弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を罰金三、〇〇〇円に処する。
     右罰金を完納することができないときは、金五〇〇円を一日に換算した
期間被告人を労役場に留置する。
     訴訟費用中、原審の訴訟費用は被告人の負担とする。
         理    由
 本件各控訴の趣意は、京都区検察庁検事寺下勝丸ならびに弁護人越智譲それぞれ
作成の各控訴趣意書に記載のとおりであり、検察官の控訴趣意に対する答弁は、右
弁護人作成の答弁書に記載のとおりであるから、いずれもこれらを引用する。
 弁護人の控訴趣意について
 論旨は、原判決の指定通行帯通行義務違反の点につき事実誤認を主張し、被告人
は、第二通行帯を通行していたのであるが、後続のダンプカ―が自車に接近して来
て、道をあけるよらに警笛を何度も鳴らすなど危険を感じさせるような運転をする
ので、やむなく第三通行帯に進出した際、前方道路センターライン上に立つていた
警察官が手招きしたので、被告人は不審に思いながらも、その指示に従つて第四通
行帯にはいつて進行したものであつて、指定通行帯通行義務に違反したものではな
い、というのである。
 しかし、原審で取り調べたすべての証拠に当審における事実取調の結果を参酌す
ると、京都市中立売警察署交通指導取締係の警察官Aが、昭和四一年一〇月一五日
午後二時頃、京都市a区bcの道路のセンターライン上に立ち、西を向いて東行車
両の交通違反を取り締つていたところ、同所付近は、京都府公安委員会が道路標識
によつて通行区分帯を設け、二輪車以外の車両は、第二通行帯を通行しなければな
らないことを標示しているのに、被告人運転の軽三輪自動車が、同警察官が立つて
いた位置から約一〇〇メートル西方の地点から、追越し、その他法定の除外事由が
ないにもかかわらず、第四通行帯を東進してくるのを現認したので、被告人を指定
通行帯通行義務の違反として検挙し、その際、被告人は右違反の事実を認めて供述
書に署名したことが認められるのであつて、右認定に反する原審証人Bの供述なら
びに原審および当審における被告人の供述は、関係証拠と対比すると信用しがた
く、他に右認定をくつがえすに足りる証拠はない。
 そうすると、被告人が指定通行帯通行義務に違反したことは明らかであつて、記
録を精査しても、原判決には所論のような事実誤認はないから、論旨は理由がな
い。
 検察官の控訴趣意について
 論旨は、原判決は、旧免許証と引替えに新たな免許証を交付することをもつて、
免許証の有効期間の更新(以下「免許証の更新」という)の効力発生要件と解し、
本件において、被告人は、旧免許証の有効期間の満了する昭和四一年一〇月二日の
前である同年九月三〇日に免許証更新の申請をして即日行なわれた適性検査に合格
し、その際、新免許証の交付予定日である同年一〇月一四日まで旧免許証を携帯し
ておれば新免許証を携帯することなく、当該免許にかかる自動車を運転することが
できる旨の一種の行政処分を受けていたのであるが、右旧免許証の有効期間の満了
の際に新免許証の交付を受けていないから、免許証の更新を受けなかつたことにな
り、道路交通法(以下「法」という)一〇五条によりそのときをもつて免許そのも
のが失効するものとし、右行政処分の失効後、新免許証の交付を受けることなく車
両を運転したときは、無免許運転の罪とはなつても、免許証不携帯の罪とはならな
いとして、免許証不携帯の公訴事実につき無罪を言い渡したが、道路交通法施行規
則(以下「施行規則」という)二九条三項にいう免許証の引替え交付は、法九二条
に規定する免許の効力発生要件としての免許証の交付とは本質的に異なるものであ
り、新旧両免許証の二重使用防止のための政策的規定であつて、免許証の更新の効
力発生要件を規定したものではなく、また、被告人は法定の更新期間中に公安委員
会に対して免許証更新の申請をし、即日適性検査に合格したのであるから、法一〇
一条二項により公安委員会は免許証の更新をしなければならないこととなり、被告
人は新免許証の交付を受けると否とにかかわらず、この日をもつて従来と同一条件
