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裁判例


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       主   文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
       事実及び理由
第1 請求
 被告がしたものとみなされる平成11年6月24日付けで原告に対してなした医
療法人健生会桜山ホスピタルにつき保険医療機関の指定を同年7月1日をもって取
り消す旨の処分を取り消す。
第2 事案の概要
 本件は,原告が,医療法人健生会桜山ホスピタル(以下「本件病院」という。)
において,保険医療機関及び保険医療養担当規則(平成12年3月17日号外厚生
省令第30号による改正前のもの。以下「担当規則」という。)2条の3に違反す
る診療報酬の請求(以下「本件不正請求」という。)を行っていたとして,愛知県
知事が,健康保険法(平成11年法律第87号による改正前のもの。以下「法」と
いう。)43条の12第3号に基づき,本件病院の保険医療機関の指定を取り消す
旨の処分(以下「本件処分」という。)をしたところ,本件処分は裁量権を逸脱濫
用するものであって違法であるなどとして,原告が愛知県知事の権限を承継した被
告に対し,同処分の取消しを求めた抗告訴訟である。
1 争いのない事実等
(1) 当事者
ア 原告は,昭和35年12月15日に設立された医療法人であり,本件病院の開
設者である。
イ 被告は,平成12年4月1日施行の「地方分権の推進を図るための関係法律の
整備等に関する法律」に基づき,本件処分に関する権限を愛知県知事から承継した
者であり,同知事は,法43条の3及び同条の12に基づき,保険医療機関の指定
及びその取消しの権限を有していた者である。
(2) 監査の実施
ア 第1回監査
 愛知県民生部(以下「民生部」という。)は,本件病院の診療報酬の請求に不正
又は著しい不当があったことを疑うに足りる理由があるとして,「保険医療機関等
及び保険医等の指導及び監査について」(平成7年12月22日保発第117号厚
生省保険局長通知)別添2の監査要綱(乙31,以下「本件要綱」という。)に基
づき,平成10年4月28日,原告に対し,平成7年6月診療分についての監査を
実施したところ,同月分の診療報酬の請求に不正があったことが判明した。同監査
において判明した不正請求の具体的内容は別紙1のとおりであり,不正な診療報酬
明細書は14枚,不正請求金額の合計は64万2716円である(乙16)。
イ 第2回監査
 民生部は,平成10年9月17日及
び18日,本件要綱に基づき,原告に対し,再度監査を実施したところ,更に平成
7年1月分から平成9年5月分までの診療報酬の請求に不正があったことが判明し
た。同監査において判明した不正請求の具体的内容は別紙2のとおりであり,不正
な診療報酬明細書は27枚,不正請求金額の合計は369万5863円である(乙
17)。
(3) 不正請求に係る診療報酬の自主返還
 民生部は,上記監査結果に基づき,原告に対し,不正な診療報酬請求について自
主点検を指示したところ,平成11年6月2日,原告から民生部に4050万35
44円分の診療報酬を返還する旨の同意書が提出され(甲15,乙18の1ないし
4),その後に返還された(甲17,18)。
(4) 厚生省(現厚生労働省)への内議等
 民生部は,上記監査結果等を踏まえて,本件要綱に基づき,厚生省へ内議を行っ
たところ(乙42,43),厚生省保険局長から平成11年5月28日付けで保険
医療機関の指定取消しを適当と認める旨の通知(保文発第491号,乙44)があ
った。
 また,愛知県知事は,平成11年6月14日,原告への聴聞を実施し(甲43,
乙36),同日,本件要綱に基づき,愛知県地方社会保険医療協議会に対し保険医
療機関の指定取消しについて諮問したところ,同協議会は,同月21日,取消しは
妥当である旨の答申を行った。
(5) 本件処分
 愛知県知事は,平成11年6月24日,本件病院は,「保険医療機関は,その担
当する療養の給付に関し,厚生大臣又は都道府県知事に対する申請,届出等に係る
手続及び療養の給付に関する費用の請求に係る手続を適正に行わなければならな
い」と規定する担当規則2条の3に違反し,健康保険法43条の12第3号の規定
する「療養ノ給付ニ関スル費用ノ請求…ニ付不正アリタルトキ」に該当するとし
て,原告に対し,同年7月1日付けで本件病院の保険医療機関の指定を取り消す旨
の本件処分を行った(甲22,乙27)。
 なお,本件要綱は,監査後の措置として行う保険医療機関等の指定取消し等の行
政上の措置についての基準につき,都道府県知事は,保険医療機関等又は保険医等
が下記のいずれか一つ(以下「要件①」などという。)に該当するときは,取消処
分を行うものとされている(乙31)。
① 故意に不正又は不当な診療を行ったもの。
② 故意に不正又は不当な診療報酬の請求を行ったもの。
③ 重大な過失により,不正又
は不当な診療をしばしば行ったもの。
④ 重大な過失により,不正又は不当な診療報酬の請求をしばしば行ったもの。
2 本件の争点
 本件処分の適法性
 本件処分は,裁量権を逸脱濫用してなされた処分であるか。具体的には,本件病
院において行われていた診療報酬の不正請求が要件②又は④に該当するか。
(被告の主張)
(1) 保険医療機関の指定の取消事由について,法43条の12第3号は,「療
養ノ給付ニ関スル費用ノ請求…ニ付不正アリタルトキ」と規定し,故意又は故意に
準じるような悪質な態様で不正請求を行った場合に限定するかのような規定は存在
しないところ,本件病院における診療報酬請求に総額約4000万円に達する不正
があった事実は原告による自白が成立している(原告は,訴状にて「水増分約40
00万円」であることを自認している。被告は,この主張に対して「不知」との認
否をしているが,その趣旨は,水増分が4000万円を超える可能性のあることを
留保したものであり,少なくとも4000万円は存在している事実は援用している
というべきである。)。ところで,本件要綱は,保険医療機関の指定の取消事由と
して,要件①ないし④を規定しているところ,本件不正請求は,以下のとおり,要
件②に該当し,そうでないとしても,要件④に該当するというべきであるから,本
件処分は本件要綱にも合致している。もっとも,本件要綱は,厚生省がその裁量に
任された保険医療機関の指定に関する取消権限の行使に関して,その裁量権行使の
準則を定めたものにすぎず,国民との関係で法規としての効果を有するものではな
いから,仮に当該処分が当該準則に違背して行われたとしても,原則として当不当
の問題を生ずるにとどまり,当然に違法となるものではない(最高裁昭和53年1
0月4日大法廷判決・民集32巻7号1223頁参照)。
ア 要件②の該当性について
(ア) 本件不正請求は,本件病院の事務長であったP1と共謀して,原告代表者
である理事長(以下「理事長」という。)自らがレセプトに架空の投薬や診療内容
を記載した付せんを貼付して指示するなどの方法により行われていたものであり,
