弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人Aの弁護人向江璋悦、同安西義明の上告趣意第一点について。
 論旨は量刑不当の主張に帰し適法な上告理由とならない。
 同第二点について。
 論旨は憲法三六条違反を主張するけれども、その理由なきことは、当裁判所の判
例(昭和二二年(れ)三二三号同二三年六月二三日大法廷判決等)によつてしばし
ば示された趣旨に徴して明らかである。
 同第三点について。
 論旨は、麻薬取締法附則一六号によつて本件に適用された旧麻薬取締法四条三号、
五七条の二の規定が憲法一一条及び一三条に違反すると主張する。しかし麻薬、殊
に本件違反物件である塩酸ヂアセチルモルヒネは、その用法によつては人の心身に
きわめて危険な害悪を生ずるおそれがあるから、麻薬取締法は公共の保健衛生の要
請上、その取扱について厳重な制限規定を設けたものであつて、かかる制限は公共
の福祉のため必要であるから、右制限規定が憲法一一条及び一三条に違反するもの
でないことは、当裁判所の判例(昭和二九年(あ)一四〇〇号、同三一年一二月二
六日大法廷判決)の趣旨に徴して明らかである。論旨は理由がない。
 同第四点について。
 論旨は検察官の求刑が違憲であると主張するけれども、原審において主張、判断
を経ていない事項に関する主張であるから、適法な上告理由とならない。(検察官
の具体的求刑が違法でないとの所論引用の当裁判所の判例は正当であつて、今これ
を改める必要は認められない。)
 被告人B及び同Cの弁護人内田弘文の上告趣意第一点について。
 論旨は先ず原判決が憲法三六条に違反すると主張するけれども、その理由なきこ
とは前記向江、安西両弁護人の上告趣意第二点について説明したとおりである。
 次に論旨は原判決が憲法三八条に違反すると主張する。しかし被告人両名の司法
警察員に対する各自白が所論のように任意性を欠くものと認められる資料は存しな
いので、所論違憲の主張はその前提を欠き採用できない。(なお被告人等全員は第
一審公判でそれぞれ自白している。また本件麻薬の現品も存在している。)
 同第二点は量刑不当の主張であり、同第三点は事実誤認の主張であつて、いずれ
も適法な上告理由とならない。
 また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
  昭和三三年七月二二日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    河   村   又   介
            裁判官    島           保
            裁判官    垂   水   克   己

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