弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人山本晃夫、同高井章吾、同藤林律夫の上告理由について
 一 本件は、上告人を債権者、被上告人らを債務者とする裁判上の和解調書につ
き、上告人が条件成就による執行文の付与を受けたことに対して、被上告人らが条
件成就を争って、執行文の付与された右和解調書の正本に基づく強制執行の不許を
求める執行文付与に対する異議の訴えであるところ、原審は、被上告人株式会社B
(以下「被上告人B」という。)に条件成就に該当する行為があったが、本件にお
いては上告人が条件成就を主張することは信義則に反し許されないと判断して、被
上告人らの請求を認容した。
 二 原審が、その前提として確定した事実関係は、以下のとおりである。
 1 上告人から被上告人らに対する債務名義として第一審判決添付和解条項を内
容とする裁判上の和解調書が存在するが、右条項第一項には、被上告人らが櫛歯ピ
ンを付着した部分かつらを製造販売しない旨、同第二項には、被上告人らがこれに
違反した場合には連帯して上告人に対し違約金一〇〇〇万円を支払う旨の記載があ
る。
 2 上告人の取引先関係者であるDは、上告人の指示の下に、通常の客を装って
被上告人Bの店舗に赴き、まず、櫛歯ピンとは形状の異なるピンを付着した部分か
つらの購入を申し込んで、その購入契約を締結した。Dは、その後、部分かつら本
体の製作作業がかなり進んだ段階で、さらに上告人の意を受けて、右形状のピンを
付着した部分かつらであれば右購入契約を解約したい、解約できないなら櫛歯ピン
のようなストッパーを付けてほしい旨の申入れをした。困惑した被上告人Bの従業
員は、Dの強い要求を拒み切れず、契約の変更を承諾した上、櫛歯ピンを付着した
部分かつらをDに引き渡した。
 3 上告人がDに右のような行為をさせたことについては、被上告人Bの本件和
解条項違反行為を確認するためのやむを得ないものであったと解すべき事情は認め
られない。
 4 上告人は、被上告人BがDに右かつらを販売したことは本件和解条項第一項
に違反するから、同第二項の条件が成就したとして、前記の裁判上の和解調書によ
る被上告人らに対する強制執行のため執行文の付与を申請し、東京地方裁判所の裁
判所書記官から、執行文の付与を受けた。
 三 右事実によれば、被上告人BがDに櫛歯ピン付き部分かつらを販売した行為
が本件和解条項第一項に違反する行為に当たるものであることは否定できないけれ
ども、上告人は、単に本件和解条項違反行為の有無を調査ないし確認する範囲を超
えて、Dを介して積極的に被上告人Bを本件和解条項第一項に違反する行為をする
よう誘引したものであって、これは、条件の成就によって利益を受ける当事者であ
る上告人が故意に条件を成就させたものというべきであるから、民法一三〇条の類
推適用により、被上告人らは、本件和解条項第二項の条件が成就していないものと
みなすことができると解するのが相当である。これと同旨をいう原審の判断は、正
当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。所論引用の判例は、事
案を異にし本件に適切でない。論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実
の認定を非難するか、又は独自の見解に基づいて原判決の法令違背をいうものにす
ぎず、すべて採用することができない。
 よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    千   種   秀   夫
            裁判官    園   部   逸   夫
            裁判官    可   部   恒   雄
            裁判官    大   野   正   男
            裁判官    尾   崎   行   信

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