弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人西中務の上告理由第一点について
 社会福祉事業法二七条一項は、社会福祉法人は、政令の定めるところにより、そ
の設立、従たる事務所の新設、事務所の移転その他登記事項の変更等の各場合に、
登記をしなければならないものと定め、同条二項は、前項の規定により登記をしな
ければならない事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗すること
ができない旨を規定している。その趣旨は、社会福祉法人は、登記をしなければな
らない事項については、登記をしない限り第三者に対抗することができないものと
するとともに、反面、登記をしたときは善意の第三者にもこれを対抗することがで
きるものとすることにあると解される。
 ところで、社会福祉法人の理事の退任すなわち代表権の喪失は、社会福祉事業法
二七条一項、組合等登記令(昭和三九年政令第二九号)一条、二条により、登記し
なければならない事項とされているのであるから、前記規定の趣旨に照らせば、社
会福祉法人が理事の退任につき登記をしたときは、右理事の退任すなわち代表権の
喪失を第三者に対抗することができ、その後その者が右法人の代表者として第三者
とした取引については、交通・通信の途絶、登記簿の滅失など登記簿の閲覧につき
客観的な障害があり、第三者が登記簿を閲覧することが不可能ないし著しく困難で
あるような特段の事情があった場合を除いて、民法一一二条の規定を適用ないし類
推適用する余地はないものと解すべきである。
 これを本件についてみるのに、原審の適法に確定したところによれば、(1) 被
上告人は社会福祉法人であり、Dは代表権を有する理事であったが、Dは昭和六〇
年四月七日に理事を退任(辞任)して代表権を喪失し、同月一七日その登記がされ
た、(2) 本件手形三通は、Dが被上告人の理事を退任してから少なくとも八か月
経過後に、原判決の引用する一審判決別紙約束手形目録(1)及び(3)の各手形はE
を、同目録(2)の手形はF株式会社をそれぞれ受取人として、いずれもDにより被
上告人の代表者名義をもって振り出されたものであり、その後、右各受取人から被
裏書人欄を白地として裏書譲渡され、上告人がこれを所持している、というのであ
る。そしてまた、Dの退任が登記された後、右各受取人らが登記簿を閲覧すること
は十分に可能であったというのであるから、前記のような特段の事情を認めること
ができないことも明らかである。そうすると、上告人は、右各受取人らの善意無過
失を理由に民法一一二条の規定の適用ないし類推適用を主張して、被上告人の表見
代理責任を追及することはできないものといわなければならない。
 したがって、原審が本件に民法一一二条の規定の適用ないし類推適用を肯定すべ
きものとしたのは相当でないが、被上告人の責任を否定した判断は、結論において
是認することができる。論旨は採用することができない。
 同第二点について
 原審は、被上告人がDに対して退任後も理事長として行動することを容認してい
た事実が認められないとしたものであり、右判断は是認することができるから、所
論はその前提を欠く。論旨は結局において、原審の専権に属する証拠の取捨判断、
事実の認定を非難するものであって、採用することができない。
 よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    大   野   正   男
            裁判官    園   部   逸   夫
            裁判官    可   部   恒   雄
            裁判官    千   種   秀   夫
            裁判官    尾   崎   行   信

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