弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

            主     文
       原判決を破棄し,第1審判決を取り消す。
       被上告人の請求を棄却する。
       訴訟の総費用は被上告人の負担とする。
            理     由
 上告代理人大野敏之,同寺垣玲,同小濱意三の上告受理申立て理由第二について
 1 原審の適法に確定した事実関係は,次のとおりである。
 (1) Dは,第1審判決別紙目録記載の土地(以下「本件土地」という。)を所
有していた。
 (2) 被上告人は,昭和37年2月17日に本件土地の占有を開始し,同57年
2月17日以降も本件土地の占有を継続していた。
 (3) Dは,昭和58年12月13日,株式会社Eローンサービス(以下「訴外
会社」という。)との間で,本件土地につき,訴外会社を抵当権者とし,債務者を
有限会社F旅館とする債権額1100万円の抵当権(以下「本件抵当権」という。)
を設定してその旨の登記を了した。
 (4) 上告人は,平成8年10月1日,訴外会社から,本件抵当権を,その被担
保債権と共に譲り受け,同9年3月26日,本件抵当権の設定登記につき抵当権移
転の付記登記がされた。
 (5) 被上告人は,昭和37年2月17日を起算点として20年間本件土地の占
有を継続したことにより,時効が完成したとして,Dに対して所有権の取得時効を
援用した。そして,被上告人は,平成11年6月15日,本件土地につき「昭和3
7年2月17日時効取得」を原因とする所有権移転登記を了した。
 2 被上告人は,本件抵当権の設定登記の日である昭和58年12月13日から
更に10年間本件土地の占有を継続したことにより,時効が完成したとして,再度
,取得時効を援用し,本件抵当権は消滅したと主張して,上告人に対し,本件抵当
権の設定登記の抹消登記手続を求めた。
3 原審は,前記の事実関係の下で,次のとおり判断して,被上告人の請求を認容
すべきものとした。
 (1) 被上告人は,昭和37年2月17日から20年間占有を継続したことによ
り,本件土地を時効取得したが,その所有権移転登記をしないうちに,訴外会社に
よる本件抵当権の設定登記がされた。このような場合において,被上告人が,本件
抵当権の設定登記の日である昭和58年12月13日から更に時効取得に必要な期
間,本件土地の占有を継続したときには,被上告人は,その旨の所有権移転登記を
有しなくても,時効による所有権の取得をもって本件抵当権の設定登記を有する訴
外会社に対抗することができ,時効取得の効果として本件抵当権は消滅するから,
その抹消登記手続を請求することができる。
 (2) 被上告人は,本件抵当権の設定登記の日には,本件土地の所有権を既に時
効取得していたことからすると,その日以降の被上告人の本件土地の占有は,善意
,無過失のものと認められる。
 (3) したがって,被上告人は,本件抵当権の設定登記の日から10年間占有を
継続したことにより,時効が完成し,再度,取得時効を援用して,本件土地を更に
時効取得し,これに伴い本件抵当権は消滅したものというべきであるから,被上告
人は,上告人に対し,本件抵当権の設定登記の抹消登記手続を求めることができる。
 4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
 前記の事実関係によれば,【要旨】被上告人は,前記1(5)の時効の援用により
,占有開始時の昭和37年2月17日にさかのぼって本件土地を原始取得し,その
旨の登記を有している。被上告人は,上記時効の援用により確定的に本件土地の所
有権を取得したのであるから,このような場合に,起算点を後の時点にずらせて,
再度,取得時効の完成を主張し,これを援用することはできないものというべきで
ある。そうすると,被上告人は,上記時効の完成後に設定された本件抵当権を譲り
受けた上告人に対し,本件抵当権の設定登記の抹消登記手続を請求することはでき
ない。
5 以上によれば,被上告人の請求を認容すべきものとした原審の判断には判決に
影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,原判決は破棄を免れない。論旨は
理由がある。そして,前記説示によれば,被上告人の請求は理由がないから,これ
を認容した第1審判決を取り消した上,被上告人の請求を棄却することとする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 亀山継夫 裁判官 福田 博 裁判官 北川弘治 裁判官 梶谷
 玄 裁判官 滝井繁男)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