弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を大阪高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人田上義智、同中垣一二三の上告理由第一点、第二点について。
 原審の認定したところによれば、被上告人はかねて本件賃借地上に所有するバラ
ツク建の本件家屋の改築を考えていたところ、昭和三五年五月二四日上告人との間
に、上告人は被上告人から本件家屋とその敷地賃借権とを代金三五万円で譲り受け
同日内金二〇万円を被上告人に支払い、上告人は本件家屋を取りこわし右敷地上に
木造二階建家屋を新築しその一階を被上告人に保証金一五万円賃料一ヶ月七千円で
賃貸する、右保証金は前示譲渡代金の残金一五万円を充当する、被上告人は同年六
月三日までに本件家屋を上告人に明け渡すとの契約を締結し、右契約の同日上告人
は被上告人に右内金二〇万円を支払い、残金一五万円は前記保証金に充当する関係
で現金の支払がなされず、被上告人は遅くとも同年七月三日までに上告人に本件家
屋を明け渡したというのである。
 ところで、原判決は次いで、本件敷地賃借権の譲渡について地主の承諾の存する
ことが右契約の内容となつていたこと、上告人がいよいよ本件家屋の取りこわし工
事にかかつたところ、一旦これを承諾していた本件土地の管理人Dが右取りこわし
によつて被上告人の本件土地賃借権は消滅する旨を通告してきたので上告人は工事
を中止したこと、その後被上告人が右Dを相手方として本件土地賃借権の確認を求
める調停を申し立てたが不成立に終つたこと、このようにして上告人は右工事を続
行することができず、家屋の新築がなされていないことを認定したうえ、以上の事
実関係から、右契約は、上告人が家屋を新築して被上告人に賃貸する債務と、被上
告上が上告人に本件家屋とその敷地賃借権とを譲渡して本件家屋を明け渡す債務と
が対立する双務契約であるといわねばならないとし、かつ、土地管理人Dの承諾が
右のように撤回され、被上告人のDに対する調停も不成立に終つた以上、上告人が
被上告人から敷地賃借権の譲渡を受けて家屋を新築することについて地主の承諾を
得ること、したがつて上告人が本件家屋の敷地跡に家屋を新築して被上告人に賃貸
する債務は履行不能になつたものというべく、しかも、右履行不能は当事者双方の
責に帰すべからざる事由によつて生じたものであるから、民法五三六条一項によつ
て上告人は反対給付を請求する権利を失つたものであると判断して、上告人の本訴
請求を棄却したのである。
 しかし、原判決は、本件土地管理人Dが承諾を撤回したことおよび同人に対する
前示調停が不成立に終つたことを判示するだけで、管理人とされているDの権限の
内容は明らかでなく、地主本人との関係において承諾を得ることが不能となつたも
のかどうかについて審理を尽していない。また、原判決は、右地主の承諾の存する
ことが本件契約の内容となつていたことを判示するが、その趣旨は、原判決のその
余の説示に照らしても不明確である。右承諾を得べきことをもつて本件契約の内容
とした趣旨であれば、右承諾を得べき義務を当事者のいずれにおいて負う約定であ
つたかを認定判断しなければならず、その結果は、地主の承諾を得ることの履行不
能が原判示のごとく直ちに当事者双方の責に帰すべからざる事由によるものとはい
えない場合を生ずる。
 以上の点について、原判決には審理不尽ないし理由不備の違法があるといわねば
ならず、これを指摘する論旨は理由があるから、原判決は破棄を免れず、本件は原
審に差し戻すべきである。
 よつて、民訴法四〇七条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    松   田   二   郎
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    岩   田       誠

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