本件不正請求が原告の故意に基づくものであることは明白である。
 本件不正請求について,理事長が関与していたことは次の事実からも裏付けられ
る。
a 理事長の母親であるP2に関する平成7年2月及び3月分の入院に係る診療報
酬について
架空の請求があること。
 理事長が,レセプトの内容がカルテどおりであるか否かの確認をして不当な請求
がされないように厳重に管理していたとすれば,実母の入院レセプトを見落とすは
ずがなく,裏を返せば,このことが理事長が不正請求に関与していたことの証左で
ある。
b 理事長の友人について,架空の診療報酬請求がなされていること。
 保険者に不正が露見しないようにしようとすれば,架空請求の対象となる被保険
者の他の病院の入通院状況を把握していなければならないところ,架空請求の対象
となったP3は理事長の友人であり,同人から入通院状況を確認するためには理事
長の積極的関与が不可欠である。
(イ) 原告が主張するように,仮にP1が病院の主導権を握ることを目的とし
て,本件不正請求を行っていたとしても,それだけではP1には何ら利得は発生し
ないのであって,本件不正請求による利得を得ようとすれば,病院の経理を何らか
の形で操作する必要があるところ,本件病院の経理は理事長が管理していたのであ
るから,P1の独断で利得を得ることは困難である。加えて,本件不正請求を開始
してから2年5か月もの間,P1が不正請求の事実を理事長に明かして本件病院の
主導権を握る行動に出ていないことの合理的説明もつかない。したがって,原告の
主張は,それ自体極めて不自然なものというべきである。
イ 要件④の該当性について
(ア) 重大な過失について
 保険医療機関は,適正な診療報酬手続を確保する責務がある(担当規則2条の
3)から,医療法人を代表し,その業務を総理する理事長(医療法46条の3第3
項)は,診療報酬の請求内容と診療の事実に不一致が生じないよう,自ら適正な診
療報酬請求を確保する責務がある。また,少なくとも,事務長,医師,事務職員等
に注意を喚起し,認識を深めさせ,報告を求めるなど,不正請求が発生しないよう
なチェック体制を講じなければならない。しかるに,理事長は,以下のとおり,少
なくとも重大な過失により本件不正請求が行われることを阻止し得なかった。
a 本件病院において,理事長は,自ら入院患者のレセプトのチェックをしていな
がら,その際に重要な作業であるはずのカルテとの突き合わせを全く実施していな
い。また,看護婦に対しても,カルテの記入漏れかどうかも確認していない。
b 前記のとおり,理事長にとって極めて身近な者についても,虚偽のレセプトが
作成され,
これに基づいて不正請求がされているところ,毎月の入院の診療報酬請求書に理事
長印を押す際にその事実を認識できたにもかかわらず,理事長は,添付のレセプト
も確認せず,漫然と事務処理を行っていた。
c 本件不正請求が平成7年1月分から平成9年5月分までの長期間にわたってい
ることからすれば,理事長が不正請求が発生しないようなチェック体制を全く講じ
ていなかったことは明白であり,その任務違背は重大である。
(イ) 「しばしば」について
 本件不正請求が,前記のとおり,長期にわたっていることや付け増し請求等の不
正請求の態様も同様の手法が繰り返されていることなどからすれば,「しばしば」
の要件に該当することは明白である。
(2) 行政処分が違法となるのは,それが法の認める裁量権の範囲を超え又はそ
の濫用があった場合に限られるところ,本件は,平成7年1月から平成9年5月に
至るまでの長期間にわたって,合計29回という多数回の不正請求を続けた事案で
あること,その金額も合計4000万円を超える多額のものであって,かつ,本件
病院の収入の約5パーセントにも相当するものであること,また,その態様も,仮
に理事長が本件不正請求に関する認識を有していなかったとしても,事務長という
重職にある者を実行行為者とする悪質なものであること等の事情からすれば,その
権限行使に関する裁量権の逸脱あるいは濫用があったといえないことは明白であ
る。
 また,原告は,①水増し請求の一方で,多額の請求漏れもあるから,実質的な水
増し額は少なくなること,②本件発覚の端緒が原告自身による申告にあること,③
水増し分について自主返還を申し出て,返還していることを本件処分に当たって考
慮すべきであったと主張するが,①については,請求漏れの金額や請求漏れが生じ
た事情等の詳細は全く明らかでない上,多額の不正請求との整合性を保つために,
他方であえて本来請求し得る保険診療費用を請求しないことも十分に考えられるの
であって,請求漏れの事実のみで処分の不当性を基礎づけることにはならないし,
②については,本件において原告が当局に申告することを決意するに至ったのは,
本件不正請求の証拠となるべき書類がP1から原告に送付され,本件が公になる蓋
然性が極めて高くなったためであって,原告に対する情状酌量の一要素となる性格
のものではなく,③についても,本件のように不正が証拠上明白な事案
であれば,処分を避けたいとの一心で,情状酌量を求めようとして,このような態
度に出ることは通常よくあることであるから,これらを考慮しなかったからといっ
て,本件処分が不当となるわけではない。
(原告の主張)
(1) 法及び本件要綱は,保険医療機関指定の取消事由として,故意又は故意に
準じるような悪質な態様で不正請求を行った場合を想定しており,本件はそのよう
な場合に当たらない。
 なお,被告は,不正請求額が約4000万円であるとの事実につき,原告の自白
が成立している旨主張するが,訴状に「水増分約4000万円」と記載したのは,
民生部から具体的な根拠を示すことなく,約4000万円の不正請求があるとの指
摘を受けたため,保険医療機関の指定の取消処分を免れたいとの一心で,指摘に係
る金額を自主返還したとの事実を主張したにすぎない。仮にそうでないとしても,
上記事実は処分事由の主要事実ではないから,自白の拘束力は生じないというべき
である。
ア 要件②の該当性について
 要件②の故意は,当該医療機関の代表者について存することが必要というべきと
ころ,本件不正請求に理事長が関与した事実はない。本件不正請求は,本件病院の
事務長であったP1が,本件病院を混乱に陥れ,不正請求の事実が存することを材
料にして本件病院の主導権を握ることを目的として独断で行ったものである。
 なお,理事長が診療報酬明細書(レセプト)に薬品名・数量,診療内容等が記載
された付せんを貼付していた事実はあるが,これは,①事務員に対し,診療,投薬
内容に対応する病名の入力漏れがある場合に,カルテをチェックしたり,医師に確
認するなどして,病名を確認し,追加入力するよう指示するとともに,②医師,看
護婦に対し,病名から考えて当然なされるはずの診療行為,投薬がなされていない
と思われる場合に,今後,そうした診療行為,投薬を行うよう提案,助言するため
のものであり,付せんの記載は不正請求の指示ではない。このことは,付せんの記
載の中に「併用禁忌薬」,「病名整理」,「病名不一致」等,不正請求の指示と考
えることができない記載があることからも明らかである。
 また,理事長の母であるP2と同じく友人であるP3の架空請求についても,P
