弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を東京高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人所龍璽同高橋喜一の上告理由第五点について。
 原判決は、本件土地(第一審判決添付目録記載第一の土地)について、昭和二三
年一二月初旬頃当時の所有者上告人と訴外Dとの間に売買の行われた事実を認定し、
右は、上告人の復代理人たるEが上告人を代理してDとの間に売買契約を締結した
ものとし、当時Eには上告人を代理して本件土地を他に売却する代理権はなかつた
のであるけれども、Dには右Eの代理権を信ずべき正当の事由があつたから、右売
買は民法一一〇条表見代理に関する規定に従つて、本人たる上告人に効力を及ぼす
ものである旨を判示した。しかして、原判決は「民法一一〇条の表見代理に関する
規定は或範囲の代理権を有する者がその権限を超越して代理行為をした場合に関す
るものであるから本件においてはEが果して何らかの事項につき上告人を代理する
権限を有していたか否かを究明する必要がある」として、Eは、上告人の代理人た
るFから上告人の復代理人に選任せられて、上告人のため、同判示のごとき封鎖預
金の解除払戻の手続を委任せられ、これに関する一切の処理をする代理権限を付与
せられたものであると認定したのである。即ち原判決の認定するところによればE
の代理権の範囲は封鎖預金の解除払戻に関する事項に限定せられているのである。
 しかして、原判決は右代理権授与の時期については金融緊急措置令の施行(昭和
二一年二月一七日)の後であることをうかがわしめるに止まり、その時期を明確に
していないけれども、封鎖預金の解除払戻についてはおのずから時期的制限のある
ことは明らかであり、本件土地売買の行われた昭和二三年一二月初旬当時、右預金
払戻の事務は尚結了していなかつたかどうか、即ち、原判決が本件表見代理の基礎
たる代理権とする右封鎖預金払戻に関するEの代理権は右表見代理行為の当時に尚
存在していたかどうかについては、原判決は何ら確定するところはないのである(
上告人の主張によれば、昭和二一年一二月一二、三日頃右預金の払戻は完了し、同
通帳は「残高零」となつて、右Eの代理権は消滅したという)。若しまた原判決の
趣意とするところ表見代理の基礎たる代理権は表見代理の行為当時既に消滅してい
ても、なおかつ民法一一〇条の適用を妨げないものであるとするにあるならば、須
らく判決にその法理とこれにもとずく事実関係を解明しなければならない。原判決
がこれらの点に思を及ぼすことなく本件につき漫然民法一一〇条を適用したのは、
到底理由不備若しくは審理不尽のそしりを免れないものである。
 よつてその余の論旨に対する判断を省略し、民訴四〇七条を適用して、主文のと
おり判決する。
 この判決は全裁判官一致の意見による。
     最高裁判所第二小法廷
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎
 裁判長裁判官霜山精一は退官につき署名押印することができない。
            裁判官    栗   山       茂

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