弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人佐藤義彌の上告趣意第一点について。
 所論は、刑訴二二七条、二二八条、三二一条一項一号は憲法三七条二項に違反す
る、かつ本件一審判決が有罪認定の証拠としているAに対する証人訊問調書は検察
官のみ立会い、被告人の立会う権利を奪つて作成されたものであるから原判決は憲
法違反であるというが、このことは、原審において主張判断なき事項について新た
な主張をなすものであつて上告適法の理由とならない。(なお第一審の措置の違法
でないことは昭和二五年(し)第一六号同年一〇月四日大法廷決定、刑集四巻一〇
号一八六六頁昭和二三年(れ)第八三三号同二四年五月一八日大法廷判決。刑集三
巻六号七八九頁に徴し明らかである)。
 同第二点について。
 しかし論旨の理由のないことは昭和二九年(あ)一三九六号同三〇年三月二五日
第二小法廷判決、刑集九巻三号五一九頁により明らかであるから原判決に所論の違
法はない。
 同第三点について。
 所論は、証拠の価値判断について、原審の判断を非難し事実誤認を主張するに帰
し刑訴四〇五条に当らない。また原判決には採証上不合理と認むべき点もない。そ
の他本件につき刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。
 よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
  昭和三〇年一〇月一一日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    本   村   善 太 郎
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    垂   水   克   己

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