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平成17年10月11日宣告 逮捕監禁,殺人被告事件
平成15年刑(わ)第4657号,平成16年合(わ)第54号
主文
被告人を懲役14年に処する。
未決勾留日数中520日をその刑に算入する。
理由
(認定事実)
第1 犯行に至る経緯
 1 被告人は,昭和47年3月3日に出生し,高校を中退してアルバイトなどをした後,
平成2年から約1年間自衛隊に所属し,除隊後は,潜水士や一級小型船舶操縦士など
の資格を取得して潜水士として稼働するほか,解錠工具・錠前の販売や解錠講習会の
開催等をしていた。
 A1は,Gセンターを設立して「鍵の学校」を経営するとともに,平成9年11月,鍵関
係の業務を行う有限会社H(後に株式会社に組織変更。以下「株式会社H」という。)を
設立して,東京都新宿区内等に出店するなどしていた。また,A1は,シリンダー錠の開
発・製造・販売を行う株式会社Iに多額の資金援助を行うなどしていた。
 A2は,本件当時,海外で服やバッグなどを買い付けて国内の地方の店で販売する
仕事をしていた。
 Bは,高校を卒業後,いくつかの職を経て,平成2年ころからフリーのルポライター及
びカメラマンとして稼働し,雑誌の特集記事を執筆したり,鍵関係の雑誌を出版するなど
していた。
 Cは,J株式会社の代表取締役であり,シリンダー錠「K錠」を販売するなどしてい
た。
 2 Cは,平成12年ころ,「K錠」に関する取材を受けたことからBと知り合い,Bが鍵業
界に詳しく情報を得られると考え,Bとの付き合いを継続していた。
 A1は,平成13年8月ころ,Bが執筆した鍵関係の本を見て,出版社を通してBと知
り合い,その後,鍵業界に詳しいBと付き合えば仕事上役立つだろうと考え,共に酒を飲
みに行ったり,資金を援助したりしていた。
 このころ,被告人は,当時被告人が開催していた解錠講習会について,電話で取材
の申込みを受けたことがあったが,相手(後にBと判明。)の態度が高圧的であったた
め,これを断った。
 3 平成14年3月ころ,Bは,Cと株式会社Iの双方から資金援助を受けて,「P」と題す
る鍵に関する雑誌を出版した。その内容は,Cが扱う「K錠」よりも,株式会社Iが開発し
たシリンダー錠「L錠」を評価するものとなっていた。また,同書には被告人の解錠講習
会に関する記事もあり,講習会の案内状は不自然で信用できず,取材も拒否されたなど
として,あたかも講習会は詐欺であるかのように書かれていたことから,これを読んだ被
告人は,事実と異なるいい加減なことを書かれたと思い,立腹した。
 同年4月ないし5月ころ,A1は,Bに株式会社Iの商品を特集する鍵のパンフレット
の作成を依頼し,同年夏ころまでに株式会社Iとともに合計170万円を支払った。しか
し,Bはその仕事を進めず,A1がそのことにつきBを難詰すると,以降,次第にBとの連
絡が取れなくなった。このため,A1はBに逃げられたと思い,その行方を捜すことにし
た。
 4 ところで,A1とCは,知り合った当初は仲が良く,A1が「K錠」の宣伝をしてその売
上げが伸びたこともあったが,Cにこの宣伝協力に対する謝礼を求めたことなどから,両
者は次第に対立するようになり,平成14年3月ころに,取引先をひぼう中傷する内容の
コメントが付いたJ株式会社の顧客名簿が怪文書として出回るようになると,その犯人が
だれであるかを巡って,両者の対立はさらに深まっていった。
 同年8月ころ,Cは,Bから,J株式会社の元従業員であるD,Eという女性とA1が怪
文書発出の犯人であると聞かされた。同年11月ころ,Cは,Bから新たな鍵関連の本の
出版につき資金援助の依頼を受け,引き続きBから情報を得ることを考えてこれに応じ
たが,その後,Bが本を書いている様子はうかがわれなかった。
 5 A2は,平成14年1月ないし2月ころBと知り合い,Bが企画していたファッション雑
誌発刊の仕事を手伝うこととなったが,発刊時期の変更が相次いだことから,同年8月
末ころには手を引くことに決めた。同年9月,A2は,雑誌発刊の仕事で立て替えた経費
約19万円をBから回収するため,同雑誌の広告代金として150万円を渡して使い込ま
れていたFらと共にB宅を訪れ,Bに念書と借用書を作成させたが,返済は実行されな
かった。
 6 A1は,平成14年秋ころ,以前Bの紹介で顔見知りとなっていたA2に連絡をして,
当時連絡が取れなくなっていたBを共に捜すことで合意した。同年11月ころ,A1とA2,
Fらは,Bの行きつけであったスナック「M」で待ち伏せをしてBを捕らえ,B宅において,
Bに対し,A1は依頼した仕事をするよう強く言い,Fは毎月10万円ずつの返済を求め,
Bにこれらを約束させた。
   Fは,翌12月以降,Bから約束通り返済を受けていたが,A1は,平成15年1月な
いし2月(以下,特に断りのない場合には平成15年を指す。)以降,再びBと連絡が取
れなくなった。加えて,A1とA2に対して,頻繁にいたずら電話がかかってくるなどしたこ
とから,A1らは,Bが約束を守らないまま嫌がらせをしてきたと立腹し,3月ころから,本
格的にBを捜すようになり,B宅に石を投げ入れたり,玄関ドアに張り紙をしたりするよう
になった。
   A1らは,Bの原稿執筆料から金員を回収することを考え,6月上旬ころ,A2が他の
債権者を伴って,Bが原稿を執筆している出版社に行ったものの,担当者から,執筆者
以外の者に報酬を支払うことはしない旨告げられた。このころ,A1は,Bが雑誌「Q7月
号」に,鍵業界関係者にはA1を指していることがすぐに分かる表現や仮名を用いて,A
1が依頼を受けて規制薬物や銃を復しゅう相手の家に置いてきて警察に通報する等の
復しゅう請負人を生業としている人物であるとして,A1を中傷する文章を執筆掲載して
いることを知り,日々かかってくるいたずら電話に対する腹立ちと併せ,Bに対する不
満,怒り,うっとうしさをうっ積させていった。なお,A1はこのころ,知人を通じて偶然Bの
引っ越し先が東京都豊島区内のマンションNであることを知るに至った。
 7 ところで,被告人は,7月下旬ころ,A1に錠前の売り込みをして同人と知り合った
が,A1が鍵業界に一石を投じようとしているとしてA1の姿勢に共感を覚えるとともに,
その人柄にほれ込んで,次第にA1の力になりたいと思うようになった。またA1も,被告
人がよう兵経験がありナイフが好きであるなどと語ったほか,鍵業界のことも知っていた
ため,被告人に興味を持ち,以来2人は,毎晩のように飲み歩くなどして親しく付き合う
ようになった。
 8月上旬ころ,被告人は,A1から同人がBに怒りを募らせていることを聞き,またA1
