弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人鈴木義男、同河野太郎の上告趣意第一点について。
 苟しくも人を欺罔して財物を騙取するにおいては、その目的が自己を利するため
であると他人を利するためであるとによつて詐欺罪の成立に影響を及ぼすものでは
ない。(明治四四年四月二七日大審院判決判決録一七輯六九五頁、大正一四年三月
一四日大審院判決判例集四巻一六八頁参照。)されば、原判決の是認した第一審判
決の認定した判示第一の犯罪が、仮りに所論のごとくA診療所の備品購入の費用に
充てるためであり、且つ、実際上これに使用されたとしても、詐欺罪を構成しない
といえないことは多言を要しない。そして、財産罪における不法領得の意思の有無
を論ずる実益は、主としていわゆる奪取罪と毀棄、隠匿罪との区別において存する
ものであつて、本件のような他人の財物を毀棄又は隠匿するのではなく、これをそ
の経済上の用法に従つて利用又は処分する意思であること明白である財産罪におい
て特にこれを論議する必要はないのである。従つて、原判決の不法領得の意思に関
する説示は、無用の説示といわなければならない。しかしながら、財産罪における
不法領得の意思には領得者が自己の利益取得を意図することを必要とするものでな
いことは、既に当裁判所の判例の趣旨とするところであつて(昭和二四年三月八日
第三小法廷判決、判例集三巻三号二七六頁以下参照)、原判決の説示もこれに従つ
たこと明らかであり、従つて、所論大審院の判例に違反するとの主張は、刑訴四〇
五条三号の要件を欠き採用できない。また、違憲をいうが、その実質は単なる法令
違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 同第四点について。
 所論供述調書が強制によるものであることは、これを認むべき証拠がないし、ま
た、被告人の自白と第一審判決挙示の補強証拠とを綜合すれば、同判示第三の事実
認定を肯認できるから、所論憲法三八条違反の主張は前提を欠くものであつて採用
できない。また、憲法三一条違反をいうが、その実質は単なる訴訟法違反の主張で
あつて、刑訴四〇五条の適法な上告理由に当らない。
 同第二点、第三点、第五点について。
 論旨第二点は、違憲をいうが、その実質は、原審で主張しなかつた訴訟手続違背
を原審が職権調査をしない違法があるというに帰し、同第三点は、違憲をいうも、
その実質は、単なる訴訟法違反の主張であり、同第五点は、事実誤認の主張であつ
て、いずれも、刑訴四〇五条の適法な上告理由に当らないし、また、記録を調べて
も、同四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて、同四一四条、三八六条一項三号に従い、裁判官全員一致で、主文のとお
り決定する。
  昭和三二年二月一四日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    入   江   俊   郎

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