弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 被告人の上告趣意について。
 第一点 しかし所論Aの事件が所轄検察庁に送致されず、且つ同人が起訴処罰さ
れず、また、警察官の意見が被告人に罰金を科するだけで足りるとしたにかかわら
ず検察官は懲役及び罰金を求刑し、第一審及び原審の裁判所がこれを是認したから
といつて、被告人を国籍によつて差別したとはいえないし、その他原裁判所が人種
により被告人を差別待遇した事跡を認めることができないから、所論を採用するわ
けにはいかないのである。
 第二点 証人申請に対して採用するか否かは、特別の事情のない限り事実審裁判
所の裁量権に属する事柄である。証人の申請を裁判所が必要適切でないと認め得る
場合にこれを却下しても、それが直ちに憲法三七条二項に違反しないことは、すで
に判例で示して来たとおりである。たとい原審では唯一の証人であるとしても、所
論のような事項の証拠申請について却下したことが違法であるとは認め難い。論旨
は理由がない。
 第三点 所論は、本件犯行の当時禁止されていた馬鈴薯の輸送は、昭和二四年一
二月一日からその禁止が撤廃されたから、現在では犯罪を構成しないことになつた
ので原判決の破棄を求めるというのである。しかし、主要食糧を法定の除外事由な
くして輸送することを禁止する法規範を定めた食糧管理法施行規則二三条の七(そ
の後二九条)の規定は、本件犯行の昭和二二年八月二九日及び同月三〇日当時にお
いては勿論、現在でもなお厳として存在する。ただ本件犯罪成立後昭和二四年一二
月一日公布農林省令一一五号によつて食糧管理法施行規則二九条の一部は改正せら
れ、本件犯罪の目的物と同種類の馬鈴薯が主要食糧から除かれ、従つて、馬鈴薯に
ついては同年同月同日以後輸送しても差支なくなつただけである。それは例えば通
貨偽造罪成立後当該種類の通貨だけが法令によりその通貨としての強制通用力を失
い、又は収賄罪成立後当該公務員の官職だけが法令により廃止されても犯罪の成立
に影響のないのと同じことである。されば、右省令は、既に成立した主要食糧輸送
禁止違反の犯罪に対する刑罰を廃止したものとはいえないから、所論は採用できな
い。
 この判決は、第三点に関する裁判官眞野毅の意見を除き、その余は全裁判官の一
致した意見である。第三点に関する裁判官眞野毅の反対意見は次のとおりである。
 本件犯行当時食糧管理法施行規則二九条で禁止されていた馬鈴薯の輸送は、昭和
二四年一二月一日同条の改正により禁止が解かれ、その輸送行為に対する処罰規定
はなくなつたのである。すなわち、主要食糧を輸送することを禁止する法規が本件
犯罪当時も現今も存在することに間違はないが、現今においてはその主要食糧の中
から馬鈴薯は除かれてしまつたのであるから、馬鈴薯の輸送行為は犯罪とならず、
従つて刑罰も科せられない法律状態となつたことは一点疑の余地もないところであ
る。それ故、かかる事態は、刑法六条、旧刑訴三六三条にいわゆる刑の廃止に当る
ことは明らかであるから、本件は破棄免訴すべきものである。その詳細の理由は、
昭和二五年一〇月一一日大法廷判決(同二三年(れ)八〇〇号)の中で述べた趣旨
と同様である。
 よつて旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。
 検察官 長谷川瀏関与
  昭和二六年三月二二日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    眞   野       毅
            裁判官    澤   田   竹 治 郎
            裁判官    齋   藤   悠   輔

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