弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成26年2月18日判決言渡
平成25年(行ウ)第23号消費税更正処分等取消請求事件
主文
1処分行政庁が平成23年3月28日付けで別紙破産者目録記載の破産者
に対してした,次の(1)及び(2)の各処分をいずれも取り消す。
(1)平成19年10月1日から平成20年9月30日までの課税期間に
係る消費税及び地方消費税の更正処分(ただし,平成25年7月30日
付けでされた減額再更正処分後のもの)のうち,消費税の還付すべき税
額5108万6522円を下回る部分及び地方消費税の還付すべき譲渡
割額1277万1630円を下回る部分並びに過少申告加算税の賦課決
定処分(ただし,同日付けでされた変更決定処分後のもの)のうち,2
74万1000円を超える部分
(2)平成20年10月1日から平成21年9月30日までの課税期間に
係る消費税及び地方消費税の更正処分(ただし,平成25年7月30日
付けでされた減額再更正処分後のもの)のうち,消費税の還付すべき税
額4499万0059円を下回る部分及び地方消費税の還付すべき譲渡
割額1124万7514円を下回る部分並びに過少申告加算税の賦課決
定処分(ただし,同日付けでされた変更決定処分後のもの)のうち,2
24万4500円を超える部分
2処分行政庁が平成23年5月31日付けで別紙破産者目録記載の破産者
に対してした平成21年10月1日から平成22年6月10日までの課税
期間に係る消費税及び地方消費税の更正処分(ただし,平成23年7月8
日付けでされた減額再更正処分後のもの)のうち,消費税の還付すべき税
額820万9527円を下回る部分及び地方消費税の還付すべき譲渡割額
205万2381円を下回る部分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
(ただし,同日付けでされた変更決定処分後のもの)のうち,18万35
00円を超える部分をいずれも取り消す。
3訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
主文同旨
第2事案の概要
本件は,会員制リゾートクラブである「A」を主宰していた別紙破産者目録記
載の破産者(以下「本件破産会社」という。)が,平成19年10月1日から平
成20年9月30日までの課税期間(以下「平成20年9月課税期間」とい
う。),同年10月1日から平成21年9月30日までの課税期間(以下「平成
21年9月課税期間」という。)及び同年10月1日から平成22年6月10日
までの課税期間(以下「平成22年6月課税期間」といい,平成20年9月課税
期間及び平成21年9月課税期間と併せて「本件各課税期間」という。)におけ
る消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)について,Aに入会した
会員(以下「本件各会員」という。)から入会時に収受した金員の一部(同金員
のうち,預託金として返還することとされている部分を除いた残りの部分。以下
「本件金員」という。)は,課税資産の譲渡等の対価に該当するなどという理由
により,処分行政庁から,本件各課税期間の消費税等に係る更正処分及び過少申
告加算税の賦課決定処分を受けたことに対し,本件破産会社の破産管財人である
原告が,本件金員の収受はいわゆる不課税取引であるから,これらの各処分(た
だし,異議決定等による一部取消し後のもの)は違法であると主張して,その取
消しを求めている事案である。
1関係法令の定め
本件に関係する法令等の定めは,別紙関係法令等の定め記載のとおりである
(同別紙において用いた略称は,以下の本文においても用いることとする。)。
2前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨
により容易に認められる事実)
(1)当事者等
ア(ア)本件破産会社は,平成18年10月25日にリゾート施設会員組織
の運営,管理,会員権の管理,販売等を目的として設立された法人であ
り,会員制リゾートクラブであるAを主宰していた。なお,本件破産会
社の設立に先立ち,株式会社Bが,平成17年4月頃にAの前身である
「C」を立ち上げて,同会の第1次募集を行っていたが,本件破産会社
が設立されて,C(A)の主宰及び会員を引き継いでいる。[乙6の
1]
(イ)Aは,入会した会員(本件各会員)が,本件破産会社との間の入会
契約等に基づいて,D株式会社(以下「D」という。),株式会社E
(以下「E」という。)及び株式会社F(以下「F」といい,D及びE
と併せて「本件各運営会社」という。)が運営している別表1ホテル一
覧記載の国内11か所のホテル(以下「本件各ホテル」という。)にお
いて,宿泊サービス等の提供を受けることができるという会員制組織で
ある。[乙5,18ないし22]
イ本件破産会社の債権者である本件各会員の一部は,平成22年5月21
日,東京地方裁判所に対し,本件破産会社に係る破産手続開始の申立てを
行った。同裁判所は,同年6月10日,破産手続開始決定(当庁平成22
年(フ)第8801号)を行い,原告を本件破産会社の破産管財人として
選定した。[甲1]
ウ(ア)警視庁合同捜査本部は,平成22年5月26日,本件破産会社の関
係先に対して一斉捜索を行い,平成23年2月7日,本件破産会社の実
質的な経営者であったG及び本件破産会社の代表取締役であったHを組
織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「組織的犯
罪処罰法」という。)違反(組織的詐欺)の被疑事実で逮捕した。[甲
2の1ないし6]
(イ)東京地方検察庁は,平成23年3月18日,G及びHを組織的犯罪
処罰法違反(組織的詐欺)の罪で起訴し,東京地方裁判所は,平成25
年5月30日,Gについて懲役18年の有罪判決を,同年6月26日,
Hについて懲役5年の有罪判決をそれぞれ宣告した。[甲17,18]
(2)Aの事業概要
アAの会員募集は,第1次から第4次までに分かれているところ(なお,
第1次募集は,前述のとおり,株式会社Bが行ったものである。),それ
ぞれの募集次において,ブロンズ会員,シルバー会員,ゴールド会員及び
プラチナ会員の会員区分が存在していた。また,第4次募集においては,
上記四つの会員区分に加えて,ハーフ会員(準会員)及びダイヤモンド会
員の会員区分も存在していた(以下,募集次及び会員区分に応じて会員を
特定する場合には,「本件2次会員(ブロンズ会員)」などというように
いう。)。
イ(ア)本件各会員が入会時に本件破産会社に支払う金員(以下「本件入
会時費用」という。)のうち,本件金員を除く部分は,預託金とし
て,入会時から5年後に本件各会員に返還されるものとされていた
(以下,本件入会時費用のうち,5年後に返還することとされている
部分を「本件預託金」という。)。ただし,第1次募集においては,
本件入会時費用の全額が預託金とされているため,本件金員に相当す
る部分は存在しない。
(イ)本件破産会社は,本件各会員に対し,本件各ホテルにおいて現金
と同様に使用することができ,1ポイント当たり1円の価値を持つポ
イント(以下「宿泊ポイント」という。)を5年間にわたって発行す
ることとしており,入会時に支払う金員(本件入会時費用)が多額で
あるほど,発行される宿泊ポイントも多額になることとされていた。
(ウ)本件各会員が入会時に支払う本件入会時費用の額及び本件各会員
が入会後に受けられるサービス内容等は,その募集次及び会員区分に
応じて異なっており,本件入会時費用の金額及び内訳(本件預託金と
本件金員の区別)並びに宿泊ポイントの発行内容は,別表2本件入会
時費用の内訳及び宿泊ポイントの発行内容(一覧)記載のとおりであ
った。
ウ本件破産会社は,破産手続開始決定時において,別表1番号1ないし8
のホテルを所有していたところ,Eとの間で同表番号1ないし7の各ホテ
ルについて,Fとの間で同表番号8のホテルについて,それぞれ賃貸借契
約を締結し,E及びFとの間で,それぞれ宿泊客あっせんに係る覚書を締
結した。同覚書において,本件破産会社は,E及びFが運営する上記各ホ
テルに宿泊客として本件各会員をあっせんし,本件各会員は,本件破産会
社が発行した宿泊ポイントを用いて上記各ホテルから宿泊サービス等の提
供を受けることができるとした上で,本件破産会社が,E及びFに対し,
本件各会員が上記各ホテルで使用した宿泊ポイント数相当額を支払うとと
もに,E及びFが,本件破産会社に対し,本件各会員により使用された宿
泊ポイント数の20%相当額をあっせん手数料として本件破産会社に支払
うことなどを約していた。また,本件破産会社は,同表番号9のホテルに
ついてはDとの間で,同表番号10及び11の各ホテルについてはEとの
間で,それぞれ上記と同内容の宿泊客あっせんに係る覚書を締結していた
(以下,本件破産会社と本件各運営会社との間における上記各覚書を「本
件各覚書」という。)。[乙7ないし17]
(3)本件破産会社と本件各会員との間における入会契約の内容等
ア本件各会員は,本件破産会社との間において入会契約(以下「本件入会
契約」といい,同契約に係る契約書を「本件契約書」という。)を締結し
ていたところ,第2次募集における本件契約書には,要旨,以下の内容が
記載されていた(なお,第3次及び第4次募集における本件契約書にも,
おおむね同じ内容が記載されていた。)。[乙18,19,21]
(ア)目的(2条)
Aは,本件各ホテルを会員の利用に供し,このホテルの相互利用を通
じて,親睦と快適なリゾートライフを促進することを目的とする。
(イ)クラブの運営管理(3条)
本件破産会社は,Aの運営及び管理を行う。
(ウ)会員資格の取得(4条)
Aへ入会しようとする者は,所定の入会申込手続を行い,本件破産会
社との入会契約を締結し,本件破産会社に会員としての「施設使用料」
(本件金員)及び「施設使用預託金」(本件預託金)の払込みを終えた
とき,会員資格を取得する。また,会員資格を取得した者は,本件各ホ
テルを利用することができる(以下,本件契約書のうち,上記内容の条
項を「本件会員資格条項」という。)。
(エ)施設使用預託金(7条)
Aに入会しようとする者は,本件破産会社に対し,無利息にて「施設
使用預託金」(本件預託金)を預託し,本件破産会社は,この預託債権
について預り証を発行する(以下,本件契約書のうち,上記内容の条項
を「本件預託金条項」という。)。
(オ)会員へのサービス内容(8条)
Aの会員の種類は,別表2(募集次に応じて同表(1)ないし(4))のと
おりとし,本件破産会社は,本件各会員に対し,同表の各会員・コース
に相当する宿泊ポイントを付与し,本件各ホテルにおいて,会員以外の
者の宿泊料金の20%割引にて宿泊し,宿泊ポイントにより宿泊料金等
を支払うことができる(以下,本件契約書のうち,上記内容の条項を
「本件会員サービス条項」という。)。
(カ)会員カードの利用方法(9条)
本件破産会社は本件各会員に対し,上記(オ)の会員の種類に応じ,ポ
イントカードを発行する。このポイントカードは,会員カードを兼用
し,電磁的に記入され,ポイントカードを利用する際には,必ずこれを
利用しなければならない。本件各会員が,この会員カード兼ポイントカ
ードを持参しなかった場合は,会員としての利用はできず,一般宿泊客
と同様の取扱いとなる(以下,本件契約書のうち,上記内容の条項を
「本件カード条項」といい,同条項により発行されたカードを「本件カ
ード」という。)。
(キ)宿泊予約(10条)
本件各会員は,1年前から宿泊予約をすることができる。
(ク)退会(15条)
本件各会員が退会する場合は,本件破産会社に対し,3か月前までに
文書で退会の申出をするものとする。ただし,本件預託金は,入会後3
年未満の場合は50%,3年以上5年未満の場合は75%,5年以上の
場合は100%の割合により返還するものとする(以下,本件契約書の
うち,上記内容の条項を「本件退会条項」という。)。
イ本件契約書(本件会員サービス条項)においては,宿泊ポイントの有効
期間を会員資格の有効期間内とすること,本件各会員が健康上の理由等に
より,宿泊ポイントを消化できない場合には,本件各会員は,本件破産会
社に対し,別表2(募集次に応じて同表(1)ないし(4))の「残ポイント払
戻し率」欄記載の一定比率による買取り(払戻し)を要求することができ
ることが付記されていた(ただし,第3次募集における本件契約書には,
