弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件各控訴を棄却する。
         理    由
 被告会社及び被告人Aの弁護人大久保弘武の控訴理由は、末尾に添付してある同
人作成の控訴趣意書記載のとおりであつて、これに対する当裁判所の判断は左のと
おりである。
 控訴趣意第二点に対する判断。
 本件課税物件たるピアノの課税標準は、物品税法第三條第一項本文により製造場
より移出する時の物品の価格であることは所論のとおりである。ところで本件犯行
当時の物品税法施行規則第一一條(昭和二五年政令第三六〇号によりて改正された
もの)によれば、「物品税法第三條第一項本文ニ規定スル物品ノ価格ハ物品ノ製造
者ガ当該物品ヲ通常ノ卸取引数量ニ依リ且通常ノ卸取引形態ニ依リ凡ユル購入者ニ
対シテ自由ニ売却ノ為ニ提供シタル場合ニ於テ当該物品ノ対価トシテ当該物品ニ附
スベキ価格ニ当該物品ノ容器又ハ包装ノ費用ヲ加ヘタル価格トス」と規定されてあ
つて、所論の運賃等が右価格のうちに含まれるかどうかの点であるが、その以前の
同規則第一一條の規定(昭和二四年政令第八三号により改正されたもの)には、
「物品税法第三條第一項本文ニ規定スル物品ノ価格ハ当該物品及其ノ容器又ハ包装
ノ価格ニ荷造費、運送費、保険料其ノ他ノ費用ヲ加エタル金額ニ依ル、但シ製造者
ガ引取人ノ為ニ立替支払シタルコト明白ナル費用ハ之ヲ控除ス」とあり、現行同規
則においては、第一一条の二に前示本件犯行当時の同規則第一一条と同趣旨の規定
を置き、第一一条の六第一項において「第二種ノ物品ヲ製造場ヨリ移出スル場合ニ
於テ其ノ運送賃(製造場ヨリ移出シタル後ノ運送ノ為ノ費用ヲ謂ヒ包装材料費荷造
費及保険料ヲ含ム以下同ジ)ヲ当該物品ノ対価ト区別シテ取引スルトキハ当該運送
賃ニ相当スル金額ハ当該物品ノ課税価格ニ算入セズ」とあり、その第二項には、
「第二種ノ物品ヲ製造場ヨリ移出スル場合ニ於テ前項ノ規定ニ該当セザルトキト雖
モ運送賃ノ受領者ノ発スル書類及当該物品ノ製造者ノ記録帳簿ニ依リテ大蔵大臣ノ
定ムル所ニ依リ当該物品ニ係ル運送賃ノ額トシテ明ラカニ計算シ得ル金額ニ付テハ
之ヲ当該物品ノ課税価格ニ算入セズ」とあり、さらにその第三項には、「前項ノ規
定ハ第二種ノ物品ノ製造者大蔵大臣ノ定ムル所ニ依リ当該物品ニ係ル運送賃ノ額ノ
計算ニ関スル明細書ヲ所轄税務署ニ提出シタル場合ニ限リ之ヲ適用ス」と規定され
ているのであつて、右各規定の趣旨をその改正の経過に従つて検討してみると、い
わゆる通常の卸取引形態における移出価格中には、運送賃は内包されて価格の一部
を形成するものとみるべく、その課税標準価格から控除さるべきものではないので
あるが、製造者がそれを引取人のため立替支払したことが明白な場合(昭和二四年
政令第八三号)あるいは運送賃を当該物品の対価と区別して取引する場合(現行規
則第一一条の六、第一項)には、いずれも運送賃は価格の一部を形成しないが故
に、これを当該物品の課税価格には算入しないこととし、前掲現行規則第一一条の
六、第二項のごとくその第一項に該当せず、すなわち運送賃が当該物品の対価と区
分されず対価の一部を形成する場合であつても、本来は控除しないのであるが、当
該物品に係る運送賃として明らかに計算し得る金額については、同条の六の第三項
の場合に限りとくにこ<要旨>れを当該物品の課税価格に算入しない旨を規定したも
のである。換言すれば、通常の卸取引形態においては運送賃は移出価格の一
部を形成するものであるとの原則は貫かれているのであつて、よしや本件犯行当時
の規則において運送賃につき明定されていないからといつて、運送賃は移出価格中
には含まず控除さるべきであるとする法意ではないと解すべきである。されば、そ
の当時における税務官署の取扱としても、国税庁長官より国税局長に対する通達
(昭和二六年八月一五日「物品税の課税標準価格の取扱について」と題する通達及
び昭和二七年一一月二五日「物品税法の取扱について」と題する通達)において、
「製造者がその製造場から移出する物品の荷造運賃等に要する費用については、一
取引ごとにその都度実際に要する費用と物品の価格とを別個に計算しているものに
限りこれを課税標準価格に算入しないこと」とあり、これにもとずき拠理されてい
たものであつて前掲現行規則第一一条の六、第一項は右通達の趣旨を法文化したと
みるべきである。しからば本件については、関係買受人の証言、供述調書の記載、
押収の領収書及び物品税製品受払帳の記載などによつて明らかなごとく、原判示物
品の運送賃等はすべて売主たる被告会社の負担とする旨の約定の下に移出されてい
て、一取引ごとにその都度実際に運賃等に要する費用と物品の価格とを別個に計算
していたものとはとうてい認むべくもないものであるから、所論運送賃等を控除し
ないで課税標準価格を認定した原判決はまことに正当であつて、この点についても
審理不尽による事実誤認の廉はなく、所論は排斥するの外なく、該論旨は理由なき
ものである。
 (その他の判決理由は省略する。)
 (裁判長判事 中野保雄 判事 尾後貫荘太郎 判事 堀真道)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