で免許証の更新を受けたものというべきであり、新免許証の交付予定日に公安委員
会に出頭すれば新免許証の交付を受けることができたのに、交付を受けないで自動
車を運転した行為は、免許証の不携帯罪をもつて問擬すべきであつて、原判決は、
法一〇一条、一〇五条および施行規則二九条三項の解釈適用を誤つた違法がある、
というのである。
 よつて案ずるに、本件記録によると、原判決が、本件公訴事実のうち、「被告人
は、普通自動車の運転免許を受けた者であるが、昭和四一年一〇月一五日午後二時
頃京都市a区bd町付近道路において、運転免許証を携帯しないで軽三輪自動車を
運転した」との訴因および右日時場所における過失による免許証不携帯の予備的訴
因について、被告人が昭和四一年一〇月一五日午後二時頃京都市a区bd町付近道
路において軽三輪自動車を運転した際、有効期間を昭和四一年一〇月二日までとす
る有効期間経過後の運転免許証を所持していたこと、被告人は、有効期間満了前の
同年九月三〇日に京都府公安委員会に対し免許証の更新の申請をしたが、まだ新た
な免許証の交付を受けていなかつたこと、被告人は右免許証の更新をした際当該公
安委員会から本件違反前日の同年一〇月一四日まで旧免許証を携帯しておれば新た
な免許証を携帯することなく、当該免許にかかる自動車を運転しても差支えない旨
の一種の行政処分を受けていることの各事実を認定したうえ、施行規則二九条三項
によつて、免許証の更新は、旧免許証と引替えに新免許証を交付することをもつ
て、その効力が発生するものとされているとし、これを根拠として、更新申請をし
た際の適性検査に合格し新免許証交付予定日まで旧免許証を携帯して車両を運転す
ることができる処分を受けていても、右交付予定日までに新免許証の交付を受けな
いで旧免許証の有効期間を徒過するときは、法一〇五条にいう「免許証の更新を受
けなかつたとき」に該当し、免許そのものが効力を失うから、右行政処分の失効後
新免許証の交付を受けないで車両を運転するときは、無免許運転の罪に該当し、元
来有効な免許証の交付があつたことを前提とする免許証不携帯の罪をもつて問擬す
べきではないとし、無免許運転について過失を認定し、右過失による無免許運転を
処罰する規定がないから、訴因変更の措置をとつて審理するまでもなく、免許証不
携帯の点は予備的訴因を含めて犯罪の証明がないとし、被告人に無罪を言い渡した
ことは所論のとおりである。そして、当審における事実取調の結果によれば、昭和
三五年一二月一五日付京都府公安委員会規則第一三号「京都府道路交通規則」一四
条の三は、「運転免許証の更新の申請は、その申請者の住所地を管轄する警察署長
を経由して公安委員会に申請しなければならない」旨規定し、昭和三四年三月二〇
日付京都府公安委員会訓令第一号「京都府公安委員会事務専決規程」および同日付
京都府警察木部訓令第一号「京都府警察事務専決規程」によつて運転免許証更新の
事務が京都府公安委員会、京都府警察本部長から京都府警察本部交通局交通第二課
長(昭和四二年四月一日以降運転免許課長と改称)に順次委譲され、昭和三六年一
月二六日付右交通局交通第二課の6京交二第三〇号「運転免許事務の取扱いについ
て(例規)」および昭和三八年二月一九日丙交指発第一二号交通局長発通達「運転
免許事務等の適正処理について」によつて、京都市内警察署にあつては、免許証の
更新申請があれば、適性検査を行なつて合否を判定し、その結果を申請書に記入
し、合格者に対して更新免許証の交付予定日を指定し、更新免許証の交付予定日ま
でに有効期間の満了するものについては、旧免許証の備考欄に「更新手続中」の旨
を記入し、これに公安委員会印を押捺して交付予定日まで旧免許証を携帯すること
によつて車両を運転することができる措置をとり、適性検査合格者の名簿二部を作
成して申請書、写真を添え、翌日交通第二課に送付し、同課において備えつけの台
帳と照合のうえ、同課長が免許証更新の決裁をし、係員が新免許証を作成して交付
予定日の前日までに所轄警察署に送付し、同警察署において各保管の台帳および索
引を整理し交付予定日に旧免許証と引替えに更新免許証を交付し、旧免許証はその
署において焼却処分に付していること、万一、警察署における適性検査の結果、不