残った宿泊ポイントの買取りに関する記載部分はない。)。本件破産会社
は,本件入会契約に基づき,本件各会員から未使用の宿泊ポイント(既に
発行済みのもの)の買取りに応じていたが(以下,本件破産会社が本件各
会員に対して未使用の宿泊ポイントにつき支払う金額を「本件未使用ポイ
ント買取金額」という。),途中退会時に発行されていない宿泊ポイント
の取扱いについては特段定めておらず,未発行の宿泊ポイントを払い戻す
ことは予定されていなかった。[乙18,19,21]
ウ本件契約書(本件カード条項)は,宿泊ポイントを本件カードに電磁的
に記入して管理することとしているところ,第1次募集及び第2次募集の
途中までは,宿泊ポイントは,カードに電磁的に記入する方法ではなく,
本件各会員に対して紙製のチケット(以下「本件チケット」という。)を
交付する方法によって発行することとされていた。[甲5ないし7]
(4)宿泊ポイントの発行から精算までの流れ
Aの会員(本件各会員)に対する宿泊ポイントの発行から,本件破産会社
と本件各運営会社との間における宿泊ポイントの精算までの流れは,以下の
アないしエのとおりである。
ア本件破産会社は,本件各会員になろうとする者から,本件入会時費用
(本件2次会員〔ブロンズ会員〕の場合,合計100万円)を収受し,本
件各会員に対して,本件カードを交付する。
イ(ア)本件各会員に対しては,入会時において,別表2の「初年度」欄記
載の金額に相当する宿泊ポイント(本件2次会員〔ブロンズ会員〕の場
合,28万円分)が付与され,本件カードに電磁的に記録される(ただ
し,本件チケットが発行される場合には,宿泊ポイントは,同チケット
の交付による〔以下同じ〕。)。
(イ)本件各会員は,2年目以降5年目(最終年)までの間,別表2の
「2年目」ないし「最終年」欄記載の金額に相当する宿泊ポイント(本
件2次会員〔ブロンズ会員〕の場合,各年8万円分)が毎年付与されて
本件カードに電磁的に記録される。[乙18,19,21]
ウ本件各会員は,宿泊ポイントを用いて,本件各ホテルに宿泊することが
できる。ただし,宿泊ポイントは,本件カード(本件チケットが発行され
ている場合には,当該チケット)を持参して,これを利用しなければなら
ない。
エ本件各会員が本件各ホテルにおいて宿泊ポイントを使用した場合,以下
のとおり,本件破産会社と本件各運営会社との間において,宿泊ポイント
等の精算が行われる(別紙本件破産会社と本件各運営会社との間の精算関
係(概念図)参照)。
(ア)本件各運営会社は,本件各覚書に基づき,本件破産会社に対し,本
件各会員が本件各ホテルにおいて使用した宿泊ポイントに相当する金額
を請求する。
(イ)本件破産会社は,本件各覚書に基づき,本件各運営会社に対し,宿
泊料の20%に相当する額(宿泊あっせん手数料)を請求する。
(ウ)上記(ア)及び(イ)は差引計算され,本件破産会社が本件各運営会社
に対して所定の金額を支払い,宿泊ポイントの精算は完了する(以下,
本件破産会社が本件各運営会社に支払う差引計算後の金額を「本件宿泊
ポイント精算金額」という。)。
(5)本件各会員の募集状況及び本件各会員による本件各ホテルの利用状況
ア本件各会員の募集次別の会員数・入会口数は,次のとおりであり,会員
の総合計が7781名,入会口数の総合計が合計8722口であった(な
お,複数口を所有している会員がいるため,募集次別の会員数の合計は総
合計と一致しない。)。[甲19]
(ア)第1次募集会員数1031人(入会口数1072口)
(イ)第2次募集会員数7049人(入会口数7434口)
(ウ)第3次募集会員数138人(入会口数139口)
(エ)第4次募集会員数77人(入会口数77口)
イ(ア)本件各会員は,本件各ホテルにおいて,宿泊ポイントを使用して宿
泊サービス等を受けることができるところ,平成18年10月1日から
平成19年9月30日までの課税期間(以下「平成19年9月課税期
間」という。),平成20年9月課税期間及び平成21年9月課税期間
における宿泊ポイントの使用状況(本件宿泊ポイント精算金額)は,次
のとおりであった。[甲13]
a平成19年9月課税期間5億9416万5692円
b平成20年9月課税期間9億2536万8294円
c平成21年9月課税期間14億1243万5396円
(イ)本件各会員は,本件破産会社に対し,未使用の宿泊ポイントの買取
りを要求できるところ,平成20年9月課税期間及び平成21年9月課
税期間における未使用の宿泊ポイントの買取状況(本件未使用ポイント
買取金額)は,次のとおりであった。[甲13]
a平成20年9月課税期間6億5867万8944円
b平成21年9月課税期間8億0929万1648円
(6)本件各更正処分等に至る経緯
ア本件破産会社は,本件各会員から入会時に収受した本件金員が課税資産
の譲渡等の対価に当たる課税売上げであり,かつ,本件宿泊ポイント精算
金額及び本件未使用ポイント買取金額(以下,併せて「本件ポイント精算
金額等」という。)が課税仕入れの金額であるとして,以下のとおり,各
課税期間の消費税等について確定申告等をした。
(ア)本件破産会社は,平成19年11月25日,平成19年9月課税期
間の消費税等について,申告期限内に別表3平成19年9月課税期間に
係る更正処分等の経緯(参考)の「確定申告」欄記載の内容で確定申告
を行った。なお,処分行政庁は,平成20年3月31日,平成19年9
月課税期間の消費税等について,本件ポイント精算金額等が課税仕入れ
の金額であることを前提として,同表「更正処分」欄記載の内容で更正
処分(減額)を行った。
(イ)本件破産会社は,平成20年11月28日,平成20年9月課税期
間の消費税等について,申告期限内に別表4平成20年9月課税期間に
係る更正処分等の経緯の「確定申告」欄記載の内容で確定申告を行い,
次いで,平成21年3月16日,同表「修正申告」欄記載の内容で修正
申告を行った。[甲16,乙2,30]
(ウ)本件破産会社は,平成21年11月30日,平成21年9月課税期
間の消費税等について,申告期限内に別表5平成21年9月課税期間に
係る更正処分等の経緯の「確定申告」欄記載の内容で確定申告を行い,
次いで,平成22年3月16日,同表「修正申告」欄記載の内容で修正
申告を行った。[乙3]
(エ)本件破産会社は,平成22年8月10日,平成22年6月課税期間
の消費税等について,申告期限内に別表6平成22年6月課税期間に係
る更正処分等の経緯の「確定申告」欄記載の内容で確定申告を行った。
[乙4]
イ処分行政庁は,本件金員は課税資産の譲渡等の対価に当たる課税売上げ
であるものの,本件ポイント精算金額等は課税仕入れの金額に当たらない
として,平成23年3月28日,以下の(ア)及び(イ)のとおり,平成19
年9月課税期間,平成20年9月課税期間及び平成21年9月課税期間の
消費税等について,それぞれ更正処分等を行った。
(ア)処分行政庁は,平成19年9月課税期間の消費税等について,別表
3「再更正処分」欄記載の内容で,再度の更正処分(増額)を行った。
(イ)処分行政庁は,平成20年9月課税期間及び平成21年9月課税期
間の消費税等について,別表4及び5の各「更正処分」欄記載の内容
で,それぞれ更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行った。な
お,処分行政庁は,更正処分前における本件破産会社の納付すべき税額
が過少となったことについて,課税仕入れに係る支払対価の額に本件宿
泊ポイント精算金額を含めていたことについては通則法65条4項に規
定する「正当な理由があると認められるものがある場合」に該当する事
実が認められるとして,同項及び国税通則法施行令27条の規定に基づ
き,各課税期間における差引納付すべき合計税額の金額から,当該事実
に基づく税額として計算した金額を控除した税額を過少申告加算税の算
定の基礎としていた。[甲3,13,弁論の全趣旨]
ウ(ア)原告は,平成23年5月10日,上記イの各処分について,それぞ
れ別表3ないし5の「異議申立」欄記載の金額が正しい税額であるとし
て,異議申立てを行った。
(イ)処分行政庁は,平成23年7月5日,上記異議申立てについて,別
表3ないし5の「異議決定」欄記載のとおりの内容で,それぞれ異議決
定(一部取消し)を行った。[甲13]
エ処分行政庁は,平成23年5月31日,前記イと同様の理由により,平
成22年6月課税期間の消費税等について,別表6「更正処分」欄記載の
内容で更正処分(増額)及び過少申告加算税の賦課決定処分を行い,次い
で,同年7月8日,同表「再更正処分」欄記載の内容で,再更正処分(減
額)及び過少申告加算税の変更(減額)賦課決定処分を行った。
オ(ア)原告は,平成23年7月15日,上記エの各処分について,別表6
の「異議申立」欄記載の金額が正しい税額であるとして,異議申立てを
行った。
(イ)処分行政庁は,平成23年10月7日,上記異議申立てについて,
別表6の「異議決定」欄記載のとおり,これを棄却した。[甲14]
カ(ア)原告は,平成23年7月29日,国税不服審判所長に対し,前記イ
の各処分(ただし,いずれも異議決定による一部取消し後のもの)につ
いて,それぞれ別表3ないし5の各「審査請求」欄記載の金額が正しい
税額等であるとして,審査請求をした。
(イ)原告は,平成23年10月14日,国税不服審判所長に対して,前
記エの各処分について,別表6の「審査請求」欄記載の金額が正しい税
額等であるとして,審査請求をした。
キ国税不服審判所長は,平成24年7月20日,上記カの各審査請求につ
いて,いずれも棄却する旨の裁決を行った。[甲3]
(7)本件訴えの提起等
ア原告は,平成25年1月17日,平成19年9月課税期間に係る再更正
処分並びに本件各課税期間に係る更正処分及び過少申告加算税の賦課決定
処分(ただし,いずれも異議決定による一部取消し後のもの)の取消しを
求めて,本件訴えを提起した。[顕著な事実]
イ(ア)処分行政庁は,平成25年9月4日,平成19年9月課税期間に係
る再更正処分について,更正の期間の制限を徒過してなされたものであ
ったとして,これを全て取り消した。[乙27]
(イ)処分行政庁は,平成25年7月30日,平成20年9月課税期間及
び平成21年9月課税期間に係る更正処分及び過少申告加算税の賦課決
定処分について,課税仕入れに係る支払対価の額から減算すべき額の計
算に誤りがあったため,控除対象仕入税額を再計算したところ,消費税
等の納付すべき税額及び過少申告加算税の金額が過大であったことが判
明したとして,別表4及び5の各「再更正処分」欄記載のとおり,平成
20年9月課税期間及び平成21年9月課税期間に係る更正処分の一部
を取り消すとともに,過少申告加算税の賦課決定処分について変更(減
額)決定処分を行った。[乙28,29]
ウ原告は,上記イを受けて,平成19年9月課税期間更正処分に係る取消
しの訴えを取り下げるとともに,本件各課税期間に係る各更正処分及び各
過少申告加算税の賦課決定処分の取消しを求める訴えを,前記第1の請求
の趣旨欄記載のとおりとする旨の訴えの変更をした。[顕著な事実]
エ(ア)原告及び被告が本件訴訟において主張している本件各課税期間に係
る消費税等の課税標準及び納税すべき金額(還付税額)等は,それぞれ
別表7ないし9本件各課税期間に係る消費税額等の額の計算(平成20
年9月課税期間ないし平成22年6月課税期間)記載のとおりである。
(イ)原告及び被告が本件訴訟において主張している本件各課税期間に係
る過少申告加算税の額は,それぞれ別表10ないし12過少申告加算税
の明細(平成20年9月課税期間ないし平成22年6月課税期間)記載
のとおりである。なお,上記各表の①欄記載の「納付すべき税額」の明
細は,別表13ないし15過少申告加算税の基礎となる税額の明細(平
成20年9月課税期間ないし平成22年6月課税期間)記載のとおりで
ある。
この点,平成20年9月課税期間及び平成21年9月課税期間に係る
過少申告加算税の額に関して,課税仕入れに係る支払対価の額に本件宿
泊ポイント精算金額を含めていたことについては通則法65条4項に規
定する「正当な理由があると認められるものがある場合」に該当する事
実が認められること(前記(6)イ(イ))について,当事者に争いはな
い。その結果,平成20年9月課税期間及び平成21年9月課税期間に
係る各過少申告加算税の額を計算する際には,各課税期間における差引
納付すべき税額から,当該事実に基づく税額として計算した金額(課税
