弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決及び第一審判決を破棄する。
     被告人は無罪。
         理    由
 職権により調査すると、原審は「本件請負契約締結には、被告人の欺罔による錯
誤が存在するというべく、即ち若し町において、被告人が請負人に承諾させた実際
の請負金額を知つたとするならば、町は原判示(第一審判決判示)のような内容(
請負金額について)の請負契約を締結せず、またこれが請負代金の支払をしなかつ
た筈であることが窺い得る(町は殊更に工事につきその予算額又はこれに近い金額
を費さなければならない訳ではなく、出来る限り工事費の低廉を計るは当然のこと
である)。してみれば、被告人は町を欺罔することによつて実際の請負金額より多
額な金額を支出させ以つて自己に取得する権利のない金員を領得したのであるから、
騙取したものに他ならない。」と判示している。しかし、事実審が証拠によつて確
定したところによれば、被告人は請負人に代つてA町との間に工事請負契約を締結
し、また請負人の代理人として右請負契約に基く工事代金を町から受領したもので
ある。そしてかかる場合においては、被告人が請負人との内部の関係において請負
人に承諾せしめた請負金額を、注文主たるA町に告知せねばならぬ法律上の義務が
被告人にあるとすべき特段の事由は認めることができないのである。たとえ事実審
の認定したごとく、被告人が、請負人に対してはA町の工事費予算額を知らせず、
その予算額よりはるかに低額で請負うことを承諾させ、一方同町役場係員にはその
事実を秘してあたかも請負人は同町役場の予算額(又はその範囲内で、右請負人に
承諾させた請負金額を上まわる額)で請負うもののごとく申し向け、本件請負契約
を締結し、そして工事完了により町役場には請負人が町との契約額を請求するよう
申し向けて自己にその代金の交付を受け、当初請負人の承諾した代金との差額を被
告人が領得したとしても、被告人は町と請負人との間に有効に成立した請負契約に
基づく当然の請負代金を受領したに止まり、被告人の本件所為が、町との関係にお
いて詐欺罪成立の要件たる騙取行為があつたものとすることはできない。それ故、
被告人の本件所為は詐欺罪を構成せず、刑訴三三六条により無罪の言渡をなすべき
ものであり、これと反する事実審の判断は違法であつて、これを破棄しなければ著
しく正義に反するものと認められる。
 よつて、弁護人清水繁一の上告趣意に対する判断を省略し、刑訴四一一条一号、
四一三条但書により、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
  昭和三一年八月三〇日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    岩   松   三   郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