弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を科科八百円に処する。
     右科科を完納することができないときは金百円を一日に換算した期間被
告人を労役場に留置する。 原審並びに当審における訴訟費用は被告人の負担とす
る。
         理    由
 弁護人宗政美三の控訴の趣意は記録編綴の控訴趣意書記載のとおりであるから、
ここにこれを引用する。
 論旨第一点について
 刑法第二三四条の業務妨害罪は、威力を用いて人の業務を妨害することによつて
成立し、右にいわゆる威力とは、一般に人の意思を圧迫するに足る有形並びに無形
の勢力(暴力の行使並びに脅迫は勿論その他社会的、経済的、政冶的などの地位、
権勢による圧迫等を)汎称するものと解する。而して原審並びに当審において取<要
旨>調べた証拠に現われている事実によれは当時被告人は原判示のようにAが被告人
方附近の山林(但し同所はBの所有地で被告人のものではない)において製
材のため製材機を搬入しようとしたのに対し、それまでに同所で製材した鋸屑を同
人が約束に従い片付けていないためそれが被告人方の飲料用水に流出する虞がある
としてこれを詰責すべく判示のように申向けたところ、Aが困惑し遂に右搬入を中
止し該製材をやめるに至つたことを認むることが出来るけれども、客観的にみてそ
の際被告人がAに対し右搬入を中止し製材業務をやめねばならない程の威力を用い
たと首肯するに足る証拠は何等存しないところである。尤も原判決は判示のように
Aに申向け怒鳴りつけたと判示し、原審における証人Aは、その際私は被告人に大
きな声で怒鳴りつけられ、同人には暴行罪の前科があるので無理に搬入したらひど
い目に会うかも知れぬと思いやむなく中止した旨供述し居り、被告人には暴行罪の
前科一犯(罰金千円但し一年間執行猶予)があることは明らかであるけれども、さ
りとて同人は未だ暴行癖がある者として一般に怖れられていたわけではないことは
当審証人Cの供述によつても明らかであり、又当時被告人において暴行の挙に出る
が如き言動に及んだこともこれを認めるに足る証拠の存しないところであるから
(当審における証人Aの「その際、被告人は機械を入れたらしごうすると一口言つ
た」旨の供述はたやすく措信し難い)若し当時Aにおいて被告人の暴行を怖れたと
するも前記本件のいきさつ等に鑑みるときは、右は全く同人の特種の恐怖感に基い
た一時的の思い過ごしに過ぎなかつたと認める外はないのである。之を要するに被
告人は或は詰責し或は他人を困惑せしむる様な不当なことを申向けてその業務を妨
害したことは認められるが威力を用いたことは之を認むるに足る証拠はない。従つ
て本件被告人の行為の如きは軽犯罪法第一条第三号に該当するものと解するを以て
正当とし、刑法第二三四条を以て問擬すべきものではない。従つて刑法第二三四条
を適用処断した原判決はその間所論のように事実誤認又は法令の解釈適用を誤つた
違法があるに帰し到底破棄を免れない。
 論旨は理由がある。
 よつて論旨第二点(量刑不当)についての判断を省略し刑事訴訟法第三九七条に
より原判決を破棄し同法第四〇〇条但書に従い当審において左のとおり自判する。
 (罰となるべき事実)
 被告人は昭和二十七年九月一日頃a村D公民館附近の橋のたもとにおいて、当時
材木商のAが被告人方附近のb山林において製材の業務を営むため同所に製材機を
搬入しようとしていたのに対し、右Aがそれまでに同所で製材した鋸屑を約束に従
い片付けていないことを詰責するため「製材機はここから入れさせぬ、入いるな
ら、cから入れ、入つても仕事はさせぬ」と申向け、因つて右Aをして該製材機の
搬入を中止するに至らしめたものである。
 (証 拠)
 一、 原審の検証調書
 一、 原審における証人E、同F、同Aの各尋問調書
 一、 原審第二回公判調書中の被告人の供述記載
 一、 被告人の当公判廷における供述
 (法令の適用)
 被告人の右所為は軽犯罪法第一条第三一号罰金等臨時措置法第二条第二項にあた
るから所定刑中科料刑を選択し所定金額の範囲内で被告人を科料八百円に処し、な
お右科料の不完納の場合における労役場留置につき刑法第一八条、原審並びに当審
における訴訟費用の負担につき刑事訴訟法第一八一条第一項に各従い主文のとおり
判決する。
 (裁判長判事 伏見正保 判事 尾坂貞治 判事 小竹正)

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