仕入れに係る支払対価の額から本件宿泊ポイント精算金額を減算する処
理のみを行った場合の新たに納付すべき各税額。別表10及び11の
「加算税対象外税額」欄記載の各金額)を控除した税額が過少申告加算
税の算定の基礎とされることとなる。
オ原告及び被告は,いずれも相手方の主張を前提とした場合における,本
件各課税期間に係る消費税等の課税標準及び納付すべき税額(還付税額)
等並びに過少申告加算税の額の計算関係が,別表7ないし12記載のとお
りであることについて,特段争わないこととしている(第5回口頭弁論期
日)。
なお,被告が本件訴訟において主張する本件各課税期間に係る課税処分
の根拠及び適法性は,別紙課税処分の根拠及び適法性(被告の主張)記載
のとおりである(同別紙において用いた略称は,以下の本文においても用
いることとする。)。
3争点
本件金員は何に対する対価であるか(本件金員の収受は,消費税法2条1項
8号所定の「資産の譲渡等」に当たるか)
第3争点に対する当事者の主張の要旨
1被告の主張
本件金員は,Aの会員資格の付与という本件破産会社の役務提供に対する対
価として支払われたものであり,本件金員の収受は,資産の譲渡等に該当する。
(1)ア消費税法基本通達5-5-5は,「ゴルフクラブ,宿泊施設その他レ
ジャー施設の利用又は一定の割引率で商品等を販売するなど会員に対する
役務の提供を目的とする事業者が会員等の資格を付与することと引換えに
収受する入会金(返還しないものに限る。)は,資産の譲渡等の対価に該
当することに留意する。」と定めているところ,消費税法2条1項8号に
いう「役務の提供」とは,対価を得て行われると認められる便益の提供等,
消費の対象となるサービスの提供を広く包含すると解されるから,宿泊施
設その他レジャー施設の利用など,会員に対する役務の提供を目的とする
事業者が「会員等の資格を付与すること」も上記「役務の提供」に当たる。
イ他方,消費税法基本通達6-4-5は,事業者が,物品切手等を発行し,
交付した場合において,その交付に係る相手先から収受する金品は,資産
の譲渡等の対価に該当しないと定めているところ,本件破産会社が本件各
会員に対して発行していた宿泊ポイントは,本件破産会社が本件各会員に
対して発行する本件カードに電磁的に記入され,本件各会員はこれと引換
えに宿泊サービス等の役務提供を受けることができるものであり,宿泊サ
ービス等の役務提供を受けたことによって会員は対価の支払債務を負担す
るものではないから,宿泊ポイントが電磁的に記入された本件カードは,
消費税法別表第1第4号ハの物品切手等に該当するものである。
ウしたがって,①本件金員が,Aの会員資格の付与という本件破産会社
の役務提供に対する対価として支払われたものであるならば,本件金員は
資産の譲渡等の対価に該当し,②本件金員が,物品切手等に該当する宿
泊ポイントを発行する対価として支払われたものであるならば,本件金員
は資産の譲渡等の対価に該当しないこととなる。
(2)ア租税法律主義の下,法的安定性を確保するため,課税は,原則として
私法上の法律関係に即して行われるべきであるから,本件破産会社が本件
各会員から収受した本件金員が,会員資格の付与に対する対価なのか,宿
泊ポイントを発行する対価なのかを判断するに当たっては,私法上の法
律行為としての当事者間の契約内容を認定した上で,取引当事者の選択し
た法的形式が表示行為に対する内心的効果意思を欠くと認められるような
特段の事情がある場合を除き,原則として,対価の収受の原因となった契
約内容を,その法的形式に即して客観的に判断する必要がある。
イ本件においては,本件金員の収受時に使用された本件契約書(乙18,
19)や入会規約(乙21)などの文書が存在しているところ,本件契約
書等の内容が,本件破産会社及び本件各会員の内心的効果意思と異なるも
のとは認められないから,当事者間の合意内容を判断するに当たっては,
原則どおり,本件契約書等を重要な資料として,その規定内容を客観的に
解釈する必要がある。
ウ本件契約書の本件会員資格条項によれば,本件金員及び本件預託金の払
込みが,Aの会員資格を得るための条件となっている。他方において,本
件会員サービス条項によれば,宿泊ポイントの付与は,割引料金での宿泊
特典と同様に,飽くまでも本件各会員に対するサービス内容として位置付
けられている(宿泊ポイントの付与は,会員に対する無償のサービス内容
の一部を構成するものにすぎない。)。
エさらに,本件預託金条項及び本件退会条項によれば,会員資格を取得す
るために必要な本件金員及び本件預託金のうち,本件預託金は退会時に返
還するものとされているのに対し,本件金員は返還の対象となっていない。
この点,原告は,本件金員が宿泊ポイントを通じて実質的に返還されて
いるなどと主張するが,消費税法基本通達5-5-5のいう「返還しない
もの」とは,会員に対する役務の提供を目的とする事業者が会員等の入会
に当たって収受した金銭のうち,返還する義務を負わないものをいうので
あり,会員となる者において実質的に元が取れるか否かは,「返還しない
もの」に該当するか否かの判断とは関係がないというべきである。
オ以上によれば,本件金員の反対給付として対価関係にあるのは,会員資
格の付与という本件破産会社の役務提供であると認められ,また,本件金
員は,消費税法基本通達5-5-5にいう「入会金(返還しないものに限
る。)」に該当する。
(3)ア原告は,本件各会員が何に着目して本件金員を支払い,本件破産会社
が本件金員の収受と引換えに何を提供したのかを実態に即して考えれば,
本件破産会社は本件金員を収受する代わりに,宿泊ポイントを発行してい
るというのが取引の実態であるなどと主張する。
しかしながら,会員になろうとする者が,会員に対して提供されるサー
ビスのうち,特定の一部のサービスのみに着目して入会したからといって,
会員となるために支払う入会金が,当該特定のサービスの対価であると解
すべきことにはならない。また,実態的にみても,本件各会員がAを5年
未満で退会した場合,本件破産会社からその後の各年分の宿泊ポイントを
付与されることはない一方で,付与されなかった宿泊ポイントに応じて,
本件金員の一部を払い戻すことも行われていないことからすれば,本件金
員については,宿泊ポイントの発行との間に直接的な対価関係を認めるこ
とはできないというべきである。
イ原告は,本件破産会社における営業用資料等によれば,本件金員と宿泊
ポイントが対価関係にあると解すべきである旨主張する。しかしながら,
原告が指摘する営業用資料等は,本件入会時費用(本件金員及び本件預託
金)という入会時の支払額(損失)と,会員資格を取得した後に付与され
る宿泊ポイント(利益)とを対比させることによって,Aの会員になるこ
とによる利点を宣伝ないし強調するために用いられたものにすぎず,本件
各会員がAに入会した理由を推測する資料にはなり得るとしても,本件破
産会社と本件各会員との契約関係を定める文書ではない。したがって,上
記営業用資料等は,実質的に元が取れることを述べていたことを示すにす
ぎず,その対価関係の認定に影響するものではない。
ウさらに,原告は,本件破産会社の会員権販売行為は,正常な事業ではな
く犯罪行為であり,犯罪行為について国が消費税を課すことは,被害者た
る会員に対する被害の回復を妨げることに他ならないなどとも主張する。
しかしながら,消費税法上,「国内において事業者が行った資産の譲渡
等」については消費税を課することとされているのであり(同法4条1
項),当該資産の譲渡等が違法行為を含むものであったとしても,その資
産の譲渡等について消費税を課さないとの規定がない以上,納税義務に影
響を与えるものではない。また,納税義務者である事業者の行為に違法行
為があったことをもって,当該事業者に対し消費税等を課さないとしたの
では,課税の公平が担保されないことは明らかである。
エ原告は,本件各会員の入会から宿泊ポイントの精算に係る消費税の課税
関係について,会員権発行法人(本件破産会社)とホテル運営法人(本件
各運営会社)が同一法人である場合と別法人である場合とで関係者の納税
すべき消費税の合計額が異なることとなるのはおかしいなどと主張する。
しかしながら,上記仮説例において関係者の納付すべき消費税の合計額
が一致しないのは,法人格の数の違いによるものではなく,両者の取引に
おける法律関係が異なることに起因するものであるから,消費税法の適用
結果として関係者の納付すべき消費税の合計額が一致しないとしても何ら
不合理とはいえず,原告の上記主張はその前提を欠き理由がない。
2原告の主張
本件金員は,宿泊ポイントを発行する対価として支払われたものであるから,
本件金員の収受は,資産の譲渡等には該当しない。
(1)本件破産会社が発行していた宿泊ポイントは,消費税法別表第1第4号
ハの定める「物品切手等」に該当するところ,本件破産会社は,本件入会時
費用の大部分を5年満期の預託金とし,その残部である本件金員を収受する
代わりに,本件各会員に対して宿泊ポイントを発行している。したがって,
本件金員は,宿泊ポイントを発行し,交付した場合において,その交付に係
る相手方から収受する金員であり,物品切手等の原始発行の対価であるから,
資産の譲渡等の対価には該当しない(消費税法基本通達6-4-5参照)。
(2)アAは,本件金員の額面を大幅に超える宿泊ポイントが発行され,本件
各会員が実質的な負担を伴うことなく,本件各ホテルに宿泊することがで
きるという仕組みになっているという点において,他の一般的なホテル会
員権とは全く異なる独自の内容となっていた。
イ本件破産会社は,本件金員の代わりに宿泊ポイントが発行されることを
宣伝して会員を募集し,本件各会員は,宿泊ポイントが大量に発行される
という破格に有利な内容につられて,本件入会時費用を支払ってAに入会
したのであり,本件金員を収受する代わりに宿泊ポイントを発行していた
というのが,経済的実質や契約当事者の認識からみた取引の実態というべ
きである。なお,本件破産会社は,第1次募集において,本件入会時費用
の全額を預託金(保証金)としていたが,第2次募集からは,新たに本件
金員を収受する代わりに,本件金員の分を初年度に宿泊ポイントで還元す
るという形にしており,このような経緯からみても,本件金員は宿泊ポイ
ントの対価とみるべきである。
ウ本件破産会社による会員権販売行為は,通常のゴルフ会員権やリゾート
ホテル会員権の販売事業といった正常な事業ではなく,組織的詐欺の舞台
回しとして行われたものであるから,本件入会契約を形式的に解釈するの
ではなく,本件破産会社による会員権販売行為の実態に即して課税関係を
考える必要がある(このような犯罪行為について国が消費税を課すことは,
本件各会員に対する被害の回復を妨げることとなる。)。
(3)ア被告は,本件契約書によれば,本件金員が会員資格の対価であると解
される旨を主張している。しかしながら,本件会員資格条項は,会員資格
の取得時期について定めているにすぎず,本件契約書には,本件金員が会
員資格の対価であることを明示した条項は存在しない。また,会員規約
(甲8)や入会パンフレット(甲5)には,本件金員が「チケット代」で
あると明記されており,本件破産会社における営業用資料等によっても,
営業担当者が勧誘の際に本件金員の代わりに宿泊ポイントが発行され,本
件金員が払い切りのものではなかったことを説明していたことが認められ
る。さらに,「施設使用料」という文言は,素直に読めば,施設を使用す
るために支払を要する費用であると理解することができ,本件金員(施設
使用料)と宿泊ポイントは対価関係にあると考えるのが自然である。
なお,課税要件の認定に当たり,外観と実体ないし形式と実質が食い違
っている場合には,実体や実質に従って,課税要件を認定すべきであると
ころ,前述のとおり,本件金員を収受する代わりに宿泊ポイントを発行し
ていたというのが取引の実態であることに鑑みれば,本件契約書の法的形
式のみを強調する被告の主張は妥当ではない。
イ被告は,宿泊ポイントの付与が本件各会員に対する無償のサービスの一
つにすぎない旨主張しているが,同主張は,Aによる取引の実態・実質を
全く無視するものである。Aの組織的詐欺が,7700名以上の被害者
(約210億円の被害)を生む規模にまで拡大したのは,本件入会時費用
の大部分が預託金として返還され,残部(本件金員)についてもその額面
をはるかに超える宿泊ポイントが発行されるため,本件金員が実質的には
払い切りにならないという破格の内容となっていたからである(被告が指
