弁護士法人ITJ法律事務所

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平成16年・第4号
 裁判所の保護命令に違反して妻の居住場所をはいかいした被告人に対し,懲役8
月(執行猶予3年)の有罪判決が言い渡された事案
 上記の者に対する配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律違反被
告事件について,当裁判所は,検察官山下明義及び国選弁護人清田嘉一各出席の上
審理し,次のとおり判決する。
主       文
被告人を懲役8月に処する。
この裁判確定の日から3年間その刑の執行を猶予する。
訴訟費用は全部被告人の負担とする。
理       由
(罪となるべき事実)
 被告人は,平成15年11月6日,甲府地方裁判所において,配偶者からの暴力
の防止及び被害者の保護に関する法律10条に基づき,同月7日から起算して6か
月間,山梨県中巨摩郡a町bc番地A団地d号館e号の住居以外の場所において被
告人の妻であるB(平成15年11月18日離婚,C姓に復氏)の身辺につきまと
い,又は住居以外の同女の勤務先その他その通常所在する場所の付近をはいかいし
てはならないとの保護命令を受けていたものであるが,同年12月23日午後8時
30分ころから同日午後8時35分ころまでの間,同女が居住する同町f町g番地
hの同女の実父D方付近をはいかいし,もって,保護命令に違反したものである。
(法令の適用)
 被告人の判示は配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律29条に
該当するので,所定刑中懲役刑を選択し,その所定刑期の範囲内で被告人を懲役8
月に処し,情状により刑法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から3年間
その刑の執行を猶予し,訴訟費用については,刑事訴訟法181条1項本文により
全部これを被告人に負担させることとする。
(量刑の理由)
 本件は,判示のとおりの配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律
に基づく保護命令違反の事案である。
 被告人は,平成9年2月14日B(以下「被害者」という。)と結婚し長女長男
をもうけたが,長女誕生のころから気に入らないことがあると被害者に暴力を振る
うようになり,その暴力は年々激しくなり,被害者が被告人の暴力を警察に相談す
るようになり,平成15年10月31日被害者との離婚話がもつれ被害者に傷害を
負わせる事件を起こして逮捕され同年11月11日罰金10万円に処せられ,その
間被害者は甲府地方裁判所に保護を申請し,同月6日保護命令が発せられ翌7日被
告人に送達された。その後被告人は被害者側と離婚の話が進み,被害者が保護命令
を取り下げ,被害者が子供2人を引き取ることにし同月18日離婚したが,被害者
は被告人の暴力を恐れて保護命令を取り下げなかった。被告人は,離婚後被害者に
「会って話をしたい
。」,「食事に行こう。」などと電話をしたりし,また子供との面会を求め,被害
者の母親と子供との面会の件でトラブルとなり同女に被害者との会話を求めたがこ
れを拒否されたことから,被害者が当時居住していた判示の同人の実家に赴いて同
家の玄関を叩き「開けろ。」,「開けろ。」などと叫んだもので,被告人の本件犯
行は,元々は被告人の被害者に対する言われなき暴力に端を発したもので,裁判所
の保護命令を全く無視するものであって,上記法律の趣旨を没却するものと言わざ
るを得ず被告人の刑事責任は重い。
 しかしながら,被告人には上記罰金前科のほか業務上過失致死の罰金前科以外前
科がないこと,以前にも身柄拘束の経験はあるものの今回相当期間勾留され反省す
る機会が与えられ十分反省の態度が認められること,情状証人として出廷した実母
が被告人の今後の指導監督を誓約していること,被告人及び実母も,今後は子供と
の面会については家庭裁判所に相談しその指示に従う旨及び現住居を引き払い肩書
き帰住予定先の実家に戻る旨述べていること,被害者は既に保護命令の取消を申し
立て保護命令が取り消されていること等被告人に有利な又は同情すべき事情も認め
られ,これらの情状を斟酌すると,被告人に対しては今回に限り社会内で更生する
機会を与えるのを相当と認め主文の刑に処し,その刑の執行を猶予することとし
た。
(検察官求刑懲役8月)
 よって,主文のとおり判決する。
平成16年3月2日
甲府地方裁判所刑事部
        裁 判 官    山  本  武  久

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