と話をする中で,かつて被告人に高圧的な態度で取材を申し込み,後に「P」の中で解錠
講習会を詐欺であるかのように書いた者がBであることを知った。さらにこのころ,A1
は,Bが執筆した書籍「R」の中にA1を中傷する内容の文章が書かれていることを知り,
自己の社会的信用が失われてしまうとの危機感を覚えるとともに,このような本を書い
たBに対して,強い怒りと憎しみの感情を抱くようになった。そして,A1がBに対する怒り
を口にすると,被告人は,「会長,黙っていちゃだめですよ,やっちまいましょう。ぶちの
めしましょう。」などと威勢のいいことを言ってA1をたきつけ,これを聞いたA1も,被告
人のことを頼もしく思って,次第にBをら致して痛めつける計画を本気で実行する気持ち
になっていった。
 8 8月中旬ころ,被告人は,A1の指示でスナック「M」に3日間連続で通い,ここで初
めてBを見てその顔を覚えた。
 さらに8月下旬ころ,被告人はA1からA2を紹介されて,被告人ら3人で,Bをら致し
て監禁し,暴行することを計画し,スナック「M」の前でBをら致することにした。9月2日こ
ろ,A2が同店従業員からBが9月5日に来店するとの情報を得たため,被告人ら3人
は,9月5日にBを同店の近くでら致することを決めた。そして,A1は,同日ころまでに,
Bを株式会社Hの倉庫として使用されていた東京都新宿区内のマンションO106号室に
監禁することにした。
 9 9月5日午後8時過ぎころ,A2がスナック「M」にBが入店したことを確認し,その
後,同店前に到着したA1の指示でA2がレンタカー(ワンボックスカー)を借り,被告人
も,同日午後10時30分ころに手錠,プッシュダガーナイフ,スラッパーなどを持参してA
1らと合流してBを待ち伏せた。しかし,日付が変わった9月6日午前零時ころになって
も,Bが姿を見せなかったことから,A1は同店内に入り,Bらしき人物を確認したもの
の,BはA1がトイレに入った隙に同店を出て非常階段から逃走した。被告人らは,周囲
を捜すなどしたがBを発見できず,Bが自宅に戻っているかもしれないと考えて,車で向
かうことにした。その車中,A1は何度か無言電話を受け,4度目の電話を受けてBと会
話をした際に,Bから「捜せるもんなら捜してみな。地球のどこかにはいるよ。」などと言
われ激こうした。
 同日午前1時20分ころ,被告人らはBが居住するマンションNに到着し,被告人が
雨どいを伝って3階のBの部屋まで登って開いていた窓からB宅居室内に入り,玄関ド
アを開けてA1及びA2を室内に招き入れた。
第2 罪となるべき事実
 1(平成15年12月12日付け起訴状記載の公訴事実)
   被告人は,A1及びA2と共謀の上,平成15年9月6日午前1時35分ころ,前記マ
ンションN311号室B宅において,A1が中心となって,B(当時38歳)に対し,その頭
部,背部等を手けん及びスラッパーで殴打するなどの暴行を加えて,同室からBの両腕
をつかみ同マンション1階玄関前まで連行し,もって不法にBを逮捕した上,同日午前1
時50分ころ,Bを同マンション玄関前路上に停車させていた前記普通乗用自動車(ワン
ボックスカー)の後部座席に押し込んで同車を発進させて前記マンションO前路上まで疾
走させ,引き続き,上記マンションO106号室内にBを連れ込んだ上,同室内において,
Bの両手に手錠を掛け,その両手及び両足をそれぞれロープで縛るなどするとともに終
始Bを監視し,さらに,同日午後10時ころ,Bをその両わきを抱えて同室から連れ出す
と,あらかじめA2に指示して借り受けさせて同所前路上に停車させていた普通乗用自
動車(ステップワゴン)後部座席に押し込んで,同日午後11時ころまでの間,A1が同車
を運転して東京都江東区内の社団法人T駐車場まで疾走させ,Bを上記各普通乗用自
動車内及び前記マンションO106号室内から脱出することを不能ならしめ,もって不法
にBを監禁した。
 2(平成16年2月6日付け追起訴状記載の公訴事実)
   A1は,前記のとおりBを上記マンションO106号室に監禁中,Bから,A1を中傷す
る文章等を執筆掲載したのはCに頼まれてA1を鍵業界から抹殺するための布石であ
り,更にCから資金援助を受けてA1の実名を出して中傷する内容の書籍を出版する予
定である旨聞かされて激こうし,前記監禁中もA1に対し謝罪しようとする様子を見せな
いBの反抗的態度から,このままBを解放すれば,BがA1らに逮捕監禁されたことを警
察に通報するのではないか,そして,BがA1を中傷する書籍を執筆して出版することに
よりA1の社会的信用が失墜し,A1の関与する事業も立ち行かなくなってしまうのでは
ないかと考え,これらを回避するためにはBを海に沈めて殺害するしかないと決意し,被
告人及びA2に対して,「こいつを生かしておいたら,また本を書いて攻撃してくる。性根
が腐っている。このまま帰したら,何をしてくるか分からない。こんなやつ生かしておけな
いから沈めちゃおう。」などと告げると,被告人は,A1のB殺害の意図を了解してこれを
承諾し,ここに,A1及び同じくこれを承諾したA2とB殺害の共謀を成立させた上,A1の
指示により,被告人が船やBを縛る鎖等を用意し,A2が普通乗用自動車(ステップワゴ
ン)を借り受けて,前記1のとおり,Bを同自動車後部座席に押し込んで前記社団法人T
駐車場まで同自動車を疾走させた上,被告人及びA1において,睡眠薬を飲まされたこ
とにより自力歩行が困難となっていたBを抱え上げ,また,両わきを挟むようにして運
び,被告人が借り受けて同所付近に係留中であった小型船舶「S船」にBを乗せた上,
被告人が操船して同船を海上に進行させ,平成15年9月7日午前零時5分ころ,東京
都江東区地先a号地貯木場南側海上に停泊中の上記「S船」船上において,Bに対し,
殺意をもって,被告人がその背部をプッシュダガーナイフで多数回突き刺し,よって,そ
のころ,Bを背部刺創による左肺損傷により死亡させて殺害した。
(事実認定の補足説明)
第1 被告人及び弁護人の主張
被告人は,当公判廷において,判示第2の2の殺人の事実について,Bを脅す目的
で海に連れて行くのだと思っており,その後東京都江東区Wに向かう車中でA1からBを
殺すように言われたが,Bが謝れば殺すのはやめるようA1を説得するつもりでいた,実
際には自分が刺す前にBは動かなくなっており,既に死んでいたと思うし,そう思って刺
して捨てたので,殺意はなかった旨供述し,弁護人も,被告人の上記供述に沿って,被
告人には殺人罪は成立しない旨主張する。そこで,以下に,当裁判所が判示事実を認
定した理由を補足して説明する。
第2 当裁判所の判断
 1 前提事実
関係各証拠に照らせば,判示認定事実第1の1ないし6,8,9及び第2の1の各事
