弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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       主   文
債務者は、別紙目録(二)記載の商標を看板、包装紙、包装用袋、タッグおよび領
収証等取引書類に使用してはならない。
債務者は本決定送達の日から七日以内に看板に表示した右商標を抹消せよ。
債務者が前項の期間内に右商標を抹消しないときは、債権者は札幌地方裁判所執行
官をしてこれを抹消させることができる。
債権者のその余の申請を却下する。
申請費用は債務者の負担とする。
       理   由
一、本件申請の要旨は、債権者は、婦人用被服について、別紙目録(一)記載のと
おりの「ロペ」なる商標権(昭和四一年一一月三〇日出願、同四二年一〇月一九日
公告、同四三年五月一五日登録)を有し、また、昭和四三年から同四五年にかけて
「ROPE ロペ」および「ROPE ロペ」なる連合商標の出願をしその公告を
得ているところ、債務者は、別紙目録(二)記載のような「ロペ」および「ROP
E」なる商標を自己の商品についての広告、看板、商品の包装紙、包装用袋、商品
に付するタッグおよび領収証等の取引書類に使用しているので、不正競争防止法一
条、商標法三六条にもとづき、その使用禁止および看板に表示した商標の抹消等を
求める、というものである。
二、そこで審理するに、本件および関連事件(昭和四八年(ヨ)第四四五号)の各
記録によれば、債権者が、その主張のとおりの商標権を有し、また、連合商標の出
願、公告を得ていること、債務者が、別紙目録(二)記載のような「ロペ」および
「ROPE」なる表示を自己の販売する婦人用被服についての広告、看板、包装用
袋、タツグに使用していることが疎明され、また、右表示を包装紙、領収書等の取
引書類に使用していることは、債務者の明らかに争わないところであるからこれを
自白したとみなすべきである。そして、債務者の使用している右表示は、債権者の
表示と比較して、書体が若干異なるものの呼称は全く同一である外観およびこれか
ら受ける観念もほとん 差異がないから、債務者の使用している右表示は債権者の
商標と類似の商標とみて妨げなく、したがつて、債務者の行為は、不正競争防止法
一条一項一号の、他人の商標と類似のものを使用しまたはこれを使用した商品を販
売して他人の商品と混同を生ぜしめる行為、および、商標法三七条一号、二号の商
標権の侵害とみなす行為に該当することは明らかである。
 しかも、「ロペ」なる商標を付した商品の販売額は、全国では、昭和四二年八月
から同四三年七月まで五九〇〇万余円、同四三年八月から同四四年七月まで二億四
〇〇〇万余円、同四四年八月から同四五年七月まで八億四八〇〇万余円、北海道で
は、札幌市の「モズ」、「カナリヤ」の各販売店を中心に、昭和四三年八月から同
四四年七月まで八九〇万余円、同四四年八月から同四五年七月まで二六八〇万余円
にそれぞれ達しており、その間に四万枚のポスターが全国に配付され、北海道にお
いても、昭和四四年一一月二一日と同四五年八月一〇日に販売店「カナリヤ」によ
つて「ブテイク・ロペ」、「LAMODE ROPE MADEMOISELL
E」あるいは「young fashon ROPE」などと表示した新聞広告が
なされていたこと(現在では、東急、五番館、カナリヤ、なかやま、オカの各販売
店との間で特約店契約を締結し、これらに商標の実施権を与えている)が疎明され
るから、債権者の本件商標は、債務者会社の設立された昭和四五年八月当時におい
て不正競争防止法の施行されている地域内で広く認識されていたものと解してさし
つかえないものである。
三、そうとすれば、債務者は、不正競争防止法一条一項および商標法三六条にもと
づき、債権者の商標と類似する別紙目録(二)記載の表示を使用することは許され
ない筋合となるが、他方、債務者は、有限会社ロペとして設立登記を経ておりその
旨の商号権を有しているので、進んで債権者の商標権にもとづく差止請求と債務者
の商号権との関係について検討する。元来、商号は商人が営業活動において自己を
表示する名称であつて、会社の場合はその種類を明示することが法律上義務づけら
れているのであるが(商法一七条、有限会社法三条)、債務者は、別紙目録(二)
記載の表示を使用するに際しては全く有限会社であることを示しておらず、その使
用の態様にかんがみれば、自己を表示する商号としてこれを使用しているものとは
とうていいえないうえ、何人も不正の目的をもつて他人の営業と誤認させるような