1が独断で行ったものであって,理事長が本件不正請求に関与していたことを示す
ものではない。
 仮に被告主張のように理事長とP1が本件不正請求について
共謀していたのであれば,付せんによる指示などという迂遠な方法を採ることな
く,それぞれが付け増ししたり,レセプトに直接書き込めば足りるはずである。ま
た,付せんによる付け増し分は,「超音波検査」,「心拍監視」,「心電図検
査」,「X-P(胸部レントゲン検査)」に限られているが,これらの診療報酬の
請求点数は少額であり,その程度の金額を得るために不正請求という危険を冒すと
は考えられない。さらに,理事長が記載した検査,投薬等の事項については,検査
名,投薬名の記載しかなく,その回数,数量の記載がないから,不正請求の指示と
しては不十分である。
 そして,理事長が本件不正請求に関与していたとするP1の証言等は,付せんに
記載された内容と実際に不正請求された内容とが一致しないこと,理事長から依頼
を受けた際の会話の内容等が,その時々によって矛盾し,かつ不明確であることか
らすれば,到底信用に値するものではない。
イ 要件④の該当性について
(ア) 重大な過失について
 一般にレセプトとカルテとの突き合わせば,医師又は事務員によって行われてお
り,代表者自らがこれを行っている病院は皆無であることなどに照らすと,理事長
が突き合わせを行わず,又は看護婦に確認しなかったとしても,重過失の根拠とな
るものではない。
 次に,理事長が診療報酬請求書に押印する際に,レセプトが添付されていた事実
はなく,また押印の際に代表者がレセプトを再チェックしている病院も皆無である
から,それをしなかったからといって理事長を責めることはできない。
 さらに,P1は,医療事務主任であるP4と共謀し,理事長,院長がレセプトを
チェックした後に,そのレセプトを不正請求用のレセプトに差し替えて提出すると
いう巧妙な方法を用いて本件不正請求を行っており,それが事務方のトップ2人の
みによって行われ,他の医療事務職員は全く関与していなかったことから,P1か
ら本件不正請求の事実を知らされるまで,理事長はその事実を認識し得なかったも
のであり,本件不正請求について,原告に重大な過失があったとはいえない。
(イ) 「しばしば」について
 長期間にわたって多額の診療報酬の不正請求を行った他の病院に対する処分に照
らすと,長期間にわたって多額の不正請求がなされているからといって,それだけ
で直ちに「しばしば」不正請求を行っていたとされるわけではない。
 不正請求を「しばしば」行
った場合とは,重過失による不正又は不当な診療報酬請求を行ったことにつき,行
政機関から請求業務の改善指導を受けるなどして不正請求の再発を防ぐ措置を講じ
る機会を与えられたにもかかわらず,そのような措置を講じず,不正又は不当な診
療報酬請求を繰り返した場合をいうと解すべきであるところ,本件において,原告
は,本件不正請求がなされる以前においては,診療報酬を不正に請求するなどの不
正な行為を行ったことはなく,本件不正請求を認識するや否や直ちに愛知県にその
旨を報告して指導を仰ぎ,本件不正請求後は不正請求を行った事実はないのである
から,原告が不正又は不当な診療報酬の請求をしばしば行ったとはいえない。
(2) 法43条の12第3号に基づく保険医療機関指定取消処分については,そ
の処分要件の判断に当たり,専門技術的知見は全く必要なく,行政庁の個別具体的
な政策判断が介在する余地もほとんどないから,処分権者に裁量判断を認める余地
はほとんどないというべきである。
 したがって,本件要綱の定める取消処分の基準に合理性が認められるとしても,
処分理由がその基準に適合せず,あるいは形式的には基準には適合しても,比例原
則,平等原則に反する場合には,直ちに裁量権の逸脱,濫用と評価すべきところ,
本件病院における診療報酬の請求については,水増し請求がある一方で,多額の未
請求分も存在し,実質的な水増し額は低いものになること,水増し請求額について
は,不正の発覚当初から返還を申し出,これを履行していること,本件不正請求の
事実は,原告の自主申告により愛知県知事が認識するに至ったものであること等の
事情に加え,病院ぐるみで故意に1億円以上の水増し請求をした保険医療機関でさ
え,その指定の取消しを免れている場合があることを考慮すれば,本件処分は他病
院に対する処分との権衡を欠いた重きにすぎる処分であって,裁量権を逸脱濫用し
た違法な処分というべきである。
第3 当裁判所の判断
1 法43条の12第3号の「…請求ニ付不正アリタルトキ」とは,社会通念上,
不正請求が当該医療機関自体の行為としてなされたと評価することができる場合を
指すものと解される。したがって,不正請求の実行行為が常に当該医療機関の代表
者自身によってなされることまで要するわけではないが,反面,その従業員たる事
務職員が,その任務に背き,自己の利益を図る目的で実行した事案において,代
表者がその者に対する選任監督上の注意義務を著しく怠ったとはいえない場合は,
個人的な不正請求との評価にとどまるから,上記要件を充足しないと解するのが相
当である。
 そうすると,本件要綱が保険医療機関の指定取消処分の基準として定める要件①
ないし④は,上記第3号の要件を具体的に明らかにしたものと首肯でき,その一つ
でも代表者について認められる場合は,特段の事情が存しない限り,同取消処分の
適法性を基礎づけると解される。そこで,以下においては,この見地から検討を加
えることとする。
2 証拠(甲19の1,2,20,21,28ないし30,38,39,42,4
3,46ないし48,51ないし53,56の1ないし7,57の1ないし3,5
9の1ないし4,64ないし67,71の1ないし3,73ないし75,78,7
9の1ないし29,乙1,2の1ないし9,3,8ないし10の各1,2,11の
1ないし3,12の1,2,13ないし15の各1ないし3,16,17,24な
いし26,29の1ないし6,35の1,2,42,43,48ないし50,51
の1ないし23,54の1ないし4,58の1,2,62の1,2,証人P1,原
告代表者,ただし,認定に反する部分を除く。)及び弁論の全趣旨並びに前記争い
のない事実等を総合すれば,以下の事実が認められる(なお,後記(2)シで示す
不正請求の総額については,自白の成否を巡って当事者間に争いがあるので,事実
認定の前提問題としてこの点につき判断するに,原告が,訴状において,その金額
が約4000万円であると主張していたのに対し,被告が,答弁書で不知と認否し
た状態が続くうち,原告が,準備書面(一)において,訴状における上記記述は,
同金額の不正請求が存在した事実を認める趣旨ではないと主張して,事実上の撤回
に及んでいることが本件記録上も明らかであるから,自白が成立したとみることは
できない。もっとも,原告代表者尋問の結果によれば,不正請求に係る資料に基づ
いて不正請求の総額を算出せよとの処分権者側からの指導に基づき,原告の事務担
当者と支払側の担当者とが打ち合わせながら作業を行った結果,その総額が405
0万3544円となった事実は優に認められる。)。
(1) 原告は,昭和35年12月15日,本件病院(当時の名称は「久嵜病