実のほか,以下の各事実を動かし難いものとして認めることができる。
(1) 被告人は,平成15年7月下旬ころ(以下いずれも同年を指す。),A1に錠前の売
り込みをして同人と知り合い,A1が鍵業界に一石を投じようとしているとしてA1の姿勢
に共感を覚えた。また,A1も被告人に興味を持ったため,以来2人は,毎晩のように飲
み歩くなどして親しく付き合うようになった。
(2) 被告人,A1及びA2は,9月6日午前2時10分ころ,前記マンションO106号室
(以下「マンションO」という。)にBを連れ込み,その後,被告人とA2は,Bを縛るロープ
や食料等を買いに出かけた。
(3) 同日午前3時ころ,被告人とA2がマンションOに戻り,3人で食事をした後,A1
は,A2とともにBのマンションNに戻って,部屋内の指紋をふき,Bの荷物等を処分し
た。そして,借りていた車(ワンボックスカー)を返却してマンションOに戻ると,A1は,被
告人にBを乗せる船やBを縛る鎖,重り等を用意するように求め,被告人はこれを引き
受けた。またこのころ,A2は,A1の指示により,スナック「M」のママが警察に通報しな
いよう,Bの携帯電話機から同女にあてて「しばらく,旅にでる事にします。」という文面
の電子メールを送信した。
(4) その後,まずA2がいったん帰宅し,同日午前6時ないし7時ころには被告人がい
ったん帰宅した。被告人は,自宅から睡眠薬を持参してマンションOに戻ると,これをB
に飲ませ,今度は船などの準備に出かけた。
A2は,新たに普通乗用自動車(ステップワゴン)を借り受けて同日午後1時30分
過ぎころマンションOに戻り,入れ替わりでA1がいったん帰宅して,同日午後5時ないし
6時過ぎころにマンションOに戻った。この間被告人は,知人に電話をして東京都江東区
Wの社団法人T駐車場(通称「b号地」。以下「b号地」という。)西側に係留中の小型船舶
「S船」を借りる約束を取り付け,Bの体に巻き付ける鎖と針金を購入し,さらに自宅から
ウェイトベルトや重り,革手袋を持ち出して,同日午後7時30分ころ,マンションOに戻っ
た。
(5) 同日午後10時ころ,被告人らは,Bに再度睡眠薬を飲ませた後,Bを車に乗せて
b号地に向け出発した。途中道に迷ったため,A2が車を降りてタクシーに乗り被告人ら
を先導した。
b号地に到着すると,被告人は鎖やウェイトベルトをS船に運び込み,またA1ととも
に,もやいを引っ張ってS船の位置を変えた。その後,被告人とA1はBを車から降ろし,
A2に周囲を見張るよう告げて,Bを抱え上げ,また,両わきを挟むようにしてBをS船ま
で運んだ。A1はBをS船に乗せると,被告人に後は頼む旨告げて,b号地を離れた。
(6) 被告人は,S船のエンジンをかけて船を出し,ゆっくりと前進して沖合へと向かっ
た。前記a号地貯木場西側で,Bが左舷から海に飛び込むようにして船から落ちたため,
被告人は,すぐにUターンしてBを捜し,海面上に浮かんでいたBを見つけて船に引き上
げた。被告人がBに対し,「何で逃げたんだ。」と聞くと,Bは何かもごもごと答えていた。
被告人は,ウェイトベルトをBの腰に装着し,さらにその体に鎖を巻き付けて,要所要所
を針金で留めていき,船を上記貯木場南側海上まで進めると,Bの背部をプッシュダガ
ーナイフで多数回突き刺して,海に落とした。その後,被告人はb号地に戻り,待ってい
たA2が,被告人を車でX駅付近まで送った。
(7) 9月12日午前7時ころ,東京都江東区内岸壁先海上で,Bの遺体が発見された。
 Bの背部には合計8か所の刺創があり,そのうち5か所は左胸腔内に達し,これら
のうちいくつかが原因となって,肺実質内に達する長さ1.5㎝ないし2.2㎝の左肺損傷
が3か所生じている。これらの創傷はいずれもその周囲に出血を伴うことから生前に生
じたものであると判断されるが,かかる肺損傷は,一般的に,多量の出血を生じると同
時に気胸を伴うことにより重大な呼吸循環障害を引き起こし,死因となりうるものであ
る。他に,Bの頭頂部に直径0.6㎝,深さ約0.9㎝のほぼ円形の創傷が1か所認めら
れるが,頭蓋骨に骨折はなく,この創傷は,周辺組織に出血がみられないことから死後
に形成されたものと認められ,その他にBの体表に創傷などの異常は認められなかっ
た。なお,Bが生前に水におぼれたことを示唆する所見は明らかでなく,また,死後変化
が高度であったために,詳細な臓器所見は明らかでないが,明白な器質的疾患は確認
されなかった。
 以上から,Bは,少なくとも,背部刺創による左肺損傷により,致命的な傷害を負っ
たことが認められる。
(8) 10月28日,被告人は,当時交際していた女性に,自分は人を殺したがそれを知
った上で自分を許してほしい旨告げた。
 2 そこで,まず,上記認定した事実を前提として検討すると,Bは,生前に受けた背部
刺創による左肺損傷により致命的な傷害を負ったものであるから,被告人がBの背部を
ナイフで多数回突き刺した当時,Bがなお生存していたことは優に認められる。加えて,
Bは,前記a号地貯木場西側で船から落ちて被告人に引き上げられた際に,被告人の
問いかけに対して応答しているところ,被告人の刺突行為はそれから程なく行われたも
のであり,その間にBが死亡し,あるいは意識を失うに至るべき特段の事情は何らうか
がわれないこと,被告人は本件犯行後,当時の交際相手に人を殺した旨告げていること
からすると,被告人は本件犯行時,Bが生きていたことを認識しつつその背部をプッシュ
ダガーナイフで多数回突き刺して致命的傷害を負わせたのではないかとみるのが合理
的かつ自然である。そして,被告人がBの背部をナイフで刺突するに至るまでの一連の
経過,すなわち,被告人ら3人がそれぞれ役割を分担しつつ,Bを運搬するためのレンタ
カーや船を借り受け,重りとするためのウェイトベルトや鎖,Bに飲ませるための睡眠薬
等を準備し,Bが自発的に失そうしたかのように見せかける文面の電子メールを送信す
るなどした上,深夜,被告人ら3人が共同して,睡眠薬を服用させたBをレンタカーに押
し込んでb号地まで連行し,同所に係留されていた船に乗せて海上に連れ出すという一
貫した行動をとっていること,また,被告人は,現に,海上において,準備したウェイトベ
ルトをBの腰に装着し,さらにその体に鎖を巻き付けるなどした上,持参したナイフでB
の背部を多数回刺突し,海に落とすという行動に出ていることからすれば,被告人が船
の準備に入る前の段階で,被告人ら3人の間でB殺害の共謀が遂げられ,これを実行
する目的でb号地に向かったとみるのが合理的かつ自然である。
 3 次に,A1の供述の信用性につき検討する。
  (1) A1は,捜査段階及び当公判廷(証人として)において,要旨以下のとおり述べて
いる。
