弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人細田綱吉及び同橋本順の上告趣意第一点について。
 検事の附帯控訴を許容した旧刑訴三九九条の規定が憲法一三条又は一四条に違反
するものでないことは、当裁判所の判例(昭和二三年(れ)第二二四号同年一一月
二四日大法廷判決)の示すところによつて明かである。さすれば、旧刑訴三九九条
が新憲法の趣旨に則り刑訴応急措置法一条、二条、二一条等により廃止されたもの
であるとの所論の理由なきことも亦、おのずから明かである。(なお所論刑訴応急
措置法二〇条は再審に関する規定であつて、附帯控訴には関係がない)。既に附帯
控訴の規定が憲法に違反するものでないとするならば、この規定の存廃は立法政策
の問題であつて、旧刑訴法がこれを許容し、新刑訴法がこれを禁止したこと、いず
れも憲法に牴触することではない。唯旧刑訴法と新刑訴法との切替に際しては、こ
の規定の適用を受ける事件と適用を受けない事件との差別を生ずるが、これは起訴
の時を異にすることから生ずる差別であつて、起訴の時を同じくする事件について
は平等の取扱を受けるのであるから、これを以て憲法一三条、一四条等に違反する
ものということはできない。この法理は、裁判所法施行法二条に関する当裁判所の
判例(昭和二三年(れ)第一八八号同年七月八日大法廷判決)に徴してみても明ら
かであろう。けだしこのようなことは一般に経過規定に関して共通のことだからで
ある。従つて新刑訴施行法二条が検事の附帯控訴を許容したからとて、これを憲法
違反ということはできない。(昭和二三年(れ)第一五七七号同二四年五月一八日
最高裁判所大法廷判決参照)。それ故に原判決には所論のような違法はなく、論旨
は理由がない。
 同第二点について。
 昭和二〇年勅令第五四二号が旧憲法八条の緊急勅令として法律と同一の効力を有
したこと、且つそれが後に国会の承諾を得て引続き今日に至るまで有効に存続して
おるものであることは、当裁判所の判例(昭和二二年(れ)第二七九号同二三年六
月二三日大法廷判決)の示す通りである。従つてその委任に基いて制定せられた麻
薬取締規則が有効であることも亦、右の判例に徴して明かである。「日本国憲法施
行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律」一条の二は右の当然の
法理を念のために明らかにしただけであつて、この法律によつて初めて麻薬取締規
則が有効とされたのではない。それ故に右の取締規則を有効なものとして適用した
原判決には、所論のような違法はなく、論旨は理由がない。
 同第三点について。
 刑法四七条は刑法自体に規定する罪に対してのみならず、特にこれを除外する規
定がない限り、他のすべての刑罰法規違反の罪に対して適用されるべきものである
から、原判決が本件に対して、右の規定により刑の加重をしたのは当然のことであ
る。そうしてこの加重は刑法四七条の規定の結果であつて、所論のように麻薬取締
規則によつて加重されたものではない。若し所論のように併合罪の加重の規定を適
用しないものとすれば、被告人の判示各所為に対して各別に刑を科せられることゝ
なり被告人のためには却て不利益となるから、かような主張は上告適法の理由とな
らない。
 同第四点について。
 所論のように麻薬取締法附則七四条が刑法六条の適用を排除するものとするなら
ば、本件には当然に行為時法が適用される。しかし前者が後者の適用を排除する趣
旨ではないとしても、新旧両法比照の結果、結局においては行為時法が適用される
こと原判決の示すとおりである。即ちいずれの解釈に従つても本件に行為時法が適
用されるべきことに変りはなく、そうして原判決は行為時法を適用したのであるか
ら、原判決は結局正当であつて、論旨は理由がない。
 同第五点について。
 麻薬取締規則二条は麻薬の種類を定めたものであつて、原判決の判示する本件取
引の目的物たる塩酸モルヒネが同条にいう麻薬であることは自明のことであるから、
原判決が特に同条を挙示しなかつたからとて、これを違法というにはあたらない。
論旨は理由がない。
 以上の理由により旧刑訴四四六条に従い主文の通り判決する。
 この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。
 検察官浜田竜信関与
  昭和二五年一一月二一日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介

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