弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

主      文
 被告人を懲役2年に処する。
 未決勾留日数中90日をその刑に算入する。
理      由
(罪となるべき事実)
 被告人は
第1 平成13年6月3日午前1時20分ころ,秋田市ab丁目c番d号A駐
車場に駐車中の普通乗用自動車内において,興奮,幻覚又は麻酔の作用を
有する劇物であって,政令で定めるトルエンを含有する接着剤16缶(約
1240ミリリットル)をみだりに吸入する目的で所持した
第2 同年8月12日午前1時20分ころ,前記A駐車場に駐車中の普通
乗用自動車内において,興奮,幻覚又は麻酔の作用を有する劇物であって,
政令で定めるトルエンを含有するシンナー2瓶(約290ミリリットル)
をみだりに吸入する目的で所持した
第3 同月22日午前零時5分ころ,同市ae丁目f番g号付近路上に駐
車中の普通乗用自動車内において,興奮,幻覚又は麻酔の作用を有する劇
物であって,政令で定めるトルエンを含有するシンナー1瓶(約89ミリ
リットル)をみだりに吸入する目的で所持した
第4 同月23日午後7時ころから同月24日午前4時30分ころまでの
間,同市h町i番j号B方において,興奮,幻覚又は麻酔の作用を有する
劇物であって,政令で定めるトルエンを含有する接着剤をみだりに吸入し,
かつ,同月24日午前4時45分ころ,前記吸入にかかる接着剤の残量1
缶(約35ミリリットル)をみだりに吸入する目的で所持した
第5 同月24日午前4時32分ころ,前記の実父B(当時61歳)方にお
いて,同人に対し,「この野郎。これでも起ぎねが。火を点けてやる。」
などと怒号しながら廊下等に灯油をまき散らした上,さらに「警察呼ばっ
たべ。火,点けてやる。」などと語気鋭く申し向けるなどし,同人の生命,
身体,財産等に危害を加える旨を告知して脅迫した
ものである。
(累犯前科)
被告人は
1 毒物及び劇物取締法違反の罪により秋田地方裁判所において平成7年7月1
1日懲役1年2月に処せられ,平成8年8月18日その刑の執行を受け終わり,
1 その後犯した同罪により,仙台高等裁判所秋田支部において平成9年7月
29日懲役8月に処せられ同年8月13日その刑の執行を受け終わり,
1 その後犯した窃盗,毒物及び劇物取締法違反の罪により秋田地方裁判所に
おいて平成10年5月27日懲役1年6月に処せられ平成11年10月26日
その刑の執行を受け終わり,
1 その後犯した窃盗罪により秋田簡易裁判所において平成11年12月22
日懲役1年2月に処せられ平成13年1月29日その刑の執行を受け終わった
ものである。
上記は,検察事務官作成の前科調書及び裁判官作成の各判決書謄本によって
認められる。
(法令の適用)
被告人の所為     第1ないし第4につき毒物及び劇物取締法24条
の3(なお第1の事実については平成13年法律
第87号附則4条により改正前の同条項による),
3条の3,同法施行令32条の2,第5につき刑
法222条1項
刑種の選択       懲役刑
第1,第2につき5犯,第3ないし第5につき4犯加重
同法56条1項,57条,59条
併合罪加重       同法45条前段,47条本文,10条
最も重い第5の罪の刑に法定の加重
未決勾留日数の本刑算入 同法21条
訴訟費用の不負担    刑事訴訟法181条1項但書
(弁護人の主張に対する判断及び量刑について)
弁護人は,被告人は,本件脅迫事件の犯行時,「シンナー中毒等により異常
な精神状態になっていたものであり,責任能力を欠く状態にあった可能性があ
る」と主張しているが,被告人は本件脅迫の10日ほど前の平成13年8月1
2日から同月18日までトルエン吸入による有機溶剤依存症によりB病院に入
院し,さらに本件脅迫の前々日の8月22日に同症でCに入院し,23日に退
院したものであるが,その時の各医師の診断では,各入院直後(本件脅迫時と
類似する精神状態であったと考えられる),被告人はいずれも行為責任能力が
あったとされていること,また被告人は確かに所々に記憶の欠落はあるものの,
被害者らの供述によると被告人は「起こしても起きないから火を点けてやる」
と告げてその言葉に合う冷静な行動をとっていること等から判断すれば,確か
にその動機にいささか飛躍があるので事理弁別の判断能力が劣っていたとは認
められるものの,いまだ著しく劣っているとは認められず,いわんやその能力
が全くなかったというものではなく,結局,被告人が犯行時に行為責任能力を
有していたとみるべきである。
被告人は,これまで毒物及び劇物取締法違反の罪で罰金2回,懲役刑6回を受
けて,いずれも服役し,さらにその後犯した窃盗の罪で服役し,本年1月刑の
執行が終了した者であるが,何ら自重自戒することなく,再び本件に至ったも
のであって,本件ではあわや自宅に放火する寸前まで行ったもので,きわめて
悪質というほかなく,被告人の責任は重い。
以上の諸点に照らし,被告人が反省をしていること,今度こそは強い意思を持
って両親及び周囲の関係者の指示に従いしかるべき施設で治療する旨述べてい
ること等諸般の情状も考慮し,被告人を懲役2年に処することとする。なお服
役後,直ちにD入所を実現させて,同所で強い意思と自覚を持って,療養に専
念するよう,強く希望する。
     (裁判官   穴  澤  成  巳)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