ア 被告人とは7月ころに知り合い,その後2人で頻繁に飲みに行くようになって,色
々な話をした。この時被告人は,自分にはよう兵経験がありナイフや銃が好きである,ま
た潜水士をしており,船舶操縦の資格も持っていると言っていた。Bに腹を立てている話
をすると,被告人も以前電話取材で横柄な態度をとられ,「P」の中で詐欺師扱いされた
などと言って憤慨しており,「R」が出版された後には,Bをら致して痛めつけようという話
をするようになった。被告人は「会長,黙っていちゃだめですよ。やっちまいましょう。ぶち
のめしましょう。面倒くさかったら海へ沈めちゃえばいいじゃないですか。自分は船の免
許を持ってるし,沈めちゃえば分からないですよ。」などと威勢のいいことを言ったので,
私は被告人のことを非常に頼もしく思い,次第にBをら致して痛めつける計画を本気で
実行する気持ちになっていった。
イ 9月6日,BをマンションOに監禁し,被告人とA2がロープや食料等を買いに出
た間,Bから,私を中傷する文章等を執筆掲載したのはCに頼まれて私を鍵業界から抹
殺するための布石であり,更にCから資金援助を受けて私の実名を出して中傷する内容
の書籍を出版する予定である旨聞かされた。監禁中も全く謝罪しようとする様子を見せ
ないBの反抗的態度から,このままBを解放すれば,Bが逮捕監禁されたことを警察に
通報するのではないか,そして,Bが私を中傷する書籍を執筆して出版することにより私
の社会的信用が失墜し,私の関与する事業も立ち行かなくなってしまうのではないかと
考え,これらを回避するためにはBを海に沈めて殺害するしかないと決意した。
ウ 被告人とA2が買い物から戻り3人で食事をした後,Bが夜逃げをしたように見せ
かけるために,A2と共にマンションNに行って指紋をふき,Bのカメラやフロッピーディス
クを持ち出して捨てた。その後,レンタカー(ワンボックスカー)を返却して私の車でマン
ションOに戻る途中,A2に,「沈めちゃおうか。」などと言ってBの殺害を持ちかけると,A
2は「そうですね。あいつうざいっすからね。やっちゃいますか。」と言って,これに賛成し
た。私はマンションOに戻るとすぐに,被告人とA2に「こいつを生かしておいたら,また本
を書いて攻撃してくる。性根が腐っている。このまま帰したら,何をしてくるか分からな
い。こんなやつ生かしておけないから沈めちゃおう。」と真剣な表情で言って,Bを海に沈
めて殺そうと持ちかけた。A2は「やっちまいましょう。」と言い,被告人も「任せて下さ
い。」と言って承諾し,引き続き船や重りの準備の話をすると,被告人は,「大丈夫です。
全部段取りしますから。」などと答えた。この話の後,A2にスナック「M」のママにあてて
電子メールを送信してもらった。監禁中,Bは水を何度か飲んでトイレにも行ったほか,
封筒に指紋を付けるように言うと芸能人の物まねまでしており,衰弱している様子はな
かった。
エ b号地に向かう車中,A2がタクシーに乗った後,被告人が右手の親指を立てて
首を横にかき切るようなしぐさをしながら,「会長,船に乗りますか。最後とどめを刺しま
すか。」と聞いてきた。お前一人で頼むと言うと,被告人は,「自分は最初からそのつもり
だったんですけど,会長が頭にきているから,とどめ刺したいかなと思って聞いただけで
す。」などと言っていた。
オ b号地に到着してBを車外に押し出すと,Bは,まぶしそうに目を細めて周囲を見
渡していた。Bを自力で歩かせることもできたが,足元はおぼつかなく,ゆっくり歩かせて
いてはだれかに見つかってしまうと考えて,被告人と2人でBを船まで運んだ。途中,私
がBの足を地面に落としてしまい,Bは「いてえ」と言っており,船に乗せると私のことを
嫌な目で見ていた。Bは最後までふてぶてしい態度で,生きており,意識もあった。B殺
害を決めて以降,私はBに謝罪を求めていないし,被告人がBに謝罪させようとしたこと
もない。
カ 9月7日午前零時11分ころ,被告人から電話があり「終わりました。ちゃんと沈め
ときましたんで。」と言われた。その後A2から電話があり,そろそろ被告人を迎えに行っ
ていいかと聞かれたので,迎えに行ってもらった。本件後,被告人から,Bが一度海に落
ちたため引き上げて「何で逃げたんだ」と聞くとBは「逃げてない」と答えたこと,マグロ船
に乗せるだけだと言ったらほっとした顔をしていたこと,すぐにBの体に鎖を巻いて重りを
つけ,その背中をナイフで刺して沈めたこと,Bはすうーっと海に沈んでいったことなどを
聞いたが,Bは刺す前に死んでいたという話は聞いたことがない。
(2) そこで,この供述の信用性につき検討すると,その内容は前記前提事実及びこれ
に基づき検討した結果とよく整合しており,特にBを海上に連れ出すためにとった被告人
らの一貫した行動の動機・目的や,現に被告人が海上でBをナイフで刺突し,死に至ら
しめた経過を合理的に説明するものといえる。そして,A1の供述は,Bに対して殺意を
抱くに至った理由及び経過やこれを被告人らに伝えた状況,その後の被告人の言動等
が非常に具体的かつ詳細に述べられており,その供述内容はその中核部分において捜
査段階からほぼ一貫し,弁護人の反対尋問にも全く動揺していないのであって,以上の
各点からすれば,A1の上記供述には高い信用性が認められる。
 4 これに対し,A2及び被告人は,当公判廷において,それぞれA1とは異なる供述を
している。そこで,以下にその供述の信用性を順に検討する。
(1) A2の供述について
ア A2は,当公判廷(証人として)において,要旨以下のとおり述べている。
(ア) Bをb号地に連れて行く目的は,マグロ船に乗せて働かせるためだと思ってい
た。
(イ) Bの荷物を処分してマンションOに戻る車内で,A1から「B,あいつどうしよう
か。このまま放っておけない。とにかく目の前からいなくなってほしいんだよ。船に乗せち
ゃおうか。」などと言われた。船に乗せて働かせればという話をすると,A1は「金はいい
んだよ。目の前から消えてほしいんだよ。」と言い,私は「だったら好きにすればいいんじ
ゃないですか。」と答えた。A1からスナック「M」のママに電子メールを打つように言われ
たので,マンションOに戻ってすぐに,Bの携帯電話機で電子メールを打ち始めた。この
時A1と被告人が何か話をしていたが,私は電子メールの作成に集中していて聞いてお
らず,唯一A1の「船の準備ってそんなにかかってしまうの。」という声が聞こえた時に,
船に乗せて働かせるなら早いほうがいいと思って,乗せるのだったら早いほうがいいん
じゃないですかと言い,その後はまた電子メールの作成に集中した。一度自宅に戻る
際,マンションOのエントランスを出たところで,A1が追いかけてきて「Bなんだけど,海