院」)を開設し,内科,呼吸器科,消化器科,小児科,放射線科,アレルギー科の
各診療
科目を設けているが,特に気管支喘息,慢性気管支炎等の呼吸器疾患,糖尿病,ア
レルギー疾患等の内科医療の充実に取り組んでおり,公害指定病院(名古屋市特定
呼吸器疾患医学的検査指定医療機関)の指定を受けている。
 本件病院の病床数は31床であり,現在,同病院には10名の勤務医(常勤医師
2名,非常勤医師8名)の外,看護婦13名,薬剤師4名,レントゲン医師4名,
栄養士1名及び一般事務職員1名が勤務している。本件病院の管理者は理事を兼ね
ているP15院長である。なお,原告代表者である理事長は,平成2年に亡父の後
を継いでその地位に就いたものであるが,医師資格を有していない。
(2) P1の採用から解雇に至るまでの経緯
ア 原告は,平成6年8月,本件病院のレセプト業務を行わせるため,P1を非常
勤扱い(月額手当2万円。ただし,医療費免除)で採用するとともに,P1から紹
介を受けたP4を医療事務職員(医療事務主任)として採用した。採用当初のP1
の肩書きは「顧問」であった。
 P1は,平成4年秋ころ,糖尿病治療のために本件病院に来院したことから原告
との関係を生じたものであり,平成5年4月から高血圧症等の治療のため本件病院
に通院し,さらに同年12月から平成6年6月まで原告の病院に入院していたが,
その入院中に理事長から本件病院の経営等のいろいろな相談を受けるようになり,
以前に国民健康保険団体連合会の職員であったこともあって,原告に採用されるこ
とになったものである。
イ 理事長は,P1採用後まもなく,P1に対して,本件病院の経営について具体
的に相談を持ちかけるようになり,「病院経営が苦しい,何とかしたい。」などと
いった愚痴をこぼしたり,他の病院では不正請求をやっているなどの話をするよう
になったが,この時点では,P1に対して,明示的に不正請求の指示をすることは
なかった。
ウ P1は,平成6年10月ころから,本件病院のレセプト業務に携わるようにな
ったが,レセプト作成事務を担当していたP4がその作成をするに当たって本件病
院で以前から使っていたコンピュータでは不都合であったことから,理事長に対し
て新しいレセプト作成用のコンピュータを購入するよう依頼した。理事長は,後
日,この依頼を承諾したが,その際,P1に対して,コンピュータの月々のリース
料の支払資金の捻出をどうにかしてほしいとの要望を述べた。前記のとおり,P1
は,以前
に理事長から診療報酬の不正請求の話が出ていたことから,理事長が自分に対し不
正請求をするよう暗に示唆しているものと考え,理事長に対して,「それは不正請
求のことですか」と問いかけると,理事長から「そうだ」との回答があったので,
さらにP1が「じゃ不正請求をやりましょう」と言葉を返したところ,理事長から
「それじゃやってくれるか」と言われたことから,P1は不正請求をしようと決意
するに至った。
エ 原告は,平成6年11月ころ,前記のレセプト作成用のコンピュータを導入し
(ただし,当初リース会社が原告が希望する型式のコンピュータを持っていなかっ
たため,代用品として上記型式に近い型のものが納入され,株式会社名古屋リース
との間で正式にリース契約が締結されたのは平成7年1月20日になってからであ
る。なお,リース料は,ソフトウェアのそれを含めて合計で1か月当たり4万62
00円(税抜き)であった。甲39),P4はそのコンピュータを用いてレセプト
の入力作業をするようになった。
 ところで,P4は,そのころまで実家のある小牧市から本件病院へ通勤していた
が,早朝からの出勤となることなどに不満を抱き,P1に対して原告を辞めたいと
の相談を持ちかけたところ,当時同人と親密な関係にあったP1が,かかる事情を
酌んで理事長に対して対処策を相談した結果,本件病院の近くに原告の負担でP4
の住居を借り受けることになり,原告は,平成6年11月1日,貸主P5との間で
マンション(3LDK)の賃貸借契約を締結し,その賃料等(月額10万8000
円)を原告が負担することとなった(乙26)。ただし,上記賃料等の半額5万4
000円については,寮費としてP4の給与から控除されている(甲71の1ない
し3)。
オ P1は,平成6年12月,翌1月請求分を手始めに不正請求を開始したが,そ
の際,P1は,その事実を理事長に事前に伝えている。このころの不正請求の方法
は,カルテを基に仮案として作成されたレセプト(以下「仮レセ」という。)にP
1が追加の書き込みをし,それを基に再度提出用のレセプト(以下「本レセ」とい
う。)をP4に作成させるというものであり,平成7年6月まで続いた。P1は,
当初仮レセを廃棄していたが,支払基金や国民健康保険団体連合会からの照会があ
ったときに備える目的で,仮レセ及びそれに書き込みをしたもののコピーを取って
ロッカーに保管しておいた

カ 理事長は,平成7年6月ころ,P1に対して「1人では大変だろうから,私も
見よう。」と言って,自ら国民健康保険関係の入院レセプトのチェックを行うよう
になった。理事長のチェックの方法は,P1らによって作成された仮レセに指示事
項を記載した付せんを貼付するというものであったが,指示事項を記載するに当た
ってカルテの内容と突き合わせをすることはせず,誤記や記載の不整合等の形式的
なチェックを行って付せんに記載する(例えば,「入院年月日?」,「蛋白分画病
名?」,「病名整理」)ほか,仮レセに記載された病名等を参考にして,付け増し
をしても不自然と思われないような検査や薬剤等を付加するよう指示した内容を付
せんに記載していた(例えば,「腹部エコー加」,「抗ガン剤加」,「X-P(胸
部)加増」)。そして,P1はその付せんに記載された指示内容を参考にしなが
ら,従前と同様に仮レセに追加の書き込みを行って本レセを作成したが,このころ
から追加の書き込みはP4が行うようになった。
キ P1は,平成7年7月以降,仮レセの作成とそれへの書き込みという作業に替
えて,レセプト作成の際に付け増しする内容を「指示書」と呼ばれる用紙に各患者
ごとに毎月書き留め,その書き留めておいた内容を基に,直に本レセを作成し,こ
れを理事長によるチェック用のレセプトとして渡すようになり,結果として,理事
長は前記のような内容を記載した付せんを本レセに貼付することになった。理事長
の貼付した付せんによって,レセプトに追加する内容が増えた場合,P1は再度P
4に本レセを作成させ,それを支払基金等への提出用とした。P1は,提出した本
レセについてはコピーを取り,そのコピーに付け増しした事項を手書きした上,指
示書とともに保管しておいた。また,P1は,前記指示書については,当該月の不
正請求の内容を原則的には翌月分にもそのまま引き継ぐ形で指示書に記載していた
が,前月分の理事長の指示による不正請求の内容の全部又は一部についても指示書
に反映させることがあった。
 同年7月ころ,理事長からP1に対して,本件病院の経営が大分楽になってきた
ので同人の給料を増額するとの話があり,P1は同月16日付けで本採用されると
ともに,翌8月から給料を32万円に増額され,肩書も正式に事務長になった。
 なお,原告の平成6年事業年度(同年4月1日から平成7年3月31日まで)の