摘する本件各会員に対する他の特典は,宿泊ポイントの付与に比べれば,
およそ取るに足らない。)。
ウ被告は,本件金員が,ゴルフクラブ等における入会金(消費税法基本通
達5-5-5)と同様,会員資格に対する対価である旨主張する。しかし
ながら,本件破産会社は,入会金が不要である旨宣伝していた上,本件金
員の額面を超える宿泊ポイントが発行されるという独自の仕組みを有して
いるのであるから,本件金員をゴルフクラブ等における入会金と同列に論
じることはできない。さらに,消費税法基本通達5-5-5は,「入会金
(返還しないものに限る。)」と規定しているところ,Aにおいては,本
件金員が宿泊ポイントを通じて実質的に返還されているということができ
るから,上記通達は本件金員に該当するものではない(なお,本件各会員
の大部分に当たる本件2次会員は,入会時に本件金員と同額以上の宿泊ポ
イントの発行を受けている。)。
エ被告の主張を前提とした場合,原告の試算によれば,会員権の発行法人
とホテル運営法人とが同一法人であるか別法人であるかで,関係者の納税
合計額が異なることとなる。しかしながら,消費税は,物品やサービスの
生み出す付加価値に対して課税が行われるものであり,サービス内容に変
わりがないにもかかわらず,関与する法人の数によって,納税合計額が異
なるのは不合理であるから,被告の主張には理論的な問題がある。
(4)仮に,本件金員が会員資格の対価であるとしても,Aにおける会員資格
の実質は,本件破産会社から発行される多額の宿泊ポイントを使用して本件
各ホテルに宿泊することができ,使用せずに残った宿泊ポイントも一定の交
換比率で換金できるという点にあるから,結局,本件金員は宿泊ポイントの
対価であるというべきである。
なお,原告は,本件ポイント精算金額等が課税仕入れの金額に当たらない
ことについて特段争っていないが,仮に,本件金員が課税売上に該当すると
いうのであるならば,本来,本件宿泊ポイント精算金額は課税仕入れに該当
すると解するのが論理的に一貫しているというべきである。
第4当裁判所の判断
1本件争点(本件金員は何に対する対価であるか)について
(1)課税の対象である経済活動ないし経済現象は,第一次的には私法によっ
て規律されているところ,課税は,租税法律主義の目的である法的安定性を
確保するという観点から,原則として私法上の法律関係に即して行われるべ
きである。そして,本件金員は,Aの会員になろうとする者が,本件入会契
約に基づき,本件破産会社に対して支払うものであるから,本件金員が何に
対する対価であるかについては,本件各会員及び本件破産会社の両者を規律
している本件入会契約の解釈によって定まるというべきである。
さらに,本件破産会社及び本件各会員が,本件入会契約について,本件契
約書を作成していることに鑑みれば,本件入会契約の解釈は,原則として,
本件契約書の解釈を通じて行われるべきものであるが,その際,本件入会契
約の前提とされていた了解事項(共通認識)や本件破産会社による勧誘時の
説明内容といった,本件入会契約の締結に至る経緯等の事情をも総合的に考
慮して判断する必要があるというべきである。
(2)本件契約書の内容は,前提事実(3)アないしウ記載のとおりであるとこ
ろ,前記前提事実に加え,掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件入会
契約の締結に至る経緯等に関して,次の事実が認められる。
ア(ア)本件破産会社は,それぞれの募集次において,Aの会員権について
説明し,入会を勧誘する内容を記載したパンフレット(以下,併せて
「本件各パンフレット」という。)を作成して,勧誘時の説明に使用し
ていた。
(イ)本件各パンフレットには,Aへの入会時に要する費用に関し,「A
ご入会にあたり年会費・管理費等は一切不要です。5年満期の施設利
用預託金をお預けいただくだけです。」(第2次募集),「入会金・年
会費・管理費が一切不要!!」(第3次及び第4次募集)との記載がさ
れていた。
(ウ)本件金員は,本件各パンフレット(第2次ないし第4次募集)にお
いて,本件契約書と同様,「施設使用料」と表記されていたが,宿泊ポ
イントが紙チケットで発行されていた当時(前提事実(3)ウ参照)にお
いては,「チケット代」と表記されていた。
[上記アにつき,甲4,5,22,乙20ないし22]
イ(ア)本件破産会社は,営業担当者(テレホンアポインター)が,主に高
齢者を対象として電話を架けて,Aへの入会を勧誘するという営業手法
を用いていた。本件破産会社は,電話等による勧誘時の説明や会話の流
れ(いわゆるセールストークの内容等)を記載した内部資料(以下「本
件説明台本資料」という。)を作成し,営業担当者は同資料に沿った内
容での勧誘を行っていた。
(イ)本件説明台本資料には,本件金員(施設使用料)が宿泊ポイントの
形で戻ってくるという説明内容が記載されており,第2次募集につい
て,例えば,新規お客様テルアポトークと題する資料(甲11)には,
「ブロンズコースですと100万円のうち80万円が預託金,こちらは
5年後にお手元に戻ります。残り20万円がチケット,金券になりま
す。ご入会されるとすぐに毎年プレゼントされる8万円のチケットを足
した28万円分がお手元に届きます。」等の記載があり,甲23(コー
ス説明と題する資料)には,「例えばブロンズ会員様ですと,始めにお
客様から100万円お預かりいたします。80万円はお預かり金ですの
で,5年満期後には全額お返し致します♪そして毎年利息代わりにI各
ホテルで現金と同じように使用できる金券をプレゼント致します♡初年
度はお預かりしました80万円の一割の8万円と,施設使用料の20万
円を合わせました28万円分の金券をプレゼント致します♪」等の記載
があった。
[上記イにつき,甲2の4,甲11,12,22,23]
ウ(ア)本件破産会社は,顧客との面談時等において,Aの会員権の内容を
分かりやすく説明するために,一覧表や図にまとめるなどした営業説明
用の資料(以下「本件説明用資料」という。)を作成しており,本件破
産会社の営業担当者は,同資料を用いた勧誘を行っていた。
(イ)本件説明用資料のうち,他社の会員権との対比表(甲25)には,
Aの利点として,①他社の会員権の入会金が「30万-300万(返
金無しor規定引き)」,年会費・管理費が「3万-」であるのに対
し,Aは入会金及び年会費・管理費(以下「入会金等」という。)が不
要であること,②他社の会員権は「ご利用清算他・施設利用」時におい
て,現金等による支払が必要であるのに対し,Aは「完全ポイント
制」,「残ポイント払い戻し制」であること等が記載されていた。
(ウ)本件説明用資料には,第2次募集に関して,本件金員(施設使用
料)が,本件金員と同額の宿泊ポイントとして初年度(入会時)に付与
されることを,図(本件金員と,初年度に付与される宿泊ポイント〔本
件金員相当額〕とを矢印で結び付けたものなど)や太字で強調するなど
したものが複数含まれており,例えば,「投資的に考えてみよう!5年
間トータル還元率」と題する資料(甲28)には,「ブロンズ会員の場
合100万円分➱預託金80万円分5年後に返金されます。
入会諸費用20万円分はそのままチケット宿泊チケット代20万円分
初年度に加算されます」,「100万円分中,チケット代が20万
円,預託金が80万円分となり,20万円分のチケットは初年度に加算
され,80万円は5年後に返金されます。」などと記載されていた。
[上記ウにつき,甲9,10,20,21,25ないし28]
エ宿泊ポイントが紙チケットにより付与されていた当時(第2次募集当
初)の会員規約(3条)には,以下の内容が記載されていた。[甲8]
「会員の種類には,
ブロンズ会員(預託金80万円,チケット代20万円)
宿泊チケット20万円分+毎年8万円分×5年間=60万円分支給
シルバー会員(預託金255万円,チケット代45万円)
宿泊チケット45万円分+毎年30万円分×5年間=195万円分支給
ゴールド会員(預託金450万円,チケット代50万円)
宿泊チケット50万円分+毎年63万円分×5年間=365万円分支給
プラチナ会員(預託金920万円,チケット代80万円)
宿泊チケット80万円分+毎年147万円分×5年間=815万円分支給
を設定しております。各会員に応じた宿泊券等のサービスチケットを発
行しております。」
(3)本件金員は,本件契約書において「施設使用料」と表記されているもの
の,「施設使用料」の具体的内容が定義付けられてはおらず,本件契約書を
精査しても,本件破産会社が本件金員をいかなる趣旨で収受したのか(本件
金員が何の対価であるか)を直接規定した部分はない。
この点,被告は,本件会員資格条項によれば,本件金員が会員資格の対価
であると解釈すべきであるという趣旨の主張をしている。しかしながら,本
件会員資格条項は,Aの会員になろうとする者が「施設使用料,及び施設使
用預託金の払込みを終えたとき,会員資格を取得する」と規定しているにす
ぎず(前提事実(3)ア(ウ)),上記のとおり,「施設使用料」(本件金員)
の具体的内容が定義付けられているわけではない以上,本件会員資格条項
が,会員資格の取得時期ないし取得要件に加え,本件金員の対価関係までを
も定めたものであると直ちには解し難い。
(4)アそこで,前記認定事実(本件入会契約の締結に至る経緯等)をも踏ま
えて検討するに,本件破産会社は,第1次募集において,本件入会時費用
の全てを本件預託金としており,本件1次会員から入会金等を収受してい
なかったことは明らかである(別表2の表(1))。さらに,本件破産会社
は,第2次ないし第4次募集においても,一貫して入会金等が不要である
旨を宣伝して,本件各パンフレット及び本件説明用資料においても,その
旨を明記していたのであるから(認定事実ア(イ),同ウ(イ)),このよう
な経緯に鑑みれば,本件破産会社及び本件各会員が,本件入会契約の締結
時において,Aに入会する際には入会金等が不要であるとの共通認識を有
していたことは優に推認することができる。
この点,被告は,本件金員が消費税法基本通達5-5-5にいう「入会
金」に該当する旨主張しているが,上記検討によれば,本件契約書におけ
る施設使用料(本件金員)を「入会金」と解釈するのは困難であるといわ
ざるを得ない。
イ(ア)本件各会員の大半は,第2次募集に応じてAに入会した会員である
ところ(前提事実(5)ア),認定事実イ(イ)及び同ウ(ウ)によれば,本
件破産会社が,第2次募集の際,本件金員について同額の宿泊ポイント
を初年度(入会時)に付与する旨を説明し,本件説明用資料においても
同趣旨を強調していたことが認められる。さらに,本件破産会社が,本
件チケットを発行していた当時(第2次募集当初)において,本件金員
が(本件金員と同額の)「チケット代」である旨をパンフレット及び会
員規約に明記していたこと(認定事実ア(ウ),同エ)を併せ考えれば,
本件金員(施設使用料)は,第2次募集において,初年度(入会時)に
付与される宿泊ポイント(少なくとも本件金員と同額分)の対価として
収受されたものであると認めることができる。
(イ)本件契約書の文言(「施設使用料」)の解釈という観点からみて
も,本件各ホテルの使用料(宿泊代金等)は,宿泊ポイントを用いて支
払われることが予定されており(本件会員サービス条項),本件各会員
は,本件入会時費用を払い込みさえすれば,5年間にわたり,新たな支
出を全くすることなく,本件各ホテルを使用することができること(な
お,本件破産会社は,認定事実ウ(イ)のとおり,他社の会員権と比較し
て「完全ポイント制」などと宣伝していた。)に鑑みれば,本件金員が
宿泊ポイントの対価であると解釈することに,特段不自然,不合理な点
はないというべきである。
(ウ)この点,被告は,本件破産会社が,Aへの勧誘時において本件金員
と宿泊ポイントの対価関係を説明していたのは,その損失と利益の関係
を説明していたものにすぎないなどと主張するが,本件説明台本資料や
本件説明用資料の記載内容に照らせば,勧誘時における本件破産会社の
説明内容が,単に損失と利益の関係を説明したものであるなどと解する
ことはできず,本件入会契約の内容として,本件金員が宿泊ポイントの
対価であるとされていたということができる。
ウ(ア)次に,第3次及び第4次募集について検討するに,本件金員と宿泊
ポイントとの間の対価関係に直接言及した資料は提出されていないもの
の,第3次及び第4次募集においても,本件各パンフレットには,入会