商号の選定は禁止されているところ(商法二一条)、本件にあらわれた証拠を総合
すれば、債務者は、むしろ、債権者の商標の存在を知りながらその名声、信用を利
用する意図をもつてロペなる商号を選定しこれを使用しているものとみざるをえな
いのである。
 すなわち、債務者は、ロペの商号はフランスのファツションの町「サントロペ」
からヒントを得て選定したもので債権者の商標とは関係がないと主張するが、北海
道とくに札幌市に限つてみても、「ロペ」なる商標を付した商品は債務者会社が設
立される約二年前から販売され、新聞にも「ロペ」あるいは「ROPE」の商品広
告が出されていたことは、前述のとおりであるから、同じ婦人用被服の販売業者で
ある債務者もしくはその設立関係者が債権者の存在を知らなかつたとは考えられな
いし、本件および関連事件の各記録によれば、債務者は、豊平区内の旧店舗におい
ては、別紙目録(二)記載のような書体で「LADY’S SHOP ロペ」と表
示した看板を掲げていたのみであるが、昭和四八年一一月に市の中心部に新店舗を
開店するに際しては、同年一〇月二六日付で「ブテイックの正統派誕生!ロペ本店
一一月三日オープン」、「東京以北初めてお目にかけるオリジナル商品の店」との
見出しをつけ、店名も右と同様の書体で「BOUTIQUE ロペ」と表示し、あ
たかも、「ロペ」の商品を販売する元締めであるかのような印象を与える新聞広告
を出すとともに、店舗の正面には、別紙目録(二)記載のような書体で「ブテイッ
ク ロペ」および「BOUTIQUE ROPE」と和洋両様の記載をした大きな
看板を掲げ、あたかも、右店舗が「ロペ」の商品を販売する営業上の施設であるか
のようにみられる表示をするに至つたこと、また、債権者は、「ロペ」の商標を付
した商品の販売店については、石造の重厚な感じを出すようにするなどその外装、
室内装飾を統一するようにしているところ、債務者の右新店舗はその外装が債権者
の特約店のそれと類似し、とくに新店舗正面には、債権者の特約店の一部が店舗の
正面に掲げている「太陽面」ときわめて類似したシンボルマークを掲げていること
(もつとも、【A】の陳述書中には、右のマークはひまわりをアレンジしたもので
あると述べた部分があるが、これを「太陽面」というか「ひまわり面」というかは
単なる言葉の違いにすぎないといえよう)などの事実を疎明されるのである。
 そして、以上のような債務者の「ロペ」および「ROPE」なる表示の使用状
況、債権者が「ロペ」なる商標を付した商品を発表した時期と債務者会社の設立時
期の先後関係、債務者会社の営業目的、規模および「ロペ」なる商標の独創性など
を総合的に考えれば、債務者もしくはその設立関係者が、債権者の商標の存在を知
りながらその名声、信用を利用する意図をもつてロペなる商号を選定したもので、
債務者には不正競争の目的があつたものといわざるをえない。
 したがつて、債務者の商号は、たとえ商業登記簿に登記されているとはいえ、商
法二一条に違反するものとしてもともと選定、使用が許されないものであるから
(ただし、商号登記の抹消は、これを命ずる本案判決の確定が必要である)、債務
者に対して「ロペ」および「ROPE」なる表示の使用禁止を求める本件の被保全
権利については、その疎明があるものということができる。
四、つぎに、債権者が右にみたように「ロペ」および「ROPE」なる表示を利用
して営業を続けることは、債権者の商標権に対する重大な侵害として、その信用に
多大の影響を与え、かつ、測り知れぬ損害を及ぼす危険のあることが疎明されるか
ら、本件では、仮処分をもつて右表示の利用を禁止する必要性があるものというべ
きである。
五、よつて、別紙目録(二)記載の「ロペ」および「ROPE」なる表示につき、
それが債権者の商標と類似の商標にあたるものとしてその使用禁止とこれを記載し
た看板の抹消を求める仮処分申請を正当として認容することとし(債権者は、ほか
に右商標を付した包装紙、包装用袋、タッグおよび領収証等取引書類の執行官保管
と保管にかかることの公示を求めているが、不作為債権について本案訴訟で請求し
うる範囲とこれについての強制執行の態様にてらして、かかる仮処分は許されない
と解されるので、これを却下する)、申請費用の負担につき、民事訴訟法八九条を
適用して主文のとおり決定する。
(裁判官 太田豊)
別紙目録(一)
<11822-001>
別紙目録(二)
<11822-002>

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