弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主     文
1被告は原告に対し,金68万8909円及びこれに対する平成12年
8月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
4 この判決の第1項は仮に執行することができる。
事 実 及 び 理 由
第1請求
 1 被告は原告に対し,金85万8281円及びこれに対する平成12年8月1
1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 2 訴訟費用は被告の負担とする。
 3 仮執行宣言
第2 事案の概要
  本件は,交通事故の被害者(衝突されたタクシーを所有するタクシー会社)で
ある原告が,加害者である被告に対し,被害車両の修理代金等を請求したのに対
し,被告が,当該被害車両は既に耐用年数を経過しているのでいわゆる全損に当た
るとして,その損害額等を争っている事案である。
第3 当事者間に争いのない事実
 1 当事者
  原告は一般乗用旅客自動車運送事業等を業とする株式会社である。
 2 交通事故
  被告は,平成12年8月10日午後2時ころ,北上市a町Aクラブ駐車場先
路上において,自動車(登録番号「岩手○○は○○-○○」)を運転して,訴外B
運転の原告所有のタクシー(登録番号「岩手○○う○○-○○」以下「本件被害車
両」という。)を追従進行中,本件被害車両が,客を乗せるためにハザードランプ
を点灯しながらゆっくりと道路左端に停車した際,脇見運転のために,本件被害車
両に自車を追突させる交通事故を惹起した。
第4 当事者の主張
 1 原告
  (1) 修理費用
   上記交通事故により,本件被害車両は後部バンパー等が破損し,その修理
に金50万6281円を要し,原告に同額の損害が発生した。
  (2) 休車損
   本件被害車両の上記修理には34日間を要したので,一日当たりの休車損
の額を金8000円として,合計金27万2000円の損害が原告に発生した。
(3) 弁護士費用
 本件訴訟に弁護士費用として金8万円を要した。
(4) まとめ
 よって,原告は被告に対し,上記交通事故による不法行為に基づく損害賠
償請求として,金85万8281円(上記(1)ないし(3)の金額の合計)及びこれに
対する,不法行為日の翌日である平成12年8月11日から支払済みまで年5分の
割合による遅延損害金の支払いを求める。
2 被告
 (1) 修理代金について
 本件被害車両は,平成7年7月登録の自動車で,事故時走行距離は22万
7607キロメートルとなっていた。LPガスを燃料とする被害車両と同種の平成
9年式自動車の新車価格は173万6000円だが,営業用自動車の法定耐用年数
は3年であるから,本件被害車両は法定耐用年数を2年以上も経過しているので,
事故時の時価額は,車両価額を新車価格の1割として,かつ車検残を考慮しても,
金22万円を超えることはない。
 これに対し,本件被害車両の修理には金43万円以上の修理費が必要であ
る。
 このように,自動車の修理費が時価額を大きく上回る場合には,自動車は
修理不能つまり全損とみて,自動車の損害額を時価額と評価するのが相当である。
 よって,本件被害車両の損害額は22万円である。
(2) 休車損
 休車損については,タクシーの場合一日の純利益を8000円としても,
通常2週間分を損害として補償すれば足る。
 被告は,原告に対する誠意として,金18万円の支払を和解案として提示
していた。
  (3) まとめ
    被告は原告に対し,合計金40万円の支払を提示したが,原告はこの提示
に応じなかったために本件訴訟に至ったもので,原告の請求は過分である。
第5 当裁判所の判断
 1 認定事実
 証人Bの供述及び甲1ないし17号証,乙1ないし3号証並びに弁論の全趣
旨によれば,以下の事実を認めることができる。
(1) 営業用小型車両の法定耐用年数
 法人税法上,営業用小型車両の法定耐用年数は,減価償却資産の耐用に関
する財務省令により,3年と規定されている。
(2) 本件被害車両
 本件被害車両は,平成7年7月に初度登録のなされた小型乗用自動車であ
り,本件事故時の走行距離は約22万7600キロメートルであった。
(3) 原告の使用する車両の状況
 原告は,普通のタクシー(小型車)12台,ジャンボタクシー1台,介護
用タクシー1台の計14台を所有してタクシー営業に供している。
 小型車12台のうち,10台は初度登録が平成7年ないし平成9年のもの
であり,これらについては初度登録から既に3年を越えて,現在も営業に供されて
いる。
 このうち,初度登録が最も早いものは平成7年3月初度登録のものであ
り,本件被害車両は,平成7年に初度登録された3台の中では一番新しいものであ
る。
 原告におけるこのような車両の使用状況は,北上市でタクシー営業を行う
原告においては,都会のタクシーと違い,単位期間当たりの走行距離が短いことか
ら,使用年数を長くしている,との事情が存する。
(4) 原告による本件被害車両修理の状況
 ① 原告は,平成12年8月10日の事故後,被害車両をすぐに修理工場に
持ち込んだものの,被告が損害保険契約を締結しているC共済の対応が明らかでな
かったことなどから,直ちには修理に着手せず,C共済の方針が全損認定であるこ
とが明らかとなった同月29日(乙3)から修理に着手し,9月12日(甲1)に
修理が完了して,その納車を受けた。
 ② 修理に要した部品は,原告が部品会社から買い入れており,その金額は
合計22万5435円で,原告は平成12年10月20日ころ,同額を部品会社に
支払った(甲16,17)。
 ③ 修理業者から請求された修理代金は28万0846円であり,原告は平
成12年9月20日ころ,同額を修理業者に支払った(甲1,15)。
(5) 乗用車の新規購後,営業に供するまでに必要な作業
 乗用車を新規に購入し,これをタクシー営業に供するためには,
・燃料系統をLPガス対応のものに改造すること。
・タクシー営業用に塗装し,メーター器,社名灯,GPSなどを取り付ける
こと。
・ナンバープレートを,事業用車両として登録した番号のものに付け替える
こと。
などの作業が必要となる。
2 検討
(1) 修理費用について
 本件被害車両が,前記財務省令の規定する法定耐用年数である3年を超過
して使用されている車両であることは被告主張のとおりであるが,前記認定事実に
鑑みると,原告が上記法定耐用年数を越えて小型車を使用することには合理的理由
があるから,原告の営業において,本件被害車両が既に耐用年数を経過し,経済的
に修理不能となったと解することはできない。
 したがって,本件被害車両の修理に関する損害としては,現に原告が支出
した合計金50万6281円と認めるのが相当である。
(2) 休車損について
 前記認定事実によれば,修理に要した期間は平成13年8月29日から同
年9月12日までの15日間と認められ,一日当たりの営業利益を金8000円と
することに争いはないから,合計金12万円を休車損の額と認めるのが相当であ
る。
(3) 弁護士費用について
 以上によれば,原告は被告に対し,修理費用及び休車損害賠償として合計
金62万6281円を請求できるから,原告に要した弁護士費用は,その1割に相
当する6万2628円と認めるのが相当である。
(4) まとめ
 以上より,原告は被告に対し,不法行為に基づく損害賠償として,合計金
68万8909円及びこれに対する,不法行為日後である平成12年8月11日か
ら支払済みまで,民法所定の利率である年5分の割合による遅延損害金の支払いを
求めることができる。
第6 結語
 以上より,原告の請求は主文第1項記載の限度で理由があるから認容し,そ
の余の請求は理由がないから棄却し,訴訟費用について民事訴訟法61条,64条
ただし書を,仮執行宣言について同法259条1項を各適用して,主文のとおり判
決する。
盛岡地方裁判所花巻支部
          裁 判 官   石  井  俊  和・

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