合格となつたり、更新につき条件の附加変更を必要とするよらな疑いのある者につ
いては、直ちに交通第二課におもむかせ、同課において直接さらに適性検査を実施
して、即日、不合格と判定したり、必要な条件を付して合格と判定するなどして同
課長の決裁を経ていること、ならびに本件において、被告人は、昭和四一年九月三
〇日、京都市内の川端警察署にその所持する普通自動車の運転免許証の更新申請を
してその際行なわれた適性検査に合格し、新免許証の交付予定日を同年一〇月一四
日と指定されたが、旧免許証の有効期間が同年一〇月二日に満了するので、右警察
署において、旧免許証に更新手続中であることおよび新免許証の交付予定日として
同年一〇月一四日と記載し、これに公安委員会の印を押捺して公安委員会名義によ
り右一〇月一四日まで旧免許証を携帯して当該免許にかかる車両を運転することが
できる旨の一種の行政処分をとつたうえ、申請書類等を交通第二課に送付し、同課
係員において、備えつけの台帳と照合確認したのち、同年一〇月四日同課長が当日
分の他の二五六名とともに一括して更新の決裁をし、同課において京都府公安委員
会名義をもつて交付日を右更新申請をした同年九月三〇日、有効期限を昭和四四年
九月二九日とする普通自動車の新免許証を作成し、これを指定した交付日の前日の
同月一三日までに川端警察署に送付したが、被告人は右指定日を経過した同月二四
日、右警察署において右新免許証の交付を受けたことが認められる。
 <要旨第一第二>そこで、まず、前記施行則二九条三項の規定が免許証更新の効力
発生要件を規定したものであるか、どうかについて考察するに、法
九二条一項前段は、新規に運転免許を取得する場合につき、「免許は運転免許証を
交付して行なう」旨規定し、免許が要式行為であつて、運転免許証の交付をもつて
その効力発生の要件としていることは、原判決の説示するとおりである。しかし、
運転免許証の更新は、運転免許証の有効期間の更新をいい、有効期間の満了に際
し、適性検査を行なつた結果、これに合格した者に対し、公安委員会が免許証の有
効期間をさらに同期間延長する処分を行なうことをいうのであつて、新たな免許を
与える処分をいうものではない。したがつて、免許証の更新の場合には、本来、新
たに免許証を交付する必要はなく、単に現に所持する免許証に更新したことを明ら
かにする記入をするだけでも差支えはないのである。法九二条三項が免許証の有効
期間を、交付または更新を受けた日から起算して三年間とし、同法一〇一条が免許
証の有効期間の更新を受けようとする者は、免許証の有効期間が満了する日の一月
前から期間の満了する日までの更新期間中に公安委員会の行なう適性検査を受け、
これに合格した者に対しては、公安委員会が免許証の更新をしなければならない旨
規定したにとどまり、同法自体に、更新は新免許証を交付して行なう旨の規定を設
けなかつたのも、右の更新の性質から理解されるのである。以上のところからみる
と、施行規則二九条三項の規定は、免許証の有効期間や、変更された住居等を書き
改める必要と新写真を添付して免許所持者の人物確認を容易ならしめる必要などか
ら新たな免許証を作成し、不必要となる旧免許証の悪用を防止する趣旨で新旧免許
証の引替え手続を規定したものであつて、本法に定めていない免許証更新の効力発
生要件を規則をもつて規定したものではないと解するを相当とする。
 そして、法一〇一条二項前段によれば、適性検査の結果、当該免許証の更新を受
けようとする者が自動車等を運転することが支障がないと認めたとき、すなわち適
性検査に合格したときは、当該公安委員会は免許証の更新をしなければならない義
務を負うものとされているが、更新の義務を負つただけでは、直ちに更新の処分が
あつたということができないことはいうまでもないから、更新という行政処分のあ
つた日は、京都市内における免許証の更新の権限を持つ警察本部交通局交通第二課
長が更新の決裁をしたときにあると解すべきである。本件において、前記認定のよ
うに、同課長は昭和四一年一〇月四日に更新の決裁および免許台帳記入をしたので