金等が不要である旨が明記されていたのであり(認定事実ア(イ)),本
件金員が入会金等として収受されたと解するのは困難である。
(イ)また,本件金員は,第2次ないし第4次募集において,一貫して
「施設使用料」と表記されているのであるから,特段の事情がない限
り,第2次ないし第4次募集において,本件金員(施設使用料)の意味
する内容は同一であると解するのが自然である。さらに,本件金員が,
第3次及び第4次募集において,第2次募集と異なる趣旨で収受されて
いたことをうかがわせる事情ないし証拠もないことを併せ考えれば,本
件金員は,宿泊ポイント(少なくとも本件金員と同額分)の対価として
収受されたものであると認めることができる。
なお,第3次及び第4次募集においては,本件金員を超える金額の宿
泊ポイントが初年度(入会時)に付与されるわけではなく(別表2の表
(3)及び(4)参照),第2次募集と異なり,本件金員と宿泊ポイントの対
応関係を記載した資料等も見当たらないことから,本件金員を対価とす
る宿泊ポイントが,5年間において,どのように分割して発行されるの
かは必ずしも明らかではない。しかしながら,この点は,Aへの入会時
に払い込む本件金員が宿泊ポイント(少なくとも本件金員と同額分)の
対価であるとの上記認定(評価)を覆すべき事情には当たらないという
べきである。
(ウ)したがって,本件金員は,第3次及び第4次募集においても,第2
次募集と同様,宿泊ポイント(少なくとも本件金員と同額分)の対価と
して収受されたものであると認めることができる。
エなお,本件金員がこれと同額の宿泊ポイントの対価であることを前提と
した場合,本件破産会社が本件各会員(本件1次会員を除く。)に対して
付与する宿泊ポイントの中には,その対価(本件金員)を収受して発行さ
れるものと,明確な対価を収受することなく発行されるものとの双方が含
まれ得ることとなるところ,同じ宿泊ポイントの中に対価関係の異なるも
のが混在すると解することに合理性があるのかが一応問題となり得る。
しかしながら,以下の(ア)ないし(ウ)において検討するとおり,本件破
産会社において,本件金員を宿泊ポイント(少なくとも本件金員と同額分)
の対価であると位置付けることは,本件金員の収受が何ら経済的不利益を
与えるものではないと信用させるための手段であったと推認することがで
きるのであり,本件破産会社における募集方法の変遷に照らせば,宿泊ポ
イント(5年分)の中に,本件金員を対価とした部分とそうでない部分と
が混在すると解することに合理性がないということはできない。
(ア)本件入会契約は,本件各会員が,本件入会時費用を払い込みさえす
れば,新たな支出をすることなく,5年後に本件預託金が返還されるま
での間,多額の宿泊ポイントの付与を毎年受けることができるという内
容であり,本件各会員にとってみれば,(本件破産会社が義務を履行す
る限り)本件入会時費用を大きく上回る経済的利益を確実に得ることが
できるという仕組みになっている。しかしながら,本件破産会社にとっ
てみれば,本件各会員が宿泊ポイントを使用した場合には,本件各覚書
に基づいて本件宿泊ポイント精算金額を本件各運営会社に支払い,本件
各会員が未使用の宿泊ポイントの買取りを要求した場合には,本件未使
用ポイント買取金額を支払わなければならず,本件入会時費用以外の収
入は予定されていない。本件各会員が本件各ホテルを使用することに伴
う収益を全く見込むことができない以上,Aの運営に事業としての合理
性がないことは明らかであり,Aの運営は,本件各会員から本件入会時
費用を詐取するための手段(組織的詐欺の手段)にすぎなかったという
べきである(前提事実(1)ウ参照)。
(イ)本件入会時費用のうち本件預託金は無利息で返還されるため(本件
預託金条項),本件各会員は,宿泊ポイントの使用ないし換価(買取要
求)によって経済的利益を得るという関係にあるところ,Aの運営が組
織的詐欺の手段であることに鑑みれば,本件破産会社が,本件預託金を
返還するまでの間(5年間),宿泊ポイントを毎年付与するという構造
は,本件入会時費用を払い込めば,経済的利益を取得できることを強調
しながら,本件預託金の返還時期(Aの破綻)を先延べするための仕組
みであったというべきである。そして,本件破産会社は,第1次募集に
おいて,本件入会時費用の全てを本件預託金としていたところ,第2次
募集以降,本件入会時費用の全てを預託金とはせずに,その一部を本件
金員として収受するに当たっては,本件各会員に対して,入会金等が不
要であることを強調し,本件金員をあえて「入会金」等ではなく「施設
使用料」と表記するなどして,本件入会契約上,本件金員を宿泊ポイン
ト(少なくとも本件金員と同額分)の対価として付与されるものである
と位置付けることによって,本件金員の収受には経済的不利益はないと
信用させる必要があったものと認めることができる。
(ウ)このような募集方法の推移をも踏まえるならば,宿泊ポイント(5
年分)は,本件入会時費用の払込みに対して発行が約束されるものであ
るが,第2次ないし第4次募集においては,本件金員を対価として発行
される部分が含まれることとなったものと解するのが合理的である。
(5)アこの点,被告は,本件会員サービス条項によれば,宿泊ポイントは本
件各会員に対する無償のサービス内容の一つにすぎない旨主張している。
そこで検討するに,本件契約書(本件会員サービス条項)は,「会員に
対するサービス内容」という標題の下,本件各会員の種類や宿泊ポイント
の発行方法等について規定しているものの,本件会員資格条項の内容も踏
まえれば,本件契約書は,会員資格を有することを前提とした上で,会員
に対するサービス内容を規定しているというべきである(本件会員サービ
ス条項)。そうである以上,宿泊ポイントの付与が本件各会員に対するサ
ービス内容の一つであるということは否定できないとしても,このことは,
宿泊ポイントの付与と本件金員とが対価関係にあることと何ら矛盾するも
のではない。
さらに,Aの会員に対する具体的サービス内容についてみるに,本件契
約書の内容(前提事実(3)ア)及び本件各パンフレットの記載(乙20な
いし22)によれば,本件各会員は,宿泊ポイントの付与を受けて,本件
各ホテルの宿泊料金等の支払に使用することができ,未使用の宿泊ポイン
トを換価することができるほか,無償の会員特典として,①通常の2
0%割引の宿泊料金,②駐車料金が無料(本件3次会員を除く。),③
チェックアウトが午前11時,④本件各ホテルの最優先(早期)予約,
⑤特別価格での季節の特別料理の提供(本件3次会員を除く。),⑥ウ
ェルカム・モーニングのドリンクサービス(本件2次及び3次会員につい
てはシルバー会員以上),⑦本件各ホテルの最寄りの駅からの無料送迎
(シルバー会員以上),⑧夕食時に特製ワイン等を1本無料サービス
(ゴールド会員以上),⑨自宅からの送迎サービス(有料ではあるが,
宿泊ポイントの利用が可能。本件4次会員については,プラチナ会員以上)
といったサービスを受けることができるものとされていたことが認められ
る(以下,上記①ないし⑨の特典を併せて「本件その他特典」という。)。
しかしながら,前述したとおり,本件各会員が,5年間にわたり宿泊ポ
イントの付与を受けた上で,宿泊ポイントを本件各ホテルの宿泊代金等と
して使用したり,未使用の宿泊ポイントを現金に換価したりすることは,
これらにより,本件各会員が本件入会時費用を払い込んだことによる経済
的利益を取得するものであって,本件入会契約の本質的かつ根幹的な要素
であるというべきである。これに対し,本件その他特典は,いずれも本件
各会員が現実に宿泊ポイントを使用する際の特典であり,本件各会員以外
の一般客との関係においても想定し得るものであることに鑑みれば,いわ
ば付随的なものにすぎない。そうである以上,本件各会員に対する宿泊ポ
イントの付与等を,本件その他特典と同視して,無償の会員特典の一つに
すぎないと評価することはできないというべきである。
イ被告は,本件各会員がAを5年未満で退会した場合には,本件破産会社
からその後の各年分の宿泊ポイントを付与されることはなく,付与されな
かった宿泊ポイントに応じて本件金員の一部が払い戻されるわけでもない
から,実態的にみても,本件金員と宿泊ポイントとの間に直接的な対価関
係を認めることはできない旨主張する。なお,本件2次会員については,
初年度(入会時)において,本件金員に相当する分だけ増額された宿泊ポ
イントが現実に付与されることに鑑みれば,被告の上記主張は,特に,第
3次及び第4次募集(本件3次及び4次会員については,初年度に本件金
員を上回る宿泊ポイントの付与を受けるわけではない。)について問題と
なるということができる。
そこで検討するに,ある会員制組織が会員から金品を収受した上で会員
に対して物品切手等を発行するという場合,物品切手等の発行方法は,当
事者の合意に応じて異なり得ると解される。例えば,ある会員制組織が,
最初に物品切手等の対価を収受した上で,会員に対して複数年度に分けて
物品切手等を発行することとし,さらに,会員が途中で当該組織から脱退
した場合には,それ以降に予定されていた物品切手等の発行をしない旨を
合意することも可能であるというべきである(なお,同方法は,会員制組
織にとってみるならば,会員が物品切手等を使用することによる経費支出
を複数年度に分散しながら,会員に対して会員制組織にとどまるインセン
ティブを付与するという利点があるものと解される。)。そうである以上,
本件破産会社が,退会後における宿泊ポイント(未発行分)を払い戻すこ
と等を予定していなかったからといって,本件金員と宿泊ポイントとの対
価関係を否定することはできない。
さらに,Aに事業としての合理性がないことは前述したとおりであると
ころ,可能な限り多くの会員から本件入会時費用の払込みを受けながら,
経営破綻の時期を先延ばしにしたい本件破産会社としては,会員の途中退
会により,本件預託金の返還や宿泊ポイントの清算を巡る経費負担が生じ
ることを可能な限り回避するという目的から,例えば,途中退会した会員
に対する預託金の返還額を制限することとし(本件退会条項),退会者に
対して未発行の宿泊ポイントを払い戻さないこととしたものと解される。
したがって,本件破産会社が退会者に対して未発行の宿泊ポイントを払
い戻すことを予定していないことは,本件金員が宿泊ポイントの対価であ
るとの前記判断を覆すべき事情には当たらないというべきである。
ウなお,本件事案の性質に鑑みて若干付言するに,ある会員制組織に入会
する際に支払われる「入会金」は,特段の事情がない限り,当該組織の会
員資格に伴う種々の利益の供与を受けることを目的として支払われるもの
であるから,入会金の収受は,消費税法4条1項の定める「資産の譲渡等」
に該当するというべきである(消費税法基本通達5-5-5参照)。しか
しながら,ある会員制組織に入会しようとする者が,特定のサービスに着
目し,同サービスを受けることを目的として入会したからといって,当該
会員が支払った入会金と当該サービスとの間に直接の対価関係が認められ
るわけではなく,また,会員資格に伴うサービスの一つが,経済的利益を
供与するもの(物品切手等の付与を含む。)であるからといって,当該サ
ービス(経済的利益)と入会金との間に直接の対価関係が生じるわけでは
ない(入会金は,会員資格の付与,すなわち,会員資格に伴う種々の利益
の総体との間において,対価関係にあるというべきである。)。
本件において,本件金員と(これと同額の)宿泊ポイントとの間におけ
る対価関係が認められるのは,本件金員が(会員資格に伴う種々の利益の
総体に対する対価としての)「入会金」であると認めることはできない上,
かつ,本件入会契約(本件契約書)について,本件金員(施設使用料)が
宿泊ポイントの付与に対する対価として収受されるものであると解釈する
ことができるからであって,単に,宿泊ポイントの付与による経済的利益
が明白であり,本件各会員がこれに着目して入会したと評価したことによ
るものではない。
(6)以上のとおり,本件金員(施設使用料)は,これと同額の宿泊ポイント
に対する対価として収受されたものと解することができるところ,宿泊ポイ
ントは,本件カードないし本件チケットに表彰され,本件各会員は,宿泊ポ
イントと引換えに,本件各ホテルにおける宿泊サービス等を受けることがで
き,かつ,当該宿泊サービス等を受けたことによって,その対価の支払債務
を負担しないものであるから,宿泊ポイントは物品切手等に該当する(消費