に沈めちゃおうとかって思うんだけど。」と言った。借金を返すために働かせることを隠語
で「沈める」と言うことがあり,3人で食事をした際にマグロ船の話もしていたので,私は
Bを船の中で働かせるのだと思った。
(ウ) b号地に向かう前,マンションOで被告人からナイフを見せられて,「こういう
の,結構好きなんですよ。あげましょうか。」と言われ,また「これからWのほうで船に乗
せますから。結構いいところがあるのですよ,何人も沈んでいる場所があるので。」と言
われた。おかしいな,もしかしたら本気で殺すのかなと思ったが,殺人など現実的ではな
いし,早く終わりにしたいという気持ちの方が強く,それはないだろうと考えて特に確認
はしなかった。マンションOを出る前,封筒を使ってBに何か細工をさせていたので,そ
の時点でBの意識がもうろうとしていたということはない。また出発する際には,Bは「靴
を履いた方がいいんじゃないですか。」と言っていた。
(エ) b号地に着いてBを車から押し出すと,Bは「すみません,勘弁して下さい。」と
言った。A1と被告人がBを船まで運び,A1が1人で戻ってきて,後で被告人を迎えに行
くように言った。その後,コンビニエンスストアでA1が「今日のことはだれにも言うなよ。」
と言ったので,Bを殺すつもりなのだと感じた。
(オ) 三,四十分してA1に電話をした際,A1から「熊のやつ,刺しちゃったらしい
ぞ。」と聞き,b号地から被告人を送る車中でこのことを確認すると,被告人は少しちゅう
ちょした後,「はい,刺しました。野郎,一回海に落ちたもんで,それを引きずり上げて刺
しました。」と言った。しばらく言葉が見つからず,その後,以前被告人は自分のことを何
でも屋と言っていたことから,今回のような件ではいくらくらいかかるのかを聞いたとこ
ろ,被告人は「ケースにもよりますけど,今回は自分も色々あったんで,金がどうこうとい
うことではないです。」と答えた。被告人から,Bは刺す前に既に死んでいたかもしれない
という話は聞いていない。
イ そこで,この供述の信用性につき検討すると,A2の供述を前提とすれば,A2
は,A1から「海に沈めちゃおうとかって思うんだけど。」と言われた際には,借金を返す
ために船で働かせる意味であると認識し,その後,被告人から「これからWのほうで船に
乗せますから。結構いいところがあるのですよ,何人も沈んでいる場所があるので。」と
言われた際には,もしかしたら本気で殺すのかなと思ったが,現実的でないなどと考え,
特に確認はしなかったということになる。しかし,人を「海に沈める」という言葉の意味
は,通常は人を海に沈めて殺害することととるのが自然であり,また,か烈な暴行を加え
て連行した上,緊縛するなどして監禁しているBを無理やり船に乗せて働かせるなどと
いったことが実現可能であるとは考えられないことからすれば,A1の発言を唐突に隠語
ととらえ,船に乗せて働かせる意味だと思ったとするA2の供述は,不自然といわざるを
得ない。さらに,A2が述べるところの被告人の上記発言は,およそBを船に乗せて働か
せるという趣旨に解する余地はなく,先のA1の発言と併せて考えれば,A1と被告人
は,Bを海に沈めて殺害する意思を有していると解するほかないところ,もし,A2がこの
時点までに,A1と被告人のこのような意思を認識していなかったとすれば,このような
重大な事柄について,その場で被告人に確認しないとは考えられないところである。ま
た,関係各証拠によれば,マンションOは床面積18.10㎡のワンルームタイプのマンシ
ョンであり,本件当時,その居室には両壁面に沿って大量のダンボールや包装済パンフ
レット等が積み上げられていたことが認められるところ,このような狭い居室内におい
て,A1と被告人が監禁しているBの今後の扱いについて話していると思われるにもかか
わらず,電子メールの作成に集中してその内容をほとんど聞いていなかったとする点
も,A2の当時の態度として不自然であるということができる。
  なお,A2は,(1)第7回公判期日においては,殺すつもりだと感じ始めたのは9月
6日の朝から,もう明確にこれはまずいと思い始めたのは出発のあたりからである旨供
述する一方,「海に沈める」という言葉を隠語として理解したとは全く供述しておらず,(2
)その後,第27回公判期日において,殺すつもりと分かったのはコンビニエンスストアで
A1から口止めをされた時であり,「海に沈める」とは船に乗せて働かせる意味だと思っ
たなどと述べて,その供述を変遷させているところ,当初は「沈める」との言葉が隠語で
あると理解した点を供述しなかった理由については,特に意味はないなどと述べて合理
的な説明をしていない。
  以上からすれば,Bを船に乗せて働かせるのだと思っていた旨のA2の供述は,
不自然・不合理であって信用できないといわざるを得ない。
ウ 次に,A2の捜査段階における各供述調書を見ると,「Bの荷物を処分してマンシ
ョンOに戻った時点で,A1は,私と被告人に,『だめだな,こいつは,またなんか書きそう
だ。こいつ,このままだと,またなんかやりそうだから。船に乗っけて沈めるから。』と言っ
てきました。私は,『沈める』というA1の言葉を聞いて,Bを海に沈めて殺そうと言ってき
ていることが分かり,驚きました。」「私は,A1に『そうですね,分かりました。』と言い,被
告人も,A1から船を早く用意してくれと言われて『確認してみます。』と答えていたので,
承諾したことが分かりました。」「マンションの外に出るとA1が追いかけてきて私の両肩
をつかみ,『あいつ,海に沈めるから。大丈夫だから,分からないようにするから。』と言
ってきました。A1が再度,私にBを海に沈めて殺すことに最後まで協力するように,念を
押していることが分かりました。」(A2の検察官に対する平成16年1月30日付供述調
書。乙59)などと,この時点でB殺害につき共謀が成立し,以降これに基づき行動したと
の一連の供述が録取されており(乙59ないし61,63),その内容は,A1の捜査段階及び
当公判廷における供述と概ね同旨のものとなっている。
 A2は,上記各供述調書の作成経緯について,当公判廷において,(1)取調官に
今から思えばこうだったんだよねと言われ,そうかもしれないと思って,そうだったんでし
ょうねと答えていたら作成されたものである,(2)A1と被告人の話が合っているのに,お
前だけ違うことを言っていると量刑が重くなると言われ,しょうがないなと思い,またこうし
て被害者に償っていくべきなのかなと思って署名指印したなどと供述する。
 しかし,A2の捜査段階における各供述調書は,A1や被告人,あるいはA2自身
の発言内容などの重要な部分につき,当公判廷におけるA2の供述と大きく異なってい