営業利益
が1276万5151円であったのに対し,平成7年事業年度(同年4月1日から
平成8年3月31日まで)の営業利益は4831万9730円と大きく伸びている
(甲51,52)。
ク 理事長は,平成8年4月ころ,本件病院を退院した患者が保健所等で本件病院
に対する不平を言っているとの話をP1から聞き,それが原因となって本件病院に
行政上の不利益が及ぶことを阻止しようとして,工作費の趣旨でP1に対して2回
にわたり合計250万円の金員を交付した。もっとも,理事長がその使途について
確認を求めたことはなく,P1は,同金員は自分が不正請求をしていることに対す
る見返りであると考えていた。なお,同金員については,税理士の助言に従い,原
告の会計上,仮払金とする処理がされているが,P1に対して格別の返還請求の措
置は取られていない。
ケ 平成8年7月ころ,P1が女性事務員に対してわいせつ行為を行ったことが問
題となり,被害女性の家族が本件病院の責任を問う姿勢を示したので,最終的に原
告がP1に代わって同事務員に対し,示談金として100万円を支払った(甲7
8。会計上は,P1に対する仮払処理がされているが,この金額についても返還請
求の措置は取られていない。)。この件に関し,原告はP1に対して何の処分も行
っていない。上記のわいせつ事件以降,原告は,理事長の事務の補助や病院内の業
務報告等をさせるために秘書を1人採用している。
コ 理事長は,平成8年末ころになって,それまで行ってきた入院レセプトのチェ
ックを中止したが,それ以降もP1によって不正請求は続けられた。このころか
ら,理事長は,本件病院の経営について,医療コンサルタントをしているP8に相
談をするようになり,当直医師の紹介を依頼するなど同人との関係を深めていった
(なお,医師の紹介依頼に応じて,P8はP9医師とP10医師の2名を非常勤医
師として紹介している。)。一方,理事長とP8との関係を知ったP1は,次第に
理事長との関係に不安や疑念を抱くようになっていった。
 なお,原告の平成8年事業年度(同年4月1日から平成9年3月31日まで)の
営業利益は1076万5881円となり,前年度に比べて低くなっている(甲5
3)。
サ 平成9年4月ころ,P1が理事長の不在中に理事長室に入り無断で理事長印を
押そうとしたことがあり,これを現認した理事長は,P1を厳しく叱責し,事務長
職を解くことも
検討する旨を通告した。
シ P1は,平成9年5月ころ,同月分を最後に不正請求をすることをやめたが,
その時点で不正請求の総額は4050万3544円に達していた。P1は,そのこ
ろ理事長に対し,「一度人間関係が崩れたため,過去の清算をしておきたいと思
う。」と述べ,愛知県へ不正請求の事実を申告したいとの内容の話をしたところ,
理事長から,不正請求分については自分が返済をするので,不正請求の内容や額を
明らかにするよう求められた。その後,P1は,不正請求の内容を明らかにするた
め,手持ちの資料で不正請求の一覧表(甲20,後に理事長あてに送った手紙に添
付したもの)の作成を始めた。
ス 理事長は,P1からの前記申出を受け,その対応策をP8に相談したところ,
P8は,P1の真意,目的を確認するため,平成9年6月初旬ころ,2度にわたっ
て同人と面談したが,P1は理事長を非難したり,本件病院の経営が成立している
のは自分の功績であるなどと述べてまとまりのない話に終始した。P8から面談の
内容について報告を受けた理事長は,P1とP4を解雇することとし,そのための
手続をP11弁護士に依頼するとともに,P8に対してP1の後任として適当な人
物を紹介してほしいとの依頼をした。
 一方,P1は,理事長が不正請求の責任を自分一人に押しつけようとしているの
ではないかと考え,平成9年6月ころから,理事長が不正請求に関与していること
を示す証拠を残すべく,たまたま自分の机の中に残しておいた付せん(理事長の指
示が記載されたもの)や保管しておいた仮レセのコピー,指示書及び本レセのコピ
ー(提出用の本レセに付け増しの内容を書き加えたもの)を本件病院の外に持ち出
し始めた。
セ 理事長は,平成9年7月12日付けでP1とP4を懲戒解雇することとし,P
1に対しては,本件病院の事務長室において,P11弁護士立会の下で直接懲戒解
雇通知書(甲19の1)を手渡し,P4に対しては,解雇通知書(甲19の2)を
郵送して通知した(なお,P4は,同年6月15日,同年7月15日付けで退職し
たい旨の退職届(甲42)を事前に提出しており,解雇通知書が郵送されたとき
は,病気療養中であった。)。P1は,通知書を受け取った後,レセプトのコピー
等を病院の外へ持ち出そうとしたが,そのうちの一部(平成9年1月分及び同年2
月分)については理事長によって持ち出しを阻止された。
(3) 
P1解雇後の経緯
ア P1は,原告を解雇された後,P7外科病院に入院したが,理事長は,P1に
対して本件病院から持ち出したレセプトの返還等を求めるため,数回にわたって調
査会社のP6なる人物を出向かせた。P6は,P1に対して,「どこの会社でも,
多少,大なり小なり悪いことをやっておる」,「重箱の隅をつつくようなことを言
っとってもしようがない」,「外注先としてお付き合いをしたい」などと懐柔かた
がた不正請求を明るみにすることを思いとどまるよう説得したが,P1は,理事長
本人と話し合うことを強く求めたため,話合いは平行線をたどり,説得は奏功しな
かった。その間,P1は,平成9年9月17日,未払給与等合計117万円の支払
催告(甲57の1)を,同じくP4は,平成9年8月27日に解雇予告手当等合計
35万円の支払催告(甲57の2)を,同年10月24日に再度慰謝料25万円を
加えた合計60万円の支払催告(甲57の3)を,それぞれ原告あてにした。
イ P1は,前記のP6らとの話合いが決裂したことから,平成9年10月16
日,理事長あてに不正請求に関する資料を添えた同月15日付けの手紙(甲20)
を送付した。その手紙には,P1は理事長の代理人と数回にわたって話合いをして
きたが,代理人の意見が各機関に書類を提出した上で,公の場ですべてのことにつ
いてけじめを付けたいとのことであったので,その希望どおりに不正請求に関する
資料を書類を整えた旨,また,不正請求の指示者が理事長である旨が記載され,全
体として本件不正請求の事実を暴露することを通告する内容となっている。
 理事長は,上記の手紙を受領した当日,P1から郵送された関係資料の写しを民
生部社会保険管理課に提出し,その経緯を届け出るとともに,不正請求の事実が判
明すれば,その金額を返還する旨を申し出た。
 また,理事長は,同年10月下旬ころ,P1との交渉をP12弁護士に依頼し
た。P12弁護士が2度にわたってP1と話合いを行ったところ,P1から,本件
不正請求は理事長承知の上でのことであると非難された上,同人の未払給与及び退
職金並びにP4の未払給与等として合計500万円の支払の要求と持ち出したレセ
プトのコピーの返還の申出があったが,理事長はこれを拒否し,P12弁護士も理
事長の関与の有無につき判断が付かなかったので,それ以上の交渉から手を引くこ
とにした。
ウ 民生部は,理事長か
ら提出された関係資料を調査分析した結果,診療報酬の付け増し請求の疑いが濃厚