税法基本通達6-4-4参照)。なお,宿泊ポイントが物品切手等に該当す
ることについては,当事者間に争いがない。
本件金員が物品切手等(宿泊ポイント)の発行に対する対価である以上,
その収受は,「資産等の譲渡」(消費税法2条1項8号)には該当しないと
いうべきである(消費税法基本通達6-4-5参照)。
なお,消費税法基本通達6-4-5は,その文言上,物品切手等が現実に
発行された場合を前提にしているものと解されるところ,本件金員が宿泊ポ
イントの対価であるとしても,宿泊ポイントが現実に発行されていない部分
については,上記基本通達が直接当てはまるわけではない(特に,第3次及
び第4次募集においては,本件金員と同額分の宿泊ポイントが初年度〔入会
時〕に全て発行されるわけではないため,現実に発行されていない部分が必
ず生じることとなる。)。しかしながら,前記検討のとおり,本件破産会社
が宿泊ポイントを複数年度に分けて発行するからといって,既に収受した本
件金員が宿泊ポイント(少なくとも本件金員と同額分)に対する対価である
ことに変わりはない。そして,物品切手等の発行に係る金品の収受が不課税
取引とされている趣旨は,物品切手等を発行する行為が,物品切手等に表彰
される権利を発生させるものであり,自己の有する資産を譲渡するものでは
ないからであると解されることに鑑みれば,本件金員について現実に宿泊ポ
イントが発行されていない部分があることは,本件金員の収受が資産の譲渡
等に該当しないとの上記結論を左右するものではない。
2本件各更正処分及び本件各賦課決定処分の適法性について
(1)本件各更正処分
前記検討によれば,本件金員の収受は「資産の譲渡等」(消費税法2条
1項8号)には該当せず,これに基づいて,本件各課税期間に係る原告の
消費税等を計算した結果は,別表7ないし9の各「(2)原告の主張」欄記
載のとおりである。なお,被告は,原告の主張を前提とした場合におけ
る,消費税等の還付すべき税額等の計算関係について,特段争わないものと
している(前提事実(7)オ)。
したがって,消費税の還付すべき税額及び地方消費税の還付すべき譲渡
割額は,以下のアないしウのとおりとなり,本件各更正処分のうち,これ
らを下回る部分は違法である。
ア平成20年9月課税期間
消費税の還付すべき税額5108万6522円
地方消費税の還付すべき譲渡割額1277万1630円
イ平成21年9月課税期間
消費税の還付すべき税額4499万0059円
地方消費税の還付すべき譲渡割額1124万7514円
ウ平成22年6月課税期間
消費税の還付すべき税額820万9527円
地方消費税の還付すべき譲渡割額205万2381円
(2)本件各賦課決定処分
本件各更正処分のうち,前記(1)アないしウを下回る部分は違法であり
取り消されるべきところ,原告が新たに納付すべき税額は,別表10ない
し12の各「(2)原告の主張」欄(①)記載のとおりである。そして,平
成20年9月課税期間及び平成21年9月課税期間に係る過少申告加算税
については,新たに納付すべき税額の計算の基礎となった事実のうちに,
本件各更正処分前における税額の計算の基礎とされていなかったことにつ
いて「正当な理由があると認められるものがある場合」に該当する事実
(通則法65条4項)があり,過少申告加算税の計算において控除すべき金
額が,別表10及び11の各「加算税対象外税額」欄(②)記載の金額で
あることについては,当事者間に争いがない(前提事実(7)エ(イ))。他方
において,平成22年6月課税期間に係る過少申告加算税については,税額
の計算の基礎とされなかったことについて通則法65条4項に規定する正当
な理由があると認められるものがあるとは認められず,これらに基づき本件
各課税期間に係る過少申告加算税を計算した結果は,別表10ないし12の
各「(2)原告の主張」欄(⑥)記載のとおりである。
したがって,本件破産会社に課せられるべき過少申告加算税の額は,以
下のアないしウのとおりとなり,本件各賦課決定処分のうち,これらを上
回る部分は違法である。
ア平成20年9月課税期間274万1000円
イ平成21年9月課税期間224万4500円
ウ平成22年6月課税期間18万3500円
第5結論
よって,本件各更正処分等の取消しを求める原告の請求はいずれも理由がある
からこれを認容し,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法6
1条を適用して,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第2部
裁判官村田一広
裁判官不破大輔
裁判長裁判官川神裕は,転補につき,署名押印することができない。
裁判官村田一広
(別紙)
関係法令等の定め
第1消費税法等
1消費税法(平成23年6月30日法律第82号による改正前のもの)の定め
(1)消費税法4条1項は,国内において事業者が行った「資産の譲渡等」に
は,同法により,消費税を課する旨規定しており,同法5条1項は,事業者
は,国内において行った「課税資産の譲渡等」につき,同法により,消費税
を納める義務がある旨規定している。
(2)消費税法にいう「課税資産の譲渡等」とは,「資産の譲渡等」のうち,
同法6条1項の規定により消費税を課さないこととされる同法別表第1に掲
げるもの以外のものをいい(同法2条1項9号),「資産の譲渡等」とは,
事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供をい
う(同項8号)ものとされている。
(3)消費税法別表第1第4号ハは,同法6条1項の規定により消費税を課さ
ないこととされるものとして,「物品切手(商品券その他名称のいかんを問
わず,物品の給付請求権を表彰する証書をいい,郵便切手類に該当するもの
を除く。)その他これに類するものとして政令で定めるもの」(以下「物品
切手等」という。)の譲渡を掲げている。
(4)ア消費税法28条1項本文は,「課税資産の譲渡等に係る消費税の課税
標準は,課税資産の譲渡等の対価の額(対価として収受し,又は収受すべ
き一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額と
し,課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を課
税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額を含まないものとす
る。(…中略…))とする。」と規定している。
イ消費税法30条1項は,事業者が,国内において行う課税仕入れについ
ては,当該課税仕入れを行った日の属する課税期間の同法45条1項2号
(課税資産の譲渡等についての確定申告)に掲げる課税標準額に対する消
費税額から,当該課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る消費
税額の合計額を控除する旨規定している。また,同条2項は,同条1項の
場合において,同項に規定する課税期間における課税売上割合が100分
の95に満たないときは,同項の規定により控除する課税仕入れに係る消
費税額は,同項の規定にかかわらず,当該課税期間中に国内において行っ
た課税仕入れにつき,①課税資産の譲渡等にのみ要するもの,②課税資産
の譲渡等以外の資産の譲渡等(その他の資産の譲渡等)にのみ要するもの
及び③課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに
その区分が明らかにされている場合は,課税資産の譲渡等にのみ要する課
税仕入れの税額に,課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して
要する課税仕入れの税額に課税売上割合を乗じて計算した金額を加算する
方法により計算した金額とする旨規定している。
2消費税法施行令(平成22年3月31日政令第54号による改正前のもの)の定め
消費税法施行令11条は,消費税法別表第1第4号ハ(前記1(3))を受
けて,物品切手に類するものとして,役務の提供又は物品の貸付けに係る請
求権を表彰する証書とする旨を規定している。
第2国税通則法
国税通則法(以下「通則法」という。)65条1項は,期限内申告書の提出
がされた場合において,修正申告書の提出又は更正があったときは,その更正
等に基づき通則法35条2項の規定により納付すべき税額に100分の10の
割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課する旨を定めてお
り,さらに,同法65条2項は,更正等により納付すべき税額が期限内申告額
と50万円とのいずれか多い金額を超えるときは,当該超える部分に相当する
税額に100分の5の割合を乗じて計算した金額を加算する旨を定めている。
通則法65条4項は,同条1項又は2項に規定する納付すべき税額の計算の
基礎となった事実のうちにその修正申告又は更正前の税額(還付金の額に相当す
る税額を含む。)の計算の基礎とされていなかったことについて正当な理由があ
ると認められるものがある場合には,これらの項に規定する納付すべき税額から
その正当な理由があると認められる事実に基づく税額として政令で定めるところ
により計算した金額を控除して,これらの項の規定を適用する旨を定めている。
第3消費税法基本通達(平成22年4月1日付課消1-9による改正前のもの)の定め
国税庁長官は,消費税法に関し,以下の1ないし3の消費税法基本通達を発
出している。
1消費税法基本通達5-5-5(ゴルフクラブ等の入会金)
ゴルフクラブ,宿泊施設その他レジャー施設の利用又は一定の割引率で商品
等を販売するなど会員に対する役務の提供を目的とする事業者が会員等の資格
を付与することと引換えに収受する入会金(返還しないものに限る。)は,資
産の譲渡等の対価に該当することに留意する。
2消費税法基本通達6-4-4(物品切手等に該当するかどうかの判定)
法別表第1第4号ハ《物品切手等の譲渡》に規定する「物品切手等」とは,
次のいずれにも該当する証書をいうものとして取り扱う。
(1)当該証書と引換えに一定の物品の給付若しくは貸付け又は特定の役務の
提供を約するものであること。
(2)給付請求権利者が当該証書と引換えに一定の物品の給付若しくは貸付け
又は特定の役務の提供を受けたことによって,その対価の全部又は一部の支
払債務を負担しないものであること。
(注)いわゆるプリペイドカードは,物品切手等に該当する。
3消費税法基本通達6-4-5(物品切手等の発行)
事業者が,法別表第1第4号ハ《物品切手等の譲渡》に規定する物品切手等
を発行し,交付した場合において,その交付に係る相手先から収受する金品
は,資産の譲渡等の対価に該当しない。
以上
(別紙)
課税処分の根拠及び適法性(被告の主張)
第1各更正処分の根拠及び適法性について
処分行政庁が原告に対し,①平成23年3月28日付けで行った平成20年
9月課税期間の消費税等に係る更正処分(ただし,平成23年7月5日付け異議
決定及び平成25年7月30日付け更正処分により減額された後のもの。以下
「平成20年9月課税期間更正処分」という。),②平成23年3月28日付
けで行った平成21年9月課税期間の消費税等に係る更正処分(ただし,平成2
3年7月5日付け異議決定及び平成25年7月30日付け更正処分により減額さ
れた後のもの。以下「平成21年9月課税期間更正処分」という。)及び③平
成23年5月31日付けで行った平成22年6月課税期間の消費税等に係る更正
処分(ただし,平成23年7月8日付け更正処分により減額された後のもの。以
下「平成22年6月課税期間更正処分」といい,平成20年9月課税期間更正処
分及び平成21年9月課税期間更正処分と併せて「本件各更正処分」という。)
の根拠及び適法性は,以下のとおりである。
1平成20年9月課税期間更正処分について
(1)平成20年9月課税期間更正処分の根拠
被告が,本件訴訟において主張する原告の平成20年9月課税期間の消費
税等に係る課税標準額及び納付すべき税額は,別表7「(1)被告の主張」欄
記載のとおりであり,各項目の金額は次に述べるとおりである。
ア課税標準額(別表7(1)①欄)9億1839万2000円
上記金額は,次の(ア)の金額から(イ)の金額を控除した金額(ただし,
通則法118条1項の規定に基づき1000円未満の端数金額を切り捨て
た後のもの。以下同じ。)である。