るのであるから,取調べ時に思い返して供述したために公判供述と異なる内容となった
旨の弁解はおよそ理解し難い。また,捜査段階の供述調書には,「私はこれまで,A1や
被告人と同様に見られるのが怖くて,Bを海に沈めて殺すことを知ったのは9月6日の午
後8時か9時ころと話してきました。しかし,全て正直に話してもう一度人生をやり直して
ほしいと言われ,私にこのように言ってくれる人の言うことを信じてみようと思うようにな
りました。」(乙59)などと,前記の内容の供述をするに至った心境を具体的に述べたも
のや,A1の供述と食い違う部分につき問答形式でそのまま録取されているものがある
ことにも照らせば,これらが捜査官らの誘導に基づき,仕方がないと思って作成されたも
のとも考えられない。
 そして,上記各供述調書の内容は,A2の消極的な立場が強調されていてそのま
まには受け取ることができない部分があるにしても,大筋においては前記前提事実によ
く整合し,その信用性は基本的には高いものと認められる。
エ 以上のとおり,A2の当公判廷における供述と捜査段階における供述を対比して
検討すれば,基本的には捜査段階における供述の方を信用すべきであり,これに反す
るA2の当公判廷における供述は信用することができない。
(2) 被告人の供述について
ア 被告人は,当公判廷において,最終的には要旨以下のとおり述べている。
(ア) ロープや食料等を買ってマンションOに戻ると,部屋の中に血が飛び散ってお
り,この間にA1がBに暴行を加えたのだと思った。Bの頭頂部は目で見て分かるほどへ
こんでおり,血も流れていた。
(イ) A1とA2がマンションNから戻った後,これからどうするかという話になり,Bを
海に連れて行くという話になって,その段階でA2はいったん帰宅した。A1は,Bを海に
連れて行き海水を飲ませるなどとも言っていたので,Bを脅して謝らせるために海に連
れて行くのだと思った。マンションOにいた間,A2にナイフを見せて「あげましょうか。」と
言ったことはあるが,何人も沈んでいる場所があるとは言っていない。b号地に向かう
前,A1がBに睡眠薬を飲ませ,私がBの手をロープで縛った。
(ウ) b号地に向かう車内で,A2がタクシーに乗り換えた後,A1に「これからどうす
るんですか。」と聞くと,A1は「こいつはもうだめだ。沈めて殺すことに決めた。」「最後は
1人でやってくれ。」「身元が分からないよう歯を砕いて指削いで腹裂いて絶対に浮かん
でこないように沈めてくれ。」と言ったので,A1はBを殺すつもりなのだと分かった。しか
し,自分はまだ決めかねており,脅してBが謝れば,A1も許すのではないかと考えてい
た。
(エ) b号地に到着後,A1と2人でBをS船に乗せて,船を出した。途中Bが船から
落ちたため,引き上げて「何で逃げたんだ。」と聞くと,Bは何かもごもごと言っており,私
は「マグロ船に乗せるだけだから大人しくしてろ。」と言って,Bに鎖と重りを巻き付けた。
Bはかなり衰弱してぐったりしており,10分から15分後,前記a号地貯木場南側海上ま
で船を進めて,Bに「謝らないのか。」と聞いて体を揺さぶったが,何の反応もなく,死ん
でしまったと思って,衝動的に刺して捨ててしまった。刺した時に筋肉の抵抗がなく,返り
血も浴びなかったので,Bは既に死んでいたと思う。最後まで殺意はなく,この時Bが謝
っていれば,A1に電話をして殺すのはやめるよう説得するつもりだった。Bは既に死ん
でいたという話をA1とA2にしたかどうかは,はっきり覚えていない。
(オ) b号地に戻り,A2と共に帰宅する際,車内でA2にBが海に落ちたことは話し
たが,刺したことは話していないと思う。
イ そこで,この供述の信用性につき検討すると,前記のとおり,被告人らは,Bをマ
ンションOに監禁しながら,それぞれ手分けをしてBを海上に連れ出すための準備を開
始し,その後,現にBを自動車に押し込んでb号地まで行き,更に船に乗せて海上に連
れ出しているが,この間,被告人らが,Bに謝罪させるための何らかの行動を取ったこと
はうかがわれず,かえってb号地に出発するに当たって,Bに睡眠薬を服用させるなど,
謝罪させることとは相容れない行動に出ているところである。また,本件における被告人
の一連の行動をみると,被告人は,A1の意向に沿うために様々な準備行為をしている
が,A1のB殺害の意思を認識した後も,被告人においてBに謝罪をさせるよう試みるこ
とや,Bが謝罪した場合の処置について事前にA1と相談した形跡すら認められず,被
告人が脅してBが謝ればA1も許すのではないかと考えていたなどと述べるところは,こ
うした経過に照らして不自然というほかない。
さらに,被告人は,Bの頭頂部は目で見て分かるほどへこんでおり流血していた,
被告人がBの背部をナイフで刺突する前には,体を揺さぶっても何の反応もなく死んで
いると思ったとする点も,既に認定したとおり,Bの頭頂部には死後に形成されたと認め
られる直径0.6㎝の創傷があるにすぎず,頭蓋骨に骨折はなく,被告人の供述は,上
記客観的証拠と合致しないものであるし,船から落ちたBを引き上げた際には,Bは被
告人の問いかけに応答していたとしながら,その後,何ら特段の事情もないにもかかわ
らず,その10分から15分後にはBは全く反応しなくなっていたと述べる点も不自然であ
り,かつ,被告人は,最後まで殺意がなかったとしながら,呼び掛けに反応しなくなったB
の脈や呼吸を確認することもなく,いきなり背部を多数回刺突して海に落とすという行動
をとったというのであって,そのこと自体も極めて不自然であるといわなければならな
い。
  被告人の当公判廷における供述の経過を見ても,(1)事実は概ねそのとおり間違
いないと述べた(第1回公判期日)後,(2)殺意の点について,やれと言われた以上はや
るつもりでいたが,最後までA1の気持ちが変わるかもしれないという気持ちはあった,
最後は生きているか死んでいるかよく分からない状態だったので,刺して沈めた,刺した
ことは間違いないが殺したという実感がない旨供述し(第9回公判期日),(3)その後,A1
からBを海に沈めようと持ちかけられたことなど被告人ら3人の共謀状況についてはA1
と同旨の供述をしつつ,その意味は脅して謝らせるつもりだと思った,船を出した時に謝
らなければ殺すという意思はあったが,最後はもう死んでいるんじゃないかと思って刺し
て捨てた旨供述し(第12回及び第14回公判期日),(4)さらに,Bを海に連れて行くこと
までしかA2は知らなかったと思う旨述べて,それまで一貫して認めていた上記被告人ら
3人の共謀状況に関する供述を変えるとともに,船上でBが謝らなかったらどうするかま
では考えておらず,最後まで殺すつもりはなかった,Bは既に死んでいたと思う旨述べて