となったため,平成9年12月25日、事実関係を確認するため,原告に対して個
別指導を実施した。個別指導の結果,付け増し請求の疑いのある14件の患者のう
ち,5件についてはその疑いが一層濃厚となったが,残り9件についてはその確認
ができなかったため,その日の個別指導を中止し,後日事実関係を詳細に確認する
こととした。
 その後,民生部は,平成10年1月20日,P1から事実関係を聴取するととも
に,関係資料の提出を受けた。なお,P1から民生部に提出された不正請求に関す
る資料一切は,後に原告に返却された。
エ その後の原告に対する監査の実施及び本件処分に至る経緯は,前記第2の1
(2)ないし(5)のとおりである。
 なお,P6は,理事長から事実調査の依頼を受け,平成13年2月6日ころ,本
件病院にかつて勤務していた元事務員にして事件に関わりたくないとの態度を表明
していたP13に対し,当方(原告側)からの質問に応じない場合は,刑事事件の
共犯者として提訴(告訴)することにもなり,その場合は逮捕されるかもしれない
との脅迫文言を記載した文書(乙48)を送付している。
3 以上の認定に対し,原告は,P1の証言及び供述は信用性が全くなく,一方で
理事長の供述は信用性が高いから,P1の証言等を根拠とした被告の主張には理由
がない旨主張している。そこで,以下においては,上記認定に至った経緯,なかん
ずく本件不正請求についての理事長の関与に関する理事長及びP1の証言等の信用
性について検討したところを敷えんする。
(1) 理事長の供述の信用性について
ア P1は,前記認定のとおり,国民健康保険の入院患者については,理事長自身
がカルテから作成された仮レセあるいは本レセに付せんを付して,これに「~
加」,「~増」と標記し,カルテには記載がない検査,薬剤等を付け増しするよう
P1に対して指示し,これに基づいて,提出用のレセプトが作成され,不正な診療
報酬請求がされた旨を証言している。
 これに対して,理事長は,その代表者尋問において,当該付せんの「加」の意味
につき,看護婦に対してカルテの記載漏れ又はレセプト作成時の入力漏れを指摘
し,あるいは医師が必要な検査等を指示し忘れていることに対して,「是非積極的
にやっていただくことを医師に要請するためのもの」であると供述する
が(なお,当該付せんの記載について,理事長は第9回弁論準備手続において,自
署であることを否認していたが,理事長の本人尋問においては,「フォイパン~」
「イセパシン~」との記載を除いては,同人の筆跡であることを否定しておらず,
明確に自署であることを認めなかったものについても,同人が自署であることを認
めた筆跡との比較対照をすれば,同一人の筆跡であることは容易に認められ
る。),P1は,当該付せんの記載について,理事長から上記のような指示・説明
はなかったことを明言するので,理事長の上記供述について検討する。
イ まず,証拠(乙16,17)によると,理事長は,第1回目の監査(平成10
年4月28日実施)の際,処分権者側の係官に対し,レセプトに貼付された付せん
に記載された3名の筆跡のうち,P1とP4の両名を挙げるのみで,残る1名につ
いて誰の筆跡か分からないと述べて,自己の筆跡であることを強く否認する態度に
終始した事実が認められるが,他人の筆跡については氏名を特定して指摘しなが
ら,自己のそれについて判別できないということは考えられず,でき得れば責任を
免れようとする態度の現れと推認することができる。
 次に,理事長は,付せんに記載された筆跡が自己のものであることを前提に,そ
れらはカルテの記載漏れ,レセプトの入力漏れの指示であると供述するが,前記認
定のとおり,理事長自身はレセプトのチェックをする際にカルテとの突き合わせ作
業を何ら行っていないのであるから,そのような作業を経ることなくカルテの記載
漏れやレセプトの入力漏れを的確に指摘することができるとは考え難く,また付せ
んに記載された内容は同一の内容のものが多く,理事長の供述を前提とすれば,看
護婦や事務員は同じような事項について,同じミスを何度も繰り返していたことに
なるが,付せんに記載された事項が重要な検査や薬剤であることを考えれば,その
ようなことはおよそ想定し難い上,理事長は記載漏れ等の事実について,看護婦ら
に対し,口頭で注意したことは一切ないし,確認もしていないとも供述しているの
であって,理事長の上記供述は極めて不自然かつ不合理であるといわざるを得な
い。
 もっとも,カルテとの突き合わせ作業を行っていなかったことについて,理事長
は,上記作業が煩雑で時間がかかるため,それを行う時間的余裕がないことや医師
や事務職員が事前ないし事後に突き合わせ作業を
行っているので,理事長自らが行う必要性が乏しいとの供述をするが,正確なチェ
ックに不可欠と考えられる作業に要する時間を惜しむ一方で,医師や事務職員に対
して明確な根拠を有しない指示を繰り返すことは,理事長自らレセプトチェックを
行うことにより事務職員らの意欲を高めるとの理事長の供述に符合しないものであ
って,理事長が突き合わせ作業を行っていなかったことの理由としては不合理とい
わざるを得ない。
 以上の判断は,レセプトの入力作業をしていたP14(旧姓〇〇)がレセプトの
入力漏れのチェックの付せんは横長の細長いタイプのものが別にあり,上記で問題
となっているような大きな付せんは見たことがないと述べている(乙1)ことから
も裏付けられる。この点についても,原告は,P14は平成7年7月1日をもって
退職しているから,問題となっている大きな付せん(同月10日に入力作業を行う
仮レセに貼付されている)を見ていないとしても当然であり,同人の供述は裏付け
根拠とならないと主張するが,P14は,退職した後も平成7年7月10日までは
本件病院が繁忙期であるため,引き続き手伝いでレセプトの入力作業を行っていた
旨明言しているのであるから,原告の主張は,その前提を欠くものとして採用でき
ない。
ウ さらに,理事長は,医師が必要な検査等をオーダーし忘れていることに対し
て,積極的に検査等の診療行為をするよう事務長を通じて医師に要請するためのも
のでもあると供述するが,そもそもどのような検査を行い,あるいは投薬を指示す
るかは医師でなければ本来なし得ない事柄であり(理事長が医師の資格を有してい
ないことは前記のとおりである。),また,実際に診察を行い,個々の患者の症状
等を把握した医師にこそできるものであって,前記のとおり,カルテとの突き合わ
せ作業さえ行っていない理事長が上記のような指示をするというのは余りにも不自
然である。仮に,理事長が本件病院の経営者の立場から高額な費用を掛けて購入し
た医療機器等の積極的活用を医師に要請するものであったとしても,そのような要
請は口頭で直接要請すれば足りることであって,わざわざ付せんを貼って,しかも
理事長と同じく医師の資格のないP1を通じて要請するというのは極めて不自然と
いわざるを得ない。特に,理事長は,果たして事務長がそのような要請を医師に伝
えてくれたのか(P15院長が付せんを見ることがなかったこ
とは,乙17によって認められる。),その反応はどうであったかを確認した形跡
がないにもかかわらず,長期間にわたって付せんによる要請を続けたというのは,