(ア)修正申告における課税標準額(別表7(1)②欄)
9億2245万7518円
上記金額は,平成20年9月課税期間消費税等修正申告書(乙2)付
表2「1」欄に課税売上額として記載された金額9億2183万847
1円に,同申告書「5」欄「返還等対価に係る税額」欄に記載された2
万4761円(下記エ)に係る売上戻り高65万円の課税標準額に相当
する61万9047円を加算した金額である。
(イ)課税標準額から減算すべき額(別表7(1)③欄)
406万4953円
上記金額は,原告が,国税及び都税等の還付金を課税売上げとした金
額54万0667円及び課税取引の対象としていた解約手数料352万
4286円の合計額であり,資産の譲渡等の対価の額に該当しないから,
消費税の課税標準額に算入しない金額である。
イ課税標準額に対する消費税額(別表7(1)④欄)
3673万5680円
上記金額は,消費税法29条の規定により,上記アの金額に税率100
分の4を乗じて算出した金額である。
ウ控除対象仕入税額(別表7(1)⑤欄)8141万2513円
上記金額は,消費税法30条2項に規定する課税売上割合(同条6項)
が100分の95に満たないときにおいて控除する課税仕入れ等の税額の
合計額(後記(エ)の金額)に課税売上割合を乗じて計算した金額である。
(ア)課税売上割合(別表7(1)⑨欄)89.808921739%
上記割合は,消費税法30条6項に規定する割合で,次のaの金額を
a及びbの合計額で除した割合である。
a課税売上額(別表7(1)⑥欄)9億1777万3518円
上記金額は,上記ア(ア)の金額から上記ア(イ)の金額を控除した金
額から返還等対価に係る額61万9047円を控除した金額である。
b修正申告における非課税売上額(別表7(1)⑦欄)
1億0414万4461円
上記金額は,平成20年9月課税期間消費税等修正申告書の付表2
「6」欄に非課税売上額として記載された金額と同額である。
(イ)修正申告における課税仕入れに係る支払対価の額(別表7(1)⑩欄)
39億2636万9822円
上記金額は,平成20年9月課税期間消費税等修正申告書の付表2
「8」欄に課税仕入れに係る支払対価の額として記載された金額と同額
である。
(ウ)課税仕入れに係る支払対価の額から減算すべき額(別表7(1)⑪欄)
15億4678万6087円
上記金額は,次のa及びbの金額を合計した金額である。
a資産の譲渡等の対価に該当しない金額9億2536万8294円
上記金額は,破産者と本件各運営会社との間で精算された金額(本
件宿泊ポイント精算金額)であり,資産の譲渡等の対価には該当しな
いため,課税仕入れに算入しない金額である。
b非課税取引に係る金額6億2141万7793円
上記金額は,破産者が本件各会員に対して支払った本件未使用ポイ
ント買取金額であり,物品切手等の譲受けに当たることから非課税取
引として,資産の譲渡等のうち消費税を課さないこととされる金額で
ある。
(エ)課税仕入れに係る消費税額(別表7(1)⑫欄)
9065万0808円
上記金額は,上記(イ)の金額から(ウ)の金額を控除した金額に105
分の4を乗じた金額である。
エ返還等対価に係る税額(別表7(1)⑬欄)2万4761円
上記金額は,売上戻り高65万円に対する税額であり,平成20年9月
課税期間消費税等修正申告書「5」欄に記載された金額と同額である。
オ差引税額(別表7(1)⑭欄)▲4470万1594円
上記金額は,上記イの金額から上記ウ及びエの金額を控除した金額であ
る。
カ地方消費税の課税標準額(別表7(1)⑮欄)▲4470万1594円
上記金額は,上記オの金額であり,地方税法72条の77第2号及び7
2条の82の規定に基づく地方消費税の課税標準額である。
キ譲渡割額(別表7(1)⑯欄)▲1117万5398円
上記金額は,地方税法72条の83の規定に基づき,上記カの金額に税
率100分の25を乗じて算出した金額である。
ク消費税及び地方消費税の合計還付税額(別表7(1)⑰欄)
▲5587万6992円
上記金額は,上記オの金額と上記キの金額の合計額である。
(2)平成20年9月課税期間更正処分の適法性
被告が本件訴訟において主張する原告の平成20年9月課税期間における
納付すべき消費税額及び地方消費税の譲渡割額は,上記(1)で述べたとおり
であり,平成20年9月課税期間更正処分における原告の納付すべき消費税
額及び地方消費税の譲渡割額といずれも同額であるから,平成20年9月課
税期間更正処分は適法である。
2平成21年9月課税期間更正処分について
(1)平成21年9月課税期間更正処分の根拠
被告が,本件訴訟において主張する原告の平成21年9月課税期間の消費
税等に係る課税標準額及び納付すべき税額は,別表8「(1)被告の主張」欄
記載のとおりであり,各項目の金額は次に述べるとおりである。
ア課税標準額(別表8(1)①欄)9億3456万9000円
上記金額は,次の(ア)の金額から(イ)の金額を控除した金額である。
(ア)修正申告における課税標準額(別表8(1)②欄)
10億9585万6070円
上記金額は,平成21年9月課税期間消費税等修正申告書(乙3)の
付表2(1)欄に課税売上額として記載された金額と同額である。
(イ)課税標準額から減算すべき額(別表8(1)③欄)
1億6128万6763円
上記金額は,原告が,国税及び都税等の還付金,保険解約金を課税売
上げとした金額1億4112万5911円及び土地譲渡益を課税売上げ
とした金額38万0952円並びに課税取引の対象としていた解約手数
料1977万9900円の合計額であり,資産の譲渡等の対価の額に該
当しないから,消費税の課税標準額に算入しない金額である。
イ課税標準額に対する消費税額(別表8(1)④欄)3738万2760円
上記金額は,消費税法29条の規定により,上記アの金額に税率100
分の4を乗じて算出した金額である。
ウ控除対象仕入税額(別表8(1)⑤欄)7154万4077円
上記金額は,消費税法30条2項に規定する課税売上割合(同条6項)
が100分の95に満たないときにおいて控除する課税仕入れ等の税額の
合計額(後記(エ)の金額)に課税売上割合を乗じて計算した金額である。
(ア)課税売上割合(別表8(1)⑨欄)88.256477178%
上記割合は,消費税法30条6項に規定する割合で,次のaの金額を
a,b及びcの合計額で除した割合である。
a課税売上額(別表8(1)⑥欄)9億3456万9307円
上記金額は,上記ア(ア)の金額から上記(イ)の金額を控除した金額
である。
b修正申告における非課税売上額(別表8(1)⑦欄)
1億1785万5020円
上記金額は,平成21年9月課税期間消費税等修正申告書の付表2
(6)欄に非課税売上額として記載された金額と同額である。
c非課税売上額に加算すべき額(別表8(1)⑧欄)650万円
上記金額は,伊東の土地売却額であり,資産の譲渡等のうち,消費
税を課さないこととされる金額である。
(イ)修正申告における課税仕入れに係る支払対価の額(別表8(1)⑩欄)
43億4694万9996円
上記金額は,平成21年9月課税期間消費税等修正申告書の付表2⑻
欄に課税仕入れに係る支払対価の額として記載された金額と同額である。
(ウ)課税仕入れに係る支払対価の額から減算すべき額(別表8(1)⑪欄)
22億1902万4544円
上記金額は,次のa及びbの金額を合計した金額である。
a資産の譲渡等の対価に該当しない金額
14億1243万5396円
上記金額は,破産者と本件各運営会社との間で精算された金額(本
件宿泊ポイント精算金額)であり,資産の譲渡等の対価には該当しな
いため,課税仕入れに算入しない金額である。
b非課税取引に係る金額8億0658万9148円
上記金額は,破産者が本件各会員に対して支払った本件未使用ポイ
ント買取金額であり,物品切手等の譲受けに当たることから非課税取
引として,資産の譲渡等のうち消費税を課さないこととされる金額で
ある。
(エ)課税仕入れに係る消費税額(別表8(1)⑫欄)
8106万3826円
上記金額は,上記(イ)の金額から(ウ)の金額を控除した金額に105
分の4を乗じた金額である。
エ差引税額(別表8(1)⑭欄)▲3416万1317円
上記金額は,上記イの金額から上記ウの金額を控除した金額である。
オ地方消費税の課税標準額(別表8(1)⑮欄)▲3416万1317円
上記金額は,上記エの金額であり,地方税法72条の77第2号及び7
2条の82の規定に基づく地方消費税の課税標準額である。
カ譲渡割額(別表8(1)⑯欄)▲854万0329円
上記金額は,地方税法72条の83の規定に基づき,上記オの金額に税
率100分の25を乗じて算出した金額である。
キ消費税及び地方消費税の合計還付税額(別表8(1)⑰欄)
▲4270万1646円
上記金額は,上記エの金額と上記カの金額の合計額である。
(2)平成21年9月課税期間更正処分の適法性
被告が本件訴訟において主張する原告の平成21年9月課税期間における
納付すべき消費税額及び地方消費税の譲渡割額は,上記(1)で述べたとおり
であり,平成21年9月課税期間更正処分における原告の納付すべき消費税
額及び地方消費税の譲渡割額といずれも同額であるから,平成21年9月課
税期間更正処分はいずれも適法である。
3平成22年6月課税期間更正処分について
(1)平成22年6月課税期間更正処分の適法性
被告が,本件訴訟において主張する原告の平成22年6月課税期間の消費
税等に係る課税標準額及び納付すべき税額は,別表9「(1)被告の主張」欄
記載のとおりであり,各項目の金額は次に述べるとおりである。
ア課税標準額(別表9(1)①欄)4億2741万4000円
上記金額は,次の(ア)の金額に(イ)の金額を加算した金額である。
(ア)確定申告における課税標準額(別表9(1)②欄)
1億6964万2664円
上記金額は,平成22年6月課税期間消費税等確定申告書(乙4)の
付表2①欄に課税売上額として記載された金額と同額である。
(イ)課税標準額に加算すべき額(別表9(1)③欄)
2億5777万2195円
上記金額は,会員としての資格を付与することと引換えに受領する施
設利用料であり,資産の譲渡等の対価に該当するため,課税標準額にな
る金額である。
イ課税標準額に対する消費税額(別表9(1)④欄)1709万6560円
上記金額は,消費税法29条の規定により,上記アの金額に税率100
分の4を乗じて算出した金額である。
ウ控除対象仕入税額(別表9(1)⑤欄)1762万5327円
上記金額は,次の(ア)の金額に(イ)の金額を加算した金額に105分の
4を乗じた金額である。
(ア)確定申告における課税仕入れに係る支払対価の額(別表9(1)⑩欄)
4億2288万9161円
上記金額は,平成22年6月課税期間消費税等確定申告書付表2⑧欄
に課税仕入れに係る支払対価の額として記載された金額である。
(イ)課税仕入れに係る支払対価の額に加算すべき額(別表9(1)⑪欄)
3977万5673円
上記金額は,課税仕入れに係る支払対価の額としていなかった未払家
賃であり,課税仕入れに該当する金額である。
エ差引税額(別表9(1)⑭欄)▲52万8767円
上記金額は,上記イの金額から上記ウの金額を控除した金額である。
オ地方消費税の課税標準額(別表9(1)⑮欄)▲52万8767円
上記金額は,上記エの金額であり,地方税法72条の77第2号及び7
2条の82の規定に基づく地方消費税の課税標準額である。
カ譲渡割額(別表9(1)⑯欄)▲13万2191円
上記金額は,地方税法72条の83の規定に基づき,上記オの金額に税
率100分の25を乗じて算出した金額である。
キ消費税及び地方消費税の合計還付税額(別表9(1)⑰欄)
▲66万0958円
上記金額は,上記エの金額と上記カの金額の合計額である。
(2)平成22年6月課税期間更正処分の適法性
被告が本件訴訟において主張する原告の平成22年6月課税期間における
納付すべき消費税額及び地方消費税の譲渡割額は,上記(1)で述べたとおり
であり,平成22年6月課税期間更正処分における原告の納付すべき消費税
額及び地方消費税の譲渡割額といずれも同額であるから,平成22年6月課
税期間更正処分はいずれも適法である。
第2過少申告加算税賦課決定処分の根拠及び適法性
処分行政庁が原告に対し,①平成23年3月28日付けで行った平成20年
9月課税期間の消費税等に係る過少申告加算税の賦課決定処分(ただし,平成2
3年7月5日付け異議決定及び平成25年7月30日付け過少申告加算税の変更
賦課決定処分により変更された後のもの。以下「平成20年9月課税期間賦課決