あるから、右日時をもつて更新という行政処分があつたものといわなければならな
い。ただ、このように解すると、旧免許証の有効期間の満了後、日を置いて更新が
行なわれる場合があるため、免許証の有効期間が一時中断し、有効期間の延長とい
う更新の性質とむじゆんする結果を生じるわけである。しかし、法一〇一条二項が
適性検査に合格した者に対しては公安委員会が免許証の更新をしなければならない
として更新の義務を課しているところからみて、法は有効期間の満了に際し空白期
間を置かないで更新が行なわれることを要求しているものと解しなければならな
い。そこで現実に生ずる空白期間を補うため、前記の「運転免許事務等の適正処理
について」と題する通達に「新免許証は、旧免許証の有効期間内に交付すべきであ
るが、やむを得ず旧免許証の有効期間内に新免許証を交付できない場合は、便宜措
置として旧免許証に『更新手続中』である旨を記載するなど引続き運転可能の措置
をとること」と定める必要を生ずるわけであつて、本件でいえば、免許証の有効期
間の満了する一〇月二日に引き続いて更新が行なわれなければならないのである
が、それが九月三〇日に適性検査を行ないながら、更新事務繁多のため一〇月四日
に決裁して新免許証を作成し、同月一三日これを所轄警察署に送付し、同月一四日
交付としたのは、事務処理上適切ではない。所論は、適性検査に合格したときに免
許証の更新があつたというべきであるといらが、右所論を採用すべきでないこと
は、前記説示により明らかである。なお、新免許証には、更新申請をして適性検査
に合格した日を更新日として記載しているが、前記のように更新の決裁ならびに免
許台帳記入をした日が更新行為のあつた日と解すべきであるから、これを申請なら
びに適性検査のあつた日にさかのぼらせることも妥当な措置とはいいがたい。しか
し、適性検査に合格したときは公安委員会において更新の義務を負い、かつ申請者
に対して合格の結果と新免許証交付の予定日が告知されているのであるから、権限
の委譲を受けた交通第二課長の決裁による効果をさかのぼらせても、必ずしも違法
とはいいがたいのみならず、そのいずれにしても、本件の免許証不携帯罪の成否に
影響がない。
 ところで、法一〇五条は「免許は、免許を受けた者が免許証の更新を受けなかつ
たときは、その効力を失う」旨規定し、更新期間中に更新の申請をしなかつた者お
よび更新の申請をして適性検査に合格しなかつた者は右の規定に該当し、免許証の
有効期間の満了とともに免許そのものの効力を失うものと解せられるのであるが、
本件のように更新期間中に更新の申請をして適性検査に合格したにもかかわらず、
公安委員会の更新決定があるまでに免許証の有効期間が満了したときは、右法一〇
五条にいう「免許証の更新を受けなかつたとき」に該当して免許そのものの効力を
失うかどうかについて検討するに、もしも、右規定に該当するとするならば、有効
期間の満了によつて一旦失効した免許が、その後何らの試験を受けることもなく、
更新決定によつて復活するという理解しがたい結果を招くのみならず、法九九条一
項四号、二項、同法施行令三六条一項三号、二項、三七条五号には、海外旅行、災
害その他法定のやむを得ない理由または上記以外の理由で更新期間中に更新申請を
することができなかつたために運転免許資格を失つた者のらち一定の者に対して試
験の一部免除を認める規定があるのに、右の場合よりも宥怒すべき理由のある本件
のような場合に、法および施行令に何ら試験の一部または全部を免除する旨の規定
がないため、新規の免許試験を受けなければならないという不合理な結果を招くこ
とになることを考えると、本件のような場合には、法は前記一〇五条による免許の
失効を予想していないものというほかはなく、したがつて、右規定の適用はないと
解すべきである。そうすると、免許証の有効期間の満了により免許そのものは効力
を失わないけれども、免許証は失効するため、一時的に免許があつて免許証が存在
しないという事態を招き、法九五条が運転免許を受けた者に免許証の携帯義務を課
した法意に反することとなるので、公安委員会名義で旧免許証によつて車両を運転
することができるといら行政処分がなされているのであるが、右の処分は、法一〇
