弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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○ 主文
一 被告が原告に対し平成四年六月一二日付けでした別紙物件目録記載の各土地に
ついての一時利用地指定(使用及び収益の一時停止)処分を取り消す。
二 訴訟費用は被告の負担とする。
○ 事実
第一 当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
主文同旨。
二 請求の趣旨に対する答弁
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 原告は、別紙物件目録記載の各土地(以下、「本件各土地」という。)を所有
している。
2 被告は、原告に対し、平成四年六月一二日付けで本件各土地について一時利用
地指定(使用及び収益の一時停止)処分(以下、「本件処分」という。)をした。
3 しかしながら、本件処分は違法である。
4 よって、原告は、被告に対し、本件処分の取消しを求める。
二 請氷原因に対する被告の認否及び主張
1 請求原因1及び2はいずれも認める。
2 同3は争う。
被告は、平成四年六月一二日付けで、土地改良法(以下、単に「法」という。)八
九条の二第六項前段に基づき、本件各土地について、道路及び水路になった部分を
除き、訴外A、同B及び同Cの三名に対して、右各人の従前地に代わるべき一時利
用地として指定した。これに伴って、法八九条の二第八項、五三条の五第六項に基
づき、原告は本件各土地を使用収益することができなくなったため、被告は、右同
日付けで、法八九条の二第八項、五三条の五第三項に基づき、原告に対して、その
旨を通知したものである。
右通知を記載した通知書(以下、「本件通知書」という。)中の「使用収益ができ
なくなる日」欄が空欄となっているが、これは、本来平成四年六月一九日と記入す
べきところを、事務上の手違いにより記入漏れとなったものである。かかる期日の
記載のない一時利用地指定処分の効力発生日は、行政処分の一般効力として通知到
達の日ということになり、原告については、本件通知書が原告に手交された平成四
年七月七日ということになる。
結局、本件処分には、法手続上なんら瑕疵はない。
第三 証拠(省略)
○ 理由
一 請求原因1(原告の所有)及び2(本件処分)の事実は、いずれも当事者間に
争いがない。
二 そこで、請求原因3(本件処分の違法性)につき検討するに、成立に争いのな
い甲第一号証に弁論の全趣旨を総合すれば、被告は、原告所有の本件各土地が、圃
場整備事業工事の地域内にあることを理由に、他の者の一時利用地として指定にな
り、原告の使用収益ができなくなる旨等を記載した、平成四年六月一二日付けの
「一時利用地指定(使用及び収益の一時停止)通知書」と題する本件通知書を作成
したが、そのうち使用収益ができなくなる日の記載欄は空欄としたまま、これを同
年七月七日原告に手交したことが認められ、右認定を左右するに足りる証拠はな
い。
一 時利用地指定処分は名宛人である相手方の受領を要する行政処分と解される
(法五三条の五第三項参照)ところ、一般に、このような行政処分の相手方に対す
る効力が、当該処分が相手方に到達した時から発生するものであることは、被告主
張のとおりである。
しかしながら、一時利用地指定処分が必ずしも関係者全員に同時に到達するとは限
らないことに加え、関係者に従前地の使用収益の停止と一時利用地の使用収益の開
始の準備をさせる必要があることから、法は、一時利用地の指定は、その一時利用
地及び従前の土地につき所有権等の権利を有する者に対して、使用開始の日を通知
して行うものとする(八九条の二第八項、五三条の五第三項)とともに、その一時
利用地につき所有権等の権利を有する者は、右の通知に係る使用開始の日から、そ
の一時利用地について、その有する当該権利に基づく使用及び収益をすることがで
きなくなるものとして(八九条の二第八項、五三条の五第六項)、一時利用地指定
(使用収益の一時停止)処分の効力発生時期につき、前記の一般原則にかからしめ
ることなく、特段の定めをおいているのであって、本件通知書が原告に手交された
平成四年七月七日に、原告に対する本件処分の効力が発生した旨の被告の主張は採
用できない。(仮に、一時利用地指定処分の効力発生について、前記一般原則が適
用されるとすると、弁論の全趣旨によれば、本件各土地について、従前の土地に代
わるべき一時利用地の指定を受けた前記三名についても使用開始の日の通知がない
ことが認められるから、右三名は原告がその使用収益をすることができなくなる平
成四年七月七日より前である各通知到達の日(Aについては同月六日、Bについて
は同月一日、Cについては同年六月二八日)から使用収益を開始することができる
こととなり、混乱が生じることとなる。)
そして、法が、一時利用地指定処分の要件として、一時利用地につき所有権等の権
利を有する者に対して使用開始の日を通知することを要求していることは前記のと
おりであるところ、原告に手交された本件通知書中の「使用収益ができなくなる
日」欄が空欄のままであったことは前記認定のとおりであり、本件通知書によっ
て、原告に対する使用開始の日の通知がなされていないことは明らかであるし、本
件通知書以外の方法によってこれが原告に通知されたことを認めるに足りる証拠も
ないのであるから、原告に対する本件処分は、法八九条の二第八項、五三条の五第
三項に違反した違法があるものというべきである。
三 よって、原告の請求は理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき、
行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 生田瑞穂 岸和田羊一 永渕健一)
別紙物件目録(省略)

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