(第28回公判期日),最終的に前記ア記載のとおりの供述をしており,その供述内容を
大きく変遷させている。被告人は,上記変遷の理由について,当公判廷において,いつ
言えばいいかよく分からなかったし,もう言わずにいようかなとも思っていたなどと説明
するが,いずれも合理的な理由とは到底いい難い。
 以上の各点からすれば,被告人の前記アの供述は不自然・不合理であって信用
することができない。そして,本件犯行時,Bが生存していたことは既に認定したとおりで
あるところ,前記のとおり,A1及びA2のいずれもがBは最後まで理解できる言葉を話し
ていた,被告人から刺す前にBが既に死んでいたとは聞いていない旨述べていること,
被告人も本件犯行の直前にBが海に落ち,引き上げた後も何か言っていたと述べてお
り,本件犯行は,そのわずか後に実行されたものであることからすれば,被告人は,本
件犯行時,Bが生存していることを認識していたものと認められる。
ウ 次に,被告人の捜査段階における各供述調書を時系列でみると,(1)平成15年
11月22日に死体遺棄の被疑事実で逮捕された翌日の検察官に対する供述調書に
は,裁判の日まで黙秘するとの供述が録取されており(乙79),(2)その後同年11月30
日付けで警察官に対する供述調書が作成されると,そこから同年12月11日付けの検
察官に対する供述調書まで,要旨「マンションOでA1が私とA2にBを海に捨てようと言
ったので,Bを海に沈めて殺すと分かったが,そのままA1の言いなりに動いてしまった。
実際にBを刺し殺したのはA1である。」との供述が録取されており(乙32,35,71ないし
74,80),(3)平成16年1月16日に殺人の被疑事実で逮捕され,被告人の取調べ担当
検察官が変わると,そこからBを刺して殺害したのは自分である旨認めて,被告人ら3
人による共謀状況やその実行に至る経過等につき,A1の捜査段階及び当公判廷にお
ける供述と概ね同旨の供述が録取されている(乙33,34,36ないし49,77,78,81,82)。
 上記各供述調書が作成された経緯について,被告人は,当公判廷において,(1
)警察嫌い等の理由により逮捕後はしばらく黙秘したが,(2)その後話し始め,警察官か
ら「A1はお前が勝手に刺したと言っているぞ。A1が寄せてくるぞ。」と言われたため,な
すりつけるならなすりつけ返してやれと思って,A1が刺したと嘘を言ってしまった,(3)そ
れから取調べは続いたが,取調べ担当検察官から受けた扱いが不満だったことなどか
らまた黙秘し,その後殺人の被疑事実で逮捕され取調べ担当検察官が変わると,A1は
自ら主犯と言っていることが分かり,誤解が解けたのですぐに供述を訂正して自分が刺
したことを話した,(4)しかし,このころには連日長時間に及ぶ取調べで疲れており,もの
を考えられる状態ではなく,検察官がA1に買収されているのではないかと思われる言
動もあり,もうどうでもよくなって供述調書に署名指印したなどと述べている。
 被告人の前記各供述調書の作成経緯に関する供述のうち,(1)ないし(3)の各点に
ついては,客観的な供述調書の作成経過及びその内容と符合しており,取調べを担当
した警察官及び検察官の当公判廷における各供述(証人U及び同Vの当公判廷におけ
る各供述参照。)とも一致しているのであって,信用できるものといえる。しかし,(4)の点
については,被告人は他方で,「交代後の検察官の取調べに特別な不満はなかった。」
(第12回公判期日),「交代後の検事は取調べで休憩を取ってくれたり,その辺は配慮
してくれた。」(第14回公判期日)とも述べている上,前記各供述調書には共犯者らの供
述と相反する部分についても問答形式で被告人の言い分が録取されている部分が多数
あることや,被告人が供述を変え事実を話すに至った経緯が詳細に録取されていること
(被告人の検察官に対する平成16年1月19日付供述調書。乙82)などに照らしても,被
告人がものを考えられる状態ではなくなり,どうでもよくなって署名指印したものとは到
底認められず,被告人の前記(4)の供述部分は,信用することができない。
 そして,上記各点に加えて,被告人及び上記各取調べ担当捜査官の当公判廷に
おける各供述その他関係各証拠を併せ検討すれば,被告人の上記各供述調書の任意
性にはいずれも疑いがなく,かつ,被告人が述べたとおりのことが録取されていると認
められるのであって,罪体に関する証拠として取り調べた被告人の捜査段階における各
供述調書についてみると,その内容は前記前提事実とよく整合しており,高い信用性を
有するといえる。
エ 以上のとおり,被告人の当公判廷における供述と捜査段階における供述を対比
して検討すれば,捜査段階における供述を信用すべきであり,これに反する被告人の当
公判廷における供述は信用することができない。
 5 死因について
 なお,既に認定したとおり,Bが生前水におぼれたことを示唆する所見は明らかでは
ない。そこで,その死因につき検討すると,Bは背部刺創による左肺損傷により致命的
な傷害を負ったと認められるところ,被告人は捜査段階において,「Bの背中を七,八回
くらい突き刺したが,3回目くらいの時にBの体から急に力が抜けたのが分かり,Bは死
んだのだと思った。でき死は苦しいだろうし,海に沈める前にBの命を確実に絶とうという
気持ちもあった。力が抜けて下にずり落ちたBの体を手で押さえ,また続けて背中を刺し
た。」旨供述していること(被告人の検察官に対する平成16年2月3日付供述調書。乙
43)からすれば,その死因は,背部刺創による左肺損傷であると認められる。
 6 結論
 以上検討してきたとおり,前記前提事実及びこれに基づき検討した結果,高い信用
性が認められるA1の供述,これを支えるA2及び被告人の捜査段階における各供述そ
の他関係各証拠によれば,判示第2の2の事実を認めることができる。これに反する被
告人及び弁護人の主張は,すべて採用することができない。
 よって,当裁判所は,判示のとおり認定した。
(量刑の理由)
 1 本件は,A1に心酔していた被告人が,A1及びA2と共謀の上,被害者をその自宅
からら致してマンションや自動車内に監禁した上(判示第2の1),A1が被害者から更に
A1を中傷する内容の書籍を出版する予定である旨聞かされたことなど判示認定の理由
から被害者の殺害を決意し,その実行を被告人及びA2に持ちかけてきたのに対し,A2
と共にこれを承諾して被害者を殺害することを決意し,被害者を小型船舶で海上に連れ
出すと,その背部をナイフで多数回突き刺して殺害した(判示第2の2)という事案であ
る。
 2(1) 被告人は,判示認定のとおり,A1が被害者に対する怒りを口にするのを聞くと,