九条二項により法九五条の適用については免許証とみなされる保管証の場合と異な
り、法に何らその根拠が規定されていないところであつて、法の不備といわなけれ
ばならないけれども、新免許証作成の都合上、運転免許所持者の利益のためにとら
れた処分として是認しなければならない。
 そうすると、免許証の更新申請をして適性検査に合格し、旧免許証の有効期間経
過後は旧免許証を携帯することによつて新免許証の交付予定日と指定された日まで
車両を運転することができるという行政処分がとられていて、右行政処分の満了日
でもある右指定日に所轄警察署に出頭すれば、新免許証の交付を受けてこれを携帯
することができるのに、これを怠つて右指定日の翌日以降に当該免許にかかる自動
車を運転したときは、免許証不携帯の罪が成立するものというべきである。本件に
ついてこれをみるに、原審で取り調べたすべての証拠および当審における事実取調
の結果によれば、被告人は、新免許証の交付予定日として指定された昭和四一年一
〇月一四日に所轄の川端警察署に出頭すれば、新免許証の交付を受けてこれを携帯
することができたのに、同日中に交付を受けに行かず、翌一五日(土曜日)の朝、
交付を受けに行かなければならないと思いながらも、その際は出頭せず、同日午後
二時頃、京都市a区bd町付近道路において軽三輪自動車を運転したことが認めら
れるのであつて、右事実によれば、被告人は免許証不携帯の罪の責を免れることは
できない。
 以上の次第であるから、原判決には、法一〇一条、一〇五条および施行規則二九
条三項の解釈を誤つた結果、法九五条一項、一二一条一項一〇号を適用しなかつた
違法があり、この誤は判決に影響を及ぼすことが明らかであるところ、右免許証不
携帯の罪と原判示の指定通行帯通行義務違反の罪とは併合罪の関係にあり、一個の
刑をもつて処断すべきものであるから、原判決は全部破棄を免れない。論旨は理由
がある。
 よつて、検察官の本件控訴は理由があるから、刑事訴訟法三九七条一項、三八〇
条により原判決を破棄し、同法四〇〇条但書に従つてさらに判決することとする。
 (罪となるべき事実)
 第一、 原判決の認定した指定通行帯通行義務違反の事実
 第二、 被告人は、普通自動車の運転免許を受けたものであるが、昭和四一年一
〇月一五日午後二時頃、京都市a区bd町付近道路において、運転免許証を携帯し
ないで軽三輪自動車を運転したものである。
 (証拠の標目)
 第二の事実につき
 一、 司法巡査A作成の道路交通法違反現認報告書
 一、 原審第二回公判調書中の証人Aの供述記載
 一、 当審証人Cの当公判廷における供述
 一、 被告人の運転免許証更新申請書
 一、 昭和四一年九月三〇日付、川端警察署長から交通第二課長あての「免許の
更新・再交付申請者について」と題する書面
 一、 昭和四一年一〇月四日付免許係長から交通第二課長あての「更新免許証の
交付について」と題する書面の写
 一、 運転免許証交付台帳カード
 一、 京都府公安委員会事務専決規程、京都府警察事務専決規程、6京交二第三
〇号「運転免許事務の取扱いについて(例規)」、丙交指発第一二号交通局長名
「運転免許事務等の適正処理について」
 一、 被告人の司法警察員に対する供述調書
 一、 原審第七回公判調書中の被告人の供述記載
 (法令の適用)
 被告人の原判決認定の行為は道路交通法二〇条三項、一二〇条一項三号に、判示
第二の行為は同法九五条一項、一二一条一項一〇号に該当するので、判示第二の罪
につき所定刑中罰金刑を選択すると、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、
同法四八条二項により各罰金の合算額の範囲内で被告人を罰金三、〇〇〇円に処
し、罰金不完納の場合の換刑処分につき同法一八条、訴訟費用につき刑事訴訟法一
八一条一項を適用して、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 山崎薫 裁判官 尾鼻輝次 裁判官 大政正一)

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