理解し難いところである(理事長は,その代表者尋問において,腹部エコーや抗ガ
ン剤の使用については確認し,要請を拒否するとの回答を得たことがある旨供述す
るが,そのような拒絶を受けながら,なおも付せんによる要請を繰り返したという
のはますますもって不自然であり,上記供述は採用できない。)。この点,理事長
は,本件病院のP15院長は離婚直後で精神的に不安定であったことなどを理由に
やむなく上記のような方法を取った旨弁解するが,いかなる診療行為をするかは医
師の裁量に属するものであって,医師が必要と判断した検査,投薬等の診療行為の
内容を超えて,医師に上記のような指示をすることは越権行為と考えられるだけで
なく,過剰診療の指示とのそしりを免れず(仮にそのような指示が実行に移された
ならば,本件要綱の定める要件①又は③に該当し得ると考えられる。),そのよう
な指示を受けた医師が快く思わないことは想像に難くない。とりわけP15院長が
精神的に不安定であったというのであればなおさらであると考えられるから,理事
長の上記弁解はその裏付けを欠くものであり,到底信用できない。
エ 以上のとおり,付せんの記載の意味に関する理事長の供述は,極めて不自然か
つ不合理なものであって,採用することができない。
(2) P1の証言等の信用性について
ア 原告は,P1がその証人尋問等において,理事長自らが付け増し請求する内容
を付せんに標記してレセプトに貼付し,それを参考にして不正請求を行っていると
証言している点について,①理事長とP1が共謀の上,不正請求を行っていたとす
れば,上記のような迂遠な方法を採るのではなく,それぞれが付け増しすれば足り
るはずである,②理事長が不正請求に関与していたとすれば,レセプトに直接書き
込みをすれば足りるのであり,付せんを使用する必要はないはずである,③理事長
の付せんに基づきなされた付け増し分は,「超音波検査」,「心拍監視」,「心電
図検査」,「X-P(胸部レントゲン検査)」に限られているが,これらの診療報
酬の請求点数はいずれも少額であり,その程度の金額を得るために不正請求という
危険を冒すとは考えられない,④理事長が記載した検査,投薬等の事項について
は,検査
名,投薬名が記載されているのみで,その回数,数量の記載がないから,不正請求
の指示としては不十分である,などを理由としてP1の上記証言は信用性がないと
主張する。
 しかしながら,上記の①,②の事実については,最終的に診療報酬の手続を行う
のは病院の事務方であり,事務長の立場にあるP1が不正請求の内容を取りまとめ
るのが便利かつ自然であること,そもそも本件不正請求は,理事長の了解を得た上
でP1が中心となって実行行為を行うことを前提として始められたものであり,付
け増し行為が共同で行われる必然性はないこと(P1は,証人尋問や甲第29号証
において,理事長の具体的指示を受けず,あるいは付せんによる指示を無視して不
正請求した分も存在することを認めている。),原告の代表者である理事長自らが
診療報酬の不正請求に関与する場合,理事長自身が関与していることを示す証憑を
残さないような方法を取ろうとすることはむしろ自然であって,付せんの貼付とい
う,一般には容易に隠滅することができる方法を選択したとも考えられること,な
どからすれば,P1の供述の信用性が弾劾されるとはいえない。また,③,④の事
実については,理事長が付せんに記載した検査等は,ある特定の疾病に対する診療
行為としてその必要性にかかわらず定型的に行われることが多いと考えられるもの
であって,付け増しのしやすい事項(裏を返せば,付け増しをしたとしても疑われ
にくい事項でもある。)であるともいえること,回数,数量の記載をしなかったこ
とについても,理事長が付け増しした事項が前記のとおり定型的なものであって,
指示を受けるP1としては従前の内容等を参考にしながら付け増しすることができ
るため,特に不都合は考えられないことからすれば,同様にP1の証言に信用性が
ないことの理由とはならないというべきである。
イ また,原告は,P1の証言によれば,理事長が付せんに記載した内容が指示書
に反映されていなければならないところ,平成7年7月以降の不正請求の基礎とな
った指示書の内容と理事長が付せんに記載した内容が合致しないものがあるなどの
疑問点,矛盾点が多々あり,同人の証言は信用できないと主張するが,前記のとお
り,P1は,付せんの内容を指示書に反映させることもあるが,理事長が付せんに
記載したものの全てを採用しているわけではないと証言し,また,証拠として提出
されている本レセ(平成
7年7月以降のもの)に貼付されている付せんは,本レセの写しとは別に保管して
いたものを,P1において,不正請求の当時,当該付せんが付されていたと思われ
る本レセに貼付し直したもので,再貼付の際,別の本レセに誤って付した可能性が
あることを認めているから,平成7年7月以降の本レセの記載と付せんの記載が合
致していないことによって,P1の証言の信用性が直ちに失われるものではない。
ウ さらに,原告は,P1は,その証人尋問において,理事長から明確な言葉で不
正請求の依頼を受けた旨を証言しているが,同証言は,本訴提起以前の被告からの
聴取に対して回答したことと矛盾しているほか,供述している理事長が不正請求を
依頼した時期,場所,具体的な会話の内容等について極めて不明確であって,信用
できないと主張するところ,確かに,P1の上記回答が「私は,理事長からはっき
りと不正請求をするよう指示を受けたわけではありませんでした。」(乙24)と
か,「私が少し何とかしましょうかと話をしたときに,暗黙の了解をされたものと
思った。」(甲29)などというものであった事実が認められる。
 しかしながら,P1の理事長との謀議に関する証言及び供述は,両者の間で明示
的な謀議が形成された時期,場所,具体的な内容等について不明確な部分はあるも
のの,理事長と謀議を形成するに至った大まかな経緯,すなわち,P1が事務長に
就任後,理事長がP1に対し本件病院の経営が苦しいと愚痴をこぼしていたこと及
び他の病院では不正請求が行われているとの話をしたこと,それを聞いたP1が理
事長が自分に対して不正請求をやるように示唆していると感じたこと,その後新し
いコンピュータを導入するに当たって,理事長がP1に対しその購入資金の捻出を
要望したこと,P1はその要望を不正請求の指示であると理解し,理事長に対して
その真意を確認したところ,理事長から否定する回答がなかったため,P1は不正
請求をする決意をするに至ったこと,以上の事実について同人の供述は一貫してお
り,謀議の成立したときから供述あるいは証言時までに既に数年が経過し,事実の
詳細については記憶が薄れていることを考慮すれば,謀議の形成時期及び場所やそ
の際の具体的な会話の内容の細部について不明確な部分がある(もっとも,時期や
場所については概ね特定されている。)としても,証言全体の信用性に影響を与え
るものではない。
また,前記の本訴以前のP1の供述は,当初,理事長の側から明確な言葉でもって
働きかけがあったわけではないことを示していると解され,その点では本訴におけ
る証言と概ね一致しているから,同様にP1の証言全体の信用性を失わせるもので