当時A1に心酔していて,その力になりたいと思っていたことなどから,被害者をぶちの
めしましょうなどとA1をたきつけるような威勢のいいことを言って次第にA1をその旨本
気にさせ,被害者に対する出費を回収しようとしていたA2とともに,A1に従って判示逮
捕監禁の犯行を実行するに至ったものである。
 判示認定事実に照らせば,確かに被害者は多額の金銭を受領しながら依頼された仕
事をしないといった金銭的にだらしがないところがあり,また,被害者が執筆掲載した被
告人の解錠講習会に関する文章や,A1を中傷する文章等の内容も不当なものであっ
たことは否定できず,本件に至る端緒についていえば,被害者に落ち度がなかったとは
いえない。
 しかしながら,被害者は,一連の事件を通じて暴力に訴えるような行為には一度も出
ていないのに対し,被告人らは,被害者の逮捕監禁を実行し,執ような暴行に及んだも
のであり,怒りにまかせて暴力による復しゅうを図った被告人らの行為は,いかにも粗暴
かつ短絡的との非難を免れない。
 (2) 被告人らは,被害者を逮捕監禁するに当たって,被害者の動向を探り,事前に複
数回会って謀議をした上,決行日を決めると,A1があらかじめ監禁する場所を用意し,
被告人が手錠やスラッパーなどの道具を持参し,A2がレンタカーを借りるなどして,3人
で被害者の入店が確認されたスナック「M」の前に集合して待ち伏せており,かかる犯行
態様をみても,周到に準備された計画的なものであることは明らかである。
 また,被告人らは,深夜に被害者宅に入り込むや,被害者を取り囲んでその頭部等を
手けん及びスラッパーで殴打するなどの容赦のない暴行を加えた上,レンタカーに押し
込んでA1が監禁先として用意したマンションの一室まで連れ去り,その後,再度被害者
をレンタカーに押し込んで前記社団法人T駐車場まで連れ去っており,合計約21時間に
もわたって,被害者を監視下において監禁し,この間,被害者の両手両足を緊縛したり,
睡眠薬を2度飲ませたりしている。被告人らは,被害者は謝罪しようとする態度を見せな
かったなどと述べているが,突然自宅で暴行を受けて被告人らにら致され,見知らぬマ
ンションの一室で前記のような態様で監禁された被害者が,強い恐怖と不安を感じてい
たことは当然であり,仮に被害者が被告人らの述べるとおりの態度であったとしても,被
害者が被った肉体的・精神的苦痛が甚大であったことは想像に難くない。
 (3) そして,被告人は,判示の監禁を継続中,A1から被害者の殺害を持ちかけられる
や,元々被害者はいい加減な物書きだという思いがあったことや,心酔するA1が攻撃さ
れることは何としても阻止しなければならないと考えたことなどから,A2と共にこれを承
諾し,被害者の殺害を決意したものである。その犯行動機は,自己及び自己が心酔する
人物を守るためには,他者をどのような目に遭わせようとも意に介さず,これを排除する
という非常に攻撃的かつ自己中心的なものといえる。
 (4) 被告人らは,あからじめ被害者の殺害を予定して逮捕監禁行為に及んだものでは
ないものの,被害者の殺害を決意した後は,A1の指示により,被害者を殺害して死体を
遺棄する際に用いる重りや船の用意をしたり,被害者を船の係留場所へ搬送する自動
車の用意をしたり,また犯行の発覚を防ぐために,被害者の持ち物を処分し,関係者に
被害者の携帯電話機から電子メールを送るなどして,自発的な失そうを装うなどの工作
をしたりしており,判示殺人の犯行についても,判示逮捕監禁の犯行同様,十分に計画
的で,強固な犯行意思に基づくものといえる。また,殺害方法についてみると,被告人ら
は,用意した船に被害者を乗せ,睡眠薬の影響により十分な動作が出来ない状態にあ
る被害者に対し,重りをつけて鎖で縛った上で,その背中をナイフで多数回刺して,その
まま海に投げ入れており,この間,被告人らが被害者の殺害をちゅうちょした様子は何
ら認められないのであって,その犯行態様は,残虐極まりなく,非常に冷酷で悪質であ
る。
 (5) 被害者は,未だ38歳と若く,その将来は可能性に満ちていた。しかし,被告人ら
の行為によって突如として命を奪われ,あらゆる可能性が失われたのであるから,生じ
た結果は二度と取り返しのつかない重大なものであり,被害者の無念さはたとえようも
なく大きなものであると推察される。被害者の遺族が,「どんな理由があっても人を殺し
ていいはずがありません。」,「Bは,いくつになっても,私にとっては,お腹を痛め産んだ
大切な子供でした。」,「犯人が憎いです。犯人を許すことはできません。」などと,深い
悲しみとしゅん厳な処罰感情を示しているのも,当然である。
 (6) 判示各犯行における被告人の役割についてみると,被告人は,事前にA1をたき
つけるようなことを言っており,これがA1の判示逮捕監禁の犯行の決意を促す一因とな
ったのであるから,被告人が判示逮捕監禁の実現に寄与した程度は小さくないといえ
る。また,判示殺人の点についてみても,A1が被害者の殺害を決意した背景には,被
告人がA1をたきつけるような威勢のいい言葉を言ったり,よう兵経験があるなどと言っ
たりしたことなどからA1が被告人を頼もしく思い,被告人なら被害者の殺害を実行してく
れるとの強い期待を抱くに至ったというようなことも一つの事情としてあったことは否定し
難い。さらに被告人は,小型船舶や鎖,針金や重り等を短時間で手際よく準備し,自ら
操船して被害者を海に連れ出すと,その背部をナイフで多数回突き刺して海に投げ入
れており,被告人が,殺害の実行行為という判示殺人の犯行に不可欠かつ重要な役割
を果たしたことは明らかである。
 3 これらの事情に照らすと,被告人の刑事責任は重いといわなければならない。
 4 しかしながら,他方,判示各犯行の間,A1が被告人及びA2に手順を指示するなど
終始主導的な立場にあり,被告人は,基本的にはその指示に従って行動する従的な立
場にあったこと,捜査段階においては判示各犯行を認めており,被害者の家族のことを
思うと胸が痛む旨述べて反省の態度を示していたこと,被告人にはこれまで業務上過失
傷害罪による罰金前科のほか前科のないことなど,被告人のために酌むべき事情も認
められる。
 5 そこで,以上の諸事情その他諸般の事情を総合考慮して,被告人に対しては,主
文の刑を科するのが相当であると判断した。
 よって,主文のとおり判決する。
(検察官遠藤伸子公判出席)
(求刑 懲役16年)
平成17年10月11日
東京地方裁判所刑事第7部
裁判長裁判官   小 川 正 持
    裁判官   水 上   周
    裁判官   川 尻 恵理子

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