弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人光石士郎、同橋本和夫、同河鰭誠貴、同後藤峯太郎の上告理由第一点
について。
 原判決によれば、原審は、上告人A株式会社が本件建物について原判示のような
増改築工事をするについては被上告人の承諾を要するものであつたところ、同上告
人において被上告人から明示もしくは黙示の承諾を得たものと認めるに足りる証拠
は存しないと判断して、その趣旨を判示したものであることを窺うに難くなく、右
判断は、その証拠関係に照らして首肯することができる。従つて、原判決には所論
の違法はないから、論旨は採用できない。
 同第二点について。
 原審において陳述された本件控訴の趣旨を、一審および原審における被上告人の
弁論の経過に照らして考えれば、被上告人は、昭和三七年五月二七日以降の賃料相
当額が一月金一五万円であるとしてその割合による損害金の請求をなすものである
趣旨が窺えないでもない。従つて、原判決には所論の違法はないから、論旨は採用
できない。
 同第三点について。
 現に賃貸借契約中に定められた約定賃料額と客観的に相当な賃料額とは必ずしも
同一ではないから、賃貸借終了後の目的物返還義務不履行ないし不法占拠による賃
料相当の損害額が右賃貸借における約定賃料額を超えるものと判断されたからとい
つて、なんら違法はなく、本件において賃料相当の損害額が一月金一五万円を下ら
ないものである旨の原審の判断は、その挙示の証拠関係に照らして首肯するに足り
る。右損害額の算出にっき、さらに所論のようにその根拠を示すべき必要は認めら
れない。従つて、論旨は採用できない。
 同第四点および第五点について。
 原審挙示の証拠関係に照らせば、本件建物賃貸借契約が解除された昭和三九年一
月一七日当時の賃料相当額が一月一五万円を下らない旨の原審の判断は相当であり、
これに所論の違法は認められない。従つて、論旨は採用できない。
 上告代理人小野久七の上告理由第一点について。
 上告人A株式会社が本件賃借建物について昭和三三年以降増改築工事をなした面
積が合計二九〇坪余に達する旨の原審の認定は、原審挙示の証拠関係に照らせば、
数次にわたる増改築工事についての延面積に関するものであることが明らかである
から、増改築面積が現存建物面積を超えているからといつて別に違法となすに足り
ず、また、右証拠関係に照らせば、右認定は首肯するに足りる。さらに、右上告人
と被上告人との間に本件建物の敷地についても賃貸借契約が存在していたことは原
審の認定しないところであるから、右敷地賃貸借契約が存在することを前提として
原判決の違法をいう論旨は、前提を欠くに帰する。その他論旨は、原審の認定しな
い事実を主張して、原審の証拠の取捨判断、事実認定を非難するものにすぎない。
従つて、論旨は採用できない。
 同第二点について。
 原審の確定した事実関係のもとにおいては、上告人A株式会社の本件建物無断増
改築工事が賃貸人たる被上告人に対する関係で信頼関係を破壊するに足る不信行為
にあたるとした原審の判断は、首肯するに足りる。論旨引用の当裁判所判例は、本
件とは事例を異にするものであつて、本件に適切ではない。論旨は、独自の見解に
立つて、原判決を非難するに帰し、採用できない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    柏   原   語   六
            裁判官    下   村   三   郎

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