あるとはいえない。
エ そこで更にP1の証言について検討するに,P1の証言は,不正請求の方法,
態様等について具体的であり,かつ同人しか知り得ない内容(仮レセ,指示書の存
在)が明らかにされていて,その証言に沿った客観的証拠も存在するほか,理事長
が付せんによる付け増し行為を行っていなかった時期(平成6年12月から平成7
年5月,平成9年1月から5月)やその内容の一部について,自己の判断で付け増
しを行っていたことを認めるなどの不利益供述が進んでなされており,証言全体に
ついて相当程度の信用性が認められる。また,前記のとおり,理事長との謀議が段
階的にされるに至ったことについて同人の供述は一貫していること,最終的な謀議
の成立がレセプト作成用のコンピュータの導入に関連するとしている点について,
コンピュータの導入された経緯に関する理事長の供述とP1の証言とは一致するこ
と,付せんに標記された「~加」の記載はレセプトに記載がないものを加えるとの
意味であると理解するのが自然であり,現に理事長が付せんに標記した事項の多く
が現実に付け増し請求されており(乙8ないし10の各1,2,11の1ないし
3,12の1,2,13ないし15の各1ないし3,なお,付せんに記載のある抗
ガン剤については当時本件病院において扱われていなかったため,現実には請求さ
れていない。),P1が理事長の付せんの内容を参照して不正請求を行っていたと
の同人の証言内容と客観的に合致すること,理事長が付せんによって指示を行って
いた時期が平成7年6月から平成8年末までであることは理事長も認めていること
に加え,前記で検討したように,付せんの意味に関する理事長の供述が不自然で,
合理性を欠くものであることなどを併せ考えると,理事長が不正請求に関与してい
たとするP1証言の信用性は高いというべきである。
オ かてて加えて,理事長が不正請求に関与していたとのP1証言の信用性を補強
する以下のような事情も存在する。
(ア) そもそもP1が本件不正請求を始めた動機について,原告は,本件病院を
混乱に陥れ,その主導権を握る目的であったと主張する。し
かしながら,前記認定のとおり,P1が原告に対して具体的な金員を要求したのは
懲戒解雇された後であり(理事長の供述によっても,平成8年10月になって,理
事長の地位を要求したのが初めてであり,かつ理事長が拒否するや,在職中は何ら
の要求をしていない。),平成6年12月から不正請求をしていることに照らす
と,自己の利益を得る目的でのみ,不正請求を行っていたとは考え難い。むしろ,
P1が証言するように,理事長からの要請を受けたことが主たる動機であったと理
解するのが自然である。
(イ) 前記認定のとおり,理事長は,P1から事務員として推薦されたP4を医
療事務主任に抜擢した上,同人について,平成6年11月,原告名義でマンション
(3LDK)を借り,その賃料(月額10万8000円)を原告が負担している。
本件病院において何の実績もなく,過去の実績,経験等についても明らかでない新
入りの事務員にすぎないP4について,このような破格の待遇をするには特別の理
由があるものと考えられるところ,P1証言によれば,上記賃貸借契約の少し前に
理事長との間で不正請求を行うことについての謀議が成立したとされており,上記
事実は,実際にレセプト入力作業を行うP4を重用することにより,P1が不正請
求を始めるに当たって同人の便宜を図ったことをうかがわせる。
 この点,理事長は,その代表者尋問において,上記月額賃料等の半額は,寮費と
してP4の毎月の給与から控除されていること,半額賃料負担の条件として残業手
当は支給しないことなどを理由に,P4に対して破格の待遇を行っていたわけでは
ないと供述している。しかしながら,P4は,上記のとおり,何らの実績がないに
もかかわらず,役職手当5万4000円の支給を受けていたのである(甲71の1
ないし3)から,残業手当を支給しないことがP4に対して破格の待遇をしたこと
を否定する理由とはならないことは明らかである。
(ウ) P1が起こしたセクハラ事件の示談金100万円を原告が負担し,かつ,
その事件に関しP1に対しては何の処分も行わないなどP1に対して特別の便宜を
図っている。同様に,工作費の趣旨で提供したとする250万円についても,その
使途を確認することもなく,また仮払金処理をしているにもかかわらず,返還を求
めた形跡がない。これらの事実は,事務長に対する単なる厚遇というには過ぎてい
ると考えられ,理事長がP1
を極めて重視していたことを推認させるものである。
4 以上検討したとおり,本件病院における不正請求は,原告代表者である理事長
の要請及び了承に基づき,事務長の地位にあったP1を実行行為者として行われた
ものであると認められるから,要件②の「故意に不正又は不当な診療報酬の請求を
行ったもの。」に該当する(なお,甲第43号証によれば,平成11年6月14日
に本件処分に先立って行われた聴聞手続において,当時の処分権者側から本件不正
請求は要件④に該当するとの見解が示された事実が認められるが,法43条の12
第3号は,処分事由としての不正請求を要件①ないし④に細分化しておらず,現に
甲第22号証,乙第27号証によれば,本件処分は上記法条の第3号に基づくもの
であるとしてなされていることが認められるので,いわゆる処分理由の差替えの問
題は生ぜず,被告が本訴において要件②の充足を主張し,裁判所がこれを認定する
につき何らの支障もないというべきである。)。
 この点,原告は,不正請求を行った他の医療機関に対する処分との不均衡を主張
し,これに沿うかのごとき証拠(甲31,43ないし45)もあるが,反面,不正
請求に係る金額が少額であるにもかかわらず,被告によって保険医療機関の指定の
取消処分を受けた例が存在する事実も認められる(乙32,34)から,結局は個
々の事案の内容によると考えられ,本件処分が直ちに行政処分における比例原則,
平等原則に違反するとはいえない。かえって,本件不正請求が平成7年1月から平
成9年5月までの長期間にわたって繰り返し行われたものであること,不正請求金
額が約4000万円もの多額にのぼること等を考慮すれば,原告が不正請求の事実
を自主申告し,不正請求分を自主返還した事実を考慮したとしても(なお,原告の
自主申告は,P1が不正請求に関する資料を原告あてに送付し,P1が同じ資料を
愛知県に提出して不正請求の事実を告発することが確実となったため,同告発に先
んじて行われたものと認められ,自主申告の事実があるからといってことさらに原
告の有利に斟酌することはできない。),愛知県知事が行った本件処分は相当であ
って,その裁量権を逸脱ないし濫用したものといえないことは明らかである。
第4 結論
 以上の次第で,本件処分は適法であり,原告の請求は理由がないから棄却するこ
ととし,訴訟費用の負担につき,行政事件訴訟法7条,民
事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。
名古屋地方裁判所民事第9部
裁判長裁判官 加藤幸雄
裁判官 橋本都月
裁判官 富岡貴美

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