定処分」という。),②平成23年3月28日付けで行った平成21年9月課
税期間の消費税等に係る過少申告加算税の賦課決定処分(ただし,平成23年7
月5日付け異議決定及び平成25年7月30日付け過少申告加算税の変更賦課決
定処分により変更された後のもの。以下「平成21年9月課税期間賦課決定処分」
という。)及び③平成23年5月31日付けで行った平成22年6月課税期間
の消費税等に係る過少申告加算税の賦課決定処分(ただし,平成23年7月8日
付け過少申告加算税の変更賦課決定処分により変更された後のもの。以下「平成
22年6月課税期間賦課決定処分」といい,平成20年9月課税期間賦課決定処
分及び平成21年9月課税期間賦課決定処分と併せて「本件各賦課決定処分」と
いう。)の根拠及び適法性は,以下のとおりである。
1本件各賦課決定処分の根拠
期限内申告書の提出があった場合において,更正等がされ,当初の申告税額
が結果的に過少となったときには,その更正等により納付すべき税額(地方税
法附則9条の9に基づき消費税額及び譲渡割額を合算した税額。以下同じ。)
に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課
することとされており(通則法65条1項),さらに,更正等により納付すべ
き税額が期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超えるときは,当該
超える部分に相当する税額に100分の5の割合を乗じて計算した金額を加算
するとされている(通則法65条2項)。
前記第1のとおり,本件各更正処分はいずれも適法であるところ,本件各更
正処分により新たに納付すべき税額の計算の基礎となった事実のうち,本件各
更正処分前における税額の計算の基礎とされていなかったことについて,一部
(下記(1)ないし(3)において示す。)を除き,通則法65条4項にいう正当な
理由があるとは認められない。
したがって,原告の本件各課税期間の消費税等に係る過少申告加算税の額は,
それぞれ別表10ないし12「過少申告加算税の明細」(平成20年9月課税
期間ないし平成22年6月課税期間)の各「(1)被告の主張」欄記載のとおり
であり,各項目の金額は次に述べるとおりである。
(1)平成20年9月課税期間賦課決定処分
平成20年9月課税期間更正処分に基づき新たに納付すべき税額6602
万2200円(別表10(1)①欄)から,前記第1の1(1)ウ(ウ)の課税仕入
れに係る支払対価の額から減算すべき額のうち通則法65条4項に該当する
加算税対象外税額3959万2100円(別表10(1)②欄)を控除した金
額2643万円(ただし,通則法118条3項の規定に基づき1万円未満の
端数の金額を切り捨てた後のもの。以下同じ。)を基礎として,これに10
0分の10の割合を乗じて算出した金額264万3000円(別表10(1)
⑤欄)と,平成20年9月課税期間更正処分に基づき新たに納付すべき税額
から加算税対象外税額を控除した金額2643万0100円のうち50万円
を超える部分に相当する税額である2593万円に100分の5の割合を乗
じて算出した金額129万6500円(別表10(1)④欄)との合計額39
3万9500円(別表10(1)⑥欄)である。
(2)平成21年9月課税期間賦課決定処分
平成21年9月課税期間更正処分に基づき新たに納付すべき税額8940
万3000円(別表11(1)①欄)から,前記第1の2(1)ウ(ウ)の課税仕入
れに係る支払対価の額から減算すべき額のうち通則法65条4項に該当する
加算税対象外税額6072万7700円(別表11(1)②欄)を控除した金
額2867万円を基礎として,これに100分の10の割合を乗じて算出し
た金額286万7000円(別表11(1)⑤欄)と,平成21年9月課税期
間更正処分に基づき新たに納付すべき税額から加算税対象外税額(別表11
(1)②欄)を控除した金額2867万5300円のうち50万円を超える部
分に相当する税額である2817万円に100分の5の割合を乗じて算出し
た金額140万8500円(別表11(1)④欄)との合計額427万550
0円(別表11(1)⑥欄)である。
(3)平成22年6月課税期間賦課決定処分
平成22年6月課税期間更正処分に基づき新たに納付すべき税額1099
万円(別表12(1)①欄)を基礎として,これに100分の10の割合を乗
じて算出した金額109万9000円(別表12(1)⑤欄)と,平成22年
6月課税期間更正処分に基づき新たに納付すべき税額1099万円のうち5
0万円を超える部分に相当する税額である1049万円に100分の5の割
合を乗じて算出した金額52万4500円(別表12(1)④欄)との合計額
162万3500円(別表12(1)⑥欄)である。
2本件各賦課決定処分の適法性
被告が本件訴訟において主張する原告の本件各課税期間の消費税等の過少申
告加算税の額は,上記1で述べたとおりであり,本件各賦課決定処分における
過少申告算税の額は,いずれも同額であるから,本件各賦課決定処分はいずれ
も適法である。
以上
別表1ホテル一覧

号名称所在地所有者運営者
1Jホテル三重県志摩市α×-1本件破産会社E
2Kホテル静岡県熱海市β×-10本件破産会社E
3Lホテル福井県あらわ市γ×-10本件破産会社E
4Mホテル神奈川県足柄下郡δ×-6本件破産会社E
5Nホテル静岡県田方郡ε×-11本件破産会社E
6Oホテル山梨県南巨摩郡ζ×-3本件破産会社E
7Pホテル新潟県妙高市η×-21本件破産会社E
8Qホテル静岡県伊東市θ×-5本件破産会社F
9Rホテル静岡県熱海市ι×-29㈲SD
10T兵庫県赤穂市λ×U㈱E
11Vホテル静岡県賀茂郡μ×-42㈱WE
別表3平成19年9月課税期間に係る更正処分等の経緯(参考)
(単位:円)
区分年月日課税標準額税額
(納付すべき消
費税額)過少申告
加算税(納付すべき地
方消費税額)
確定申告平成19年11月25日714,415,0001,200,300960,300-
(期限内)240,000
更正処分平成20年3月31日724,221,000△65,753,113△52,602,491-
(減額)△13,150,622
再更正処分平成23年3月28日724,221,000△37,459,508△29,967,607-
(増額)△7,491,901
異議申立平成23年5月10日120,144,000△67,663,358△54,130,687-
△13,532,671
異議決定平成23年7月5日708,459,000△38,247,608△30,598,087-
△7,649,521
審査請求平成23年7月29日120,827,000△65,753,113△52,602,491-
(訂正後)△13,150,622
審査裁決平成24年7月20日(棄却)
再更正処分平成25年9月4日724,221,000△65,753,113△52,602,491-
の全部取消し△13,150,622
別表4平成20年9月課税期間に係る更正処分等の経緯
(単位:円)
区分年月日課税標準額税額
(納付すべき消
費税額)過少申告
加算税(納付すべき地
方消費税額)
確定申告平成20年11月28日922,457,000△134,890,053△107,912,043-
(期限内)△26,978,010
修正申告平成21年3月16日922,457,000△121,899,326△97,519,461-
△24,379,865
更正処分平成23年3月28日921,916,000△54,146,343△43,317,0754,199,000
(増額)△10,829,268
異議申立平成23年5月10日192,461,000△62,783,378△50,226,703-
△12,556,675
異議決定平成23年7月5日918,392,000△54,283,476△43,426,7814,178,000
△10,856,695
審査請求平成23年7月29日191,920,000△62,707,957△50,166,366-
△12,541,591
審査裁決平成24年7月20日(棄却)
再更正処分平成25年7月30日918,392,000△55,876,992△44,701,5943,939,500
(減額)△11,175,398
別表5平成21年9月課税期間に係る更正処分等の経緯
(単位:円)
区分年月日課税標準額税額
(納付すべき消
費税額)過少申告
加算税(納付すべき地
方消費税額)
確定申告平成21年11月30日1,095,856,000△143,717,026△114,973,621-
(期限内)△28,743,405
修正申告平成22年3月16日1,095,856,000△132,104,722△105,683,778-
△26,420,944
更正処分平成23年3月28日954,349,000△41,816,992△33,453,5944,592,000
(増額)△8,363,398
異議申立平成23年5月10日282,647,000△56,147,876△44,918,301-
△11,229,575
異議決定平成23年7月5日934,569,000△42,588,068△34,070,4554,292,000
△8,517,613
審査請求平成23年7月29日282,658,000△56,147,876△44,918,301-
(訂正後)△11,229,575
審査裁決平成24年7月20日(棄却)
再更正処分平成25年7月30日934,569,000△42,701,646△34,161,3174,275,500
(減額)△8,540,329
別表6平成22年6月課税期間に係る更正処分等の経緯
(単位:円)
区分年月日課税標準額税額
(納付すべき消
費税額)過少申告
加算税(納付すべき地
方消費税額)
確定申告平成22年8月10日169,642,000△11,655,478△9,324,383-
(期限内)△2,331,095
更正処分平成23年5月31日437,081,000△177,608△142,0871,695,500
(増額)△35,521
再更正処分平成23年7月8日427,414,000△660,958△528,7671,623,500
(減額)△132,191
異議申立平成23年7月15日169,642,000△11,655,478△9,324,383-
△2,331,095
異議決定平成23年10月7日(棄却)
審査請求平成23年10月14日235,395,000△10,261,908△8,209,527-
(訂正後)△2,052,381
審査裁決平成24年7月20日(棄却)
別表10過少申告加算税の明細(平成20年9月課税期間)
(単位:円)
区分
課税期間
(1)被告の主張(2)原告の主張
納付すべき税額①66,022,20058,041,100
加算税対象外税額②39,592,10039,592,100
期限内申告の税額と50万円とのうち多い金額③500,000500,000
(①-②-③1万円未満切捨て)×5%④1,296,500897,000
(①-②1万円未満切捨て)×10%⑤2,643,0001,844,000
過少申告加算税の額(④+⑤)⑥3,939,5002,741,000
別表11過少申告加算税の明細(平成21年9月課税期間)
(単位:円)
区分
課税期間
(1)被告の主張(2)原告の主張
納付すべき税額①89,403,00075,867,100
加算税対象外税額②60,727,70060,727,700
期限内申告の税額と50万円とのうち多い金額③500,000500,000
(①-②-③1万円未満切捨て)×5%④1,408,500731,500
(①-②1万円未満切捨て)×10%⑤2,867,0001,513,000
過少申告加算税の額(④+⑤)⑥4,275,5002,244,500
別表12過少申告加算税の明細(平成22年6月課税期間)
(単位:円)
区分
課税期間
(1)被告の主張(2)原告の主張
納付すべき税額①10,994,5001,393,500
加算税対象外税額②
期限内申告の税額と50万円とのうち多い金額③500,000500,000
(①-②-③1万円未満切捨て)×5%④524,50044,500
(①-②1万円未満切捨て)×10%⑤1,099,000139,000
過少申告加算税の額(④+⑤)⑥1,623,500183,500

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