、所論は前提を欠き、適法な上告理由に当たらない。
 同第二点は、破壊活動防止法四〇条は表現活動を処罰するものであり、憲法二一
条一項に違反すると主張する。確かに、破壊活動防止法四〇条のせん動は、政治目
的をもって、同条所定の犯罪を実行させる目的をもって、文書若しくは図画又は言
動により、人に対し、その犯罪行為を実行する決意を生ぜしめ又は既に生じている
決意を助長させるような勢のある刺激を与える行為をすることであるから(同法四
条二項参照)、表現活動としての性質を有している。しかしながら、表現活動とい
えども、絶対無制限に許容されるものではなく、公共の福祉に反し、表現の自由の
限界を逸脱するときには、制限を受けるのはやむを得ないものであるところ、右の
ようなせん動は、公共の安全を脅かす騒擾罪等の重大犯罪をひき起こす可能性のあ
る社会的に危険な行為であるから、公共の福祉に反し、表現の自由の保護を受ける
に値しないものとして、制限を受けるのはやむを得ないものというべきであり、右
のようなせん動を処罰することが憲法二一条一項に違反するものでないことは、当
裁判所大法廷の判例(昭和二三年(れ)第一三〇八号同二四年五月一八日判決・刑
集三巻六号八三九頁、昭和二四年(れ)第四九八号同二七年一月九日判決・刑集六
巻一号四頁、昭和二六年(あ)第三八七五号同三〇年一一月三〇日判決・刑集九巻
一二号二五四五頁、昭和二八年(あ)第一七一三号同三二年三月一三日判決・刑集
一一巻三号九九七頁、昭和三三年(あ)第一四一三号同三七年二月二一日判決・刑
集一六巻二号一〇七頁、昭和三九年(あ)第三〇五号同四四年一〇月一五日判決・
刑集二三巻一〇号一二三九頁、昭和四三年(あ)第二七八〇号同四八年四月二五日
判決・刑集二七巻四号五四七頁)の趣旨に徴し明らかであり、所論は理由がない。
 同第三点は、破壊活動防止法四〇条のせん動の概念は不明確であり、憲法三一条
に違反すると主張する。しかしながら、破壊活動防止法四〇条のせん動の概念は、
同法四条二項の定義規定により明らかであって、その犯罪構成要件が所論のように
あいまいであり、漠然としているものとはいい難いから、所論は前提を欠き、適法
な上告理由に当たらない(最高裁昭和三三年(あ)第一四一三号同三七年二月二一
日大法廷判決・刑集一六巻二号一〇七頁、同昭和四三年(あ)第二七八〇号同四八
年四月二五日大法廷判決・刑集二七巻四号五四七頁、同昭和四二年(あ)第二二二
〇号同四五年七月二日第一小法廷決定・刑集二四巻七号四一二頁参照)。
 同第四点は、単なる法令違反の主張であって、適法な上告理由に当たらない。
 二 被告人両名の上告趣意について
 上告趣意のうち、破壊活動防止法四〇条につき憲法一九条、三一条違反をいう点
は、前叙のとおり、いずれも所論は前提を欠き、適法な上告理由に当たらず、破壊
活動防止法四〇条につき憲法二一条一項違反をいう点は、前叙のとおり、所論は理
由がなく、その余は、憲法違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反の主張であ
って、適法な上告理由に当たらない。
 三 よって、刑訴法四一四条、三九六条により、裁判官全員一致の意見で、主文
のとおり判決する。検察官土屋眞一、同赤塚健 公判出席
  平成二年八月二四日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    藤   島       昭
            裁判官    香   川   保   一
            裁判官    奥   野   久   之
            裁判官    中   島   敏 次 郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